岡山県倉敷市に本社を置き、トラック業界におけるプロフェッショナルである山田車輛・ソーゴーテクニカルが中心となり、グループを形成した無敵ingホールディングス。ホールディングス形成に至る経緯や、事業成長のために資本を活用した経営基盤強化の狙いについて、同社代表取締役社長 山田 克浩氏・同社副社長 木口 雅美氏のお二人にインタビューしました。
情熱と技術が交錯、山田車輛とソーゴーテクニカルの出会い
【山田】無敵ingホールディングスはトラック全般に関わるモビリティ事業に加え、トラック・乗用車の貿易事業、フィットネスを中心としたウェルネス事業と、3つの分野で事業を展開しています。現在ホールディングスの経営に関わるそれぞれの経営者が、トラックの各分野で長年経験を積んできたプロフェッショナルであり、グループとして我々が一体となることで、トラックの売買、整備、架装工事、海外輸出といった幅広い業務を一気通貫で提供できることを強みとしています。
無敵ingホールディングスの中核は、岡山県倉敷市に本社を置く、山田車輛とソーゴーテクニカルです。山田車輛は、1977年に創業し、私が二代目として事業を引き継ぎました。トラック・商用車・トラック部品の販売と輸出が事業の柱であり、以前は貿易ばかりを追いかけていました。ソーゴーテクニカルの木口社長とは、10年前くらいに知り合いました。同じ業界と地域にいて、「架装」というトラックの加工・整備において、高い技術力を持つ会社ということで、お名前だけは伺っていました。ふとしたきっかけから「メシ行きましょう」となり、そのお人柄や、技術力の高さにほれ込みました。
山田車輛としては、当時はまだ国内事業を展開しておらず、貿易からトラックを中心とした事業に特化していったのは2000年頃からです。国内販売の実績・ノウハウがなかったので、参入するにはハードルが高いと感じていました。トラックの車輛整備や、ものづくりとなる架装事業について分からないこともあり、山田車輛だけでは事業拡大できる自信はなかったというのが本音でしたが、木口さんと会話する中で、「木口さんと一緒ならやっていける」と思い、ソーゴーテクニカルの協力を得て、販売会社であるyield.を立ち上げ、緻密な計画を練り、両社の共同販売を開始しました。
【木口】ソーゴーテクニカルは架装の技術力では、全国でも通用するレベルである自信を持っています。山田車輛さんとは、以前は、当社から中古部品の仕入れをお願いしたり、修理整備の発注をいただくような関係でした。
ソーゴーテクニカルは私が立ち上げましたが、元々勤めていたところに謀反を起こしたような感じですかね(笑)。独立しようとは思っていましたが、立ち上げた当時は、事業を軌道に乗せる自信は持てませんでした。山田社長から共同販売の相談を受けた時、最初は「CTO(Chief Technology Officer)に着任して欲しい」と言われました。CTOって、当時流行りのドラマのGTO(Great Teacher Onizuka)みたいでカッコイイじゃないですか(笑)。私自身の経営の考え方として、事業に大事なのはノリと勢いだと考えています。山田社長のお話を聞き、素直に面白そうだと思いました。
プロフェッショナルが集まる「無敵」のチーム、無敵ing
【山田】無敵ingホールディングスを立ち上げ、グループとなって率直に一番感じるのは「いっぱい人がいるな」ということです。単純に人数の話ではなく、様々なスキルや性質・バックグラウンドを持つ人材が集まることで、組織として提供できる付加価値の幅が広がり、色んなことができるようになると感じています。山田車輛単体だったときとは、全く違う世界をのぞくことができるのはワクワクします。
グループ化による事業における強みは、トラックに関する事業を一気通貫でできることです。製造・販売・輸出・スクラップに至るまで、我々はグループ全体で担うことができます。同じ業界で競合もいますが、実は貿易まで担える会社は多くはありません。そういったグループの強みを活かして、今後も事業拡大を目指していきます。
グループになった狙いは事業強化だけではありません。特に事業承継への想いが強かったです。私も父が急逝し、事業を引き継いで15年になりますが、後継者については、「いつかいい人が現れるだろう」という、待ちの姿勢では後継者を見つけることは難しいと感じています。ホールディングスを形成し、グループとしての大きな傘の中で、経営人材を迎え、迎え、整える環境を作り上げることで、本当の意味で事業承継に備えることができると考えています。
【木口】私も山田さんと一緒にできたら面白いとは思っていましたが、最初はグループ化する意味も分かりませんでした。現在53歳ですが、元々50歳で引退しようと考えていたので、早く仕事を辞めたい、はよ遊びたいと思っていました。ただ、辞めるためには、会社を守り、継続できる体制を整えないといけないと感じていました。
「無敵ing」の名前の意味は、当時の名前のとおり、私が子供の頃、タイムボカンシリーズに「とんでも戦士 ムテキング」というキャラクターがいて、それが私の頭の中に強く残っていました。要は無敵ですよね。仕入と輸出ができる山田車輛と、高い技術力があるソーゴーテクニカル。我々がタッグを組むことで、トラック業界でまだまだできることあると感じています。ネームバリューはこれからですが、県内ではトップクラスだと思っています。当時は山田さんも別の名前を考えて頂いていましたが、グループ名を考える中で「無敵ing」のインパクトが強く、皆がそう呼ぶようになり、聞けば聞く程、めちゃくちゃいいと思うようなりました。無敵のチームであることが、無敵ingの由来です。
山田車輛とグループを形成する前に、海外製品の販売代理権を有する中四国ローダー販売株式会社と、車検整備に特化した瀬戸内自工株式会社の2社をM&Aで引き受けていました。いずれも面識がある訳ではありませんでしたが、当社の業界での評価を聞いて、引き受けて欲しいと頼まれ、それぞれシナジーを見込んで、引き受けました。結果として、この2社も加えて大きなグループになることができました。
信頼関係による新しい経営スタイル、社長同士だからこその安心感
【木口】最初にクレジオ・パートナーズから、未上場企業同士の株式交換という珍しいスキームでのご提案だったこともあり、グループ化を提案された時はよく分からなかったですね。ただ、担当の土井さんが、とても生意気に見えたのは覚えています(笑)。
【山田】確かに土井さんは生意気でしたね(笑)。その反面、頼りになる。フランクで相談しやすい雰囲気を作ってくれました。生意気だけど、知識ではずば抜けていました。普通のM&A会社が仕事として来ているという感じはしませんでした。検討する中で、未上場企業同士の株式交換は、お互いの関係性があるからこそ成り立つスキームだと聞きました。確かに、私もグループ化だけが目的ならやらなかったと思います。木口さんの人柄があったからこそ実現できたスキームで、他の方だったらやっていません。人間関係ありきでグループが形成できるということは、有難かったと思います。グループ経営については、まだまだこれから勉強しているところですが、後継者を輩出できそう、様々な人材が集まることで事業の幅が広げられそう、と期待が高まっています。
従業員にとっても、現場での業務は変わらないですが、新しい全体のホームページを見て、改めてグループについて認識するようになり、マインドセットは変わっていっていると感じます。
【木口】社長同士が連携することで、気が楽になりましたね。グループになる前は、引き継いだ会社も含め3社の社長を担っていましたが、本音をお伝えすると不安でいっぱいでした。同じグループの経営者が、社長同士なので、どこか気持ちの安心感はあります。自分自身が、社長としての責任を放棄する訳ではありませんが、なんか大丈夫な気がするんですよね。
一歩踏み出す大切さ、事業承継のために会社の魅力を高める
【山田】事業承継に悩む経営者の皆さまに、私からお伝えできることは、まず勇気をもって一歩踏み出すことです。踏み外さずに、踏み出して欲しいですね。事業承継は、正直やってみないと分からない部分も多く、判断に迷う部分もあると思います。山田車輛が、新事業に挑戦できるのも、仲間ができたという安心感があるからということが大きく影響しています。「踏み外さない」ことは非常に難しいですが、地域の中小企業は、社長が失われたタイミングで終わってしまうとつくづく感じます。後継者育成も何か行動し、努力を継続しないとあっという間に10年過ぎてしまいます。一歩踏み出すこと、踏み出せる仲間がいることの大切さを伝えたいです。
【木口】自分の会社の魅力を高めることが大事だと思いますね。魅力がある会社だったら悩む必要はない。魅力がないから、後継者がいないし、M&Aという選択をする場合も、会社の魅力が問われるのではないでしょうか。規模なのか、品質なのかは分かりませんが、自分の会社の魅力を磨いていくことが、結果として事業承継に繋がっていくのではと思います。
概要
会社名 | 株式会社無敵ingホールディングス |
代表者名 | 代表取締役社長 山田克浩 |
設立 | 2023年5月 |
資本金 | 2,000万円 |
本社所在地 | 岡山県倉敷市松江1-13-31 |
事業内容 | モビリティ事業、貿易事業、ウェルネス事業 |
関連会社 | 株式会社山田車輛 株式会社ソーゴーテクニカル 株式会社yield. Kalabo株式会社 中四国ローダー販売株式会社 瀬戸内自工株式会社 |
HP | https://muteking.co.jp/ |
>>M&Aによる「事業承継」を検討される方はこちらからお問合せください。
>>M&Aによる「買収」を検討される方はこちらからお問合せください。
クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
M&A・事業承継について、
お気軽にご相談ください。
おススメ記事Top5
貴社の想定売却価格を
お伝えします
3つの質問項目を答えて頂き、お電話の簡単なヒアリングで、簡易な想定売却価格をお伝えします。
AIではなく、コンサルタント自身が手を動かして試算します。
ご入力頂いた電話番号に24時間以内に
当社担当者からご連絡致します。