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実績 PERFORMANCE

代表を務めた小松英介氏と、譲受け企業である株式会社ティーエス・ハマモトの代表取締役である濱本利寿氏に、M&Aを決意するに至ったこれまでの経緯と今後の展望について伺った。
CASE 01

“ネット”と“リアル”の融合。
双方の専門性を生かしたM&A

デザイン性と施工性を両立した内装用建材の開発・製造を行う工房志楽。全ての商品の企画・製造を自社で一貫して行う事で、求めるデザインに合わせ、オーダーメイドの製作や特注品にも柔軟に対応し、インターネットにより全国に販路を広げていた同社。いったいなぜM&Aを決意することになったのか。代表を務めた小松英介氏と、譲受け企業であるティーエス・ハマモトの代表取締役である濱本利寿氏に、これまでの経緯と今後の展望について伺った。

  • 譲渡企業

    有限会社工房志楽

    広島県広島市 / 代表取締役 小松英介

    業種 インテリア用建材の開発、及び製造販売
    M&Aの目的 事業拡大のため
  • 譲受企業

    株式会社ティーエス・ハマモト

    広島県広島市 / 代表取締役 濱本利寿

    業種 建設業
    M&Aの目的 人財獲得、ネット販売のノウハウ・顧客の獲得

デザイン性に特化して、グローバルに展開したい

まずは、創業の経緯や事業内容についてお話しいただけますか。

小松

 工房志楽はオリジナル内装建材の製造・販売を行っております。従業員はアルバイトを含め10名程度。1999年頃、父親が大手ゼネコンを脱サラして創業したのが始まりです。最初は、軽量レンガという見た目はレンガ、中身は発泡スチロールのような軽い建材を開発し、製造していました。一時期は東急ハンズでも販売も行っていました。とはいえ、なかなかそれだけでは厳しかったので工事なども受注していたようです。
 試行錯誤を続け、レンガ風タイルやコンクリートブロックのようなタイルなど内装で使用する建材、とくにデザインに特化した建材を自社で開発から製造、販売まで一貫して行っていました。販売面では2006年頃、インターネットで販売することを始めて徐々に全国に販路を広げていくことができました。建材の特徴として、“施工性がいい”ため、当社の人間が現場に赴いて施工することはなく、現場の大工さん・職人さんが施工してくれるということで、全国に販売することができました。インターネットの時流にも乗り、インターネット販売を通じ、今では全ての都道府県に納品の実績もできました。とくに営業活動をするわけでもなく、広島に居ながらインターネットで販路を広げることとなりました。
 私自身は大学卒業後、東京でケーブルテレビに関連する設備を扱う会社でシステムインテグレーターとして働いていました。その後、父親からの勧めもあり、新しいことにチャレンジしたいという思いも募り、こちらに転職しました。

売却にいたった経緯を教えていただけますか。

小松

 2017年頃、ドイツのスポーツメーカーから、「工房志楽の商品は面白い。コンクリートブロックをぜひグローバルに店舗で使いたい」とありがたい打診がありました。この時、“何が目にとまったのか”を思慮すると、建材のデザインに興味をもったとのこと。デザインの可能性はすごい、世界に通じるものなんだと思ったことで、デザインを使って世界に貢献できる仕事ができないかという思いが強くなりました。
 新しい事業について考えてはみたものの、既存の事業に時間を取られてしまうこと、さらに自分が手を離して事業が存続できるのかという不安もありました。とはいえなんとか新事業を始めたいという思いから、当社の数点あった商品の一つを譲渡すれば、その分手も空き、譲渡した分のお金も入るだろう・・・そうすれば新しい事業ができるんじゃないかという流れから、WEB上で「売り手」と「買い手」のマッチングサービスを行うTRANBI(トランビ)に登録しました。
 そして、TRANBIに登録しているのをクレジオ・パートナーズが見てくれて、連絡をいただきました。当初、譲渡対象としていたのは製品のブランドと取引先だけでした。職人は相手が引継ぎを嫌がるだろうと考えて、譲渡対象外としていました。
 クレジオ・パートナーズからは、M&Aの買手はブランド・取引先だけでなく、造る場所、製造ノウハウ、ノウハウを持った人材が必要だから、工場・人材ごと欲しがるだろうと言われました。そういった相談の中で、会社全体での譲渡であれば可能性があるのではないかという話しをもらったので、その可能性にかけることにしました。

事業売却をどのように進めましたか? 進めてみていかがでしたか?

小松

 事業売却はもちろん初めてなので、右も左もわからない状況でした。とりあえずインターネットで検索して、マッチングサイトに片っ端から登録していきました。その中でTRANBI経由で、興味があるということで四国の会社さんが工房志楽を見に来てくれました。その他にも、数件問い合わせがありましたが、いずれもそれ以上話は進みませんでした。今思えば無謀だったかと思います。売却額についても希望額というか…プロの方の査定額ではなく、自分の考えで勝手に提示していました。
  金額的な面で条件が合っていることが譲渡の第一条件でした。事業内容や雇用面についても注視していました。また何かあった時にも対応できるという意味で、相手先は地元の会社や近隣の会社であることも重視していました。クレジオ・パートナーズに依頼してからは、話がスムーズに進みました。

ニーズを捉え、更なる会社の成長のために

ここからは譲受企業であるティーエス・ハマモトの濱本氏にも参加いただき、お話を伺いたいと思います。
御社のM&Aに関する考えについて教えていただけますか。

濱本

 基本的なM&Aに対する考えとして、全くの異業種には興味はありません。M&Aはいわゆる新車ではなく、中古車を買うようなものです。中古車を買うということは、すべて“出会い”でしかあり得ません。銀行やM&A仲介業者等によく聞かれるのが、「どういう会社がほしいのですか」、会社規模や従業員数や所在地などの希望をとても詳細に質問されます。じゃ、それに答えたら条件にぴったり合う会社が見つかるのかと逆に言いたいです。これまでにM&Aで4社を買収しましたが、私が選ぶのではなく、彼らがわが社にきっとマッチするだろうと選んで提案された会社を買収してきました。

ティーエス・ハマモトの創業の経緯や事業内容を教えていただけますか。

濱本

 私は二代目です。大阪で働いていた父親が体調を崩し、広島に戻って叔父の塗装屋で手伝いを始め、その叔父の引退をきっかけに事業を譲り受けたのがわが社の始まりです。2020年で50周年を迎えます。2010年に私が代表に就任し、濱本塗装店からティーエス・ハマモトへ社名を改称しました。2004年私が29歳の時に、入社したのですが当時従業員は14名ほど。先輩たちはみな55歳以上でした。 若い従業員を雇ったのですが続々と独立してしまいました。この業界は、ある意味独立しやすいのですが…。どうすれば今いる従業員が辞めずに永く働いてくれるのかということを考え始めました。
 徐々に仕事も増え、人も増えてきたのですが…“夢をもって働いてほしい”と従業員に対して思うようになりました。自身が不動産や保険代理業を行う会社を立ち上げ、一から会社の約款や取り決めなどを作る中で様々なことを経験してきました。その中で、ティーエス・ハマモトの社長は一人しかなれないけど、たとえば10社あれば10人社長になれる、従業員に夢をもってもらえるという思いが、M&Aへ動き始めたきっかけの一つでもあります。
 M&Aは頑張り次第で価値や利益を上げることができます。
 これまで買収した1社目、2社目は赤字決算の会社でしたが、改善しました。M&Aで失敗というと、基本的には騙されないかぎり失敗ではないと思います。

お互いの印象やM&Aの感想を聞かせてください。

濱本

 工房志楽さんは、建材を自社開発して販売まで行っているということにもちろん、魅力を感じます。さらにわが社が過去に買収した装飾ガラスを会社があり、インターネットの販売が弱く、ほぼ問屋からの受注販売と対面営業でした。といった事情から、製品のノウハウだけでなく、ネット販売のノウハウも獲得できるという思いから工房志楽に興味をもちました。ほぼ迷うことなくとんとん拍子で話しを前へ進めていきました。
  双方の会社が近いこともあり、すぐお会いしたい旨をクレジオ・パートナーズに伝えました。小松氏とは、実は昔から顔見知りであったことも判明。事業面や金額面に関して問題なく、スムーズな話し合いだったと思います。

小松

  濱本氏はM&Aの経験が豊富であること。さらに装飾ガラスを扱うハイカワデザインガラス株式会社を子会社化されて事業運営されていることが決め手となりました。実際、私自身がハイカワデザインガラスの製品や技術力に興味があって、工房志楽と組むことで可能性が広がるのではないかと思いました。また、社名にはあまりこだわりがなかったのですが、濱本氏からは工房志楽の社名はそのまま続けるということで、その辺りも評価していただいたことに感謝しています。
  買収後、8名の従業員は“社長が変わった”くらいであまり理解できていなかったかもしれません。不安もあったかと思います。彼らには仕事、やることは変わらないということをしっかりと伝えました。

クレジオ

 今回のM&Aは株式譲渡になります。工房志楽という法人格はそのまま、株主が変わり代表者・役員が変わりました。ティーエス・ハマモトのグループ傘下で社名は変えずに営業を行っており、雇用契約もそのままであるため、従業員の不安は最小限に留められているかと思います。

現在の状況を教えてください。

小松

 2019年8月に譲渡してから、現在は引継ぎを行っている状況ではありますが実務は行っておりません。姉は工房志楽に残り、業務を続けさせていただいています。
 もともと私がエンジニアということもあり、新たにそういった事業を始めたいという思いからM&Aをしました。興味のあったハイカワデザインガラスへ出向かせていただき、勉強させていただいてます。

濱本

 インターネットの販売を強化していきたいことはもちろんですが、小松氏には外注先として関係を築いていきたいと思っています。現在も引継ぎを兼ねて、当社に出社いただき、技術面等のアドバイスや指導も行っていただいています。
 工房志楽では、これまで受注はあっても製造が追いつかなかった部分がありましたが、グループの宇部にあるハイカワデザインガラスの大規模工場で閑散期において、製造を行うことにしました。既存の工場を使うので、工場を増設することもなく機材だけを移動したのでたいした設備投資をせず、おそらく2割増しの売上を上げることができるのではないでしょうか。職人さんの新しいものづくりへの熱意にも繋がっているようです。

今後M&Aを検討している方へのメッセージ、アドバイスをいただけますか。

小松

 今回、濱本氏にお声をかけていただいて本当に良かったと思います。装飾ガラスの会社は、工房志楽の従業員も興味をもっていました。自分自身ではそれができなかった、これ以上工房志楽を成長させることができなかったのが、グループ会社になったことで人的交流が生まれ、広がりができたことは大変良かったと思います。
 またクレジオ・パートナーズに出会えたことも大きかったと思います。自分でM&Aをやっていくなんてとんでもなかったです。サポート体制、中立的な立場で適切なアドバイスをくれる仲介業者に出会うことは、M&Aにおいて重要なことだと思います。

濱本

 買い手側からの注意点として言わせていただくなら…。私がM&Aをしているというのは、広島市内近隣に結構知られているかと思います。「自分のところにもM&Aの話しが来ているんですよ」と相談を持ち掛けられることが多々あります。言えるのは、安易な考えでM&Aはするものではないということ。きちんと明確な目的があるべきです。また、会社の成長を目指すのですが、“特に中小企業は社長の器以上に大きくならない”。ということは自分の会社規模より大きな会社を買収してしまうと、やったことのない責任を負うわけですから、いずれ無理がきます。以上2点については、私自身も気を付けていますし、やりたくありません。
 クレジオ・パートナーズは大手の仲介業者と違って、地元に根差し、グイグイ営業するといったことではなく適切な買収先を紹介してくれ、丁寧な説明をしてくれました。アフターフォローまでしっかりで安心して任せられる仲介会社だと思います。