「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」とは、令和2年度第三次補正予算事業「事業承継・引継ぎ補助金」のうち、経営資源の引継ぎに要する経費(主にFA・仲介会社等の専門家等を活用する経費)を補助する事業です。M&Aにおいて利用できる補助金であり、2021年7月13日(火)より、二次公募が開始しました。今回は、M&A仲介・FA会社に依頼する際を想定して、当社に寄せられたご相談をもとに、同補助金を活用する際に論点になりがちなポイントについてお伝えします。
※制度概要のコラムはこちら。
https://cregio.jp/column/mahojokin1_r2hosei3/
《参考》事業承継・引継ぎ補助金 事務局HP
https://jsh.go.jp/r2h/
※公募要領等はこちらからご覧頂けます。
※具体的な補助金に関するご質問は、事務局へ直接お問い合わせください。
(事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)お問い合わせ先)
【電話】 03-6625-8046
記事のポイント
- 「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」で論点になりそうなポイントを解説。
- 特に「相見積」の対応には注意が必要。補助事業計画を詰め、電子申請にも対応する必要がある。
M&A仲介・FA会社に依頼する時の「事業承継・引継ぎ補助金」の活用ポイントまとめ
M&A仲介・FA会社が知らない!
そもそも本補助制度について、M&A仲介・FA会社が知らない場合が想定されます。本補助金は、M&A仲介・FA会社への手数料も対象となる補助金です。M&A仲介・FA会社から本補助金の活用の提案がない場合は、一度、こういった補助金がある旨を伝えてみましょう。税理士や公認会計士等の専門家に依頼している場合も同様に聞いてみましょう。
「相見積」を用意するのが難しい!
補助金を利用する際は、2社以上の相見積を行う原則があり、本補助金においても同様です。ただし、M&A仲介を専門業者へ依頼する場合、専任契約を結ぶケースがあります。また、M&Aの交渉そのものの期間が長いこともあり、既に相談してるM&A仲介・FA会社を差し置いて、相見積を依頼することが難しい場合があります。
本補助金では、「相見積取得が不要な条件」が公募要領において定められています。こちらをよく理解し、相見積が必要かどうかをきちんと見定める必要あります。詳細な条件は公募要領をご覧ください。
相見積取得が不要な条件
条件①:補助対象経費において、選定先以外の 2 者以上に見積を依頼したが、全ての専門家・業者から見積を作成できないと断られた
- 2 者以上の専門家・業者から見積を断られた事が確認できる書面(電子メールの写し等)の添付が必須。
- 明らかに業務外の専門家・業者に見積を依頼している場合は対象外。
条件②:FA・仲介費用において、専門家費用がレーマン表により算出された金額以下
- FA・仲介の選定専門家の FA・仲介費用見積額が、下記レーマン表により算出される金額(着手金含む報酬総額)よりも低い金額又は同額の場合は相見積の取得が不要。
- ただし、以下全てに対応する必要あり。
□「関与専門家選定理由書」に譲渡額又は移動総資産に基づくレーマン表での報酬総額の試算額を記載。
□譲渡額又は移動総資産が未定の場合は、想定金額を「関与専門家選定理由書」に記載。
□見積書に記載の FA・仲介費用見積額が譲渡額をベースに算出されている場合は、譲渡額に基づくレーマン表での報酬総額と FA・仲介費用見積額の比較、見積書に記載の FA・仲介費用見積額が移動総資産をベースに算出されている場合は、移動総資産に基づくレーマン表での報酬総額と FA・仲介費用見積額の比較。
□FA・仲介費用の最低報酬額がレーマン表での報酬総額を上回らないこと - FA・仲介費用は、FA・仲介専門家との委託契約に基づき支払う費用であり、着手金、マーケティング費用、リテーナー費用、基本合意時報酬、成功報酬の費用形態を指す。
(参考)レーマン表
条件③:システム利用料において、成功報酬のみの M&A のマッチングサイトに複数登録して、成功報酬を申請する
- 登録したことを証する複数のマッチングサイトの登録画面等のスクリーンショット等の提出が必須。
- 成功報酬のみの特定サイト 1 社のみに登録をする場合は、相見積が必要。
- 着手金等のランニングコストが係るマッチングサイトは、相見積が必要。
「補助事業期間」に何をするのか、決めておこう!
本補助金をご利用される方の中に多いのは、「補助事業期間内にM&Aすれば補助金をもらえる」と考えがちですが、正確には「補助事業期間内で、M&A仲介・FA会社への依頼の役務に対する費用が補助対象経費となる」という整理になります。そのため、補助事業期間内に、何を役務としてM&A仲介・FA会社へ依頼するかを定めて、補助事業計画書に落とし込む必要があります。申請書を記載する段階になって、依頼内容が固まっていないと、申請ができないというケースや、計画を詰めずに申請したたため、後で補助対象経費と認められないと言われるケースも想定されるため、補助事業計画の内容は事前にしっかり確認しましょう。
申請は基本は電子申請!代理申請は原則不可
本補助金は、jGrantsというシステムを利用し、電子することが原則となります。jGrantsを利用するためには、gBizIDプライムアカウントが必要であり、アカウント取得には申請から2~3週間が必要となりますので、申請を検討している方は早めにアカウント取得することをおススメします。
また、中にはM&A仲介・FA会社に代理で申請してもらうことを考えるケースもありますが、本システムは代理申請への対応がありません。gBizIDプライムアカウントにログインする毎に、アカウントを登録した者の携帯電話にワンタイムパスワードが送付され、そのパスワードを入力する必要があります。
申請に必要な項目は事務局サイトに掲載されているので、事前にM&A仲介・FA会社と相談して作成することは可能ですが原則的には本人が申請する必要があると認識しましょう。
(参考)申請期間は2021年8月13日!
二次公募の申請期間は以下のとおりとなっています。
【申請期間】2021年7月13日(火)~2021年8月13日(金)18:00まで
おわりに
「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」について、今回は実際に申請に関わる中で、論点になりそうなポイントについて説明しました。特に相見積については、専門家への依頼費用に関わる部分であり、直前では対応できないケースも想定されます。他の補助金と比較して、申請資料の作成の手間は大分少ない補助金ですが、煩雑な点はあるので、事前に把握しておいた方がよいでしょう。
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