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コラム COLUMN

2020年下期全国経営者保証なし融資割合まとめ

「経営者保証」は、事業承継を進める上でも大きな論点の一つです。現在、金融庁では、担保・保証に過度に依存しない融資を促すことを目的に、「金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)について」を公表し、全国の金融機関の経営者保証の割合を公表しています。公表されているデータから、地域金融機関のそれぞれの傾向を整理しました。

記事のポイント

  • 経営者保証なし融資の割合は増加傾向。
  • 全国トップは、東京スター銀行(東京都)。続いて、北國銀行(石川県)、西京銀行(山口県)。
  • 地域別では、北海道地域が1位に。次いで、中国地域、近畿地域。



2020年下期全国経営者保証なし融資割合の高い地域金融機関トップ10

経営者保証とは

経営者保証とは金融機関から融資を受ける際に経営者が個人保証することです。資金調達の円滑化に寄与する側面がある一方で、保証が足かせとなり、思い切った事業展開や、早期の事業再生を阻害する側面もあるとして、2013年12月に「経営者保証ガイドライン」を公表し、「法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと」等が定められています。

事業承継においても経営者保証は論点になることが多く、中小企業庁においても「事業承継に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則」を公表し、以下のような内容を定めています。

【特則のポイント】
①前経営者、後継者の双方からの二重徴求の原則禁止
②後継者との保証契約は、事業承継の阻害要因となり得ることを考慮し、柔軟に判断
③前経営者との保証契約の適切な見直し
④金融機関における内部規定等の整備や職員への周知徹底による債務者への具体的な説明の必要性
⑤事業承継を控える事業者におけるガイドライン要件の充足に向けた主体的な取組みの必要性

経営者保証なし融資割合の平均は増加傾向

金融庁では、金融機関の取組みの「見える化」を通じて、担保・保証に過度に依存しない融資を促すことを目的に、経営者保証の割合等についてデータを公表しています。

金融庁:主要行等及び地域銀行の「金融仲介の取組状況を客観的に評価できる指標群(KPI)」一覧及び公表状況(令和3年8月31日公表)

公表されたのは2019年下期からとなりますが、時間を経るごとに「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」は上昇しています。取組の「見える化」の効果の一つであると考えられます。



2020年下期経営者保証なし融資割合の高い地域金融機関トップ10

地域金融機関における「新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合」では、1位が東京スター銀行(東京都)で89.8%、2位が北國銀行(石川県)で78.0%、3位が西京銀行(山口県)で70.1%となりました。全国の平均割合は、33.8%でした。

順位

金融機関名

本店所在地

種別

割合
1 東京スター銀行 東京都 第二地方銀行 89.8%
2 北國銀行 石川県 地方銀行 78.0%
3 西京銀行 山口県 第二地方銀行 70.1%
4 南都銀行 奈良県 地方銀行 63.7%
5 宮崎銀行 宮崎県 地方銀行 56.7%
6 北海道銀行 北海道 地方銀行 50.0%
7 仙台銀行 宮城県 第二地方銀行 49.5%
8 山陰合同銀行 島根県 地方銀行 49.1%
9 沖縄海邦銀行 沖縄県 第二地方銀行 48.5%
10 岩手銀行 岩手県 地方銀行 47.0%

 

地域別の傾向

全国を以下の8ブロックに分け、それぞれの地域内に本店所在地を置く金融機関の平均値をブロックごとに割り出し、その傾向を確認しました。北海道地域が41.6%と一番高く、次いで中国地域が38.1%、近畿地域が34.4%となっています。

【ブロック分け】
1.北海道:北海道
2.東北:青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県
3.関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
4.中部:新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県
5.近畿:三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
6.中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
7.四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
8.九州沖縄:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 

ブロック

割合(平均)

順位

北海道 41.6% 1位
東北 33.2% 6位
関東 33.7% 5位
中部 34.2% 4位
近畿 34.4% 3位
中国 38.1% 2位
四国 30.1% 8位
九州沖縄 32.5% 7位




中国・四国地域の動向

中国・四国地域の状況は以下のとおりです。西京銀行が70.1%と突出して高く、次いで山陰合同銀行(49.1%)、阿波銀行(45.6%)となっています。

中国地域

本店所在地

金融機関名 割合
鳥取県 鳥取銀行 33.8%
島根県 山陰合同銀行 49.1%
島根県 島根銀行 38.2%
岡山県 中国銀行 33.7%
岡山県 トマト銀行 29.0%
広島県 広島銀行 23.8%
広島県 もみじ銀行 27.3%
山口県 山口銀行 37.6%
山口県 西京銀行 70.1%


四国地域

本店所在地

金融機関名 割合
徳島県 阿波銀行 45.6%
徳島県 徳島大正銀行 28.7%
香川県 百十四銀行 27.5%
香川県 香川銀行 29.4%
愛媛県 伊予銀行 25.8%
愛媛県 愛媛銀行 28.5%
高知県 四国銀行 28.0%
高知県 高知銀行 27.5%



終わりに

「経営者保証」は、事業承継においても必ず論点となるポイントです。金融庁公表データからは、公表の回数を経るごとに平均値が上昇しており、金融機関の取組を「見える化」することの効果の一つと考えられます。ただし、金融機関ごとにそれぞれの割合は様々です。中国地域においても、山口県の西京銀行等、突出して高い金融機関もあれば、そうでない金融機関もあり、各行のスタンスが分かる内容となっており、金融機関を選ぶ際の一つの判断基準になると思われます。



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