クレジオ・パートナーズでは、地域においてファイナンス人材が活躍する場の創出を目指しています。一方、地域で公認会計士が働く選択肢は、首都圏と比較して、キャリアとして限定されているのが実情です。広島における公認会計士の職業の選択肢や、働き方の実態と、新しい選択肢として「地域における資本政策コンサルタント」という可能性について、当社に在籍する2名の会計士が本音で語った様子をお伝えします。
広島で働きたい!地域の公認会計士のキャリアとは?
地域では限定的?公認会計士の職業選択
【山本】広島県での公認会計士としてキャリアの選択肢は、実は限られるんですよね。大きな選択肢では、監査法人か上場企業を中心とした事業会社です。上場企業では、監査法人への監査対応、内部監査や経理を担当することが多いと思います。
【古屋】私の周りでも、監査法人から事業会社に移られた方は多いですね。監査法人が第一の選択肢になることは同じ意見です。一方、独立する方も多い印象です。税理士法人等の会計事務所は選択肢としては多くありません。会計士はあまり税には詳しくないので、一から勉強しないといけないことを大変に感じる方も多いのではと思います。
【山本】東京だと、ファンドやコンサルティング会社等、選択肢は広がりますね。同じ事業会社の中でも、IRやIFRS(=国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards))の対応等、担当する役割の選択肢は多い印象です。また上場を目指すスタートアップのCFOというポジションもあります。上場企業の多い、関東・関西の方が会計士のニーズは高いですよね。会計士の多くは、広島や地域で働きたくても、首都圏へ流れているように感じます。
監査法人・事業会社における会計士の仕事のリアル
【山本】監査法人ごとに異なりますが、監査法人でのキャリアステップは、基本的にはスタッフ、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーという形で進んでいきます。パートナーのみが監査報告書にサインできるので、サインができてやっと公認会計士として一人前になったと言われますね。私も先輩から「なぜパートナーを目指さないのか?パートナーにならなければ、会計士ではない」と言われました。ただし、パートナーになるのは、最速で15年はかかります。
【古屋】事業会社でのキャリアは、経理部長やCFOを目指す会計士が多いです。監査法人としても、共通言語を理解する会計士がいることで、監査がスムーズに進むので、非常に監査が楽になります。いずれにしても、これまでの会計士のキャリアは、「監査」に特化し、いかに監査をスムーズに行うかが大きな役割なのかなという印象です。大手企業であれば、海外M&Aに絡む等、経営戦略に直結した仕事を担う場合はありますが、非常に稀なケースです。
【山本】会計士として働く楽しさですか?一生の課題ですね。知っている限りの知識を使い、誰かの役に立つことが本来の楽しさなんじゃないでしょうか。ただ、監査法人は「監査」という業務に偏っている印象はあります。監査しかできない中で、相手との関係性や、会計士の意向によってどのような監査を行うかも変わってきます。個人的には40歳くらいで監査法人に戻るのが一番よいのではと思います。これまでのキャリアで積み上げてきた、業務や仕事・人生の幅が本当に監査で活かすことができるんじゃないかなと感じています。
【山本】組織再編周りは複雑だから関わりたくないという会計士もいます。私自身は元々、M&Aを知ったことがきっかけで組織再編周りの財務・会計がやりたいと思って、この業界に入ってきました。会計をやると税務の知識も切り離せないので、税理士法人も経験しました。監査法人・税理士法人を経て、クレジオでM&Aに本格的に参入という形ですね。
【古屋】私が会計士を目指したのは、会計士の方が税理士より、事業会社で活躍できる等、幅が持てると思ったからですね。元々、独立も視野に入れていました。監査法人に就職したのも30歳というタイミングだったので、監査法人の中でキャリアアップは難しいと感じていたこともあり、独立するために最適なキャリアとして、監査法人・税理士法人を経験しました。いざ独立するか迷った時に、M&Aにもっと関わりたいと思い、クレジオに参画しました。
【山本】会計士でつらかったこと?あるかな?監査の取組が強化する流れが4-5年続いているので、帳簿と請求書を突き合わせ、一連の流れを追っていく膨大な作業をやらないといけない。そういった定型的な作業をつらいと思う会計士もいるんじゃないですかね。
【古屋】定型作業を効率化すべく、監査業界でもDXは進んでいますが、DXに対応するために、逆に新しい事務が発生する等、必ずしも業務量が減っている訳ではないと認識しています。確認状の回収作業等、システムが導入されるからこそ複雑化するという現場のリアルなところもあって、大変な部分も多くありますね。
「地域の資本政策コンサル会社」で働くという選択肢、地域の会計士が持つ可能性
資本政策コンサル会社での会計士の仕事とは?
【山本】クレジオで経験した業務は色々ですね。デット(借入)調達に向けた事業計画の作成、スタートアップの株価算定、従業員承継(=MBO)に向けたスキームの検討、デューデリジェンス、M&Aのエグゼキューション周りの対応等を担当しました。監査法人時代はこれらの業務に具体的に関わることはありませんでした。報告が来るだけなので、後から知ることや、レポートだけを見ることが多かったです。数字に落とし込まれ、正しいかどうかをチェックするのが仕事の要点でした。
【古屋】私の場合だと、クレジオでは現在は、デューデリジェンスに関わる仕事が多いです。監査法人では、手続きも定型化を進めることで、効率化と正確性の担保を行っているので、山本さんがクレジオで経験したような業務を担当したことは監査法人時代はなかったですね。一方、事業計画を突き詰める部分は、監査法人の方がこだわっていると思います。経営者の想いだけではなく、経済合理性を追求した上で作成しています。
【山本】デット調達のご支援では、事業計画を一から作りました。萩原さんに相談しながら作っていったのですが、新鮮で楽しかったですね。金融機関とのやり取りも面白かったです。シンジケートローンだったので、アレンジャーとなる金融機関の方と主にやり取りしていましたが、調達のために必要な条件を色々と聞いて、事業計画を完成させていくプロセスは勉強になりました。2か月くらいかけて作業を行い、実際に調達できた時は、やりきった達成感はありましたね。
【古屋】監査法人の仕事は、誰かに感謝されることを実感する機会は少ないと思います。クレジオだとお客さまとの距離が近く、監査が主な目的ではなく、お客さまが抱える何らかの課題を解決することが目的なので、手触り感や、お客さまからの感謝を感じる瞬間は多いと思います。監査法人で相手のニーズを叶えるために行う支援は、IPO支援くらいですね。そういう意味でも、会計士にとって地域にクレジオのような会社があることは、非常に貴重だと思います。
課題解決して、感謝を実感。会計士による地域経済活性化のグッドサイクル
【山本】会計士を目指す方は、きっと自分の会計・財務の知識を活用することで誰かの役に立ちたいと思っているんじゃないでしょうか。
【古屋】私もそう思います。経営者のために会計士の知識を活かす場に行きたい。自分のなりたいイメージがあって、自分のキャリアを選択してきました。地域貢献したいという思いもあったので、数ある選択肢の中でクレジオを選びました。
【山本】地域の事業承継は社会課題になっています。これまで事業承継について相談できる方は、顧問税理士の方が中心だったのではないかなと思います。ただ、顧問税理士も、経営者から働きかけがないと、相続・承継について動くのは難しいというのが実情です。クレジオが地域にいる存在意義として事業承継に悩む経営者の相談相手としての意味もあるのかなと思います。
【古屋】最近は非上場企業の中でも株式を武器に経営課題を解決する、事業を成長させるという事例が増えています。クレジオは、経営者に提案し、働きかけるチームと、財務・会計の専門性を持ったチームが存在しています。経営者が一人で考えるのではなく、経営課題に対して資本を活用した提案を行える組織が地域にあるからこそ、可能性が広がるのではないかと思います。
【山本】クレジオが課題解決を提案する、お客さまが喜ぶ、現場で感謝を実感できる、結果として、地域経済が盛り上がる。いい流れですね。
会計士を目指す理由を見つめ直し、キャリアの選択肢を知って欲しい
【古屋】これから公認会計士を目指す方には、「キャリアを限定する必要はない」とお伝えしたいです。試験が終わり、しばらく時間があると思うので、監査法人だけでなく、事業会社・コンサル会社・税理士法人、色々な会社の話を聞いてみたらいいと思います。もちろん、クレジオも選択肢の一つです。試験を合格してどこに就職しようかという短期的な意味だけでなく、長い目で自分のキャリアを考えた時に、選択肢を知る意味でも、色々なところを見て欲しいなと思います。
【山本】僕たちのキャリアを見ていると分かると思いますが、会計士はキャリアチェンジしやすいという特徴があることを伝えたいです。自分が行きたいと思ったところに着地できる。ファーストキャリアとして「皆が行くから」という短絡的な理由で監査法人に行くのはおススメしないですね。会計士を志し、勉強した理由を今一度見つめ直して欲しいと思います。古屋さんが言ったように少し時間があるので、本来自分がやりたかったことを実現するために、何かアクションを起こしてみたらどうでしょうか?
【山本】税理士法人はぜひ検討して欲しい選択肢の一つです。業界として高齢化が進み、今後、税務の専門家が少なくなることが予想されます。今後、税務が分かる会計士の価値が上昇するのではという仮説があります。記帳代行等、ITツールの導入が進むことでなくなっていく仕事もありますが、本来の税務の専門性を活かしたコンサルティングの必要性・重要性は変わりません。地域における会計・税務といった広い視点の中で、キャリアを考えて欲しいと思います。
<その他のメンバー紹介コラム>
■常務取締役 萩原 春喜|クライアントのために頭を使う!M&A×事業承継という専門性
■マネージャー 山本 恭介|「毎日、ワクワクが止まらない」、M&Aにおける会計・税務のスペシャリスト
■マネージャー 桑本 真樹|困っている経営者を助けたい!事業承継コンサルタント
■マネージャー 塩田 洋司|お客様への「一工夫」、資産承継×事業承継でオーナーを支援|塩田 洋司
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