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コラム COLUMN

データを活用し「経営」に活かせる「会計」を目指す/山本晋税理士事務所


岡山県倉敷市に事務所を置き、地域密着で税理士業務を行う傍ら、ITツールで企業の財務・会計情報を可視化して、経営サポートを行う山本晋税理士事務所。税理士でありながら、なぜ地域でITツールの活用や導入を促進するのか、その想いや経緯を税理士 山本晋氏にインタビューしました。


データを通じて、会計を経営に活かす

ITツールで会計を可視化

現在、私は税理士業務に加えて、ITツールを活用してお客さまの財務・会計等のデータを見える化して、経営者の企業経営に役立ててもらうというサービスに取り組んでいます。取り組んだきっかけは、自分自身がプログラミングに馴染みがあったこともありますが、「会計は、企業に対していかに価値提供しているのか」という問題意識がありました。税理士なので、対税務署に向けて会計の作業を行うことは多いですが、会計データは考える以上に情報宝庫です。「決算書は経営の羅針盤」とも言われますが、本当に羅針盤として活用している経営者は少ないのではと感じていました。会計データをより早く、よりグラフィカルなものにすれば、経営判断に活かしやすくなるのではと考えていました。

税理士業務でITツールの活用を本格的に意識し始めたきっかけは、3年ほど前から導入したクラウドツールである「Money Forwardクラウド会計」でした。その時は、主にお客さまの経理業務の改善の一環としてMoney Forwardのシステムにデータを入力するという「インプット(入力)」に関することが中心でした。そこから徐々に、情報を「アウトプット(出力)」して可視化することができれば、会計データを経営に活用できるのではないかと思い、現在の取組を始めました。

私が現在取り組んでいるのは、お客さまの経理データを使って、Microsoftの「Power BI」でデータを可視化して、会計を経営に活かすことができるサービスです。Power BIはいわゆる「BIツール=ビジネス・インテリジェンスツール」と呼ばれるもので、企業に蓄積された大量のデータを集めて分析し、迅速な意思決定を助けるためのツールで、経営管理や売上のシミュレーションに活用できます。

私の場合は、企業が既に持たれている会計の仕訳データ等を取り込むことで、お客さまとコミュニケーションしながら、どのようにデータを活用していくかのコンサルティングをしています。データはMoney Forwardに限らず、既存の会計ソフトから出力したデータで利用可能です。BIと聞くと少し難しい印象を受けるかもしれませんが、会計ソフトからエクセルのcsvデータを取り出して、特定のフォルダに投げると更新されていく仕組みになっているので、経理データをお持ちであれば活用することができます。

【BIツール活用のイメージ動画】



【BIツール活用のイメージ画像】




経営者目線でアウトプット、「将来情報」「予算管理」活用への可能性

データをどのようアウトプットしていくかは、経営者の目線を大事にしています。経営者が何を欲しがっているかを考えた上で、視認性のよい画面をつくっていきます。「データに基づき視覚化する」と簡単に表現しますが、実際やってみて分かったのが、単なる数字の羅列でしかなかったデータが、グラフになることで、思いもよらない気づきを得られることがあります。そういったコメントや気づきを経営者から頂きながら、アウトプットを修正していきます。現在は、私の顧問先に対して、通常の税理士業務とは別メニューのサービスとして提供していますが、顧問先以外の企業へも、現在の顧問税理士と協力しながらデータサービスのみを提供することができます。

経営者とコミュニケーションを取りながらアップデートを行っていく点で継続的なサービスとなっていますが、会計データだけではなく、広く社内にあるデータも取り込むことで、それぞれのデータを関連づけ、会計情報からだけでは見えてこない問題点の洗い出しができるようになります。例えば、商品販売の事業であれば、平均よりも利益を下回っている店舗や営業担当を発見し、継続的に日々の経営状況を管理することが可能になります。この点が会計ソフトだけではなくBIツールを使う優位性だと感じています。

経営者の方は、会計データを見られている方は多いのですが、実際の経営にどれほど役立てているかという問題意識がありました。経営者は会計データを「過去のもの」として捉えていることが多く、実際に契約・販売というプロセスがある場合、経営側が契約数を重視している場合でも、会計処理は販売後で行われるため、「会計」と「経営活動」にズレが生じてしまいます。「会計データ」「社内にあるデータ(契約等)」「将来に関するデータ」を組み込むことで、経営者のお役に立てる情報提供ができるようになります。例えば、現在の会計情報をもとに将来予測を作成しようと考えた際に、契約段階のものを会計データに入力することはできませんが、会計データと非会計データをBI上で組み合わせることができれば、これを作成することが可能となります。

実際に導入した経営者からは、BIツールは、データを触りながら把握できるため「面白い」「分かりやすい」という声を頂いています。また「将来情報が欲しい」といった要望や、会計ソフトに入れられていないデータも一緒に見たいといった「全体的な経営コントロールに活用したい」というニーズも伺っています。BIツールのメリットは、社内の情報が身近になることです。ある程度の情報開示ルールを決めて、店長や営業レベルでも情報にアクセスができれば、これまで財務・会計のデータは経理部門が扱うだけだったのが、広く開放されることになり、可能性を感じています。現在、岡山大学の大学院で会計を教えているのですが、大企業については会計データの分析・活用の話は出てきますが、中小企業はまだまだ会計データの活用が広がっていないと感じています。ITツールを通じて、より可能性が広がって欲しいと思います。




税理士として経営者を守る、士業同士で積極的に連携

信頼を積み上げることが税理士としての職務

税理士を目指したきっかけは、学生時代の家庭教師の先が税理士事務所を経営されており「税理士やってみたら」と言われたことでした。岡山大学を卒業した後、倉敷市の秋田税理士法人に10年間勤務し、そこで税理士の基礎を学びました。秋田先生は常々、「税理士は法律家であり、法令・通達・裁判例・裁決を読み込み、お客さまを守らなければならない」ということをおっしゃっていました。そのためには、時には経営者の方に厳しいことも言わなければなりません。そうした私の税理士としての基本的な礎を築いてくださったのが秋田税理士法人でした。

独立志向が必ずしもあった訳ではありませんが、自分の力を試したいと思ったのと、より積極的なITの活用にチャレンジしてみたいという思いが重なり、独立することを決意しました。私が思う税理士としてのやりがいは、税務会計を通じて価値提供していくことで、それが積み上がっていき、多方面に渡る信頼が得られることです。お客さまの企業の経理部長をやっているような感覚ですね。税理士のように長年にわたって信頼関係を築ける職種は珍しいと思います。真面目に価値を提供していくことで、お客さまの信頼を積み上げていく。IT活用のサービスも始めましたが、税務においてミスは許されません。税務面がしっかりと対応できていることが大前提であり、秋田税理士法人で学んだ基礎が今も息づいています。

個人的な感覚ですが、お客さまが税務・会計に正しい知識を持ち始めると、決算書は税務署に対してのみ作成するのではなく、自ら経営に活かしていく目的で作成すべきものであることに気付かれます。さらにそれを一歩先へ進めようとすれば、新しく取組を始めたBIツールのようなものが必要になってきます。お客さまの成長に応じて、私自身もサポートできるようになりたい。成長するお客さまのステージ合わせて寄り添える税理士を目指しています。


士業同士の積極的な連携で、経営者のメリットを最大化

私は今後、税理士のような士業の専門家はたとえ同業であったとしても積極的に連携していくべきだと考えています。何かに特化した士業同士が連携することができれば、お客さまである経営者側のメリットが最大化されます。例えば、企業再生について、専門性がない者が膨大な時間をかけて対応するよりは、その道のプロがしっかりと対応することで、効率性があがります。税法もこれだけ多岐に渡ると、情報共有や役割分担が必要です。

私から見たクレジオ・パートナーズは「外科のスペシャリスト」ですね。私は、経営者に常に寄り添う内科医のような立場ですが、M&Aのような外科的措置が必要になった際には、クレジオの専門性を活かしたいと思います。例えば、李さんとお仕事でご一緒した時に、提案されたプランを見て、私も税理士の端くれ、その内容については理解ができるものの、その提案に至る過程で比較検討されたであろう別プランや細部にわたるメリット・デメリットの対比など、知識と経験から来るその壮大な全体像を理解することはとてもできないなと感じました。これからは、そういったお互いの専門性を活かして連携していくことが望ましいと考えています。加えて、今後は先ほど説明したBIツールで我々とクレジオとの間で会計情報を共有化することで、よりよいサービス提供ができるのではと考えています。

BIツールでの連携でいうと、私が提供しているサービスは、他の税理士事務所と連携して提供することができます。会計の日々の業務は既に顧問となっている税理士事務所にお願いしつつ、よりデータを活用したい時はスポット的にご依頼いただければ、連携して経営者に価値を提供するという形で役割分担をすることができます。同業の税理士やその他の士業の方とも、一緒に価値を提供できるパートナーになりたいです。ぜひ、我々を「IT/データ分野での外科医」としてご利用ください。


経営者と共に「税務・会計」を学びたい

「税務・会計を一緒に学びませんか」と、地域の経営者の方にお伝えしたいです。大学院での講義を通じて、会計を学んだ方々の視野の広がりについては何度も経験してきました。会計を知ることができれば、その先に「この情報が欲しい」「あの情報と組み合わせたらどうか」といったように、BIツールにもより一層関心を示して頂けると考えています。

ほとんどの経営者は、損益計算書を中心に会計を把握していると思っています。損益計算書は基本的に単年度でリセットされるため、視点が1年単位になってしまいます。1年単位の視点になると「税負担の最小化」が経営にとって一番よいという感覚に陥りがちです。損益計算書だけでなく、貸借対照表にも理解があれば、当期純利益により内部留保を積み上げていくことが、経営においては健全ではないかと考えるようになります。こういった経営にとって有用な「会計」を、BIツールを活かしながら、私も経営者と一緒に学んでいきたいと思っています。



企業情報

会社名山本晋税理士事務所
代表者名税理士 山本 晋
本社所在地岡山県倉敷市西中新田632-1 きくやビル2階
HPhttps://www.cpta.co.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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