高知県のM&A・事業承継事例|休廃業・倒産状況・後継者不在率まとめ
高知県は人口減少や産業構造の変化により、中小企業の事業承継や後継者不足が大きな課題となっています。地域経済を支える企業を存続・発展させるためには、M&Aを活用した承継・再編が重要な選択肢です。
本記事では、高知県の経済概況・産業構造・休廃業・倒産件数の動向をデータで整理しつつ、全国との比較で見た後継者不在率の現状をわかりやすく解説します。
また、実際に高知県で行われたM&A事例(事業譲渡・事業売却・会社譲渡)も紹介し、高知におけるM&A動向を総合的にまとめています。
目次
高知県の経済概況|産業構造と成長分野
高知県の最新の経済規模を示す県内総生産(名目)は、令和4年度(2022年度)に約2兆4,074億円となっており、前年度比で+1.2%のプラス成長となりました。
実質経済成長率も+0.5%と、全国平均と比較するとやや緩やかな伸びとなっています。また、県民所得は約1兆8,264億円で、前年度比+0.4%増と微増傾向を維持しています。1人当たり県民所得は約270.3万円となっています。
産業別構造を見ると、令和4年度の高知県の県内総生産における構成比は、第1次産業が約3.5%、第2次産業が約17.9%、第3次産業が約77.5%で、第3次産業(サービス業等)が全体の大部分を占めています。依然としてサービス業中心の産業構造です。
高知県の人口は約64.3万人(2025年12月1日時点)です。高知県は、北は四国山地で、愛媛県と徳島県に接しており、南は太平洋に面しています。
森林面積が全国で最も高く、豊かな自然環境を有しており、その自然環境が一次産業の比率の高さに繋がり、四万十川流域や室戸ジオパーク等の観光資源になっていることも特徴です。「カツオのたたき」等の地域ならではの食べ物を有しており、土佐和紙・土佐打刃物等の伝統的な産業が未だ息づく地域です。
高知県の倒産件数・休廃業件数の推移
高知県の倒産件数の推移
| 調査年 | 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 | 高知県 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 50件 | 37件 | 40件 | 31件 |
| 2021年 | 27件 | 39件 | 46件 | 17件 |
| 2022年 | 32件 | 27件 | 37件 | 13件 |
| 2023年 | 40件 | 60件 | 60件 | 21件 |
| 2024年 | 46件 | 54件 | 67件 | 46件 |
| 2025年 | 68件 | 65件 | 58件 | 28件 |
参照:日本経済新聞-四国4県の25年倒産219件、過去10年で最多 物価高・人件費増響く
2025年の四国4県の倒産件数(負債1000万円以上)は、前年比7%増の219件です。
債総額は3.6倍の852億2900万円。件数、負債総額ともに過去10年で最多。物価高や人件費の上昇がつづき、価格転嫁できない企業の経営状況が厳しくなっている実態が浮き彫りになりました。
高知県の休廃業件数の推移
| 調査年 | 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 | 高知県 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 258件 | 447件 | 651件 | 293件 |
| 2021年 | 232件 | 467件 | 600件 | 276件 |
| 2022年 | 226件 | 454件 | 551件 | 279件 |
| 2023年 | 297件 | 507件 | 662件 | 303件 |
| 2024年 | 409件 | 630件 | 736件 | 358件 |
参照:帝国データバンク-四国地区「休廃業・解散動向調査(2024年)
2024年に四国で休業や廃業、解散した企業(個人事業主を含む)は2,133件(前年比20.6%増)、2016年以降で初めて2,000件を上回っています。
2024年の休廃業・解散は全国で約6.9万件と過去最多を記録し、前年比約1.7万件(約16.8%)増加しました。コロナ禍の支援縮小、コスト高騰、経営者の高齢化などが複合的に影響し「資産超過型」や「黒字型」の休廃業が目立ったのが特徴です。
高知県の後継者不在率は全国4位
| 調査年 | 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 | 高知県 | 全国平均 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2018年 | 46.3% | 43.5% | 61.3% | 58.1% | 66.4% |
| 2019年 | 49.0% | 46.1% | 62.0% | 58.5% | 65.2% |
| 2020年 | 50.2% | 47.7% | 62.8% | 59.1% | 65.1% |
| 2021年 | 56.7% | 47.9% | 62.4% | 57.9% | 61.5% |
| 2022年 | 61.6% | 49.0% | 62.1% | 57.5% | 57.2% |
| 2023年 | 61.8% | 49.3% | 62.5% | 57.3% | 53.9% |
| 2024年 | 60.2% | 48.7% | 61.4% | 60.0% | 52.1% |
| 2025年 | 53.0% | 47.5% | 59.2% | 63.2% | 50.1% |
参照:帝国データバンク-四国地区「後継者不在率」動向調査(2025年)
2025年の高知県の後継者不在率は63.2%、全国4位の高さです。
高知県は、近年にかけて後継者不在率が上昇傾向にあり、2025年には6割を超えました。人口減少と若年層流出の影響を強く受け、後継者候補そのものが不足している状況が読み取れます。
四国4県を比較すると、後継者不在の状況は県ごとに異なるものの、共通して言えるのは親族内承継だけでは限界が見え始めているという点です。特に後継者不在率が高止まりしている県では、「事業は黒字でも、承継できずに廃業する」リスクが現実味を帯びています。
こうした中、M&Aや第三者承継は、事業を次世代につなぐ現実的な選択肢として存在感を増しています。後継者がいないからこそ、早い段階で選択肢を整理し、地域内外の承継ニーズと結びつけていくことが、企業の価値を守るうえで重要になってきています。
高知県のM&A・事業承継の事例一覧
高知県の地域経済において、事業承継や成長戦略の観点から注目されるM&A事例をまとめました。
M&A事例①しぎん地域活性化ファンドが土佐清水リゾートに投資実行
(2019.10発表)四国銀行(高知県高知市)が出資し、四銀地域経済研究所(高知県高知市)が運営するしぎん地域活性化ファンドは、土佐清水市にて宿泊施設運営事業を行う土佐清水リゾート(高知県土佐清水市)に投資実行しました。
土佐清水リゾートは、皇室がご来館されたことでも知られる老舗観光ホテル「足摺パシフィックホテル花椿」を事業承継した宿泊施設運営会社であり、円滑な事業承継による雇用維持と地域の観光振興の観点から、日本政策金融公庫や高知県信用保証協会と連携し、事業承継の支援を行いました。
M&A事例②ウェルシアHDがよどやを子会社化
(2019.10発表)ドラッグストアチェーンを展開するウェルシアホールディングス(東京都)が、創業200年で高知県内に24店舗(2019年3月末時点)のドラッグストアを展開するよどや(高知県高知市)を子会社化しました。
ウェルシアホールディングスは、よどやの高知県における営業ノウハウを取り入れ、共同仕入によるスケールメリットを活かし、四国地方の出店強化を図る形になり、高知県においても調剤薬局業界における業界再編の動きが進んだ事例です。
M&A事例③四電工が関西設備を子会社化
(2019.8発表)四国を中心に総合設備事業を展開する株式会社四電工(香川県高松市)は、高知県内で空調設備工事、給排水・衛生設備工事等を手掛けている株式会社関西設備(高知県高知市)を子会社化しました。
四電工は、高知県内で多数の工事実績を持つ関西設備を子会社化することに営業面・施工面でさらなる協業の促進、収益力・施工力の強化を目指すこととしています。
M&A事例④極洋がクロシオ水産に資本参加
(2019.8発表)水産物の養殖事業を展開する株式会社極洋(東京都港区)は、高知県宿毛湾にて真鯛を主体に積極的に新しい業種の養殖も展開しているクロシオ水産(高知県幡多郡)へ出資持分70%の資本参加を行いました。
このM&Aを通じて、極洋は水産物の調達力の多様化や安定供給の維持・拡大を図っています。
M&A事例⑤萩原工業が東洋平成ポリマーを子会社化
(2018.5発表)合成樹脂加工製品事業を中心に化学繊維製品を製造・販売を展開する萩原工業(岡山県倉敷市)は、文具から食品、医薬まで幅広い分野で包装用途等に使用されている機能糸・産業資材ラミクロス類・合成樹脂製フィルム製品を手掛ける東洋平成ポリマーを子会社化しました。
萩原工業は、合成樹脂加工における技術開発を進め、新市場開拓を図ります。
高知県におけるM&A動向の展望
高知県は、森林面積の広さや四万十川に代表される豊かな自然環境を背景に、農業・林業・水産業といった一次産業や、観光業、伝統産業が地域経済を支えてきた県です。一方で、人口減少や若年層の県外流出が続いており、企業経営においては人材確保や事業承継が深刻な課題となっています。
直近のデータを見ると、高知県の倒産件数や休廃業・解散件数は増加傾向にあり、特に2024年以降は物価高や人件費上昇の影響を受け、経営環境は一段と厳しさを増しています。その中でも注目すべき点は、2025年の後継者不在率が63.2%と全国4位の高さに達していることです。
こうした環境下で、高知県におけるM&Aは、単なる業界再編や事業拡大にとどまらず、事業承継の有力な選択肢として位置づけられています。実際に、地域金融機関や投資ファンドが関与する形で、観光業、調剤薬局、設備工事業、水産業、製造業など幅広い分野でM&Aを活用した事業承継が進められてきました。
今後の高知県では、後継者不足を背景とした事業承継型M&Aがさらに増加すると見込まれる一方で、県外企業による地域産業への参入や、経営基盤の強化を目的とした成長志向型M&Aも並行して進んでいくと考えられます。
高知県でM&Aの成功には早期相談が鍵
高知県では、後継者不在率(後継者不足)の上昇に加え、倒産件数や休廃業・解散件数の増加を背景に、M&Aや第三者承継の重要性がこれまで以上に高まっています。特に「まだ黒字だから」「今すぐ考える必要はない」と判断を先送りした結果、承継の選択肢が限られてしまうケースも少なくありません。
M&Aは、単に会社を売却するための手段ではなく、従業員の雇用や取引先との関係、地域に根ざした事業を次世代へ引き継ぐための経営判断です。そのためには、事業内容や財務状況だけでなく、経営者自身の想いや将来の方向性を踏まえたうえで、最適な承継・成長戦略を検討することが欠かせません。
クレジオ・パートナーズは、広島を拠点に中国・四国エリアで数多くの中小企業のM&A・事業承継を支援してきた、地域密着型の専門コンサルティング会社です。高知県においても、地域金融機関や専門家と連携しながら、経営者一人ひとりの状況に寄り添った伴走型の支援を行っています。
「まずは話を聞いてみたい」「会社の価値を知りたい」「親族内承継とM&Aのどちらがよいか迷っている」など、どの段階でも構いません。将来の選択肢を広げ、事業と企業価値を守るためにも、早い段階で専門家に相談することが、高知県におけるM&A成功の第一歩となります。
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クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
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