「持続化補助金」を解説!販路開拓を目指す小規模事業者向け
「持続化補助金」とは、経済産業省が実施する、小規模事業者の「販路開拓」を支援する補助金です。上限額が50~100万円程度と比較的規模が小さい補助金ですが、小規模事業者に限定しており、かつ販路開拓の支援ということで人気のある補助金です。本コラムでは「持続化補助金」について分かりやすく解説します。概要をピックアップしたものとなりますので、詳細は必ず公募要領をご確認ください。
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記事のポイント
- 「持続化補助金」は小規模事業者が「販路開拓」を行う際に利用できる補助金
- 令和元年度・二年度補正予算事業は「一般型」と「コロナ特別型」で分かれており、窓口は「商工会」「商工会議所」に分かれている
- 賢い補助金活用のためには事務コストとの比較が必要。早めに「商工会」「商工会議所」に相談することがおススメ。
「持続化補助金」の特徴
「持続化補助金」の特徴は、「小規模事業者」が対象であることと、「販路開拓」が目的の事業が対象になっていることです。補助上限額は50~100万円と比較的に小さく、小規模事業者にとっては使い勝手のよい補助金です。
令和元年度補正・令和二年度補正 小規模事業者持続化補助金
2020年11月現在において公募中の補助金の正式名称は「令和元年度補正・令和二年度補正 小規模事業者持続化補助金」となります。通称として「持続化補助金」と呼ばれており、補正予算ではここ数年は毎年度計上されている補助金です。
元々、申請に関する窓口が「商工会議所」と「商工会」に分かれていたことと、「令和元年度補正」と「令和二年度補正」それぞれで少し要件が違うことから現在、4つのHPで公募が公表されている状況です。以下が、それぞれの窓口のHPとなります。
①日本商工会議所 /令和元年度補正:https://r1.jizokukahojokin.info/
②日本商工会議所 /令和二年度補正:https://r2.jizokukahojokin.info/corona/
③全国商工会連合会/令和元年度補正:https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
④全国商工会連合会/令和二年度補正:http://www.shokokai.or.jp/jizokuka_t/
「令和元年度補正」と「令和二年度補正」の違いは「一般枠」と「コロナ特別枠」の違い
「令和元年度補正」と「令和二年度補正」の違いは、「一般枠」と「コロナ特別枠」の違いであり、「令和元年度補正」=「一般枠」、「令和二年度補正」=「コロナ特別枠」となります。
「コロナ特別枠」とは、「A類型:サプライチェーンの毀損への対応」、「B類型:非対面型ビジネスモデルへの転換」、「C類型:テレワーク環境の整備」のいずれかに取り組む事業を指します。これら以外の事業の場合は「一般枠」を利用することとなります。補助上限額も、特別枠が100万円であり、一般枠は50万円となっています。いずれも「事業再開枠」として、業種ごとのガイドラインに基づいた感染拡大防止の取組を行う場合は、定額補助(上限50万円)が上乗せになります。
図でまとめると以下のとおりです。
「事業再開枠」による拡充措置
「事業再開枠」とは、事業再開に向け、業種別ガイドライン等に照らして事業を継続する上で必要最小限の感染防止対策を行う取組について補助するものです。加えて、持続化補助金では、クラスター対策が特に必要と考えられる業種に限定して、上限を50万円上乗せされます。
「クラスター対策が特に必要と考えられる業種」は、具体的には「屋内運動施設」「バー」「カラオケ」「ライブハウス」「接待を伴う飲食店」で事業を営む業種となります。
「感染防止対策」の例として、「消毒設備(除菌剤の噴霧装置、オゾン発生装置、紫外線照射機等)の購入、消毒作業の外注、消毒液・アルコール液の購入」「クリーニングの外注、トイレ用ペーパータオル・使い捨てアメニティ用品の購入、従業員指導等のための専門家活用、体温計・サーモカメラ・キーレスシステム・インターホン・コイントレー・携帯型アルコール検知器の購入」「ポスター、チラシの外注・印刷費」が挙げられています。
「持続化補助金」の概要
誰が使えるの?補助対象者について
対象は「小規模事業者」
本補助金は「小規模事業者」であることが要件となります。「小規模事業者」の定義は具体的には以下のとおりで、業種と従業員数により分けられています。
●商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く): 常時使用する従業員の数 5人以下
●サービス業のうち宿泊業・娯楽業 :常時使用する従業員の数 20人以下
●製造業その他 :常時使用する従業員の数 20人以下
また、一定の要件を満たした特定非営利活動法人も対象となります。
「商工会」又は「商工会議所」の管轄地域内
「商工会」又は「商工会議所」の管轄地域内で事業を営んでいることが要件となります。ただし、それぞれの会員・非会員を問わず、応募することは可能です。
その他
上記の他に「持続的な経営に向けた経営計画を策定していること」や、事業再開枠を利用する場合は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための取組を行うこと」等が要件となっています。
なお、「一般枠」「特別枠」の両方採択された場合は、いずれか一方しか補助金を受け取ることができない制度となっております。
補助金はいくら?補助上限額・補助率について
補助上限額・補助率については以下のとおりとなります。
補助上限 |
一般型 |
50万円 |
コロナ特別 |
100万円 |
|
事業再開枠 |
50万円 |
|
補助率 |
一般型 |
2/3 |
コロナ特別 対応型 |
A類型 2/3 |
|
事業再開枠 |
10/10(定額) |
持続化補助金における「特例事業者」とは、「屋内運動施設」「バー」「カラオケ」「ライブハウス」「接待を伴う飲食店」で事業を実施する者になります。詳しくは公募要領をご参照ください。
また、一般型に限って①「認定市区町村による特定創業支援等事業の支援」を受けた小規模事業者、②法人設立日が 2020 年1月1日以降である会社(企業組合・協業組合を含む)、または税務署に提出する開業届に記載されている開業日が 2020 年1月1日以降である個人事業主」については、上限額が+50万円となります。
加えて、複数の小規模事業者等が連携して取り組む共同事業の場合は、補助上限額が「1事業者あたりの補助上限額×連携小規模事業者等の数」の金額となり、1,500万円が上限となります。
何の事業が対象になるの?補助対象事業について
補助対象事業の要件
策定した「経営計画」に基づいて実施する、「地道な販路開拓等(生産性向上)のための取組」又は、「販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組」が補助対象事業となります。
また、商工会・商工会議所の支援を受けること等も要件となっているため、本補助金を利用されたい方は、まずはお近くの商工会・商工会議所に相談することをおススメします。
何の経費が対象になるの?補助対象経費について
補助対象となるのは以下の経費です。
①機械装置等 |
事業の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費 |
②広報費 |
パンフレット・ポスター・チラシ等を作成するため、および広報媒体等を活用するために支払われる経費 |
③展示会等出展費 |
新商品等を展示会等に出展または商談会に参加するために要する経費 |
④旅費 |
事業の遂行に必要な情報収集(単なる視察・セミナー研修等参加は除く)や各種調査を行うため、および販路開拓(展示会等の会場との往復を含む。)等のための旅費 |
⑤開発費 |
新商品の試作品や包装パッケージの試作開発にともなう原材料、設計、デザイン、製造、改良、加工するために支払われる経費 |
⑥資料購入費 |
事業遂行に必要不可欠な図書等を購入するために支払われる経費 |
⑦雑役務費 |
事業遂行に必要な業務・事務を補助するために補助事業期間中に臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費として支払われる経費 |
⑧借料 |
事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料として支払われる経費 |
⑨専門家謝金 |
事業の遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家等に謝礼として支払われる経費 |
⑩専門家旅費 |
事業の遂行に必要な指導・助言等を依頼した専門家等に支払われる旅費 |
⑪設備処分費 |
販路開拓の取組を行うための作業スペースを拡大する等の目的で、当該事業者自身が所有する死蔵の設備機器等を廃棄・処分する、または借りていた設備機器等を返却する際に修理・原状回復するのに必要な経費 |
⑫委託費 |
上記①から⑪に該当しない経費であって、事業遂行に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費 |
⑬外注費 |
上記①から⑫に該当しない経費であって、事業遂行に必要な業務の一部を第三者に外注(請負)するために支払われる経費 |
上記が補助対象経費となります。補助対象にならない経費もございますので、詳しくは公募要領をご参照ください。
なお、「コロナ特別対応枠」で申請する場合、補助対象経費の6分の1以上が、「A類型:サプライチェーンの毀損への対応」「B類型:非対面型ビジネスモデルへの転換」「C類型:テレワーク環境の整備」のいずれかの要件に合致する投資であることが求められます。
いつまでが対象なの?補助事業実施期間について
各締切分によってそれぞれの補助対象期間が異なりますので、詳しくは公募要領をご覧ください。
申請期間と申請方法
申請期間については、それぞれのHPよりご確認ください。
申請方法は郵送と電子申請の方法があります。
電子申請の場合、補助金電子申請システム(名称:Jグランツ)経由での申し込みとなります。
郵送の場合、「商工会連合会」の場合は、全国の「都道府県商工会連合会 小規模事業者持続化補助金地方事務局」へ郵送し、「商工会議所」の場合は、「日本商工会議所小規模事業者持続化補助金事務局」へ郵送することとなります。
ご参考として中国・四国地域の商工会連合会、商工会議所(一部)の一覧を示します。
【商工会議所】
(中国地域)
鳥取商工会議所/松江商工会議所/岡山商工会議所/広島商工会議所/山口商工会議所
(四国地域)
徳島商工会議所/高松商工会議所/松山商工会議所/高知商工会議所
※その他の商工会議所一覧については日本商工会議所の「全国商工会議所名簿」よりご覧頂けます。
【商工会連合会】
(中国地域)
鳥取県商工会連合会/島根県商工会連合会/岡山県商工会連合会/広島県商工会連合会/山口県商工会連合会
(四国地域)
徳島県商工会連合会/香川県商工会連合会/愛媛県商工会連合会/高知県商工会連合会
注意すべき点
電子システムを利用する場合
電子申請を行うためには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。アカウント取得には時間を要するため、早めの申請が必要となります。
おわりに
「持続化補助金」は「ものづくり補助金」と同様に補正予算の度に計上されているロングヒットの補助金です。額が小さいことと、商工会・商工会議所のサポートが前提となっていることもあり、小規模事業者にとっては利用しやすい補助金となっています。ただし、申請窓口が複数だったり、様々な要件がある中、申請書を作成するコストや、補助金を採択された後も交付決定や実績報告等の事務コストが発生します。上限が小さいこともあり、そういった事務コストと比較考量しながら、有効に補助金を活用することが必要となります。持続化補助金に関しては、早めに商工会・商工会議所に相談しておくことをおススメします。
(補助金検討されている方はこちらもご参考ください)
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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
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