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コラム COLUMN

コンクリート老舗メーカー、新しいステージに向けたM&Aの活用|株式会社ナガ・ツキ

コンクリート二次製品の老舗メーカーであり、「人々の豊かな生活に貢献する」をビジョンに掲げる株式会社ナガ・ツキ。積極的にM&Aを活用し、自社事業の成長・強化や、新たな事業展開を目指す同社 代表取締役社長 長谷川 晴信氏に、現在の取組や、今後の事業戦略、事業承継への想いについてインタビューを行いました。

コンクリートの可能性を追求、「地域の老舗メーカー」から新しいステージを目指す

事業概要

「地域の老舗」としてのプレキャスト・メーカー

株式会社ナガ・ツキは、私の父が創業しました。私自身は、2代目になります。父は最初、現在の当社の事業と同じような事業の会社に入社し、その後独立しました。

当社の主力事業は、プレキャスト製品(コンクリート二次製品)です。その他、建築資材卸業や、コンクリートを利用した小物製品の製造を行っています。プレキャスト製品は、土木・建築の現場で利用されています。現場で生コンからコンクリート製品を成形するのではなく、あらかじめ工場でコンクリート製品として製造・加工し、現場で施工するのがプレキャストの工法です。工場で製造しているため、高品質かつ安全性の高い工事ができるということで、現在、国土交通省等も推奨しています。

当社は、1968年の創立以来、50年以上、コンクリート製品製造の実績があります。これまでのノウハウや技術を活かし、お客さまに対して、リーズナブルな価格で、現場のニーズに応じたきめ細かい対応ができることが当社の強みです。在庫を豊富に持つことを方針として打ち出しており、基本サイズだけでなく、お客さまの要望に応じ、イレギュラーなサイズ(「半分にして欲しい」「少し曲げて欲しい」等)も揃えています。全てが揃えられている訳ではありませんが、お客さまのニーズに応えられるようオーダーメイドで対応できる強みがあります。加えて、地元の型枠事業者と連携することで、他社よりも早い納期を実現することができます。この方針を社員一同が意識して取り組んでいることが当社の強みです。

これまでの広島の建設市場は、宅地造成の案件の数が多かったこともあり、当社は価格戦略で競争優位を保つことができていました。現在はそういった大規模の造成案件は少なくなっており、市場環境が変化しています。そのような中で、当社はこれまでの良心価格を貫くことと、お客さまのニーズに応じた提案営業に力を入れています。設計通りに型の決まった製品を販売するのが他社の通常のやり方なのですが、現場では様々なニーズが発生します。そういったニーズに応えられるような提案営業を進めることで、当社の技術力を活かしていきます。



父から受け継いだ「社長業」、“新しいこと”への挑戦

私が社長を引き継いだのは十数年前で、年齢で言うと、38歳か39歳の年です。元々、建設会社で4年程勤めた後に、不動産会社に入り、その後現在の株式会社ナガ・ツキに入りました。入社した後も、いきなり社長ではなく、10年程、営業や管理系の業務を行っていました。社長になるのは、自分としては自然な流れで、それまでも何となく会社を継ぐという意思はありました。建設関係の会社で学んだ後に、自分で父に「株式会社ナガ・ツキに入社させて欲しい」と伝えました。

入社して10年後に社長になる訳ですが、自分自身の想いとしては、社長になることで、“新しいこと”にチャレンジしたかったですね。“新しいこと”って、なんかやってみたいじゃないですか。ただ、会長となった父も元気だったので、実際の経営権と支配権の移譲は徐々にという感じでした。実務の部分は私が担っていましたが、新しい投資に繋がる取組は、少しずつという状況でした。現在では、ある程度、自分自身の思うことを実現することができるようになったのですが、本当に実現するためには、社員の採用と育成が必要です。少しずつ、新しい若い人が入り始めたのもここ1~2年の動きですね。まだまだ、新しいことへの取組はこれからですね。


採用面では、1年半くらい前に、現在で営業2年目の女性社員が応募して入社してくれました。その女性社員と一緒に様々な色んな求人イベントに参加したところ、色んな反響がありました。その結果、その女性社員に憧れて、新卒の新入女性社員が入る等、いい循環が生まれています。彼女に話を聞いたら、「先輩女子社員に憧れて、入社した」とのことでした。採用で新たに取り組んだ具体的な内容としては、当社のHPをリニューアルしたことです。今では、20代の方も当社を見てくれるようになりました。社員の人材育成や、マネジメントの取組はこれからですが、製品に関する半日勉強会を実施する等、少しずつ仕組みをつくっていき、マネジメントの手法を取り入れた組織にしていくことが今後の課題です。

今後力を入れていきたい新規事業として、コンクリートを利用した小物(傘立て、文具、時計、什器等)の製造に取り組んでいます。展示会へ出展する準備をしていましたが、昨年は新型コロナウイルスの影響でなくなってしまったので、今年は販売も含めて強化していきたいと思っています。これ以外にも、「特注コンクリート二次製品.com」というWebサイトで、コンクリートの図面や特注製品をオーダーできる仕組みをつくりました。階段ブロックや、側溝、桝等の特注のコンクリート製品の概要や設計図、施工事例等をWebサイトに掲載し、お客さまからオーダーを受け付けることができます。こうした情報発信をしていくことで、「クリスマスのキャンドル用の製品をつくって欲しい」等、自分達だけでは考えないようなお客さまの声に触れることができ、大きな学びを得ることができました。こういった分野には今後も力を入れていきたいです。

コンクリートを通じた人々の生活の向上、建築資材の「総合商社」を目指す

今後の目指す方向性は、建設業界におけるプレキャスト率(製品化率)を高めていきたいという想いがあります。建設業でセメントを利用する方法は、大きく「生コン」「製品(プレキャスト)」に分かれます。日本ではプレキャスト率が15%程度なのですが、欧米では30-40%程度と、日本と比較して高いです。プレキャストの工法が導入されれば、建設会社は確実に職人不足の解消ができます。また、製品を工場で管理することで、品質は向上し、長寿命化します。加えて、現場での安全が担保できます。作業自体も、現場ではめこむだけという工程なので、工期も短くなります。まだまだ日本では、現場で生コンから製造した方が採算がいいと思われがちですが、工期を短縮することで新たな受注に取り組むことができれば、結果として、プレキャストを導入した方が、事業の成長に結びつきます。コンクリートを通じて、人々の生活を豊かにするためにも、プレキャストの導入率を高めていきたいと考えています。。

もう一つの方向性として、我々自身が建設会社になることも考えています。これはM&Aに取り組む目的の一つですが、当社が建設会社になることで、自分達の製品を使い、魅力的な工事ができれば、それがショールームになり、より大きな受注が見込めます。我々は、これまで培った技術を用いて「コンクリートで何でも製品化できる」と信じています。新しく始めた雑貨市場も、必ずしも大きい市場ではありませんが、「コンクリートでできることは何でもやりたい」と思ったので始めました。事業化できるかはこれからですが、例えば、コンクリートの流し台や内装・家具、什器、椅子等、生活に近い製品を企画し、提案し、実際に造ることができる会社を目指しています。

ただ、これらを実現するためには、ある程度の規模が必要です。現在、広島県・島根県に工場があり、取引のエリアも島根県・岡山県・広島県・山口県と広がっていますが、このエリアを更に広げていきたいです。また、当社のクライアントは、コンクリートに限らず、建築資材を求めているので、取り扱う製品アイテムを増やしていきたいという想いもあります。「ナガ・ツキに言えば建築資材は何でも揃う」、そんな建築資材市場の総合商社としての機能を強化し、地元の建設会社のニーズを何でも対応できるようにしたいというのが率直な想いです。


規模拡大に向けM&Aを積極的に活用、事業承継に多様な選択肢を

M&Aの方針

当社としてはM&Aは経営戦略上、重要な取組として積極的に取り組んでいます。経営戦略として、お客さまのニーズに更に応えていくため、現在のコンクリート製品以外の建築資材も取り扱うという「経営の多角化」を目指しています。また、仕入ルートの確保、新規顧客開拓も重要です。これらを実現するために人材も必要です。従業員や建設業における有資格者等、企業を成長させるための“人財”を確保しなければなりません。会社としての規模が大きくないとできないことは多くあるので、M&Aを通じて規模拡大に向けた成長を早めたいと考えています。商品開発や研究開発等、やりたいことはまだまだあります。M&Aを活用し、相乗効果の高い経営資源の獲得を目指します。

当社もこれまで、2社のM&Aを行いました。また、島根の美郷工場も実質M&Aのような形で取得しました。これらの経験を通じて感じるM&Aの課題は「マネジメントの難しさ」です。M&Aはあくまで手段であり、目的ではありません。M&Aを通じて、どのように相乗効果を発揮するか、M&A前のやり方を踏襲するだけではなく、もう一歩先のマネジメントができるかが重要だと感じています。人材の採用も大きな課題です。若い人が入ってくれるかどうかで、その企業の成長は決まります。M&Aした後に、更に成長するためには、マネジメントが課題であり、我々の本気度も試されていると感じています。

当社グループに加わって頂くにあたり、改めて「一緒にやりたい」と思う会社は、まず第一に、双方のビジネスで相乗効果がある、伸ばすことができる、という方向性が確認できる会社です。我々としては、その会社の核となる部分をしっかり確認させて頂きたいと考えています。「その会社が成り立っているための重要な要素は何か」という視点でお話をして、それぞれの相乗効果が見込める企業と一緒に、事業を成長させていきたいと思っています。

現在、事業承継が社会的な課題になっています。私自身、2代目として会社を引き継いだ経験から、基本的に「事業承継は時間がかかる」という印象です。社長を継ぐために積み上げた経験と時間が必要です。なので、「後継者」又は「従業員」への引継ぎが難しいとなった場合、「会社を第三者にM&Aで売却する」もしくは「廃業する」という選択肢も認めていいと思います。楽観的に全ての会社の事業引継ぎが完了するとは思っていません。二代目の私からすると、創業者にとって、会社は「自分そのもの」だと思います。従業員への承継も実態としては難しいです。性格にもよると思いますが、やはり従業員に比べて、経営者は生き方そのものが違う。私自身は「トラブルがないと面白くない」と思っているタイプなので、この考えは絶対ではないと思いますが、事業承継にも色んな選択肢があっていいと思います。


買収対象業種

・建築資材関係事業(コンクリート以外でも可能)
・建設会社

買収対象規模

売上規模5億円から

買収フロー

決算書等による質疑応答、デューデリジェンス、面談を通じ、当社とのシナジーに基づき判断します。

M&A後の対応

役員派遣‧役員登用については、規模・ケースに応じて相談させてください。
社名については、一定期間後、変更することを考えています。

これまでのM&A実績

広陵工業株式会社(広島県広島市)

コンクリート製品製造業。商圏の拡大を見込み、M&Aを実施。

関西コンクリート工業株式会社(広島県三原市)

コンクリートの製品製造業(トラフ等)。顧客拡大を見込み、M&Aを実施。



事業承継には早めの対応が必要。「社長の成長」と「会社の成長」

売手経営者へのメッセージ

私自身が偉そうなことは言えませんが、やはり会社オーナーの寿命より、会社の寿命の方が長くないといけないのではと考えています。人間はどんどん衰えていきます。その一方で、会社は成長していかないといけない。その会社のビジネスをもっと成長させることができると思ったら、事業引継ぎも含めて、「早めに相談して、託す」という選択肢を考えた方がいいと思います。これは第三者に引き継ぐだけではなく、親族や従業員の後継者へ引継ぐ場合も同じです。

一方、自分で最後まで社長をやり抜くという方は、そのままやるのがよいと思います。私自身も80歳まで社長をやるつもりです。最後までやりきる選択肢もあっていいと思います。ただ、会社のことを考えた場合、「社長の成長」が「会社の成長」そのものであり、伸びてないと感じるのであれば、別の方に託すやり方はあるのかなと思います。もちろん、私もまだまだですが。いずれにしても早めに検討を進めること、取組を始めることが大事かなと思っていますし、当社でお役に立てるのであれば、ぜひ“新しいこと”を目指す当社に託して欲しいと思います。




企業情報

会社名株式会社ナガ・ツキ
代表者名代表取締役社長 長谷川 晴信
創立年度1968年4月(設立2005年6月)
従業員数88名(2020年12月末時点)
売上高17億7千万円(2020.5月期)
資本金9,000万円
事業内容コンクリート二次製品の製造・設計・企画
建設資材の販売等、幼児教室
本社所在地広島市中区吉島西 1-21-1
HPhttps://www.nagatsuki.co.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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