M&A業界の用語ではカタカナや英語での表記が多く、あまり聞きなれない言葉が続くと、経営者にとって遠い世界だと感じがちです。最近は、M&Aが中小企業の経営者にとっても身近になってきました。こちらのコラムでは、少しでも言葉のアレルギーを払拭するため、改めてM&Aのカタカナ・英語を簡単な日本語で解説します。
M&A業界カタカナ・英語用語まとめ
M&A(エムアンドエー)
「合併と買収」の意味です。英語で「Mergers(合併)」「Acquisitions(買収)」を合わせたものをM&Aと呼びます。簡単な日本語で言うと、買手企業にとっては「会社を買うこと」であり、売手企業では「会社を第三者に譲り渡すこと/引き継ぐこと」の意味で使われています。株式を売ったり、買ったりする「株式譲渡」、株式ではなく事業単位で譲り渡しを行う「事業譲渡」といった方法があります。
MBO(エムビーオー)
MBOは「経営陣(会社の役員)が会社を継ぐこと」です。英語で「Management(経営陣) Buy Out(買い取る)」の頭文字を取り、MBOと呼びます。方法として、経営陣が、現在の株式オーナー(≒社長)から株式を買い取り、自らが会社のオーナーとなることを指します。
EBO(イービーオー)
EBOは「従業員が会社を継ぐこと」です。英語で「Employee(従業員) Buy Out(買い取る)」の頭文字を取り、EBOと呼びます。方法として、従業員が、現在の株式オーナーから株式を買い取り、自らが会社のオーナーとなることを指します。MBOとよく似ています。
LBO(エルビーオー)
LBOは、買収しようしている会社の資産(建物・土地等)を担保に買収資金を調達するM&A手法です。英語で「Leveraged(テコの原理で) Buy Out(買い取る)」の頭文字を取り、LBOと呼びます。MBO、EBOを実現する際によく使用される資金調達方法です。
NDA(エヌディーエー)
NDAは、秘密保持契約を意味します。英語で「Non-Disclosure(非開示の) Agreement(合意)」の頭文字を取り、NDAと呼びます。M&Aに関する情報は機密性が高い情報です。そのため、情報管理には細心の注意が必要となります。M&A仲介会社が、事業の譲渡を検討している会社に関する情報を、M&Aで会社を買収したい企業に提供する際には、NDA(秘密保持契約)を結んだ上で、情報を開示します。
ノンネームシート
ノンネームシートとは、売手企業の概要を匿名にしてまとめた資料を意味します。ノンネームシート以外にも「ティーザー(Teaser=「焦らす」という意味)」という表現も使用されます。M&Aの情報は機密性が高いため、情報管理に細心の注意が必要です。まず買手企業候補が、事業内容に関心があるかを確認するため利用する書類であり、情報漏洩リスクを可能な限り排除するため、初期的には匿名で事業概要を伝えます。より詳細な検討をしたい場合は、買手企業とM&A仲介会社間でNDA(秘密保持契約)を締結し、具体的な情報開示を行います。
IM(アイエム)
IMとは、企業概要書を意味します。英語で「Information(情報の) Memorandum(メモ)」の頭文字を取り、IMと呼びます。IMには、事業内容や財務状況等、譲渡対象企業の詳細な情報が記載されています。ノンネームシートで関心を示した買手企業候補に対して、NDA(秘密保持契約)を結んだ上で、開示する資料です。
MOU(エムオーユー)
MOUは、基本合意書を意味します。英語で「Memorandum(覚え書き) of Understanding(了解の)」の頭文字を取り、MOUと呼びます。MOUは、M&Aの売手企業と買手企業が、M&Aに関して大まかな条件等について合意した内容を確認するための書類です。最終契約前の仮契約として位置づけられていますが、一般的には法的拘束力はないとされています。
ロングリスト
ロングリストとは、M&Aにより会社売却を検討している企業に対して、買手となる候補企業をリストアップした資料です。「ロング」とあるように、多い時は100社程度リストアップします。こちらのリストを基に、どのような買手企業が望ましいか検討を進めます。
ショートリスト
ショートリストとは、こちらもM&Aにより会社売却を検討している企業に対して、買手となる候補企業をリストアップした資料です。ロングリストを基に一定の条件で候補先を絞り、数を少なくしていくため、「ショート」と表現します。ショートリストを基に、具体的なM&Aに関する打診の進め方を決めていきます。
バリュエーション
バリュエーション(Valuation)とは、売手企業の価値を評価することです。株式売買の場合、簡単に言うと、株価算定です。M&Aにおけるバリュエーション(Valuation)には様々な手法があります。将来の収益の価値を評価するインカムアプローチ、貸借対照表の純資産に基づいて評価を行うネットアセットアプローチ、評価対象と類似した企業の市場株価と財務指標を基に評価を行うマーケットアプローチの三種類が主な手法です。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買収監査を意味します。英語で「Due(適切な) Diligence(注意)」であり、頭文字をとって「DD(ディーディー)」と読んだり、「デューデリ」を略して呼称する場合もあります。具体的には、基本合意後、買手企業がM&Aを実行する前に、売手企業の財務や法務・税務等の様々な視点から調査を行うことです。財務諸表や各種契約書、事業の将来性や現在の財務状況等について書類調査やヒアリングを通じて行います。買手企業は、税理士・会計士・弁護士等の専門家に依頼する場合が多いです。
レーマン方式
レーマン方式は、M&A仲介会社等に支払う報酬額を定める時に利用される一般的な方式です。取引された金額に応じて、一定の報酬料率を掛けて、手数料を算出します。
SPA(エスピーエー)
SPAとは、株式譲渡契約書を意味します。英語で「Stock(株式) Purchase(購入の) Agreement(合意)」の頭文字を取り、SPAと呼びます。M&Aの交渉が終了し、株式譲渡のための最終的な条件や内容が明記された契約書です。
クロージング
クロージングとは、経営権の移転を完了させる手続きのことを指します。具体的には、SPAを締結した後に、対価を支払う手続きにより、クロージングとなります。株式譲渡の場合は、株券の引渡や対価の支払い、役員変更等の手続きとなります。
PMI(ピーエムアイ)
PMIとは、M&Aを実行した後の統合のことを指します。英語で「Post Merger(合併後の) Integration(統合)」の頭文字を取り、PMIと呼びます。M&Aは2つの異なる組織が統合される行為です。組織が異なるため、企業文化や会計のルール等が異なる場合があります。また、M&A後にどのようにシナジー効果を発揮していくかも重要な視点です。そういったM&A後の統合について、PMIと呼びます。
シナジー
シナジーとは、相乗効果を意味します。M&Aでは、会社を買収した後に考えられるプラスの効果を指します。逆にマイナスの効果をアナジーと呼びます。
クロスセル
クロスセルとは、シナジー効果を出すための手法の一つです。具体的には、買手企業がM&Aで買収した企業の顧客に関連する自社商品を売る方法があります(逆に、買手企業の顧客に売手企業の関連する商品を売る場合もあります)。ある顧客群に、現在提供している商品とは別の商品を販売することで売上を増やす手法です。
アップセル
アップセルとは、顧客の単価を上げるための手法を指します。具体的には、現在顧客に販売している商品と同種で、その商品より上位の単価の高い商品を販売する手法になります。
なぜ分かりづらい表現を使うのか
M&Aに関連する用語は耳慣れない用語が多く、その用語が何を意味するのか、M&A交渉や経営においてどのような意味を持っているかを理解することで、M&Aを円滑に進めることが可能です。
このような専門用語が飛び交う理由として、M&Aは、これまで公認会計士や税理士等、財務会計分野に詳しい専門家に閉じられた世界であったことが考えられます。近年は、全国における事業承継課題の高まりから、M&Aがより一般化しており、この傾向はどんどん進むことが予想されます。M&A仲介会社等のM&Aの支援を行う者が、専門用語にこだわることなく、経営者の目線でサービスをしていくことが益々求めらます。
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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
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