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コラム COLUMN

カーライフの「安全と快適さ」で感動を提供、地域を支える事業承継型M&A|二村自動車株式会社

広島に本社を置き、カーライフの「安全と快適さ」で感動を提供する“感動創造企業”を掲げ、新車・中古車の販売、車両整備等、カーライフのトータルサポート事業を展開し、自身も二代目として先代から事業を引き継いだ二村自動車株式会社 代表取締役 二村 一弘氏に、これまでの事業成長の経緯と、これまで実行した事業承継型M&AやM&Aの方針についてインタビューを行いました。


事業承継を経て、カーライフをトータルサポートできる地域密着企業へ成長

事業概要

父と母が二人で立ち上げ、「車」を中心に事業が成長

二村自動車は、私が生まれた1971年の翌年に、私の父であり、現会長である二村義春が、母親と2人で「二村自動車商会」として、整備工場を立ち上げたことが始まりでした。父は「車が大好き、車の整備がしたい」という想いから事業を始めたとのことですが、周りに経営者の友人もいたため、当初から大きなビジネスにすることを想定して立ち上げたようです。そこから徐々に社員を増やし、1975年に当時はハードルが高かった民間車検場の認証を取得、中古車販売の取扱いもはじめ、1992年に自動車メーカーのマツダのディーラーを開始しました。1997年には、広島クライスラー株式会社を立ち上げ、ジープの正規ディーラーとなりました。

父から子への「事業承継」、何があっても潰れない強い会社を目指す

私自身は、3人兄弟の長男で、当時は大手カード会社の営業でした。東京で3年間、大阪で1年間勤めていました。どこかで広島に戻ってくることは考えていましたが、クライスラーと契約する時に、父から「東京に来い」と呼ばれました。当時はジープも知らず、どういう場かも分かりませんでしたが、何故か一緒にその契約に立ち会うことになりました。その時点で広島に戻る話はありませんでしたが、立ち合いから暫くして、実家に戻っている際に、父とファミレスで一緒だった時に、父から「広島クライスラーも立ち上げる。もうそろそろ(広島に)帰るか?」と言われました。当時勤めていた会社で、東京の支店から規模が大きい大阪支社へ移り、組織が大きすぎたため、少し物足りなさを感じていた自分は、広島へ戻ることを決意しました。

広島に戻っても、いち営業マンからのスタートでした。他の新入社員と同様、新人研修を受けるところから始めました。ただ、やはり「二村」の名前を継いでいるので、当時の社員の皆さんも厳しい目で見ていたと思います。私自身はそういったことはあまり大変だと思わず、どんどんと仕事にのめり込みました。新規事業の立ち上げに携わり、2001年に「カーコンビニ倶楽部」をフランチャイズでスタートした時に、初代店長として就任し、初めて拠点の責任者を経験することができました。

会社は順調に成長し、2011年に当社で初めてのM&Aとなる向井モーターズとの資本提携の際も、私は会社のNo.2というポジションで動いていました。先方との折衝も私が仕切り、実質的に経営の表舞台に立つ機会が多かったです。そして、2015年に代表取締役社長に就任し、二村自動車を引き継ぎました。


代表取締役にはなりましたが、社長になっていきなり何かを変えた訳ではなく、会長からの権限移譲は、社長就任前から徐々に進んでいました。経営に必要な「ヒト・モノ・カネ」について、ヒトについては、就任前から社員の皆に方針を示す等、前に立って話すのは自分が行っていました。現会長には、方向性を確認するくらいです。設備投資にも関わり、モノの部分も理解していました。カネについても、金融機関との折衝は自分が先頭に立ち、代表就任の際の経営者保証についても、金融機関と交渉し、保証を外す形で進めていました。

現在、二村自動車を中心に、お客様のカーライフのトータルサポートを実施するためNEOS GROUPを形成しています。グループ代表として、私自身は、会社を急激に大きくしたり、大きく儲けたいとかそういった意味での欲はありません。ただ、NEOS GROUPを「何があっても潰れない会社にしたい」という想いは強いです。就任前から考えていましたが、NEOS GROUPを「強い会社にしたい」。現在のコロナ禍もそうですが、会社としてビジネスに立ち向かう中で、リーマンショックや、東日本大震災等、外部環境で経済が止まる瞬間が何度かありました。そういった経済が止まっても生き残れる「強い会社」にしたい。そのために適正な利益を生み出し、それぞれの社員の方々が活躍できる会社へと成長させたいです。


お客様にカーライフの「安全と快適さ」で、感動を提供

二村自動車は、以前は社員の出入りが激しい会社でした。痛感したのは代表取締役になった時のことです。就任してから、会社の経営そのものは変えていませんでしたが、1年を振り返るとかなりの人数が退職していることに気づきました。当時は、社員一人一人に向き合うことができておらず、会社の将来性やビジョンを伝えることが難しかったように思います。社員が辞める会社に未来はない。当社は、例え定年を過ぎても、ご本人が望めば、身体の続く限り働いても大丈夫とお伝えをしています。社員一人一人を大事にする会社であることで、お客様の満足度に繋げていくことができる会社です。

お客様の満足度を確認するため、20年近く前に社を挙げてお客様にお電話でアンケートを行ったことがありました。ふり返ってみると、当時の「二村自動車」は地域の皆さまにとってあまりいいイメージのない会社だったと思います。私からも見ても、「お客様が置き去りになっている。車を売ればいい。」という社風になっている感じがしていました。お客様からも、不満の声は届いていました。「売りっぱなしで、サポートがない」、新人が飛び込み訪問をした時も、あまり歓迎されなかったという時代がありました。
そのイメージを変えるため、アンケートをきっかけに「お客様第一主義」を掲げ、アフターフォローを重点化し、お客様の満足度を高める方向へ切り替えていきました。取組を地道に積み上げていくと、「二村さんお世話になっています。」というありがたい声を聞けるようになりました。今でもお客様からアンケートを頂いてますが、社長である私自らが全てチェックしています。アンケートの中で、98%くらいは、当社にとって聞こえのいい褒めて頂ける内容ですが、2%は改善提案を頂きます。私自身にとっては、率直に改善提案を頂ける声が非常にありがたく感じます。また、98%のお褒めの言葉も、社員にとってもは非常に励みになっています。我々は「車」という、住居の次に大切な買い物をして頂いているカーライフのトータルサポートを担う会社であることを自覚する必要があります。

事業の強みとしても、カーライフサポートとして「何でも対応する」という点が強みだと思っており、お客様にご満足頂ける体制を整えています。カーライフでお客様が一番困る時は、「故障した時」、「事故に遭われた時」です。その時、当社は常に「連絡が取れること」、「駆けつけること」、「代車を用意すること」ができる体制を整えています。具体的には、事故車を移動するためのレッカー車を全店舗に完備し、代車も通常の2倍近く保有しています。また、当社は一人のお客様に一人の担当がつきます。担当は、修理・保険・買い替え、あらゆるカーライフをサポートします。分業にした方が効率はよいですが、お客様の満足度向上のための取組を続けています。当社の社員が素直で真面目であることが私の誇りです。

一方で、事業の課題として「人財育成」については、頭を悩ませています。特に中堅クラスの方が、「もう一歩上を目指したい」という会社にできていないことが、私の課題です。大企業ではよく「管理職になりたくない」ということを耳にしますが、当社は大企業という規模でもないのに、そういったマインドセットになってしまっているのは課題だと感じています。より社員の一人一人が輝ける会社を目指したいと考えています。


「広島を元気にしたい」、地域と共に成長する企業

事業を成長させる中で、「広島を元気にしたい」という想いは私の中では強いです。我々の事業を振り返ると、広島の安佐南区長楽寺という地で始まり、創業49年を迎えることができました。この49年間があるのは安佐南区を中心とした地元の方の支えがあるからこそです。ビジネス自体を見ても、お客様の満足度第一主義を掲げる当社が、別の地域のお客様のメンテナンスに十分に対応することは難しいです。「地元のお客様を大事にしていきたい」という想いと、「我々自身も地の人間である」という想いがあり、今後も当社は地域と共に成長していきたいと思います。



M&Aにより、成長に向けて規模を拡大・強化し、新しい投資を目指す

M&Aの方針

経営戦略の中でM&Aは、無理をしてまで積極的に行うという考えはありません。ただ、我々が中心としている自動車の販売・修理業は、現在ではゼロから店をつくり、社員を育て、ビジネスにしていくことは難しいと考えており、当社も「新しい店舗を新規でつくる」ということは考えていません。そのため、M&A戦略として、「後継者がいない」「事業が上手く継続できない」という課題を持っている経営者の方がいれば、お役に立ちたいと考えています。

当社のビジネスは「自動車」を軸にしたカーライフのトータルサポートです。そのため、同業種だけではなく、「自動車」を起点としたサービスであれば、例えば、タクシー会社や、運送等はM&Aの対象領域と考えています。ラーメン屋のような飲食店や、カジュアルな洋服屋等、自動車の領域に遠いところは考えていません。というのも、先代は実は、様々な事業立ち上げが好きで、ゴルフショップやエステ等、色々な事業にチャレンジしましたが、結果的に現在の本業が当社の柱になっています。領域を超えての多角化経営は難しいと感じていますし、私自身の経営スタイルとしても、自動車を中心に事業を継続・拡大していこうと考えています。

当社はこれまで、「向井モータース」「東洋自動車」「芸備自動車」の3社をM&Aにより株式取得し、「アリタ車両」より鈑金塗装の事業を譲受しましたが、それぞれの会社にそれぞれのストーリーがあり、事業承継の課題を持った会社が多かった印象です。初めてのM&Aだった「向井モータース」に関しては、当時M&Aがここまで普及していなかったため、独学で進めるしかなく、大きな本屋に行っても専門書のみで、実践的な内容が書いてある書籍はありませんでした。そのため、決算書の見方や、企業価値の算定等、私自身が行いました。自分自身が、経営という視点を大変学ぶことが多いM&Aでしたが、組織と組織が交わることで、社員の士気も変わる等、様々なM&Aによるシナジー効果を確認できました。また、このM&Aがきっかけで、2社目となる「東洋自動車」も事業引継ぎの相談があり、結果として、当社の事業エリア・規模を拡大することができました。

M&Aを実行する中で感じる課題は、「社員の融合」です。この課題は当社としてもまだ完全に乗り越えたといえる状況ではなく、引き続きトライ&エラーを続けています。やはり、会社の理念の浸透は時間がかかります。ただ、M&Aを通じて、グループになった会社の社員も意識が変わり、当社の一番の戦力になっています。当社はグループとして、朝礼と朝礼前の掃除を大事にしており、機関誌である「理念と経営」を元にした勉強会を開催しています。社内の雰囲気を一気に変えることは難しいですが、こういった取組を通じて、少しずつ変えていくことで、それぞれの会社の強みを最大限活かしていきたいと考えています。



買収対象業種

・新車販売・修理、中古車の買取・販売、自動車のメンテナンス、カー用品販売
・車両整備(民間車検場)
・自動車リース、損保代理業
・自動車関連サービス業

買収対象規模

売上規模20億円程度までを検討

買収フロー

決算書等による質疑応答、デューデリジェンス、面談を通じ、当社とのシナジーに基づき判断します。

M&A後の対応

役員派遣‧役員登用については、状況に応じて相談となりますが、当社から役員派遣するケースが多いです。
「社名の継続」、「社員の継続雇用」が基本方針となります。

これまでの買収実績

株式会社向井モータース(広島県広島市)

新車販売・修理業。事業承継の課題を持つ同社をM&Aで株式を取得し、事業を拡大。

株式会社東洋自動車(広島県広島市)

新車販売、中古車販売・修理、整備工場。事業承継の課題を持つ同社をM&Aで株式を取得し、エリアを拡大。

株式会社芸備自動車(広島県広島市)

自動車の販売・修理(修理がメイン)。M&Aの実施によりエリアを拡大



上記の他、株式会社アリタ車両より、鈑金塗装事業を事業譲受。




地域の労働力供給インフラとして、地域活性化に共感し、双方の将来にメリットがある関係を

売手経営者へのメッセージ

当社は「共に満足、共に幸せ」を経営理念として、お客様のカーライフのトータルサポートを通じて、「感動」を提供し、お客様の「車」に関する不満・課題を解決していくと同時に、一緒に働く「社員」を大事にしている会社です。売手となる経営者の身になってみると、やはり事業を継続していける会社に引き継ぎたいというのが本音だと思います。私も事業承継という形で、父から事業を引き継ぎましたが、思い返すと、よく自分に任せてくれたなと思う部分もあります。

当社の経営方針として、現在、無闇に規模を拡大する意向はありません。M&Aについても、利益重視ではなく、お客様にきちんと価値を提供し、広島という地域を活性化させるため、「後継者の問題で困っている」「事業が上手くいかない」等の課題を持っている経営者の方がいれば、お力になりたいという想いで取り組んでいます。当社の仕組みを導入することで、利益を出す経営を実現できると信じていますし、それを実現するための資金も体力も蓄えてきたつもりです。当社は地域に根差した「100年企業」を目指しています。事業承継に困っている方も、同じ想いを持って頂けると嬉しく思います。







企業情報

会社名二村自動車株式会社
代表者名代表取締役 二村 一弘
設立年度1971年
従業員数98名(2020年11月末時点)
売上高約35億円
資本金1,000万円
事業内容新車販売、車両整備(民間車検場)、
デントリペアー、カーフィルム張り、
カー用品販売、買取専門業、中古車販売、鈑金塗装、
ボディコーティング、自動車リース、損保代理業
本社所在地広島市安佐南区長楽寺2-6-18
HPhttp://www.neos-group.co.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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