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コラム COLUMN

コロナ禍でも観光振興の歩みを止めない!「しおまちとワークショップ成果発表会」参加レポート

20201年3月27日(土)に開催された「しおまちとワークショップ成果発表会」に参加したので、その概要をレポートします。「しおまちとワークショップ」は、株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションが事務局となり、広島県の観光名所の一つである「しまなみ海道」の中ほどに位置する、尾道市生口島への入口である瀬戸田港を臨む「しおまち商店街」を舞台に、地域内外の人達が共通した未来を描き、チャレンジを続けるプロジェクトです。当日は、同じビジョンを共有し、瀬戸田地域に関心の高い方々が集まりました。

地域の未来を描く、「しおまちとワークショップ」

広島県の観光名所である「しまなみ海道」。コロナ前、インバウンド観光が盛り上がる中、「しまなみ海道」を有する広島県尾道市においても、外国人旅行者を中心とした観光産業が栄えていました。「しまなみ海道」の強力なコンテンツは「サイクリングツーリズム」です。広島県庁もサイクリングツーリズムの振興に向けて、旗を振り、道路にサイクリング・ツーリストが迷わないよう「ブルーライン」と呼ばれる、青い線を引いて誘導する等、行政一体となった観光振興を行っていました。

「瀬戸田」という地域は、尾道市の生口島への入口である瀬戸田港にあります。「しおまち商店街」は瀬戸田港から、島へ入っていくところにある商店街の一つです。「かつては瀬戸田港から耕三寺を結ぶ参道として最盛期には1日1万人の往来があった」とのことですが、上記のブルーラインから少しだけ外れた地域であり、観光客をどのように商店街に誘致し、観光振興により産業を創出するかが課題の地域でした。



「しおまちとワークショップ」は、上記のような背景のある「しおまち商店街」を中心に、瀬戸田という地域の人々が、共通のビジョンを掲げ、共に街の未来を描くプロジェクトであり、2019年度より開始しました。運営事務局は、せとうちDMOの一角である、瀬戸内ブランドコーポレーションが担っています。


盛り上がる尾道瀬戸田地域の観光振興

コロナ禍でも観光産業への投資が継続

コロナ禍において、地域においても観光産業に大きな影響がありました。特に外国人観光客を中心としたインバウンド観光振興に力を入れていた地域では、移動そのものが制限されるということもあり、全体的に縮小傾向にありました。

「しまなみ海道」における尾道地域では、観光産業への投資が止まることはありませんでした。2021年3月の株式会社Azumi Japan(京都府京都市)による新しい旅館「Azumi Setoda」および銭湯付帯の旅籠「yubune」のオープンを皮切りに、株式会社しおまち企画(広島県尾道市)による地域の魅力を体験できる複合施設「SOIL SETODA(ソイル 瀬戸田)」が4月にオープンする等、コロナ禍においても新しいニュースが飛び交いました。

■ エイドリアン・ゼッカと追求する、旅館という日本伝統文化の新たな表現 『Azumi Setoda』2021年3月1日 グランドオープン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000068043.html

■ しまなみ海道に、地域住民と旅行者が集う新たな拠点が誕生!瀬戸田の魅力を存分に楽しむ、街のリビングルーム「SOIL SETODA」2021年春オープン
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000070170.html

《瀬戸田港の風景と商店街、サイクリングガイドツアー&レンタサイクル瀬戸内案内舎たびたす


《Azumi/Yubune外観、工事中のSoil Setoda》


国内初の公道における電動キックボードを活用した実証実験

また、2020年11月には、国内で初めてとなる電動キックボードによる実証実験を行う等、観光客のスムーズな移動を実現するための実証を積み上げていました。

■ setowa での「電動キックボード」の予約受付について~国内初の公道での「電動キックボード」実証実験との連携~
https://www.westjr.co.jp/press/article/items/201120_04_setowa.pdf



「しおまちとワークショップ」成果発表会

当日は、平谷尾道市長の挨拶から始まり、事務局である株式会社瀬戸内ブランドコーポレーションから「しおまちとワークショップ」の経緯や概要の説明、「しおまち商店街街の輪」の取組について、株式会社ADXより説明があり、それぞれのプロジェクトの現在の取組状況の報告がありました。平谷市長からは、アフターコロナを見据えて、コロナをピンチではなくチャンスに変え、挑戦する者だけが生き抜く、正しい街づくりを目指すと、力強いメッセージが伝えられました。

第一部・第二部を通して、瀬戸田という地域を舞台に、地域を盛り上げたいと考える地域内の方々と、様々なアイデアやリソースを持つ地域外の方々が協働したプロジェクトの概要と、その取組の現在の進捗・今後のスケジュールについて発表がありました。

地域内外が協働した施策立案報告

レモンの植樹や、グリーンスローモビリティ、レモン傘を活用したアーケード、新電力、決済アプリ、地域のブランディング等、瀬戸田を舞台に、地域内外の者が協働したプロジェクトの概要と今年度の取組、今後に向けた目標について発表がありました。それぞれ、地域や持続可能性を意識した取組となっていることと、地域外企業がリソースを提供し、一緒に活動している様子が印象的でした。

《発表者》
■ 株式会社ジュリエッタ・ガーデン 国吉 純 氏 / 中野生花店 中野 克義 氏
■ 本四バス開発株式会社 山根 哲士 氏 / 中田商店 中田 喜直 氏
■ 西日本旅客鉄道株式会社 岩崎 優 氏 / しまなみロマン 丸谷 伸治 氏
■ 丸紅株式会社 大久保 希美 氏 / 株式会社島ごころ 奥本 隆三 氏
■ NECソリューションイノベータ株式会社 石崎 浩太郎 氏 / しおまち商店街の輪 会長 山口 広三 氏
■ 株式会社しおまち企画  しおまちブラザーズ 小林 亮大 氏 / 鈴木 慎一郎 氏


官民一体となり、未来の観光へ投資

デジタル・データ活用によるマーケティング分析、地域企業の取組、オープンしたAzumi Setoda、Yubuneのコンセプトの説明等に加えて、中国経済産業局・尾道商工会からは、今回発表されたワークショップにおけるそれぞれのプロジェクトへの所感や、今後の尾道・瀬戸田地域への期待が伝えられました。

Azumiを牽引している瀬戸田リゾート 岡氏からは、リゾート地バリの地域に溶け込んだホテルを例に、Azumiも地域と共に経済の循環を生んでいく旨の説明がありました。

《特別講演》
■ Yahoo株式会社 宮崎 光世 氏 / 紀尾井町戦略研究所 髙田 正行 氏
■ 株式会社しまごころ 奥本 寿華 氏 / 西日本旅客鉄道株式会社 角谷 璃子 氏 
  パンパカンパニ 宮本 郁 氏 / 水呉 成美 氏
■ 株式会社瀬戸田リゾート 岡 雄大 氏

《総評》
■ 中国経済産業局 流通・サービス産業課長 宇山 正樹 氏

《クロージング・スピーチ》
■ 尾道しまなみ商工会 副会長 長澤 宏昭 氏




コロナ禍でも歩みを止めない、観光を産業とする地域の未来とは

人口減少による地域の過疎化の促進や高齢化、それに伴う地域の活力の減退。これらはコロナ禍の前にも指摘されていたことでした。コロナ禍となり、人々の移動が制限されることで、移動を伴う産業である観光産業は大きな打撃を受けました。現在もオンラインの活用等、様々な試みがなされています。

今回、広島県尾道市の瀬戸田地域における取組に参加して改めて感じたのは、「地域の歩みは止めてはいけない」ということです。観光という産業だけではなく、新しい人と地域の人が混ざり、一緒の未来へ共感し、行動に移していく。この一つ一つの積み上げが、地域の産業振興に繋がるのではないかと感じました。当日は好天であり、しまなみ海道でサイクリングを楽しむ日本人を中心とした観光客も多く見られ、観光産業復活の兆しも感じることができました。

富裕層向けの宿泊施設がオープンする等、大きな投資の動きも継続的に行われており、これらの活動が地域と一体となり継続した結果、コロナ禍を乗り越え、再び世界が観光に目を向けた時、尾道が一歩先に行く地域として、どのような姿を描き、形にしていくか、今後の展開に期待が高まります。

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