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コラム COLUMN

財務コンサルで地域企業の上昇気流を生み出す、二人の元バンカーの挑戦|株式会社アップドラフト


山口県防府市に本社を置き、財務コンサルティングを中心に地域中小企業の支援を行う傍ら、事業経験を積むため自らも新規事業としてキャンピングカーレンタル事業を展開する株式会社アップドラフト。価値観の近い、山口フィナンシャルグループ出身の二人が集い、独立系としての強みを活かしたコンサルティングを提供。金融機関から独立し、創業した経緯と地域企業に懸ける想いについて、アップドラフト株式会社 代表取締役 蘭光 豊氏にインタビューしました。

地域金融出身の強みを活かす、中小企業に寄り添うための独立

銀行から独立、財務コンサルティングの強みを活かす

アップドラフトは、「財務コンサルティング」「キャンピングカーレンタル」の2つの事業を展開しています。財務コンサルティングは、よく「経営コンサルティング」と勘違いされがちですが、明確に違いがあります。アップドラフトができることは、地域金融機関での業務経験を活かし、財務の視点から会社の状況を把握・見える化し、経営のゴールに向かって、数値的に逆算し、戦略を打ち立てることです。我々では、経営コンサルティングはできません。信条として「事業の経営経験がないのに、経営コンサルティングはできない」と思っているので、あくまで財務コンサルティングが本業とお伝えしています。

前職では、山口フィナンシャルグループに勤めていました。法人融資営業を担当として、決算書・試算表等の財務情報を軸に経営者とコミュニケーションして、融資を実行します。融資だけではなく、情報と人脈を提供することで、地域企業の成長に寄与することを目指していました。岩国・福岡・防府、それぞれの支店を経験する中で30歳の頃から、このままサラリーマンでいいのかと考え、日々ストレスを感じるようになりました。「このままでは後悔する」「安定した、チャレンジしない人生でいいのか」という気持ちに駆られ、自分を問い正すようになりました。布団で目が覚める度に、将来の自分が後悔している姿が鮮明に浮かび、このストレスを取り除くには独立しかないと考えました。



組織のジレンマを乗り越える、自分のやり方で中小企業に寄り添う

金融機関という大組織に勤めることへのジレンマも当時は感じていました。お客様に価値を提供したい気持ちと、組織の議論の間に立つ感覚です。自分が本当にベストだと思う提案ができないことに、やり切れなさを感じていました。そういったジレンマから「自分がやりたいことだけやろう」「この思いを理解してくれるお客様だけでいい」と考えるようになりました。1年の期間を決めて、独立した場合のシミュレーションを行い、そこで勝ち筋が見えなければ、一生金融機関に骨を埋めようと覚悟を決めました。

私が好きなのは、中小企業です。規模で判断するつもりはありませんが、私の経験・人脈・知識が一番効果を発揮するのは、フットワークが軽く、何でもチャレンジできる規模感の企業だと確信しています。地域の中小企業は、十分に発揮できていない魅力や、経営資源を有しています。ポテンシャルはあるものの、情報・人脈が不足していることで成長できない。そういった中小企業を自分達のやり方で応援したいという気持ちが強くなりました。

独立について考え抜き、行きついた結論は「独立はノーリスク」でした。お金を稼ぐ手段は様々です。「少なくとも、自分の家族を養えるだけは稼げる。」その結論に至った時、敢えて金融機関という組織に依存する必要はない。もし2-3年後、上手くいかなければ、就職という選択肢もある。稼ぐ手段を変えるだけだ。そう思うようになり、即座に辞職に動きました。辞職の意向を伝えても、銀行から引き留められることはなかったですね(笑)。実績はそれなりに残していましたが、想いがあることは伝えていたので、組織の中でもいつかは独立する人間と認識されていたんだと思います。当時の上司に辞職の意向をお伝えすると、とてもありがたいことに応援してくれました。独立した現在も、職場とは良好な関係を継続しています。



財務コンサルティングで経営を可視化、自ら試すことで幅を広げる

バンカー魂は忘れない、独立して深まる責任感と尊敬

独立してからも、昔ながらのバンカーみたいな仕事をしています。銀行と違って融資という機能はありませんが、財務の視点でお客様をご支援し、必要な情報・人脈を提供する。銀行時代と比較して、一番感じる違いは、より責任感が強くなったことです。我々のアドバイスは、会社の存続・成長に影響を与えます。ただ、銀行時代と違い、責任を取ってくれる人は誰もいません。当然、自分にのしかかる責任は重くなります。その責任を果たすために、より深くクライアントを知る必要がありますので、関係性はより濃くなったと感じます。

独立したことにより、改めて、「地域の中小企業経営者はすごい」と思うようになりました。銀行員時代の私にはできなかったことに、若い時から果敢にチャレンジし、生きるか死ぬかの経営判断をこなしていく。チームをつくり、人を束ねて、マネジメントを担う。自分も独立したからこそ、事業について全ての責任を負う経営者へのリスペクトの気持ちが強くなりました。

組織に対する考え方も変わりました。現役の頃は、組織に対して不平不満を抱いていましたが、いざ組織の外に出ると、バックオフィスをはじめとした組織のありがたさを身に染みて実感しました。組織が支えてくれていたからこそ、自由に営業する環境を整えてもらっていたと、組織の本部機能の素晴らしさに気づきました。

「独立系」としての強みを発揮、経営を可視化する財務コンサル

財務コンサルティングの業務フローは、初めに税理士等から「資金繰りの相談に乗ってあげて欲しい」とご紹介があり、財務諸表等の必要な書類・情報をお預かりして、分析を行い、レポートとして納品します。分析結果に基づく様々な仮説を元に、経営者とディスカッションし、事業のボトルネックを洗い出します。その上で、改善策を一緒に検討します。一番多く求められるゴールは資金調達ですが、「管理会計」という概念が乏しい中小企業の財務状況を可視化することが、我々のサービスの本質です。多くの中小企業は、資金繰りも含めて、全て社長の頭の中にあります。社長の頭の中にあるイメージを引っ張り出し、数字に落とし込み、資金繰り表、試算表、損益計算書、貸借対照表といった財務情報に落とし込み、可視化させます。そうすることで、財務的なリスクを把握することが可能となり、本当の意味での経営判断ができるようになります。そういった情報がないままだと、只々「頑張る」「何とかする」に陥りがちです。財務的なアプローチにより、「事業の継続・成長には、どの程度の利益が必要か」が把握できるようになり、何に、どの程度アクセルを踏めばよいのかが理解できるようになります。

我々が提供する財務コンサルティングは、究極的に言えば、銀行が役割を果たせば事足りるサービスです。決算書の数値からアプローチし、ボトルネックを分析し、解決するために必要な情報・人脈を提供する。本来であれば銀行に全てある機能です。銀行との最大の違いは、我々が「独立系」であるというポジションだと思います。金融機関と企業は、ベースは債権者・債務者という関係です。企業の立場となり、親身に、中立的に意見ができる、本当の意味で、経営者に寄り添える。そういった関係性が、銀行相手だと難しいと考える経営者もいらっしゃいます。また、当社が提供する価値として、財務の知見だけでなく、経営判断において、ちょっとした不安や課題に対して、カベ打ち相手になれることも一つだと認識しています。我々は「何もできないけど、何でもできる」存在です。税理士・弁護士・社会保険労務士といった専門家とも同じ言語で会話ができ、通訳ができる。財務以外の専門性では、もちろん、それぞれの専門家には敵いませんが、幅広い知識でちょっとしたことでも相談できる存在に価値を感じてくれていると思います。

冒頭でお伝えしたとおり、我々は経営コンサルティングは提供していません。あくまで経営戦略は、経営者の中にあります。我々が財務的な視点からボトルネックを明らかにすることで、経営における優先順位が明確になります。その価値を感じ、経営に活かしてくれる。そんな風に考えてくれる経営者と共に歩みたいと思っています。活動エリアは、山口を中心に、広島・福岡まで、顔が見えて、直接コミュニケーションできる範囲に絞っています。経営者と温度感を共有できることを大切にしています。



“まずは自分達がやる”精神で挑む、キャンピングカーレンタルの新規事業

財務コンサルティングとは別に、キャンピングカーのレンタル事業「dim」も開始しました。お伝えした方全員が「何で始めたんですか?」と理由を聞きますね(笑)。個人的な理由として、プライベートで犬を飼っているのですが、気兼ねなく旅行することが難しいという課題を抱えていました。一度、キャンピングカーを借りて、四国一周旅行に出かけた時、感動する程、良い旅の経験ができました。同じような課題を持つ方が山口にはたくさんいるのではと思い、色々と調査しました。レンタルの供給者が不在だったので、事業シミュレーションをした上で、チャレンジしようと思いました。

アップドラフト自身が自社サービスを提供するという経験を積みたかったという想いもあります。コンサルティングの領域は、やったこと、見たこと、聞いたことが増える程、提供する価値が上がります。自分で事業を経験しない限りは、コンサルタントとして片手落ちだと感じていました。「まずは自分達がやってみる」。これがアップドラフトの信念です。事業を通じて、プロモーション・マーケティング・事業開発の視点を学ぶことができました。この事業が価値として、どのように評価されるかも含めて、実際の経験を通じて、体得したいと考えています。


二人のバンカーが共鳴、ワクワクを軸に地域の中小企業のチャレンジを支援

独立後、すぐに同じ山口フィナンシャルグループに勤めていた江藤がジョインしてくれました。江藤は、実は銀行員時代から上司・部下の関係でした。目指している価値観も近く、一緒にやると言ってくれたことに感謝しています。アップドラフトは、江藤と私、2人のタレントが所属しているような組織です。経営方針も、江藤と一致しないとやらないと決めています。今後もコンサルタントは増やしていきたいと思っていますが、その時も、経営方針は全員が一致することを目指します。全員の方向性が一致すれば、より大きいことができると可能性を感じています。

アップドラフトが目指すべきビジョンについては、正直とても悩んでいますね。シンプルにお伝えするなら、「自分たちがワクワクすること、それを生業とすること」を目指しています。私たちが好きな「地域の中小企業」を、キーワードに、これまでチャレンジしなかったことをやりたいです。やったことないことに挑戦する時、アドレナリンが出るタイプの人間なので、常に新しいことを求めています。そういった事業の延長線上に、社会貢献に至ればいいなと考えています。経営のノウハウを共有できるような教育事業にもチャレンジしており、ワクワクすることをやりきった先に、地域の資金が循環しながら、より大きいことにチャレンジする起業家・事業家が増えていく。解像度はまだまだ低いですが、今はそんなことを思い描いています。


地域で変化するM&Aのイメージ、資本を通じた共創による経営戦略

M&Aについては、山口においてもネガティブなイメージが薄れつつあると感じています。ひと昔前は、M&A=「身売り」というイメージが先行し、言うのも恥ずかしいという感覚でした。現在は、成長戦略の一つとして考える経営者が増えています。とある事例でご説明すると、企業を買収して成長することを志向していたオーナー経営者が、「資本政策」という視点で企業の将来や、自分自身の引退・出口を考えたとき、逆に株式を売却し、持ち合うという選択肢を考えるようになりました。会社に対するオーナーシップを開くことで、企業としての成長を目指す、という意思決定でした。私自身も、これまでM&Aは「後継者がいない。売るか、買うか。」という単純な選択肢として捉えていましたが、資本を通じて連携することで、新しい可能性を切り拓く。経営戦略の一つだなと認識を改めました。

地域の資本政策コンサルティング会社であるクレジオ・パートナーズとも連携を強化しています。当社の考え方は、「各業界において最も優秀な1社と連携する」です。これがクライアントに最も価値を提供する方法です。M&A・資本政策という分野では、クレジオ一択ですね。お互いの共通点として、独立系なので、経営に対する価値観が近いと感じています。加えて、クレジオは大手にひけをとらない頭脳とネットワークを有しています。同じ山口フィナンシャルグループ出身の再東さんがいることも心強いです。
実際にご紹介したクライアントからも高く評価されています。印象的だったのは、「あそこ(クレジオ・パートナーズ)は、待つね」というクライアントからの何気ない一言です。自社の業績を優先する会社は、クロージングを早めたいので、なるべく急ごうとします。独立系で、コンサルティングに自信がある会社は、顧客にとって何がベストな選択肢かを考え抜いた上で、「待つ」ことができる。大切なクライアントを、自分達と同じ感覚で大事に扱ってくれる。クライアントにとってベストな選択肢を、自分達とは違う目線で考えてくれる。こういった所に価値を感じています。

セーフティゾーンを財務で可視化、中小企業に想いのある人材を募集

アップドラフトとしての現在の目標は、人材を雇用して、組織化を進めることです。組織として、財務コンサルティングの能力を強化していきたいと考えています。参画して欲しいメンバーは、中小企業に想いがある人ですね。能力は学んで身に着けて頂ければいいので、自分自身が何のために頑張るのか、そういった目的意識がはっきりしている方と一緒に働きたいです。

まだまだ財務戦略に必要性・重要性を見出す地域企業は少ないと感じています。財務戦略の重要性を一言で説明することは難しいですが、「経営に時間軸を持てること」がその本質だと考えています。資金繰りが苦しいところであれば、財務を整えることで、時間の猶予を持つことができる。事業成長を望む場合は、資金調達により投資を加速することができる。財務の視点で経営を数値化・可視化することで、理想と現実のギャップを把握し、減速・加速といった時間軸の選択肢を持つことができます。財務戦略に真摯に向き合う経営者を増やすことも、我々のミッションの一つです。

経営者にとってのアップドラフトの役割は、「経営のセーフティゾーン」をはっきりさせることです。最後に何を守るべきか、守るためにはどこまでアクセルが踏めるのか。財務の視点を用いることで、我々はその境界をクリアにします。境界線が分かれば、経営者が本来注力すべき事業にフルベットすることができますよね。大事なところは我々が守りますので、事業に全力を傾けて欲しい。そのお手伝いがしたいです。



概要

会社名株式会社アップドラフト
代表者名代表取締役 蘭光 豊
創業年2020年4月
本社所在地山口県防府市駅南町8-35-201
事業内容・財務戦略コンサルティング
・キャンピングカーレンタル
HPhttps://updraft-r.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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