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広島県のM&A・事業承継事例|休廃業・倒産状況・後継者不在率まとめ

広島県のM&A事例と後継者不在率|経済概況や倒産件数も解説

中国・四国地域には様々な産業があり、M&Aを検討する上でも、それぞれの産業特性を考えた上で、事業譲渡(事業売却)の状況やニーズ・課題を把握することが必要です。

本記事では、広島県の経済概況・産業構造・休廃業・倒産件数の動向をデータで整理しつつ、全国との比較で見た後継者不在率の現状をわかりやすく解説します。

また、実際に広島県で行われたM&A事例(事業譲渡・事業売却・会社譲渡)も紹介し、広島におけるM&A動向を総合的にまとめています。

広島県の経済概況|産業構造と成長分野

広島県は、2022年度(令和4年度)の名目県内総生産が12兆2,284億円となっており、成長率は前年度比+0.4%と安定した経済規模を有しています。生産面では、建設業や卸売・小売業の寄与が大きく、インフラ整備や消費動向が県内経済を下支えしています。

広島県の人口は約269万人(2026年2月1日時点)で、中国地方最大の人口規模を誇ります。産業構造の最大の特徴は、「ものづくり」を中核とした製造業集積です。

自動車産業(マツダを中心とした関連企業群)をはじめ、造船業、鉄鋼業、機械・金属加工業などが県内各地に集積しており、製造品出荷額等は中国・四国地方で1位を維持しています。

また、広島県は関西圏と九州圏の中間に位置し、広島市・福山市・東広島市などの主要都市を軸に、人流・物流の拠点として機能しています。山陽新幹線、広島港、福山港などの交通・物流インフラを背景に、西日本のビジネス拠点としての役割を担っています。

近年では、宮島(厳島神社)や原爆ドームといった世界的な観光資源を有することから、観光産業の成長にも注力しており、製造業と観光業が両輪となって広島県経済を支える構造が形成されています。

広島県の倒産件数・休廃業件数の推移

年度 休廃業・解散件数 備考
2018年 563件 過去10年で最少
2019年 655件 2018年比増加
2020年 1188件 2年ぶりに減少
2021年 1202件 2年ぶりに増加
2022年 1194件 2年ぶりに減少
2023年 1354件 過去5年で最多
2024年 1543件 過去5年で最多(2年連続増加)
2025年 1406件 過去5年では2番目に多い

参照:帝国データバンク「広島県 企業の休廃業・解散動向調査(2025年)

広島県における休廃業・解散件数は、2024年に1,543件と過去5年で最多を更新し、2025年も1,406件と高水準を維持しています。件数自体はやや減少したものの「高止まりしている」状況です。

この背景には、単なる景気動向では説明できない構造的な要因の重なりが存在しています。

まず大きいのが、コロナ禍で実施されていた実質無利子・無担保融資や各種補助金の終了に伴う「支援の反動」です。いわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、収益回復が追いつかない企業が一定数存在し、「倒産ではなく自主的な廃業」を選択するケースが増えています。

次に、原材料費・エネルギーコスト・人件費の上昇といったコスト構造の変化です。特に広島県は製造業や建設業の比率が高く、価格転嫁が難しい中小企業では利益確保が困難になり「事業継続よりも撤退」を選ぶ動きが顕著になっています。

さらに深刻なのが人手不足の慢性化です。採用難によって事業を維持できないケースが増えており、「売上があるのに人がいないために閉じる」という、従来とは異なるタイプの休廃業も増加しています。

重要なのは、これらの休廃業の多くが「赤字倒産」ではなく、まだ事業価値が残っている段階での撤退である点です。つまり本来であればM&Aや事業承継によって存続できた企業が、市場から退出している可能性が高いと言えます。

広島県の倒産件数の推移

年度 倒産件数(法的整理) 備考
2018年 184件 基準値(過去中位)
2019年 190件 前年並み
2020年 165件 変動なし
2021年 106件 コロナ影響下でも横ばい
2022年 106件 記録が残る中で最少水準
2023年 157件 4年ぶり高水準
2024年 200件 2年連続増加・1965年以降で多め
2025年 198件 2年連続増加・1965年以降で多め

参照:帝国データバンク「広島県 企業の休廃業・解散動向調査(2025年)

広島県では、倒産件数の増加以上に、休廃業・解散の急増と後継者不在問題が深刻化しています。

広島県では、休廃業が大きく増加している一方で、倒産件数は急激な増加には至っていません。近年の傾向として、金融機関や専門家と早期に相談し、法的整理に至る前に自主的な事業整理や清算を選択する企業が増えています。

これは一見すると健全な動きにも見えますが、本来であれば事業承継やM&Aによって存続できた可能性のある企業が、市場から退出している状況ともいえます。つまり広島県は「倒産よりも、事業承継できずに消えていく企業が多い県」という全国共通課題を、より先行して抱えている地域といえます。

特に建設業・サービス業・製造業を中心に、事業承継を前提としたM&Aや第三者承継の重要性が高まっており、今後は「倒産を防ぐためのM&A」という視点が、地域経済の持続性を左右する鍵となります。

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広島県の後継者不在率は全国11位

調査年 後継者不在率 全国順位 備考
2018年 73.2% 5位 高水準/調査開始期
2019年 73.1% 4位 横ばい
2020年 71.3% 8位 やや改善
2021年 64.4% 11位 全国平均に近づく
2022年 59.0% 21位 改善傾向続く
2023年 56.6% 22位 調査開始以降で最も低い
2024年 57.6% 16位 2023年から微増
2025年 57.9% 11位 4年連続で6割を下回る

参照:帝国データバンク-広島県の後継者不在に関する企業の実態調査(2025年)

広島県では、深刻な後継者不足が地域企業の大きな経営課題となっています。

広島県の後継者不在率は、2018〜2019年の70%超の高水準から、2020年代に入って一貫して低下傾向が続いています。2023年には調査開始以来最も低い水準となる56.6%を記録しています。

この背景には、事業承継税制の改善や、事業承継・引継ぎ支援センター等によるサポート、金融機関による承継支援ファンドなど、官民一体となった事業承継支援策の広がりが一定の効果を発揮していることがあると考えられています。

ただし、広島県の後継者不在率は全国平均(約50.1%/2025年調査)より高い水準で推移しており、依然として多くの企業で後継者が確定していない状況が続いています。

また業種別では建設業などで不在率が高い傾向が継続しており、地域経済全体としての事業継続・承継が重要な課題となっています。

広島県のM&A・事業承継の事例一覧

広島県では近年、観光・インフラ・IT・建設・流通といった地域経済を支える分野でM&Aが活発化しています。以下では、2023年以降の主な事例を業界別に紹介します。

観光・まちづくり領域

  • 広島ドラゴンフライズ(広島市)が姫路イーグレッツを買収(2026年2月発表)
  • 広島電鉄(広島市)が飲食業・宿泊業のA&C(廿日市市)を子会社化(2026年1月発表)
  • JR西日本グループがホテルグランヴィア広島を含むホテル運営会社を再編(2025年5月発表)

IT・DX領域

  • システムサポートHDがエコー・システム(広島市)を子会社化(2025年6月発表)
  • 豊田通商システムズがデジタルソリューション(広島市)を完全子会社化(2026年3月発表)
  • 常石鉄工(福山市)がIHI子会社の寿鉄工を取得(2026年2月発表)
  • 常石造船(福山市)がseawiseを子会社化(2025年12月発表)

建設・インフラ領域

  • ダイキアクシスがアドアシステム(広島市)を子会社化(2023年2月発表)
  • タカミヤが日建リース(広島市)の子会社化で基本合意(2025年1月発表)
  • 北浜キャピタルパートナーズがトラストコーポレーション(広島市)を子会社化(2025年9月発表)

流通・サービス領域

  • アシードホールディングスが日東ベンディング中国(広島市)を子会社化(2026年3月発表)
  • アルフレッサHD(広島市)がミヤノメディックス(福山市)を子会社化(2025年9月発表)
  • モリトがミツボシコーポレーション(福山市)を子会社化(2025年1月発表)

教育・人材サービス領域

  • 学研HDが白石学習院(広島市)を子会社化(2026年3月発表)
  • SAAFが子会社みらい(広島市)のアウトソーシング事業を譲渡(2026年1月発表)

広島県におけるM&Aの最新トレンド(2023年以降)

近年は後継者不在の増加を背景に、広島県内でも中小企業の事業承継型M&Aや、金融機関・ファンドを活用した再編事例が増えています。ここでは比較的新しい動向も含め、代表的な事例を紹介します。

ひろぎんホールディングスによるIT・DX領域の強化(2023〜継続)

広島銀行を傘下に持つひろぎんホールディングスは、地域企業のDX支援を目的として、IT関連企業の再編・グループ化を継続的に進めています。

既存のマイティネットの子会社化に加え、地域企業のシステム開発・IT人材不足を補う体制を構築しており、「金融×IT」による地域企業支援モデルとして注目されています。

単なる事業承継にとどまらず、地域金融機関が主体となる成長支援型M&Aの代表的な事例といえます。

中堅製造業における同業統合・後継者問題解決型M&A(2024年前後)

広島県内では、金属加工・部品製造などの中小製造業において、同業他社による買収や統合が増加しています。

特に、後継者不在の企業を同業の中堅企業が引き受けるケースが多く、技術・設備・人材を維持したまま事業を継続する動きが広がっています。

製造業が集積する広島県では、こうしたM&Aは単なる承継にとどまらず、サプライチェーン維持や競争力強化の観点からも重要な役割を果たしています。

観光・飲食業における第三者承継の増加(2023〜2025)

広島市・宮島エリアを中心に、飲食店や観光関連事業の第三者承継が増加しています。

コロナ禍を経て、経営者の高齢化や人手不足が顕在化したことで、親族承継ではなく外部への売却を選択するケースが増えています。

特に、県外企業や個人投資家が地域ブランドや立地価値に着目して買収する事例も見られ、小規模事業でもM&Aが成立する環境が整いつつあるのが特徴です。

地域ファンドによる中小企業の事業承継支援(2024〜)

広島県では、ひろしまイノベーション推進機構をはじめとする地域ファンドが、後継者不在企業への出資・買収を通じた事業承継支援を積極的に行っています。

従来の「親族・従業員承継」に加え、ファンドが一時的に株式を保有し、経営体制を整えたうえで次の経営者へ引き継ぐケースも増えています。

こうした動きは、単なる事業の存続だけでなく、経営改善や成長投資を伴う攻めの事業承継として注目されています。

広島県M&Aの傾向と今後の注目ポイント

広島県は、製造業をはじめとするものづくり産業を軸に、中国地域の主要なビジネス拠点として経済活動が展開されてきました。一方で、地域には果樹園(いちご農家やぶどう農家)など農業分野や、伝統工芸を担う事業者といった小規模・家族経営の企業も多く存在しています。

休廃業・解散や倒産件数は一定水準にとどまっているものの、後継者不足による後継者不在率は全国的に見ても高水準にあり、事業承継は広島県における深刻な経営課題の一つとなっています。特に農業や伝統産業では、技術やブランドを次世代に引き継げず、やむなく廃業を選択するケースも少なくありません。

こうした背景のもと、広島県のM&A案件では、地域に根差した飲食業・小売業に加え、農業法人(いちご農家等)や伝統工芸関連事業を対象とした事業承継型M&Aが増えています。

従来からの後継者不足という構造的課題に加え、新型コロナウイルスの影響を契機に、業界全体の再編ニーズも顕在化しました。今後は、地域産業を守りながら成長につなげる手段として、事業承継型・業界再編型M&Aの重要性がさらに高まり、ニーズは一層拡大していくと見込まれます。

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広島県でM&Aを成功させるには早期相談が鍵

広島県は後継者不在率の高さから、事業承継(後継者募集)が大きな課題となっています。近年は飲食業(飲食店)・小売業(スーパー)などの生活密着型の業種をはじめ、コロナ禍を経て業界再編のM&Aも増加傾向にあり、今後もM&Aの需要は高まると見込まれます。

クレジオ・パートナーズは、広島を中心とした中国・四国エリアで多くの中小企業を支援してきた、地域密着型のM&A・事業承継専門コンサルティング会社です。

「まずは話を聞いてみたい」「会社がいくらで売れるのか知りたい」「親族内承継とM&Aのどちらが良いか悩んでいる」など、どの段階でもお気軽にご相談いただけます。経営者の大切な事業が次の世代につながるよう、最適な承継・成長戦略をご提案します。

クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
URL:https://cregio.jp/

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