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コラム COLUMN

ものづくり産業の未来を創る、資本連携を通じた新たな中小企業連合|株式会社技術承継機構

※グループの1社である豊島製作所の現場に技術承継メンバーが入っている様子


製造業の譲受と経営支援に特化し、株式を保有し続けることで、新たなものづくり企業の連合体を目指す株式会社技術承継機構。日本の「ものづくり」に注目したきっかけや、ファンドとは異なるビジネスモデルにこだわる理由に加え、特徴的な成長支援プログラムを通じて、メンバー全員が企業の経営支援を行う取組について、同社代表取締役社長 新居英一氏にインタビューしました。


次世代に技術を繋ぐ、ものづくり企業グループ

ものづくり産業に特化、ファンドとは異なり、長期的な目線でグループを形成

「技術承継機構」は、後継者不在や事業成長に課題を持つ中小製造業を譲り受けし、譲り受けした企業の経営支援を行うことで、共に成長を目指す企業グループです。製造業に特化している点に加え、ファンドとは異なり、譲受企業の株式を売却せず株式を保有し続けるところが大きな特徴です。

私は、技術承継機構を立ち上げる以前、政府系投資会社である産業革新機構(INCJ)で、製造業を中心に投資と経営支援を行っており、当時の経験が現在の事業の基礎となっています。また、弊社が「ものづくり」に特化する理由は、INCJ退職後に自分の目と足で世界の現状を把握したいと思い1年半の世界一周の旅に出た際、改めて「日本のものづくりは世界から尊敬されている」と強く実感したからです。日本のものづくり企業は、世界で戦える技術を有しています。その一方で、「後継者がいない」「営業力が不足している」「IT導入が遅れている」等、様々な課題が多く、せっかくの長所を活かしきれていません。ものづくり企業が持つ課題を一つ一つ解消し、長所を伸ばしていくのが、我々の役割です。

技術承継機構は、ファンドではありません。ファンドと異なり、売却を前提としてないので、短期的な利益追求を目的とせず、長い視点でものづくり企業の皆さまと共に成長を目指すことが可能です。私が政府系投資会社に勤めていた時代、オーナーに対し「ものづくり企業をサポートしたい」という強い想いをお伝えしても、ファンドという立場から「どうせ売却するんでしょ」と話すら聞いてもらえないことも多くありました。また、会社を譲り受けた場合でも、ファンドというビジネスモデルの性質上、償還期限が定められています。より高い値段で譲受したいという買手が現れた場合、売却しない方が会社の成長に資すると考えたとしても、売却を選択せざるを得ないというような、悔しい思いをすることもありました。だからこそ、そういったファンドのビジネスモデル上の課題を乗り越え、譲り受けた会社は売却しないという方針のもと、譲り受ける会社を増やしていき、中小製造業の大きくて強い塊へ成長していきたいと考えています。


事業承継という社会課題を解決したい、多様なメンバーが集結

当社には様々なバックグラウンドを持つメンバーが集っており、譲受企業の経営課題に応じて、各メンバーがその得意分野を活かして支援できる体制を整えています。大手メーカー出身者の技術者など現場の理解に長けたメンバーも在籍しているので、製造業の深いところまで入り込んでお話することが可能です。また、IT、人事・採用、会計税務、法律などの各分野の専門家も在籍しております。中小企業が通常なかなかアクセスしにくいエキスパートがいることで、経営の守りの面でもサポートできるようにしています。

各メンバーが当社に入社するモチベーションは様々ですが、一番根底にあるのは「事業承継という社会課題の解決に貢献したい」という想いです。当社ではメンバー全員が必ず譲り受けした会社の経営支援に関わります。メンバー一人一人が譲り受けした会社にコミットし、泥臭い部分も含めて、深く関わることで、口だけではない、本当の意味での伴走支援を行っています。一人一人の責任は大きいですが、全員がやりがいを持って取り組んでおり、M&Aの知識や、経営支援における営業・製造・組織・会計税務等、ありとあらゆる分野を学ぶ機会があるので、日々成長できるという声も聞きます。


成長支援プログラムを通じて、「チームで経営」を実現

独自の成長支援プログラムを構築、強い中小ものづくり企業群を形成

我々がグループとして迎え入れたい企業は、中小ものづくり製造業です。最先端の技術というよりも、「下町ロケット」の様な産業を下支えしているような企業に関心があります。業種・エリアは問いません。これまで迎え入れた9社との関連性も意識していません。その理由は、業種を問わず、様々な企業に加わっていただくことが、景気変動の波に左右されない、強い中小ものづくり企業群の形成に繋がると考えているからです。加えて、これまでの経営支援の過程で「中小製造業であれば業種を問わず共通する経営課題が多い」ということを実感しており、どのような業種でもグループで培った課題解決のノウハウを横展開できるとも考えております。

技術承継機構では、これまで譲受した企業をご支援する中で、やってよかった取組をノウハウとして蓄積しております。このノウハウは、営業・製造・人事・組織・経営管理からITに至るまで、幅広い分野が網羅されています。
各譲受企業の試行錯誤の中で新しいベストプラクティスが出れば、より効果ある内容に更新していく仕組みにしています。グループの仲間になっていただく一番のメリットは、これらの他の会社でうまくいった取組を共有できることだと考えております。また、最近ではグループ企業同士の横の連携も増えており、お客様の紹介や、グループ会社の加工を請け負う等の動きも活発になってきています。

譲受後の取組を推進していく上では、従業員から現場の声を拾うことを最重要視しており、譲受後は全社員と面談を実施しております。トップダウンで改革を進めるというよりも、従業員面談で出てくる現場の課題を解決していくことで、企業の成長をサポートします。企業成長のための何か劇的な仕掛けがある訳ではなく、従業員の皆さまが「これまでやりたくてもできなかった」という課題を、技術承継機構全員がサポートすることで解決していく進め方にしています。これも、短期的な利益改善を追求するファンドとは異なり、長期的な関係構築を前提とする弊社だからこそ可能な取組です。

※グループ各社における相互の現場交流も活発に実施


現場のIT化、DXも弊社の得意とする分野です。技術承継機構内には、ITに精通したメンバーも在籍しています。チャットツールの活用によるコミュニケーションをよりオープン且つタイムリーにする仕組みの導入や、生産管理システムやバックオフィスの効率化等、会社の状況に応じてDXツールを導入していきます。マーケティングの部分でもWEBサイトの更新、SEOの強化といったノウハウやツールがあります。
一方で、無暗やたらにDXを進めればよいというものではなく、自社システムを改善した方がいい場合や、Excel管理の方が効率的な場合もあります。当社では、バックオフィスをグループで共通化するという取組は行っていません。同じものづくり企業と言えでも、そのノウハウや抱える課題は異なっていますので、現場を理解されている、それぞれの方が業務を担うのが最適だと考えています。ノウハウ・情報は共有化しつつ、各社の独立を重んじることが、グループとして健全な組織運営に繋がっていくと思っています。


従業員から社長を輩出

譲受後の関わり方として、社長を誰が担うかについては、各企業の状況やオーナーのご意向に応じて柔軟に対応します。①技術承継機構のメンバーが経営者として参画する、②外部から経営人材を招聘する、③オーナーに譲渡後も経営者として残っていただく、という3つのケースがあり、これまでの実績では、③の経営者が残るケースが多いです。ただし、いずれのケースにおいても、最終的には社内の人材を次世代の社長として育成していく方針としています。「従業員でも社長になれる」ということが社員にとっても高いモチベーションになると考えているからです。

経営者育成の仕組みも用意しています。経営に必要な知識習得のための研修を提供することに加えて、経営者候補の方も経営会議に参加して頂き、現経営陣及び技術承継機構が普段何を考え、どんなことをしているかを実感してもらっています。

経営人材の育成に頭を悩ませる経営者は多いと実感しており、オーナー社長から「自分の跡を継げる人間はいない」という声はよく聞きます。「社長は育成できるのか」という問いについて、私たちは「育成できる」とお答えします。現場からの人望があり、コミュニケーション能力がある方が社長として望ましい方と考えております。
弊社グループ企業の中には、当時34歳の若手人材が社長へと昇格した事例があります。その会社では、元々、株式譲渡後もオーナーが社長職を継続し、徐々に次世代にバトンタッチする計画でしたが、半年程経過した時に、当時の社長から「技術承継機構のサポートがあれば、彼に社長を任せていいかもしれない」と言われ、若手人材を社長へと抜擢し、ご自身は会長職として一歩身を引きました。その方は現場からの人望が厚く、我々も「この方ならお任せできる」と思えるような人材でした。結果として、会社内でもすごくプラスに働いており、皆が新社長を盛り立てようと頑張っています。

これまでの中小企業はオーナー社長という「何でもできるスーパーマン」がいるからこそ成り立つというケースが多い印象です。その場合、後継者として、同じようなスーパーマンを育てようとしても、なかなか上手くいくものではありません。オーナー社長の役割を棚卸して、権限を委譲し、譲受企業のメンバーと弊社メンバーがひとつのチームとなって経営していくことで、オーナー社長が築き上げた、技術、ノウハウ、文化を次の世代に繋いでいけると考えております。

※グループ各社の設計担当者が集まった設計勉強会の様子。その他に営業勉強会、切削勉強会なども実施


資本を通じてできる新たな輪、日本の次世代のものづくり産業を形成

日本の中小ものづくり製造業は、世界に誇れる優れた技術を持っていますが、それを充分に活かしきれていないという課題があります。そういった技術を持つ会社と、我々がご一緒することで、一緒に現場の課題を解決し、優れた点を更に伸ばし、譲受企業と共に、日本のものづくり産業の永続的発展に寄与していきたいというのが、我々の強い想いです。グループに加わった企業を、我々では「仲間」と呼んでいます。仲間1社1社が成長しつつ、仲間同士で切磋琢磨して、グループとしてより強い、大きな塊となってく。毛利元就の三本の矢の理論を具体化し、中小製造業の連合体になっていきたいと考えています。

これまでは、どちらかというと後継者不在の課題を解決するためにM&Aを選択される企業が多い印象でした。一方で、近年では、自分一人では事業成長を目指すことが難しいと悩まれているオーナー社長も増えているように感じます。実際に、当社が譲り受けした中でも「40代で、まだまだ自分が社長をやるという前提だけど、事業を拡大するためのサポートが欲しい」とおっしゃって、我々の仲間になって頂いた会社もあります。我々としては「これまでの“家業”を“事業”にしていきましょう」とお伝えしていますが、実際にグループに加わった社長からは「これまで一馬力だったのが、二馬力、三馬力になった」という評価の声も頂いています。

自分の人生を懸けて、取引先との関係や、従業員に対する雇用の責任を担われてきたオーナー社長は、尊敬すべき方々だと常に感じています。仲間が増え、そういったオーナー社長同士の繋がりが強化されることで、グループ全体での相乗効果も出始めています。社長にしか分からない悩みごとを、仲間の社長が相談を聞き、解決していくような事例もありました。たった一人で責任を担ってしまうと、現業に必死で、他のことを考える余裕はありません。企業やオーナー社長同士の輪を繋げていくためには、その役割を担う存在が必要です。これまでのような地域・取引関係・産業構造による繋がりだけでは、そういった有効なネットワークの構築は難しく、「資本」を通じて連携することが、多様性を受け入れ、新しい輪を生み出す可能性だと考えています。事業承継・事業成長に課題や悩みを持つ企業の皆様に、我々のような存在がいることを知っていて頂きたいと考えております。




概要

会社名株式会社技術承継機構
代表者名代表取締役社長 新居英一
創業年2018年7月
資本金2億1,300万円(資本準備金含む)
従業員数連結600名(2023年9月現在)
本社所在地東京都渋谷区
事業内容中小製造業の譲受及び譲受企業の経営支援
※譲受後の譲渡は想定せず
HPhttps://ngt-g.com/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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