事業承継の相談先はどこ?税理士・金融機関・仲介会社の特徴を徹底解説
事業承継やM&Aを検討する際、多くの経営者が悩むのが「誰に相談すべきか分からない」という問題です。
税理士・会計士、地域金融機関、M&A仲介会社、公的機関など相談先は複数ありますが、それぞれ役割や得意分野が異なり、状況に合わない相談先を選ぶと話が進まないこともあります。
本記事では、事業承継の主な相談先について特徴や注意点を整理し、ケース別に適した相談先の選び方を分かりやすく解説します。
目次
【結論】事業承継の相談先はケースで決まる
事業承継の相談先に正解は一つではありません。以下を目安にすると、自社に合った相談先が見えやすくなります。
- 親族内承継・後継者が決まっている → 顧問税理士・会計士
- 地域内での承継・金融面の整理も必要 → 地域金融機関
- 買手探しから始める第三者承継 → M&A専門家
- 何から考えるべきか分からない → 公的機関・専門家への初期相談
事業承継に悩んだ際の主な相談先一覧
地域における事業承継の場合、相談相手となるのは「顧問税理士・会計士」「メインバンク(地域金融機関)」、「M&A仲介会社」が多いです。それぞれの強み・弱みを解説します。
顧問税理士・会計士に相談するメリット・デメリット
2016年版中小企業白書において、「リスクテイク行動を取る上で相談・検討する相手」として挙げられたのが約6割が「税理士・会計士」でした。

出典:2016年版中小企業白書
ここからも分かるように「税理士・会計士」は中小企業の経営者にとって身近な存在です。そんな税理士・会計士に相談する場合の強み・弱みを整理してみました。
| メリット | デメリット |
| 安心・信頼して相談できる 自社のことをよく理解してくれている 会計・税・財務の専門性が高い | 買手企業のネットワーク・情報が少ない 相手先探しから行うM&A全般のノウハウ・経験が少ない |
税理士・会計士は会計・税務の専門家であり、M&A専業ではないため、買手探索を含むM&A業務・第三者承継については対応範囲が限られるケースが多いのが実情です。
M&Aを決意し、買手企業をこれから探そうとする場合には、地域金融機関やM&A専門の仲介会社等、その分野に精通した知識・ノウハウ・ネットワークを有する専門家に依頼する方が適切と考えます。
一方、得意先を買手とするM&Aや、同業界の経営者仲間を買手とするM&Aのように、既に買手候補先が存在するM&Aも存在します。そういった場合、M&A手続きに必要な内容は、株価・条件や契約書等となります。その場合は、これらの業務の専門家である顧問税理士等に助言・サポートをしてもらうのは好ましいと思います。
また、地域の税理士事務所・会計事務所の中には、M&A仲介会社と提携しており、仲介会社を紹介してくれる場合もあります。信頼できる顧問税理士等に相談し、信頼できるM&A仲介会社を紹介してもらうのも良いと思います。
地域金融機関に相談するメリット・デメリット
信頼でき、自社の理解も深く、M&A全般の専門性も有している、M&Aの課題解決の心強い相談先が地域金融機関です。
一方、課題としては、地域金融機関は地域内で取引関係の裾野が広く、多数の取引先と利害関係にあることから、中立的な判断・助言がしづらい局面もあるということです。これは個々の金融機関の社風や営業姿勢の問題ではなく、構造的な問題も存在すると認識しています。
| メリット | デメリット |
| 安心・信頼して相談できる 自社のことをよく理解してくれている M&A全般の専門性が高い 県内や地域内のネットワーク・情報は圧倒的に多い M&A仲介会社より報酬が低い場合がある | 県外・地域外の買手ネットワークが少ない 売手と融資取引がある場合や、買手候補と融資取引がある場合、融資銀行としての立場もあるため、中立的な判断がしづらい場合がある |
M&A・事業承継の現場では、経営者の方からよく「メインバンクに相談したら、自分の事業意欲が減退していると思われて融資を引き揚げられないか?」と聞かれます。確かに、融資取引だけであれば、そんな捉え方もあるかも知れません。
しかし、時代は変わりました。マイナス金利の中、地域金融機関は「非金利収入の強化」にシフトしており、地域企業の事業承継・M&Aのサポートは最注力分野と言って良いと思います。相談して喜ばれることはあっても、相談することで融資を引き揚げられる可能性は低いと思います。
大手M&A仲介会社に相談するメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| M&A全般の専門性が高い 県内、県外いずれもネットワーク・情報がある 中立的な立場から助言が受けられる これまで付合いがなく“しがらみ”がないため、遠慮なく相談しやすい | 実力、報酬水準、価値観などについて、信頼して良いかの見極めが必要 自社のことを一から説明する必要がある 報酬が高い仲介会社も存在する |
大手M&A仲介会社は、M&A専業であるがゆえに、M&Aの専門性・ネットワーク・情報は豊富であることが多いです。中立的な立場から助言を受けやすいと思います。
一方で、顧問税理士等や地域金融機関と異なり、M&A専業であるがゆえに収益機会はM&Aのみであり、早期のM&A成約を第一優先とされる恐れがあります。
また、実力・スタンス・報酬水準などにバラツキがあり、本当に信頼できる相手かどうかの見極めが必要と思います。
相談先ごとの強み・弱み比較まとめ
これまで挙げた強み・弱みを比較表としてまとめました。M&A・事業承継を進める上では、こういった強み・弱みを理解し、適切な相談相手と協議をしていくことが重要です。
| 顧問税理士 ・会計士 |
地域金融機関 | 大手M&A仲介 | |
| 信頼度 | 〇 | 〇 | 見極めが必要 |
| 自社の理解 | 〇 | △ | × |
| 税務・会計の知識 | 〇 | △ | △ |
| M&Aの経験・専門知識 | ×~△ | 〇 | 〇 |
| 地域内買手ネットワーク | × | 〇 | △ |
| 地域外買手ネットワーク | × | △ | 〇 |
| 独立・中立性 | 〇 | △ | 〇 |
| 料金・手数料 | 基準なし | 成功報酬1,000万円~ | 成功報酬2,000万円~ |
公的機関の相談窓口|事業引継ぎ支援センターとは?
もう一つの相談窓口として、行政の相談窓口を紹介します。
経済産業省の施策の一環として、地域の中小企業支援機関(商工会議所等)に業務委託する形で運営されており、無料で相談できる中立的な窓口である点が大きな特徴です。
事業引継ぎ支援センターでは、事業承継に関する基礎的な情報提供や、現状の課題整理、方向性の整理など、初期段階の相談を行うことができます。そのため、「まだ具体的な承継方法が決まっていない」「何から考えればよいか分からない」といった段階にとっては、有効な相談先の一つと言えるでしょう。
一方で、あくまで行政の相談窓口であるため、買手企業の本格的な探索や条件交渉、成約に向けた実行支援までを一貫して担うケースは限定的です。実際のM&A・事業承継を進める段階では、M&A仲介会社や金融機関、税理士などの民間専門家と連携して進めることが前提となる場合が多いのが実情です。
公的機関は「最初の相談窓口」として活用しつつ、実行フェーズでは民間の専門家と組み合わせて支援を受ける。このように役割を分けて活用することが、事業承継を円滑に進めるポイントと言えるでしょう。
中国地方の事業引継ぎ支援センター一覧
四国地方の事業引継ぎ支援センター一覧
まとめ
事業承継やM&Aにおいて重要なのは、「誰に相談するか」を一つに決め打ちすることではなく、自社の状況や承継フェーズに応じて、適切な相談先を選び、組み合わせて活用することです。
初期段階の整理や税務・会計の論点については顧問税理士、地域内での承継や金融面を含めた検討では地域金融機関、買手探索や条件交渉を含む第三者承継ではM&A専門家――それぞれの強みを理解したうえで相談を進めることが、後悔のない事業承継につながります。
クレジオ・パートナーズは、地域企業への深い理解を基盤としながら、全国レベルの買手ネットワークやM&A実務の専門性を併せ持つ立場として、経営者の想いや背景を丁寧にくみ取り、最適な進め方を一緒に整理することを重視しています。
「まだ具体的に決まっていない」「何から考えるべきか分からない」――そうした段階からでも構いません。地域におけるM&A・事業承継についてお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
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