事業承継が全国的な課題となる中で、行政においても様々な支援制度が用意されるようになりました。今回は事業承継に悩む経営者の皆さまがご利用できる制度一覧をまとめてみました。事業承継で大きな議論となる「相続税」「贈与税」に関する支援策から、第三者へ事業引継ぎする際の専門家への費用をサポートする制度、全国的な窓口体制の整備等、様々な制度がありますので、こちらをご参考頂き、ぜひご活用ください。
記事のポイント
- 事業承継に関する2021年の支援制度をまとめ。
- 「税制」「補助金」「相談窓口」の支援が存在。
- 利用方法も含めて、早めに相談が重要。
贈与税・相続税を猶予!「事業承継税制」
事業承継税制とは、経営承継円滑化法に基づき一定の要件、手続きを満たすことにより、現経営者から後継者に対して行われた自社株式等の相続・贈与の納税が猶予・免除される制度です。こちらの制度には、「一般措置」と「特例措置」があり、2019年度の税制改正で「特例措置」が設けられ、要件が緩和されたことで、利用者が大幅に増加しました。利用するためには、「会社」「先代経営者」「後継者」に関する要件に加えて、雇用や株式の継続保有に関する要件が設定されており、その要件が満たされなくなった場合、全額又は一部の納付が発生します。また、これまで法人のみの制度でしたが、2020年度の税制改正により、個人版の事業承継税制も整備されました。
現在は、認定窓口として都道府県の各部署が担当しているため、利用したい場合は都道府県に相談することとなります。ただ、様々な要件が存在するため、利用の際は、顧問税理士等にどのような要件があるかを相談してからの利用をお勧めします。
(参考)中小企業庁:「事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)について」
なお、経営承継円滑化法の認定を受けると、上記の税制支援だけではなく、金融支援(中小企業信用保険法の特例、日本政策金融公庫法等の特例)や、遺留分に関する民法の特例を受けることもできます。
(参考)中小企業庁:「経営承継円滑化法による支援」
「登録免許税」「不動産取得税」を軽減!「中⼩企業・⼩規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置」
中小企業等経営強化法において「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業等が、M&Aを通じて、不動産を含む事業用資産を取得する際の「登録免許税」「不動産取得税」について、軽減措置を受けることができます。こちらを利用するためには、はじめに中小企業等経営強化法における認定の取得が必要となります。
M&A取得価額の70%を損金算入可能に!「中小企業の経営資源の集約化に資する税制」
「中小企業の経営資源の集約化に資する税制」は、令和3年度税制改正において創設された制度で、M&Aで取得した株式等の取得価額の70%が損金算入できるという内容になっています。制度の趣旨は、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築により、生産性を向上させることであり、中小企業をM&Aで買収した際に、売手企業の簿外債務・偶発債務等のリスクに備えることを理由に、準備金として積み立てたものに関しては、損金算入を認める内容になっています。
M&Aにおける買手企業を強力に後押しする制度ですが、利用するためには、中小企業等経営強化法における計画認定が必要になっています。
(参考)令和3年度税制改正大綱「中小企業の経営資源の集約化に資する税制」~M&A取得価額の70%を損金算入~
事業承継を契機とした新規事業を支援!「事業承継・引継ぎ補助金(経営者交代型・M&A型)」
事業承継・引継ぎを契機とする新たな取組(設備投資、販路開拓等)や廃業に係る費⽤を支援する補助金です。令和2年度三次補正予算と令和3年度本予算にて計上されています。それぞれで補助上限が異なることに注意が必要です。こちらは、まだ公募要領は発表されていませんので、実際に利用する際は、公募要領の内容を確認してからをお勧めします。
M&Aの仲介手数料等を支援!「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)」
こちらは第三者に事業を引き継ぐ(=M&A)際のM&A仲介会社の手数料等が支援の対象となっています。予算としては、上記図の「事業承継・引継ぎ補助金」の中で計上されています。こちらも、2021年度の公募要領はまだ公表されていませんが、2020年度補正予算において「経営資源引継ぎ補助金」として計上されていました。2020年度は1次公募、2次公募共に約80%の採択率であり、2021年度は補助上限も増額しています。M&Aで第三者への事業引継ぎを検討される方には、仲介手数料の負担が軽減されるため、お勧めの補助制度です。
(参考)二次公募が開始!「経営資源引継ぎ補助金」について解説!
全国に相談窓口を整備!「事業承継・引継ぎ支援センター」
事業引継ぎ支援センターとは、国が実施する事業引継ぎに関する公的な窓口機関であり、全国に配置されています。元々、「親族内承継」「従業員承継」の相談窓口であった「事業承継ネットワーク」と、第三者への事業引継ぎ支援の相談窓口だった「事業引継ぎ支援センター」と機能によって分かれていましたが、2021年度からは窓口が一本化され、「事業承継・引継ぎ支援センター」となりました。事業承継は専門家も少なく相談しづらいという現状もありますが、公的な相談窓口機関として、相談しやすいことが特徴です。事業承継は早めの相談が重要です。各センターに専門家が配置されているので、事業承継で聞いてみたい点があれば、お気軽にご利用ください。
(参考)経済産業省「事業承継・引継ぎ支援センターの活動を開始します」
おわりに
2021年に展開されている事業承継に関する支援制度を中心にピックアップしてみました。上記以外にも、各都道府県・市町村・商工会議所・商工会で独自に展開されている支援策がある可能性がありますので、それぞれの機関の担当窓口に確認してみるとよいと思います。事業承継には、様々な論点があり、資金・専門知識等が求められますので、こういった支援制度を上手く利用することも、事業承継を円滑に進めるための一つの方法です。上記以外にも当社のような専門会社もありますので、制度の利用方法も含めて、お気軽にご相談ください。
>>M&Aによる「事業承継」を検討される方はこちらからお問合せください。
>>M&Aによる「買収」を検討される方はこちらからお問合せください。
クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
M&A・事業承継について、
お気軽にご相談ください。
おススメ記事Top5
貴社の想定売却価格を
お伝えします
3つの質問項目を答えて頂き、お電話の簡単なヒアリングで、簡易な想定売却価格をお伝えします。
AIではなく、コンサルタント自身が手を動かして試算します。
ご入力頂いた電話番号に24時間以内に
当社担当者からご連絡致します。