四国を中心に地域の活性化を目指し、四国の4行(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)の想いが一つとなったアライアンスから生まれたファンド運営会社、四国アライアンスキャピタル。「地域の産業や事業を元気にしたい」という想いを掲げ、ファンドという機能により、地域の事業承継・成長支援を具体的にどのように実施しているかについて伺い、地域に懸ける想いや、地域金融機関が連携する意義についてインタビューを行いました。
「地域の産業や事業を元気にしたい」、地域金融機関の想いが一つに
四国アライアンスキャピタルの概要
「4つの地銀連携」という背景を活かし、事業承継・成長支援を行う
四国の4行(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)は、「地域の産業や事業を元気にしたい」という想いを一つとし、包括的な提携(アライアンス)=「四国アライアンス」を締結しています。四国アライアンスキャピタルは、この提携から生まれたファンド運営会社です。
我々は、2018年に地域金融機関による銀行系のプライベートエクイティファンドの運営会社として設立しました。事業承継、事業成長、事業再生に課題を持つ地域企業の株式等を取得し、その企業の株主等となり、より深い立場で経営に参画し、経営課題を解決する支援を行います。現在は、中小企業の事業承継と成長支援を主な目的とした「しこく創生ファンド」と、中小企業の再生支援を目的とした「しこく中小企業支援ファンド」を運用しています。
これらのファンドは、アライアンスメンバーである4つの金融機関の営業エリアを中心に、地域金融機関というバックボーンと各行の持つ経営資源を活かし、ハンズオンで経営支援を行うことを基本方針としています。それぞれの金融機関が、お客さまである経営者の皆さまの課題解決を図る中で、ファンドがお役に立てる場合は、ご活用頂くという位置づけになっています。組織としては、4行から人員が派遣されており、各行が平等に株式を持ち合い、役員もそれぞれの金融機関出身者が担うというフラットな組織を構成しています。
地域金融機関によるモデル的な広域連携
四国アライアンスのように、4つの地域金融機関が「四国」といった単位のエリアで連携している事例は全国的に見ても珍しい事例です。
アライアンスが生まれた当時、商圏があまりバッティングしない範囲での提携事例はありましたが、四国においては、それぞれの商圏が重なっています。立ち上げ当初、個人的にも「本当に4行のアライアンスなんて実現するのか」という不安はありました。ただ、特に四国という地域で考えると、人口減少が大きな課題となり、地域の活力が失われているという差し迫った状況の中で、何かアクションを取らないといけないという強い問題意識がありました。
我々、地域金融機関は、金融インフラとして役割を担っています。そんな我々が、四国という地域の大きな課題を前に、それぞれの独立性は担保しつつも、協力できるところは協力していきましょう、そんな想いが一致し、2016年に「四国アライアンス」が生まれました。
当初から「事業承継」は各地域共通のテーマでした。その他にも、様々な課題に対して、協力して取り組んでおり、2020年には「Shikokuブランド株式会社」という地域企業のブランディングや販路開拓を支援する会社を立ち上げる取組も展開しています。
四国アライアンスによる投資方針とこれまでの実績
四国を中心としたエリアで事業承継・事業成長を支援
対象エリアは、四国アライアンスに参加している阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行の支店が存在する地域です。「しこく創生ファンド」は、そのエリア内で、事業承継に課題を持つ中小企業、又は事業成長に意欲がある中小企業への投資が中心となります。各金融機関がお客様からニーズや課題等の情報収集を行い、ファンドでの解決が可能なお客様について対応させて頂いております。
投資規模としては、1号ファンドは総額40億円となっており、なるべく幅広く対応するようにしています。ファンドの特徴の一つに「ハンズオンで支援する」という基本方針を掲げており、四国アライアンスキャピタルの各メンバーが経営に深く関与し、地域企業と一緒に汗をかきながら伴走支援することで、企業と銀行が一緒に成長したいという想いで活動し、金融機関としてもノウハウを蓄積しています。そのため、現在の人員で最大限支援を活用頂ける規模の投資を目指しています。
対象業種は限定しておらず、これまでの実績でも製造業を中心に、卸売業や建設業と様々です。事業承継の課題解決としては、ガバナンスの強化や、オーナー経営から組織経営へ移行するニーズが強いケースが多く、業種に特化するというより、あらゆる業種のお客様と取引させて頂いている銀行としての強みを活かし、課題解決に取り組んでいます。事業承継が地域で進まない理由は、単に株式等の資本の問題だけではありません。大きな要因の一つとして、承継に向けた組織化等の整備を行うにも、社内リソースがどうしても不足しがちなため、準備が後回しになるということが挙げられます。資本と経営、両方の課題を解決することが我々の役割であり、価値となります。
想定より早いタイミングで投資を実行、地域企業のニーズを実感
2021年3月現在での投資実績は16社となります。事業承継支援が9社、成長支援が6社、資本再編が1社という内訳になります。
2018年にファンドを創設しましたが、最初の一年は、アライアンスに参加している金融機関内で、「まず知ってもらう」という普及活動を行いました。そして3年が経ち、現在は当初の想定より早いスピードで投資を実行しています。当初はファンド投資が進むのか不安に思いながらスタートしましたが、蓋を開けて見ると、地域の経営者の方々が求めることに、我々のような機能がマッチするケースが多々あったことが現在の投資状況につながっていると思います。
「経営者の高齢化」「後継者不在率の高まり」による事業承継課題の深刻化という、社会的な背景からニーズが高まったということは、大前提としてあると思います。
それ以外にも、これまでいわゆる「ファンド」という、第三者に株式を渡して、資金を調達し、外部から中に入り込み、経営支援を受けるというサービスは、特に首都圏においては20年以上前から存在していました。しかし、それ以外の地域ではあまり認知されておらず、プレーヤーとしても全体的に少なかったため、行き届いていないという現状がありました。少し前は「ハゲタカファンド」と揶揄されるように、ファンドという言葉自体に悪いイメージが先行してしまうという現状もありました。四国アライアンスキャピタルを通じて、我々がファンドの機能を説明すると、経営者の皆さまからも「そういうことができるんだね」という声を頂きます。金融機関が取り組むことで、これまでは縁遠かったファンドという存在が、選択肢として考えて頂ける機会を得たということを実感しています。
改めて感じるのは、「事業承継の捉え方も変化している」ということです。
事業承継は必ずしも、経営者の年齢が高いから起こる問題ではありません。我々の投資先の中には、40代の経営者が将来の事業承継課題を見据えて、支援をさせて頂いている企業も存在します。オーナー家だけで100年近く経営し、ここ数年で150名を超える規模になった企業ではありますが、「この事業規模を維持・成長していくためには、オーナー家だけの力では難しいと感じた」というのが、我々のファンドを利用した理由でした。これまでのファミリー経営の延長として、子供や娘婿等から経営者を選ぶという、血縁関係を基本とした偶然の中で将来の経営を考えるより、きちんと組織を構築し、社内から後継者を育成・輩出できる仕組みをつくりたいという考えを持っておられます。
私も、最初は「御社に事業承継のニーズは当面ありませんよね?」と投げかけたのですが、経営者からは「いや、違う。20年後に必ず起こる。もう見えてるんだ。今から備えたいから、パートナーになってくれないか」と要請を受けました。
ファンドのような外部の資本を受け入れ、外から人が入ってくるというのは、会社の文化を変えることを意味します。時代の変化と共に、企業も変化を求められます。壊すべきものは壊し、守るべきものは守る。事業承継の捉え方は多種多様であると感じています。
地域金融機関が広域連携する意味とは
四国の地域金融機関が連携する意味は大きいと感じています。お客さまからの印象や信頼が高まり、4行が連携している四国アライアンスだから、我々だから、耳を傾けてくれるという効果もありました。
連携という面でお伝えしますと、4行から人と資本を拠出して運営していますので、当然と言えば当然ですが、各行のアライアンスに加わる目的や意向が多少異なる面があるのは否めません。投資検討の際も、それぞれからたくさんの意見が出ますが、私自身は、この状況は非常にいいことと捉えています。投資判断をする上で、様々な視点や意見が必要であり、4行が平等に出資している組織構成から考えても、お客さまの課題を解決し、地域を活性化するために、フラットな立場で、活発な議論がされることは、ある意味、とても健全だと考えています。一人一人を尊重できる組織の在り方を大事にしつつ、4行の経営資源を活用した支援を目指したいと思います。
「地域の産業や事業を元気にしたい」、ファンドの積極的な活用を目指す
四国アライアンスは「地域経済の発展」「地域雇用の創出」が基本理念です。「地域の産業や事業を元気にしたい」という、強い想いから生まれたファンドなので、今後もこの方針は変わりません。その上で、地域に根付く企業の事業承継・成長支援のニーズを解決する手法として、ファンドを積極的に活用して頂きたいです。我々のご支援を通じて、よりよい地域の産業を創っていくことが我々の目指しているところです。
在京のファンドではできない、地域金融機関の連携から生まれたファンドである我々にしかできない役割があると信じています。地域の事業承継・成長支援には「四国アライアンスがある」と経営者の皆さまに思って頂ける存在になりたいと思います。
企業情報
会社名 | 四国アライアンスキャピタル株式会社 |
代表者名 | 代表取締役社長 竹田雅弘 |
設立年度 | 2018年1月5日 |
資本金 | 1億円 |
事業内容 | ・株式・社債等への投資業務 ・投資事業組合財産の運営管理等 |
本社所在地 | 愛媛県松山市三番町4丁目12番地1 |
HP | https://sacapital.co.jp/ |
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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
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