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実績 PERFORMANCE

代表を務めた小松英介氏と、譲受け企業である株式会社ティーエス・ハマモトの代表取締役である濱本利寿氏に、M&Aを決意するに至ったこれまでの経緯と今後の展望について伺った。
CASE 02

成長戦略の一環としてM&Aを選択。
M&A仲介会社に求める役割は?

広島を中心に不動産総合マネジメントサービスに加え、給食受託事業、介護福祉施設運営、観光事業など、M&Aを活用し、幅広い事業を展開するみどりホールディングス。給食センター等向けに厨房機器の設計、施工、販売を行っていた後継者不在の山口調理機をM&Aにより子会社化、成長へ更なる弾みをつけた。地域を支える企業として、M&Aを積極的に活用する理由や今後の方向性を、みどりホールディングス代表 杉川聡氏に聞いた。

  • 譲渡企業

    山口調理機株式会社

    山口県防府市

    業種 厨房機械器具販売など
    M&Aの目的 後継者不在
  • 譲受企業

    株式会社 みどりホールディングス

    広島県広島市 / 代表取締役 杉川聡

    業種 不動産管理事業・給食受託事業・介護福祉施設運営
    M&Aの目的 事業領域の拡大、サービス領域の拡大

事業領域の拡大とシナジー効果

まずは、山口調理機さんをはじめ、積極的にM&Aを活用する経緯を教えていただけますか。

杉川

 山口調理機さんについては、まず同社の営業エリアに魅力を感じました。当社は不動産管理、フード、福祉関係の事業を行っていて、その中でもフード事業に近い領域でした。また、山口調理機さんは地域でも充実したメンテナンス部門を持っている企業。
 みどりホールディングスに入ってからは、同社のクライアント先にみどりホールディングスのビルメンテナンスの営業を仕掛ける、新たな受注機会も増える等、広島だけでなく山口での営業活動も行えるという営業面でのシナジー効果が期待されます。さらにノウハウと仕入れルートを活用してコスト削減にもつながっています。
 やはりM&Aをする際は、売り手側・買い手側、双方のシナジーが必要だと思います。山口調理機さんの案件も、徐々に良い方へ向かっていると感じています。商材は異なっていましたが、学校給食や介護福祉施設という市場が重なっていたことが良い結果を生んだのと思います。当社からは部長級を担当として配置し、月1回のミーティングに参加させています。お互いの商材や業務内容を知ることで、現在は担当者レベルでスムーズに取引ができるようになりました。
 この案件より数年前に、島根県にある同じような会社をM&Aで取得しました。その譲渡企業は地場でトップシェアを誇り、事業は安定していたものの、新たな市場へ出ていかないことが要因で、成長が止まっているような状況でした。M&Aにより、新しい体制になったことと、市場の条件が整い、広島支店を出すことになりました。これまでの実績やノウハウで、新たな市場拡大を図る予定です。これはシナジー効果が発揮された例だと思います。山口調理機さんについても、今後さらなるシナジーを生むことを期待しています。
 事業を譲り受ける側は営業・販売エリア、業種等について、その事業に責任を持ち、覚悟が必要です。M&Aは会社を急成長させるツールかもしれませんが、売り手側・買い手側の双方にメリットとシナジーが発揮できるよう留意することが大切です。

M&Aは人と人との出会い

M&Aの仲介会社の中からクレジオ・パートナーズを利用してみて、いかがでしたでしょうか。

杉川

 クレジオ・パートナーズは広島に本社があって、代表の李さんが頻繁に顔を出してくれます。広島という地域に本社を置くことで、地域企業としての関係性は続くので、ある意味「逃げにくい」と感じています。大手の仲介会社は、担当者がよく変わり、案件ごとに担当が決められています。当社にも、同じ会社にも関わらず、案件で担当者が異なるため、1社なのに計3名の担当者が来ています。担当者によって三者三様で性格もバラバラだったりします。当社からすると窓口が1つの方がありがたい。そういった点では、クレジオ・パートナーズは顔が見えていて、コミュニケーションをしっかりできて互いの方向性も違わない。
 大手仲介会社は案件数が多いのが強みだと思いますが、クレジオ・パートナーズには地域にいるからこその強みを活かして欲しいと思います。また、クレジオ・パートナーズは、M&A以外の本業部分のビジネスマッチングについても色々と紹介してくれますが、これはクレジオ・パートナーズが今の規模だからできることではないかなという不安もあります。今後、より規模を拡大する中でも、社員一人一人がお客様とのコミュニケーションや長期的な関係を大事にする組織になって欲しいと期待しています。

積極的にM&Aを活用される杉川社長に、今後M&A仲介会社に期待することなど教えていただけますか?

杉川

 現在当社は57期目、当初始めた不動産管理業務は、積み上げるストック型のビジネスでした。M&Aで譲受した事業は、どちらかというとストックではなく、フロー型のビジネスが多いのが現状ですが、やはり“積み上げる”という考えが私には真ん中にあります。そういった意味で、仲介会社の方にも、短期的な目線ではなく、長期的な目線で付き合って欲しいと考えています。
 参考として、3年前にマリーナホップに水族館をオープンしました。初めての分野で建築費や売上・費用の考え方や運営方法がわからなかったこともあり、コンサルタントに依頼し、色々と教えを請いました。コンサルタント報酬は一部を売上に応じた歩合制にしてもらっています。そうすることで、3年を経た今でも一生懸命当社のビジネスに向き合ってくれています。
 M&A仲介会社も、こういった長期的な関係性を意識することが重要だと思っています。
 M&Aでは、案件を成立させて仲介手数料をもらって終了してしまい、買収後に経営が上手くいっているかどうかなどフォローはほとんどない。このようにM&A仲介会社がノーリスクなのは買い手側にとっては少し不安に感じることがあります。
 M&Aによる仲介は、現在は法的な規制や責務がありません。
 売り手は必然的にM&Aに関する知識が少ないと思いますので、仲介会社のサポートが必要だと思いますが、今後は仲介(双方代理)ではなく売り手・買い手それぞれに専門家が入って交渉をする時代になり、それが法律においても何らかのルールができる時代になるのではないでしょうか。
 地方の中小企業で積極的にM&Aを活用する会社が少ないのは、経験値が少ないことが挙げられると思います。経験値がない場合、買い手側はプロのコンサルタントをつけた方がいいと思います。経験のない人が経験不足を理由に結果として不利益を被ることのないよう、法制度の確立、消費者保護について国として環境整備して欲しいと願います。そして売り手側も買い手側も、満足できるM&Aが実行できるように考えて欲しいと思います。

今後の目標をお聞かせいただけますか。

杉川

 当社では経営人材の育成を進めており、10億円規模の会社の経営者をたくさん育てていきたいと考えています。10億円規模の企業を100社つくり、それぞれをグループとして抱えることで、地域から1,000億円規模の産業を創出したいと考えています。そのための一つの手段としてM&Aを活用しています。

最後に、今後M&Aを考えている方へメッセージをいただけますか。

杉川

 M&Aを行う中で私が気をつけているのは、事業を譲り受けるにあたって、先方の資料をしっかりと読み込むことはもちろん、経営者同士で面談する際に、しっかり話をすることを心がけています。事業を譲っていただく方に敬意を払いつつ、その方と、経営者として相性が合うかどうかを一番重視しています。話をしていく中で、「何か違うな」と思う会社は結果として難しく、自身のこれまでの経験からもそういった案件は苦労した記憶があります。
 買い手にとっても売り手にとっても、M&Aでどのようなメリットとデメリットが生じるのか、これを見極めることは簡単ではありません。商売なので、どうしても勘とか運もあるとは思います。また、初めてのM&Aだと、財務内容と価格だけを見て判断してしまうかも知れませんが、M&Aで重要なのは最終的には「人」だと思います。