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コラム COLUMN

地域の静脈産業からイノベーションを創出、共創する未来をつくる|株式会社中特ホールディングス


山口県周南市に本社を置き、「生活環境革命で人々を幸せにします」を理念として掲げ、産業廃棄物処理業等の地域の静脈産業を支える中特グループ。地域において、誰かの課題を解決することを、会社が継続する理由と位置づけ、積極的に新事業展開を行う同社に根付く理念や経営戦略について、株式会社中特ホールディングス 取締役 吉本 龍太郎氏にインタビューしました。

地域の静脈産業を支えるホールディングスを形成

人がやりたがらない仕事を積極的に受ける

中特ホールディングスの元となる事業は、私の祖父が立ち上げました。当時あまり人がやりたがらなかった汲み取り等の清掃事業を個人でやり始めたのがきっかけでした。現在のように“サステナブル”という概念がない時代でしたが、何人かが集まり、1967年2月に徳山清掃株式会社(現:中国特殊株式会社)を設立し、地域からの要請で産業廃棄物収集運搬業にも取り組むようになり、徐々に事業が拡大しました。



現在、当社グループが展開している事業は大きく3つに分かれます。1つは、浄化槽管理、ゴミの回収、排水管詰まりの処理、家の片付け、民家解体等、一般的な消費者向けにご家庭の生活における廃棄物全般に関わるサービスを提供しています。もう1つは、企業向けの産業廃棄物に関する事業です。例えば、周南地域に多く立地している化学工場では製造工程にて発生した副産物がありますが、これらをセメントの原料にするなど、単に廃棄するのではなく、私たちが中間処理という形でひと手間加えリサイクルすることで価値が変わります。他にも高圧洗浄やプラント解体の事業も行っています。最後に行政向けの事業として、下水道の維持管理や、各自治体の入札事業に参加する形で、事業を展開しています。

事業拡大と共にホールディングス制へ移行、それぞれの強みを活かす

現在、当社はホールディングス制を取っており、事業ごとにグループ会社が存在しています。

元々、当社は、一般廃棄物の事業を展開していましたが、途中から産業廃棄物の事業を展開するようになりました。一般的に廃棄物は、「一般産業廃棄物」と「産業廃棄物」に分かれます。簡単にお伝えすると、家庭から出る廃棄物が一般廃棄物で、工場から出る廃棄物が産業廃棄物です。事業拡大と共に、各会社がそれぞれの事業を担うようになり、中国特殊は浄化槽や汲み取り事業を担い、吉本興業は一般廃棄物収集運搬業、リライフは産業廃棄物を中心としたリサイクル業を担うという形になりました。

藤井興業はまだM&Aという考え方がない時代に、創業者である当時の社長が同業社長から「後継者が不在のため、そのまま会社を引き継いでくれないか」と依頼され新たにグループに加わりました。

ポータルハートサービスだけは少し事情が違い、街のゴミの回収事業を展開する中で、お客さまから「ゴミを分別して欲しい」「重たいものを運んで欲しい」という依頼が多かったので、片付け・遺品整理のサービスに特化した事業部を立ち上げ、その後分社化する形で設立されました。

各会社が存在する中、経理等の内部部門を統一化し、グループとしての効率化を図るため、2012年にホールディング体制に移行しました。ホールディングスは経理部門だけではなく、各社の営業や広報・マーケティングも担う体制となっており、グループ各社はそれぞれのサービスに特化する形になっています。





地域に必要とされる企業を目指し、行動し続ける

既存事業にとらわれない、新規事業を展開

当社は、現在新規事業の取組に力を入れています。

一つの事例として、2022年4月から新たに“ROBBO(ロッボ)”というプログラミング教室のフランチャイズ事業に取り組みました。ROBBOは、ロシアで生まれ、フィンランドのヘルシンキ大学にて教育プログラムとして昇華されたプログラムです。日本では、福岡、渋谷に次いで、周南で開催され、山口県内初の展開となります。ROBBOの特徴の一つが、英語を用いながら授業が進めるところです。読み書きではなく、英語のコミュニケーションを重視したプログラムとなっています。使用するプログラミングソフトもROBBO仕様となっており、子供達が、プログラミングが日常生活でどう動いているかを知るきっかけを与え、「想像力」と「創造力」が掛け合わさることが特徴です。

その他にも、本社移転に伴い、建物をイノベーション創出の場としてデザインし、“COIL(コイル)=Chutoku Open Innovation Lab”という取組を開始しました。COILの第一弾プロジェクトとして、廃棄物からアートを生み出す未来のコンテスト「COIL Upcycle Art Contest 2021」を開催し、全国のアーティストが廃棄物を活用したアート作品を募集し、コンテストを行いました。

(新社屋外観)
(廃材を活用したアート作品①)

(廃材を活用したアート作品②)


上記以外にも、新社屋の敷地内に協賛企業を募集し、共に植樹を行う“未来につながる「Reの森」プロジェクト”や、ダチョウの卵を使った食品リサイクルループの構築を目指す“D-Story”、NPO法人フードバンク山口との協働でしゅうなんステーションを開設する等、既存事業以外の様々な取組を展開しています。COILでは、3日間で起業体験を行うStartup Weekend 周南を開催する等、新社屋をイノベーションが生まれる場としての活用を目指しています。今春行われたStartupWeekend周南では7つの事業が生まれました。

誰かに必要とされることが、企業存続の理由

我々は経営理念として、「生活環境革命で人々を幸せにします」を掲げています。その根本の想いとしては、「企業は、誰かに必要とされ続けることが重要」と考えています。企業は、単にサービスの対価を頂くだけでなく、地域に支えられながら存続しています。我々が、地域にとって、社会にとって役に立つことをし続けることこそが私たちに求められていることだと考えています。

グループの総合力をさらに強化するために2020年には、ロゴマークを刷新しました。当社のコンセプトには、元々ハートマークがありましたが、社内で協議する中で、私たちの仕事は「Recycle」「Reuse」「Remember」等、「再び」「繰り返し」を意味する「Re」という言葉に関連性が深いと気づき、ハートマークとReを掛け合わせ、緑を大切にし、水と共に生きる想いを込めたグリーンとブルーを用いて、環境と未来への想いを表現しました。


新規事業の取組においても、誰かに必要とされることを常に意識しています。

新規事業として始めたプログラミングスクールROBBOについては、我々が地域の小学校で行っている環境出前授業がきっかけとなりました。これまでは、環境事業の延長線上の取組として教育という位置づけでしたが、発想を転換し、教育を前に置いた時に「環境」というコンテンツに加え、子どもたちの未来のために何が必要だろうと考えた結果プログラミングにつながりました。既に申込はいっぱいで、地域の学校からもご要望頂いています。COILにおけるアートプロジェクトも、アーティストの作品を通じて地域の人々が廃棄物について考える機会を創ることは重要ではないかという想いで実施しました。フードバンクについても、管理面での負担は発生しますが、誰かがやらないといけないことだと感じています。このように生活の環境面から人々の暮らしの改善に寄与し、必要とされる存在を目指すためにこれらの取組を展開しています。

“SDGs=Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)”についても意識はしていますが、SDGsのために取り組みを開始したというよりは、環境の事業を展開していたこともあり、振り返ってみるとSDGsの観点に沿っていたという結果でした。現在は、経営指標に組み込んで、どのようにSDGsに貢献しているかを可視化し、収益を創出する部分と、地域に還元する部分の考え方を分けています。

理念を浸透させ、多様な人材が自発的に活躍

当社の強みの一つは、理念であり、理念が浸透することで、サービスの質が高まります。理念に基づく方針書を全社員が手元に置くことで、判断に迷う際は、方針書を基準とすることで、一人ひとりが同じ方向へ向かうことができます。また、社員の育成にも力を入れており、相互学習の仕組みを取り入れることで、お互いの学びを強化しています。

組織の構造の中でも、部長級の会議をワクワク会議と設定したり、若手が地域のイベントを企画・運営から全て担うエコライフチームを組織したりと、自発的に取り組む仕組みを取り入れています。

新たに立ち上がった未来創造室は、経営企画部門であり、グループ全体の経営企画だけではなく、新規事業の立ち上げから実装・営業まで全てを担当します。こういった取組を通じて、マルチに活躍できるプレーヤーの育成を進めています。実際に、ROBBOの中心人物は、カザフスタン出身で、4か国語を嗜む女性であり、多様な人物が活躍している場を創出しています。



M&Aを通じて、地域を超えたチームを目指す

現代はそもそも「ゴミは減らそう」という考え方が中心なので、廃棄物の市場は今後縮小していくと考えています。一方、地域に求められる役割は今後益々大きくなると感じています。そのような中で、企業が存続していくためには、一定程度の体力が必要であり、そのためには規模感が求められます。当社の理念に共感して頂き、グループを形成することで規模の拡大を目指すためには、M&Aは重要な経営戦略となります。

M&Aについては2つの考えを持っています。1つめは当社と同じ廃棄物に関わる事業を営む企業とのM&Aです。その場合、中国地域~九州地域のエリアを考えています。2つめは当社とのシナジーが考えられる企業とのM&Aです。異業種の場合でも、当社と物理的に距離が近い場合は、様々な事業の可能性を考えています。

後継者が不在という声は我々の周囲でもよく聞きます。M&Aで仲間になっていただく企業の後継者が不在の場合、誰がその経営を行っていくかはじっくり考えて何が一番良い選択なのかを定めて決定していきたいです。事業承継は、親族に継ぐ・従業員に継ぐ・第三者へ売却するという3つの選択肢がありますが、必ずしもどれかが正解であるという考え方は持っていません。理念のとおり、我々は「誰かの課題を解決することが、会社の継続に繋がる」と考えています。その理念に共感して頂き、誰かの課題を解決するチャレンジを一緒にできる関係であればいいなと考えています。当社として新しい投資を通じて、地域を超えたワンチームの取組を目指しています。



固定観念を壊し、地域から新しいイノベーションを創出する

我々の会社の中で、よく「固定観念を壊そう」と言っています。

これまで展開してきた新規事業においても、地方の静脈産業の中小企業が、アートのコンテストをしてもいいじゃないか、それが誰かのためになるのなら、積極的に展開していくべきだと考えました。「生活環境革命で人々を幸せにします」の理念に基づき、これまでの固定観念を壊し、イノベーションを積極的に生み出していく存在を目指しています。

廃棄物業界は、大きな転換期に直面しています。これまで「廃棄物処理=コスト」であり、どれだけ減らすことができるかに注目されていましたが、環境への意識がグローバルに高まり、価値観が変わりつつあります。ゴミの減少は、我々にとっては市場の減少に直結しますが、環境を大切にする我々としては喜ぶべきであり、これまでのマーケットにすがるのではなく、「リサイクルできるものが増える」「捨てるものが減る」ことを新しいチャンスとして捉えるべきだと考えています。廃棄物を減らそうというアプローチを会社として目指していきたいです。



企業情報(2022年2月末時点)

会社名株式会社中特ホールディングス
代表者名代表取締役社長 橋本 ふくみ
創立年2012年4月(※グループ創業は1966年4月)
資本金3,000万円
従業員数約120名(グループ合計)
売上高約15億円(グループ合計)
事業内容一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物収集運搬業、
下水道維持管理業、建設業、解体業、浄化槽保守点検業等
本社所在地山口県周南市久米3034-1
HPhttp://www.chutoku-g.co.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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