広島県のM&A・事業承継事例|休廃業・倒産状況・後継者不在率まとめ
中国・四国地域には様々な産業があり、M&Aを検討する上でも、それぞれの産業特性を考えた上で、事業譲渡(事業売却)の状況やニーズ・課題を把握することが必要です。
本記事では、広島県の経済概況・産業構造・休廃業・倒産件数の動向をデータで整理しつつ、全国との比較で見た後継者不在率の現状をわかりやすく解説します。
また、実際に広島県で行われたM&A事例(事業譲渡・事業売却・会社譲渡)も紹介し、広島におけるM&A動向を総合的にまとめています。
目次
広島県の経済概況|産業構造と成長分野
広島県は、2022年度(令和4年度)の名目県内総生産が12兆2,284億円となっており、成長率は前年度比+0.4%と安定した経済規模を有しています。生産面では、建設業や卸売・小売業の寄与が大きく、インフラ整備や消費動向が県内経済を下支えしています。
広島県の人口は約269万人(2025年11月1日時点)で、中国地方最大の人口規模を誇ります。産業構造の最大の特徴は、「ものづくり」を中核とした製造業集積です。
自動車産業(マツダを中心とした関連企業群)をはじめ、造船業、鉄鋼業、機械・金属加工業などが県内各地に集積しており、製造品出荷額等は中国・四国地方で1位を維持しています。
また、広島県は関西圏と九州圏の中間に位置し、広島市・福山市・東広島市などの主要都市を軸に、人流・物流の拠点として機能しています。山陽新幹線、広島港、福山港などの交通・物流インフラを背景に、西日本のビジネス拠点としての役割を担っています。
近年では、宮島(厳島神社)や原爆ドームといった世界的な観光資源を有することから、観光産業の成長にも注力しており、製造業と観光業が両輪となって広島県経済を支える構造が形成されています。
広島県の倒産件数・休廃業件数の推移
| 年度 | 休廃業・解散件数 | 備考 |
|---|---|---|
| 2018年 | 563件 | 過去10年で最少 |
| 2019年 | 655件 | 2018年比増加 |
| 2020年 | 1188件 | 2年ぶりに減少 |
| 2021年 | 1202件 | 2年ぶりに増加 |
| 2022年 | 1194件 | 2年ぶりに減少 |
| 2023年 | 1354件 | 過去5年で最多 |
| 2024年 | 1543件 | 過去5年で最多(2年連続増加) |
参照:帝国データバンク「広島県 企業の休廃業・解散動向調査(2024年)」
2024年の広島県の休廃業・解散件数は1,543件で過去5年で最も多い件数となっています。
全国的に休廃業・解散件数は増加傾向にあり、2024年は全国でも過去最多となっています(全国で約6.9万件)。
広島県でも同様に、コロナ禍後の支援縮小、物価高・人手不足などの影響を受け、中小企業を中心に休廃業・解散が増加している傾向が見られます。
広島県の休廃業・解散が増加している背景
広島県における休廃業・解散件数の増加は、単なる景気後退によるものではなく、複数の構造的要因が重なった結果と考えられます。
具体的には、コロナ禍における各種支援策の終了・縮小により、これまで資金繰りを維持してきた中小企業が、将来の事業継続に見切りをつけるケースが増加しています。
加えて、物価高や人手不足の影響により、収益改善の見通しが立たない企業では、「倒産する前に自主的に事業を終える」という判断が現実的な選択肢となりつつあります。
特に後継者不在の企業では、事業承継の選択肢を十分に検討できないまま、休廃業・解散に至るケースも少なくなく、こうした動きが件数増加の一因となっています。
広島県の倒産件数の推移
| 年度 | 倒産件数(法的整理) | 備考 |
|---|---|---|
| 2018年 | 184件 | 基準値(過去中位) |
| 2019年 | 190件 | 前年並み |
| 2020年 | 165件 | 変動なし |
| 2021年 | 106件 | コロナ影響下でも横ばい |
| 2022年 | 106件 | 記録が残る中で最少水準 |
| 2023年 | 157件 | 4年ぶり高水準 |
| 2024年 | 200件 | 2年連続増加・1965年以降で多め |
参照:帝国データバンク広島県「倒産リスク」分析調査(2024年)
広島県では、倒産件数の増加以上に、休廃業・解散の急増と後継者不在問題が深刻化しています。
広島県では、休廃業・解散件数が大きく増加している一方で、倒産件数は急激な増加には至っていません。この点は、企業の「退出の仕方」が変化していることを示しています。近年では、金融機関や専門家と早期に相談し、法的整理に至る前に自主的な事業整理や清算を選択する企業が増えています。
これは一見すると健全な動きにも見えますが、本来であれば事業承継やM&Aによって存続できた可能性のある企業が、市場から退出している状況ともいえます。つまり広島県は「倒産よりも、事業承継できずに消えていく企業が多い県」という全国共通課題を、より先行して抱えている地域といえます。
特に建設業・サービス業・製造業を中心に、事業承継を前提としたM&Aや第三者承継の重要性が高まっており、今後は「倒産を防ぐためのM&A」という視点が、地域経済の持続性を左右する鍵となります。
広島県の後継者不在率は全国11位
| 調査年 | 後継者不在率 | 全国順位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018年 | 73.2% | 5位 | 高水準/調査開始期 |
| 2019年 | 73.1% | 4位 | 横ばい |
| 2020年 | 71.3% | 8位 | やや改善 |
| 2021年 | 64.4% | 11位 | 全国平均に近づく |
| 2022年 | 59.0% | 21位 | 改善傾向続く |
| 2023年 | 56.6% | 22位 | 調査開始以降で最も低い |
| 2024年 | 57.6% | 16位 | 2023年から微増 |
| 2025年 | 57.9% | 11位 | 4年連続で6割を下回る |
参照:帝国データバンク「広島県「後継者不在率」動向調査(2025年)」
広島県では、深刻な後継者不足が地域企業の大きな経営課題となっています。
広島県の後継者不在率は、2018〜2019年の70%超の高水準から、2020年代に入って一貫して低下傾向が続いています。2023年には調査開始以来最も低い水準となる56.6%を記録しています。
この背景には、事業承継税制の改善や、事業承継・引継ぎ支援センター等によるサポート、金融機関による承継支援ファンドなど、官民一体となった事業承継支援策の広がりが一定の効果を発揮していることがあると考えられています。
ただし、広島県の後継者不在率は全国平均(約50.1%/2025年調査)より高い水準で推移しており、依然として多くの企業で後継者が確定していない状況が続いています。
また業種別では建設業などで不在率が高い傾向が継続しており、地域経済全体としての事業継続・承継が重要な課題となっています。
広島県のM&A・事業承継の事例一覧
広島県の地域経済において、事業承継や成長戦略の観点から注目されるM&A事例をまとめました。
小売・流通のM&A事例
事例①フジがニチエーを完全子会社化(2020.1発表)
四国地域の地場流通大手のフジ(愛媛県松山市)が、広島県で食品スーパーを11店舗展開していたニチエー(広島県福山市)を完全子会社することを2020年1月に発表しました。
地域におけるスーパーマーケット業界の再編の一つに位置付けられるM&A事例です。
食品・製造業のM&A事例
事例②ブルドックソースがサンフーズを子会社化(2019.10発表)
ブルドックソース(東京都)が、広島でお好み焼きの「ミツワソース」や「ヒガシマル」でブランド展開していたサンフーズ(広島県広島市)を完全子会社化しました。
サンフーズは、1916年の老舗ブランドであり、ブルドックソースにとっては14年ぶりのM&Aとなりました。ブルドックソース自身も1902年創業であり、地域と歴史を超えたソース業界におけるM&A事例です。
外食・サービス業のM&A事例
事例③キングファクトリーグループへひろしまイノベーション推進機構が出資(2020.4発表)
広島・東京・大阪で、広島県のご当地グルメである「汁なし担々麺」の“キング軒”や、「お好み焼き」の店舗を計7店舗展開しているキングファクトリーグループ(広島県広島市)へ、広島県100%出資で設立された投資ファンドであるひろしまイノベーション推進機構が出資し、事業承継と成長支援を目的に同社の全株式を引き受けました。
地域から全国へ羽ばたくビジネスを行政等が出資しているファンドが支援した好事例です。
広島県内企業のM&A関連プレスリリース
株式会社マイティネット
株式会社マイティネットは、2021年1月4日にIT関連事業を会社分割して、ひろぎんITソリューションズ株式会社を設立しました。また、株式譲渡により株式会社ひろぎんホールディングスのグループ会社となりました。
- 会社名:株式会社マイティネット
- 設立:1975年7月1日
- 本社:広島県広島市西区草津新町1丁目21-35
- 資本金:2,000万円
- 従業員数:445名(2020年4月1日現在)
- HP:https://www.mighty.co.jp/index.html
株式会社ダイヤエコテック広島
JFEエンジニアリング株式会社のグループ会社であるJ&T環境株式会社は、三菱重工業株式会社より、2021年10月2日付で、同社の子会社である株式会社ダイヤエコテック広島の過半数の株式を取得し、J&T環境の子会社としました。
- 会社名:株式会社ダイヤエコテック広島
- 設立:2002年5月15日
- 本社:広島県広島市中区江波沖町5-1
- 資本金:9,000万円
- 従業員数:-
- 事業内容:ペットボトル・プラスチック製容器包装リサイクル事業
- HP:-
- 【プレスリリース】 広島市のプラスチックリサイクル会社を子会社化
広島県M&Aの傾向と今後の注目ポイント
広島県は、製造業をはじめとするものづくり産業を軸に、中国地域の主要なビジネス拠点として経済活動が展開されてきました。一方で、地域には果樹園(いちご農家やぶどう農家)など農業分野や、伝統工芸を担う事業者といった小規模・家族経営の企業も多く存在しています。
休廃業・解散や倒産件数は一定水準にとどまっているものの、後継者不足による後継者不在率は全国的に見ても高水準にあり、事業承継は広島県における深刻な経営課題の一つとなっています。特に農業や伝統産業では、技術やブランドを次世代に引き継げず、やむなく廃業を選択するケースも少なくありません。
こうした背景のもと、広島県のM&A案件では、地域に根差した飲食業・小売業に加え、農業法人(いちご農家等)や伝統工芸関連事業を対象とした事業承継型M&Aが増えています。
従来からの後継者不足という構造的課題に加え、新型コロナウイルスの影響を契機に、業界全体の再編ニーズも顕在化しました。今後は、地域産業を守りながら成長につなげる手段として、事業承継型・業界再編型M&Aの重要性がさらに高まり、ニーズは一層拡大していくと見込まれます。
広島県でM&Aを成功させるには早期相談が鍵
広島県は後継者不在率の高さから、事業承継(後継者募集)が大きな課題となっています。近年は飲食業(飲食店)・小売業(スーパー)などの生活密着型の業種をはじめ、コロナ禍を経て業界再編のM&Aも増加傾向にあり、今後もM&Aの需要は高まると見込まれます。
クレジオ・パートナーズは、広島を中心とした中国・四国エリアで多くの中小企業を支援してきた、地域密着型のM&A・事業承継専門コンサルティング会社です。
「まずは話を聞いてみたい」「会社がいくらで売れるのか知りたい」「親族内承継とM&Aのどちらが良いか悩んでいる」など、どの段階でもお気軽にご相談いただけます。経営者の大切な事業が次の世代につながるよう、最適な承継・成長戦略をご提案します。
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- 広島県M&A事例02|不動産・フード・福祉の多角化を加速|みどりホールディングスのM&A活用事例
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クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
URL:https://cregio.jp/
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