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支援制度

令和3年度経済産業省概算要求が発表!地域・中小企業等関連のポイントを解説

令和3年度経済産業概算要求が2020年9月30日に発表されました。これらの中から、地域や中小企業の皆さまにお役に立ちそうな事業をピックアップして、ポイントをお伝えします。
「令和3年度 地域・中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイント」でも、「事業承継」は大きく取り上げられており、日本全国の中小企業における課題であり、経済産業省においても、重点的なテーマであることが分かります。

概算要求とは?

毎年度国の予算が発表されていますが、基本的には3回のプロセスに分けられます。1回目は今回の「概算要求」の公表、2回目は「予算案」の公表、3回目は国会審議が通過することで、正式な予算となります。概算要求は各省庁が取りまとめ、次年度において要求したい予算を公表するものです。概算要求を基に財務省との折衝が行われ、査定されます。そのため、概算要求段階の事業が「予算案」として発表される際には減額されていたり、変更又はなくなる場合もあります。

あくまで各省庁が要求事項として取りまとめたものになりますので、財務省査定の結果、変更することはありますが、次年度の政策のトレンドを抑えるためには有効な資料です。毎年度8月末に公表されますが、今年度は9月末の公表とずれ込みました。通常と同じスケジュールであれば、財務省との折衝が終わった後に12月に予算案として公表されます。

地域・中小企業向けをピックアップ!令和3年度経済産業省概算要求

「令和3年度経済産業政策の重点、概算要求・税制改正要望について(2020年9月30日公表)」の中から、地域や中小企業の方に関連しそうな予算等をピックアップします。各施策に付したコメントについては、あくまで本記事筆者の感想となりますので、制度詳細の情報を希望される方は、施策を担当する組織へ直接ご確認ください。

中⼩企業再⽣⽀援・事業承継総合⽀援事業

令和3年度の経済産業省政策では「事業承継」が大きなテーマとなっています。本施策は、従来の再生支援に係る施策と事業承継に関する施策が要求されています。事業承継に関しては、これまでは親族内承継支援を行う「事業承継ネットワーク」の事業と、第三者承継支援を行う「事業引継ぎ支援センター」が別々に展開されていましたが、今年度より両施策の統一化が図られ、「事業引継ぎ支援センター」に「事業承継ネットワーク」が統合される形になりました。これにより、親族内承継支援と第三者承継支援が1つの窓口で対応可能となることが期待されます。

事業承継・世代交代集中⽀援事業

前年度から継続して事業承継を契機に経営革新に挑戦する事業を支援する事業に加えて、令和2年度第一次補正予算で実施された第三者承継(M&A)に係る士業専門家の活用費用等を支援する「経営資源引継ぎ補助金」もこの事業の中で要求されています。第三者承継支援を本予算で要求していることからも、経済産業省が事業承継に力を入れていることが分かります。


JAPANブランド育成⽀援等事業

「JAPANブランド」事業は元々海外販路開拓支援の事業でしたが、現在は国内(全国展開)や観光も含めた新商品・サービスの販路開拓を支援する事業となっています。販路開拓を目指す中小企業者向けの事業です。


ものづくり・商業・サービス⾼度連携促進事業費

設備投資を支援する事業には、いゆる「ものづくり補助金」が補正予算で計上されてますが、本予算ではより政策的に意義の高い「企業間連携」や「サプライチェーン効率化」を目的としているものが対象となっています。補正予算で「ものづくり補助金」が計上された場合は、一つの中小企業者や、上記のような目的がない場合も申請できる可能性がありますが、本予算においては、上記のように追加的な要件が課されているのがポイントです。


戦略的基盤技術⾼度化・連携⽀援事業

いわゆる「サポイン」と呼ばれる研究開発を支援する事業です。研究開発や、革新的なサービスモデルの開発を支援する制度です。

地域の持続的発展のための商業・まちづくり推進事業

商店街を支援することを目的とした補助事業です。昨年度計上された事業(商店街活性化・観光消費創出事業)と異なり、都道府県・市町村等の地方公共団体が支援する場合に限り補助を行う形になっています。経済産業省の中では、ハード(建物)が補助対象となる数少ない事業ですが、地方公共団体の支援が前提となっており、より地域の意図が反映されることになると共に、地方公共団体を通じた支援がない場合、支援対象となる「まちづくり会社、商店街組織、飲食店街、温泉組合など」は支援を受けることができなくなってしまいます。


地域・企業共⽣型ビジネス導⼊・創業促進事業

ベンチャー、中小企業等が連携し、複数地域で課題解決・付加価値向上を行う取組を支援する事業です。地域にネットワークを有する中小企業が、ベンチャー等の新しいテクノロジーやサービスを持つ企業と連携して実証事業を行う際等に有用です。

また、(ⅱ)で「リモートワークも活用しながら、地域の課題解決への参画を促す取組」も対象とするとのこと。コロナ禍において「ワーケ―ション」等、新たな生活様式への対応が求められており、そういった実証事業を検討している場合は要注目です。


地域未来デジタル・⼈材投資促進事業

これまで経済産業省では、地域経済政策の一環の中で、「地域未来牽引企業」という、地域経済の中心的な存在となる企業を選定し、集中的に支援することで、地域経済の活性化を目指していました。昨年度は、「地域未来投資促進事業費」という名称でネットワーク構築や、地域企業群の事業支援を中心に展開していました。令和3年度においては、「デジタル化」が主要なテーマとなり、計画策定やシステム導入、モデルケースの支援や普及啓発が主となっています。予算額も前年度から大幅に減少している点も気になりますが、新型コロナウィルスの影響により、地域を支える企業においてもデジタル化が課題であることを印象づける施策です。


グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業

経済産業省におけるスタートアップ支援です。J-Startupとは、経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラムであり、世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供することを目的にしています。

同プログラム運営が中心であり、海外イベントとのネットワークや連携強化や国内支援が項目に挙げられています。少し目線が高い施策となりますが、地域でチャレンジするスタートアップにもぜひ目を向けて欲しいと思います。


⼤企業等⼈材による新規事業創造促進事業

大企業向けとなりますが、面白い視点の施策でしたので取り上げました。大企業人材が出向等の形で起業する際の事業費等の支援を行うとのことです。大手人材の流動化へ対応するための施策となります。


研究開発型スタートアップ⽀援事業

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)を中心に展開する研究開発型のスタートアップ支援プログラムとなります。大学発ベンチャー等の基礎技術の開発が必要なビジネスを目指す方は注目すべき施策です。VC等を認定し、連携して事業開発を行う点も特徴です。

スタートアップ向け経営⼈材⽀援事業

ベンチャー・スタートアップにおいて、「人材」は非常に重要な課題ですが、本施策はVCや人材紹介会社を中心としたコンソーシアムを形成し、経営人材を含めたスタートアップへの人材の流動化を目指す施策となります。スタートアップの定義は様々ですが、地域や規模を問わず挑戦するビジネスへ有能な人材がチャレンジできる環境整備が望まれます。

おわりに

経済産業省予算における地域・中小企業関連で活用しやすいもと思われるものをピックアップしました。上記以外も様々な予算が要求されていますので、来年度の政策の方向性が知りたい方は、予算の資料全体をみてみるのも一つだと思います。また、現時点はあくまで要求段階であり、予算となって、実際に公表・公募される際には現時点とは異なる可能性があることにご留意ください。

今回の概算要求は、「令和3年度 地域・中小企業・小規模事業者関係の概算要求等のポイント」から「創業」の文言が消える等、ここ数年間の経済産業省施策の中で、いわゆる創業支援系の施策から、事業承継支援系の施策に舵が切られた印象がありました。全国的な経営者の高齢化・後継者不在率の高さから、事業承継が経済産業省においても重要な課題となっていることが窺えます。事業承継に限らず、様々な経営課題に悩む経営者にとって、有効な施策が展開されることを期待します。

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