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コラム COLUMN

地域支援制度

令和4年度2次補正予算(経済産業省)を解説!地域・中小企業等関連のポイント

令和4年度第2次補正予算案が2022年11月8日に閣議決定されました。経済産業省予算について、地域や中小企業の経営者の皆さまに向けて、「中小企業支援関連」「スタートアップ支援関連」「インバウンド・海外展開支援・サプライチェーン強化関連」「働き方改革・教育関連」等に関連した施策をピックアップして、ポイントをお伝えします。

地域・中小企業向けの経済産業施策をピックアップ

令和4年度第2次補正予算案」から「地域」「中小企業」に関する施策をピックアップします。全体を確認したい場合は「令和4年度補正予算案の事業概要(PR資料)」をご覧ください。各施策に付したコメントについては、あくまで筆者の感想となりますので、制度詳細を希望される方は、施策を担当する組織へ直接ご確認ください。

中小企業支援関連

中小企業等事業再構築促進事業

コロナ禍より継続している事業再構築補助金が、令和4年度2次補正予算でも計上されています。昨年度補正予算の6,123億円よりは若干減少するものの、それでも大きな規模の予算が計上されています。新型コロナウイルス感染症の影響だけではなく、物価高騰等の事業環境の変化に影響を受けた企業だけでなく、「成長枠」「グリーン成長枠」といった前向きな事業を後押しする枠が創設されている等の進化を見せています。



中小企業生産性革命事業

いわゆる「もの補助」「持続化」「IT導入補助金」といった補正予算では必ず計上されるおなじみの補助金がラインナップしています。加えて、「事業承継・引継ぎ補助金」も常連入りとなりました。設備投資したい中小企業は「もの補助」、販路開拓したい小規模事業者は「持続化」、IT投資したい方は「IT導入補助金」と覚えましょう。M&Aで利用できる事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)は、補助上限600万円(補助率2/3)と昨年度の補正予算と同程度になっています。



民間金融機関を通じた資金繰り支援(借換保証制度等保証料補助)

民間金融機関のいわゆる「ゼロゼロ融資」からの借換を円滑化させるための信用保証制度となります。



中小企業活性化・事業承継総合支援事業

「再生支援協議会」から名称変更した「中小企業活性化協議会」と、事業承継に関する公的窓口である「事業承継・引継ぎ支援センター」をパッケージにした支援事業です。コロナの影響を受け業況が悪化している企業や、事業承継に課題を有する中小企業にとって心強い味方となる事業です。



スタートアップ支援関連

グローバルスタートアップ成長投資事業

海外展開を目指すスタートアップを支援する国内外のVCに対して、国が(独)中小企業基盤整備機構を通じて出資する事業です。海外展開というハードルを乗り越えるスタートアップがどこまでいるかという点と、国がLPとなるスキームになることで運用面にどのような影響が出るのか、総額200億円という規模は適正か等、色々と論点がある予算ではないかと思います。



経営者保証を徴求しない新たな創業時の信用保証制度の創設

創業時に経営者保証を徴求しない信用保証制度を創設することにより、スタートアップ創出を促す支援制度となります。ただし、経営者保証を徴求するかどうかの判断は金融機関が行うことになりますので、本制度を利用し、創業時の経営者保証を外すか金融機関のスタンスが試されます。



創薬ベンチャーエコシステム強化事業/バイオものづくり革命推進事業/ディープテック・スタートアップ支援事業

創薬・バイオ・ディープテック分野のスタートアップをAMEDやNEDOを通じて支援する制度です。経済産業省が直接的にスタートアップへ支援を行うのは、このような研究開発の要素が大きい領域に集中しています。



地域の中核大学等のインキュベーション・産学融合拠点の整備/産総研の地域イノベーション創出支援機能強化事業/若手研究者によるスタートアップ課題解決支援事業

大学・産総研のインキュベーションや支援機能を強化することで、研究開発型のスタートアップを支援体制を強化するための施策です。産学官連携の要である大学や産総研といった拠点がスタートアップのエコシステムでどのような役割を果たしていくのか注目です。



海外における起業家等育成プログラムの実施・拠点の創設事業/未踏的な地方の若手人材発掘支援事業

人材をシリコンバレー等に派遣したり、地域のトップIT企業の人材を発掘する事業です。シリコンバレーに派遣することの是非はおいておいて、先進的な諸外国との橋渡しとなることを期待する施策となります。



インバウンド・海外展開支援・サプライチェーン強化関連

面的地域価値の向上・消費創出事業

商店街向けの支援施策となります。商店街施策は、これまでインバウンド需要喚起が目的と位置付けられており、今回もインバウンド需要の獲得や、地域資源の活用を通じた商店街での地域内経済循環を目的としています。商業系の施設整備支援はあまり多くはないため、地域商店街にとっては貴重な補助金となります。



コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業

日本のコンテンツを海外へ輸出するために必要なローカライゼーション・プロモーションを行うための補助金です。Web3.0やメタバース等にも触れており、次世代テクノロジーの活用が、コンテンツ分野で注目されていることが分かります。

特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業

「特定生活関連サービス」が何を指すのか定義を確認する必要がありますが、ブライダル産業が事例として挙げられています。特定生活関連サービスがインバウンド対応するするためのビジネスモデル構築や、訪日プロモーションを支援するとされており、より詳細を確認しないと中身が見えてこない補助金です。



海外市場開拓・有志国サプライチェーン構築等促進事業

JETRO等を通じた中堅・中小企業の海外市場開拓や、スタートアップの海外展開を後降りする施策となります。スタートアップについては「社会課題解決」と定義されており、地域についてもインド太平洋と限定されています。その他、サプライチェーンの参画支援や、対日直接投資・QRコード統一企画の連携支援等、様々な意図が見え隠れする事業です。



経済環境変化に応じた重要物資サプライチェーン強靭化支援事業

9,582億円という規模の割に、内容が見えない施策です。半導体、クラウド、蓄電池等の重要な物資について、生産基盤の整備等の取組に対して必要な支援を行うとのことで、工場や物流等の施設整備関係も含まれるように見受けます。どこまでが補助対象経費となるかは確認する必要がありますが、例示されている分野で大規模な設備投資を行うことを想定している企業は注目したい施策です。



働き方改革・教育関連

リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業/副業・兼業支援事業/高等教育機関における共同講座創造支援事業

キャリア相談・リスキリング・転職までを一気通貫で支援する仕組みを整備するとのことで、計上されている予算額も753億円と大きくなっています。いわゆる人材ビジネスに国が参入したともとられなくもない施策ですが、リスキリングといった定義があいまいなジャンルに対して、大きな予算額で何をするのか注目です。その他、兼業・副業の支援や、企業と教育機関の連携促進を図る施策が計上されています。



その他

省エネルギー設備への更新を促進するための補助金

省エネ設備を導入する際の支援をする補助金です。エネルギー関係は見落とされがちですが、地域企業の設備投資において、最新の省エネ設備を利用し生産性を向上することにも活用が可能なので、設備更新を検討さている企業は注目したい施策です。



おわりに

令和4年度補正予算案の事業概要(PR資料)の中でも、「地域」「中小企業」関連で注目すべき施策について、ポイントをお伝えしました。補正予算案の中で最も大きな割合を占めるのが上記に取り上げていない「電気・ガス価格変動緩和対策事業(3兆1,074億円)」「燃料油価格激変緩和対策事業(3 兆 272 億円)」となっているので、今回の補正予算はエネルギー価格高騰への対応が主な目的になっていますが、その外の予算も一つ一つの規模が大きく、経済産業関連の施策が強化された印象です。

その中でも、スタートアップ支援については、創薬・バイオ・ディープテックといった特定の研究開発分野に対して数千億円規模の予算を計上し、大学等を巻き込んだ産学官連携についてもスタートアップ支援の枠組みに組み込む等、これまでよりも強化された施策が展開されています。いずれも海外展開や研究開発等、分野が特定されており、スケール感を持つビジネスを特に後押しするような印象を受けます。

中小企業支援においては、「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「持続化」「IT導入補助金」「事業承継・引継ぎ補助金」といった、これまで補正予算にあったものが引き続き計上される形になりました。その他、ゼロゼロ融資の借換円滑化のための信用保証制度や、再生・事業承継支援体制の強化も盛り込まれており、これまでと同様の支援が展開されます。

上記以外にも、インバウント需要復活に向けた施策や、海外展開・サプライチェーンの強化・働き方改革等、現在のトレンドを捉えた施策が展開されています。


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