「補助上限額〇〇円」の罠!補助金は上限いっぱいもらえるの?
補助金の利用を検討する際、公募要領等で「補助上限額〇〇円」と記載されており、「〇〇円あったら何しよう?」という考えに陥りがちです。上限額はあくまで補助金を受けられる可能性としての枠の話であり、上限枠いっぱいの交付を受けようと考える場合、補助金の仕組みを知っておく必要があります。今回は、「補助上限額〇〇円の罠」についてお伝えします。
記事のポイント
- 補助金は、もらえるかもしれない上限が段々減っていく仕組みになっているので注意が必要。
- 上限いっぱい補助金を受けるためには工夫が必要。
- 補助金の仕組みを理解し、賢い活用方法が必要。
「もらえるかもしれない額」が段々減っていくのが補助金制度
補助金は、「もらえるかもしれない額」が徐々に減っていく仕組みになっています。この仕組みを理解していないと、申請時に考えていた額と、実際にもらえる額があまりに開いてしまい、「くたびれ儲け」になってしまう可能性があります。
補助金交付額が減額される可能性のあるタイミングは大きく3つあります。「①採択」「②交付決定」「③額の確定(確定検査)」です。まず、一番大きな額は、公募要領に記載される「補助上限額〇〇円」という金額です。補助申請を考える際に、どうしてもこの数字を元に事業を考えてしまいがちですが、「補助金は実際にもらえる時はもっと少ないかもしれない」という点を留意しておくことが必要です。
まず一つ目のタイミングが「①採択」です。補助金の公募要領に基づき、補助金申請を行います。例えば、「補助上限額1,000万円」という補助制度について、補助上限額900万円相当の補助事業に申請したとします。補助金制度は競争です。補助金の予算上限があり、申請者が多い場合、採択額の調整が入ることがあります。即ち、900万円より低い額で採択通知がきた場合、もらえるかもしれない補助金額が例えば600万円となり、申請時点より低くなります。
二つ目のポイントは「②交付決定」です。上記の例のとおり、採択額が600万円で通知された場合、600万円で再度事業を組みなおす必要があります。補助金制度には一般的には「採択」と「交付決定」という2段階の仕組みになっており、「交付決定」がいわゆる契約行為になります。補助金採択者は、交付申請をすることで、交付決定をうけることとなりますが、交付申請の際には、見積書等の価格の根拠となる書類も一緒に添付して申請するケースがあります。その場合、しっかりと価格を精査して申請するため、採択通知額600万円より低い数字になることが多いです。仮に所管官庁との調整により、580万円で交付決定を受けた場合、補助金をもらえるかもしれない額の上限が580万円となります。
三つ目のポイントは「③確定検査」です。確定検査とは補助事業を実施した後に、各事業の支出について書類整備が適正にされているかを確認し、最終的な補助金額を確定するための検査となります。書類整備に不備があった場合や、意図せず補助対象外と認められた場合等、補助対象から外されて結果として減額となります。書類整備にコストを割き、確定検査を経て、補助金額が550万円となったとします。額の通知を受けて、請求書を提出することで補助事業者はキャッシュを受け取ることができます。上記のとおり、補助上限額1,000万円だったにも関わらず、実際に受け取る金額は550万円となっています。このように補助金制度は減額される可能性が高い制度であることに留意が必要です。
なお、補助金の制度によっては、上記の「①採択」「②交付決定」を一つのプロセスにしている例等もあり、上記はあくまで一般的な例となります。
補助金を上限いっぱいもらうためのポイント
制度毎の競争率を見極める
一概に補助金とまとめてしまうと全て同じように見えてしまいますが、補助制度毎に目的や趣旨が異なったり、採択率が変わる場合があります。毎年度補正予算で計上されている「持続化補助金」「ものづくり補助金」は競争率が高い補助金でした。一方、同様の制度でも「コロナ枠」は、積極的に事業者を支援する制度です。このように補助制度創設の背景や目的、予算の上限により、採択件数が異なり、競争率や、採択時のカット率等も異なるので、これらを見極める必要があります。
減らされることを見越す
前述のとおり、補助金は減額する可能性が仕組みになっている制度と捉えることができます。この前提を知っていれば、補助上限を超えて申請をしてみる等、減額されても事業実施が困難にならないように申請することが可能となります。ただし、どの程度減額される可能性があるかについては、何とも言えないため、過度な対応は難しいですが、減額される可能性を事前に頭の中に入れておくだけで、申請方法も工夫できます。
書類を整備し、確定検査を乗り切る
補助金を交付するかどうかを決定するのはあくまで所管官庁となります。補助金の制度や趣旨を全て把握するのは難しいですが、補助金毎にルールがあり、そのルールを逸脱したものは補助対象外として整理されてしまいます。補助金の所管官庁に前もって制度詳細を聞き、ルールを把握した上で、必要な書類を整備し、確定検査の時に補助対象外として整理されないような取組が必要となります。そのため、日頃から事務局や所管官庁の担当者とコミュニケーションしておくことで補助金への理解を深めることも一つの手段です。
おわりに
補助金の利用を考える際に注意して頂きたい一つの事項として、「補助上限額〇〇円」についてお伝えしました。急に減額されると驚き、その都度対応が必要になりますが、制度や仕組みを理解して、自社の事業成長に資する補助金の利用とする必要があります。より賢く補助金を利用するために、こういった制度を把握したり、補助金の担当者から説明を受ける等することも一つの手段です。
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