地域金融機関からM&Aコンサルタントへ転職
地域金融機関からクレジオ・パートナーズに転職したM&Aコンサルタント 眞﨑託弥と、中国・四国地域を中心としたM&A・事業承継コンサルファームを立ち上げた同社 常務執行役員 土井一真。
同年代の2人に主に眞﨑の視点から、地域のM&A・事業承継という業界に踏み込んだきっかけや、転職してからのギャップ、今後の展望について語ってもらいました。
(聞き手)
クレジオ・パートナーズ株式会社
常務執行役員 土井 一真
石川県金沢市生まれ。松山・名古屋・大阪育ち。
21歳で公認会計士試験に合格後、東京で上場準備企業の財務責任者を経て、山田FAS株式会社へ入社。2018年にクレジオ・パートナーズ株式会社を立ち上げ。
(語り手)
クレジオ・パートナーズ株式会社
M&Aコンサルタント 眞﨑 託弥
鳥取県米子市生まれ。
岡山大学卒業後、山陰合同銀行に勤務。地域経済への貢献を志し、2019年にクレジオ・パートナーズ株式会社に転職。
地域金融機関で経営者の役に立つ楽しさを学ぶ
- 眞﨑さんの地域金融機関での経験と、転職の経緯を教えてください。
(眞﨑):私は前職は山陰合同銀行という、鳥取県・島根県の第一地銀に勤めていました。3年程、地元の支店で住宅ローンのセールス等を担当し、その後、広島の支店で法人担当として、融資やコンサルティングをしていました。いわゆる若手の「地銀マン」ですね。転職をしたのは28歳、転職を考え始めたのは26歳の頃でした。
今振り返ると、銀行の仕事に不満は全くありませんでした。どちらかというと法人営業のコンサルティングが楽しすぎて、M&A・事業承継を学びたいと思うようになりました。
(土井):真面目ですね(笑)。もうちょっと生々しい話が聞きたいですね。
(眞﨑):すみません(笑)。転職では、まず「銀行員 転職」で検索して、出てきた転職エージェントに上から順に登録していきました。コンサルティングをしたいという希望を伝えて、お仕事を紹介して頂きました。M&Aだけでなく、シンクタンク系等も含めて紹介がありましたが、意外だったのはMRの営業や、同じ地銀系の本部採用のご紹介もあったことですね。その中の一つにクレジオ・パートナーズがありました。
(土井):正直に言っていいので、クレジオ以外にどちらを受けたんですか?
(眞﨑):M&A・事業承継の会社に固めて応募していたので、2~3社ですね。都会で暮らすということがイメージできなかったので、中国地域のエリアを中心に考えていました。クレジオと出会ってなければ、東京にいたかもしれないですし、地域金融機関に残っていたかもしれないです。本当にご縁だと思います。
面接で感じたのは「若いフランクな会社」、転職の決意に両親は涙
- 面接でのそれぞれの印象や採用を決意するまでについて教えてください。
(眞﨑):最初はどんな人たちがいて、どんな質問をされるんだろうと不安でしたが、思った以上にフランクという印象でした。M&A・事業承継の業界ということもあり、面接では年配の方が固い質問をしてくると思っていました。実際に、初めて面接してくれたのが土井さんで、同い年と聞き、クレジオの代表も30代後半だったので、若い人たちの会社という印象が強かったです。
(土井):確かに東京の新興系M&Aブティックを見ても若い人達が活躍していますし、M&A業界という産業自体が比較的若いこともあり、金融機関とのギャップはあるかもしれないですね。そんな中、面接3回を通じて、クレジオに来ようと決意したきっかけはありますか?
(眞﨑):改めて振り返ってみると、「これ」という大きなものはなかったですね。ただ、自分の年代の銀行員はよく考えると思うんですが、経営者のお役に立ちたいという想いがあり、コンサルティングについて関心が高かったことと、この地域で働きたいという想いが強くありました。色々と探しましたが、それが実現できる会社は、地方では少ないと感じたので、「採用してもらえるなら、逃す手はない」と思いました。
(土井):相変わらず真面目ですね(笑)。そして、特に刺さったものがないこの回答。。。(苦笑)。最近、採用側で活動中に思うのは、候補者の方と当社の空気感や雰囲気が合うことが大事ですね。逆に、候補者の方からは眞﨑さんのように、何かこれ1つを欲しているということではなく、全体的に吟味されているとは感じます。私から見た眞﨑さんは、地方銀行出身で真面目な雰囲気を醸し出しているのですが、結構熱いものを持っていそうだなと思って採用しました(それが発覚する日があったのですが、それはまた別の機会に。。。)。しかし、残念ながらその後少しトラブル(?)が起きるんですよね。分かっていて振りますが、ご家族とはこの度の転職について、どのような話をしていたんですか?
(眞﨑):、、、(笑)。妻には事前に相談し、「いいんじゃない」くらいの反応で、認めてくれたのが嬉しかったです。しかし、実家に報告する際に、両親には内定を頂くまで報告していませんでした。事後報告的に、電話で転職を伝えたところ、泣かれてしまいました。地銀からよく分からない会社に転職するとはどういうことかという心境だったんだと思います。地域では、金融機関への就職は人気ですので、安定した職業から離れることに、頭がおかしくなったんじゃないかと思われたと感じています。
(土井):お母さんには、大変申し訳ないことをしてしまいました。この場をお借りして、謝罪します、、、、。応援していただけるような会社にしていきますし、いつかちゃんとお会いしてご説明の機会をいただきたいですね。地方の方は家族との距離も都会と比較すると近めで、丁寧に接していきたいと考えています。
(眞﨑):両親の言葉で決意を変えるつもりはありませんでしたが、今になって思うと、事後かつ電話で報告してしまったことが悔やまれます。M&Aコンサルタントとしても気を付けなければいけない視点だと反省しました。
銀行員時代とのギャップ、M&A成立を最後まで担当することが成長のきっかけ
- 転職してから苦しかったことやギャップについて教えてください。
(眞﨑):銀行での業務が辛かった、辞めたかったという訳ではないので、就業時間や処遇については普通に受け入れることができました。ただ、銀行では残業があまりなかったので、銀行時代と比較して、働く時間は長くなったと思います。これは事前に説明もあったので、覚悟もしており、違和感はありませんでした。
一番ギャップに苦しんだのは、銀行時代との働き方の違いですね。大きな組織で指揮命令系統がしっかりしている中で働くことと、しっかりとしたルールがない環境で働くことについて、最初は慣れませんでした。今では逆に色んなことができることが楽しくなってしまい、様々な場所に出かけていきますがその分、責任もあると自覚しています。
(土井):私と代表は前職で過ごした時間が長く波長も合っていたことがあり、価値観を暗黙に理解し合えるのですが、これからは組織として、仕組みやルールをきちんと明文化することが課題ですね。ただ、固めすぎると自由がなくなってしまうのでバランスが難しいところです。基本的には「余白」の部分を確保したいと考えています。
(眞﨑):最初は超えていいラインが分からず戸惑いましたね。
(土井):まぁ、そうなりますよね。申し訳ないです。稟議や調整等、社内で時間を過ごすよりは、社外で経営者のため、地域社会のために時間を使って欲しいと思っていますね。
(眞﨑):また、地銀に勤めている方の“あるある”として、支店の業務ではパワーポイントを利用して資料を作る機会がありません。クレジオではお客さまとディスカッションする際に、資料を作成するのですが、私もパワーポイントを転職してから本格的に使っています。大学生以来だったので、PCスキルのキャッチアップには苦労しました。ただ、決算書の理解等、銀行で経験したことがベースとなり、活きていると感じるので、その経験は非常によかったと思います。
(土井):M&Aを支援する上で、決算書の理解は必須ですね。当社では最低でも、転職してから簿記2級の取得をお願いしています。また、お客様に何かをご提案する時にオーダーメイドで資料を作成する必要があり、正確に早く資料を仕上げるためのパソコンスキルも求めています。しかし、こららは入社半年ぐらいでキャッチアップしていただければとも考えています。これらが最低限備わった上で、M&A業務では様々な知識や経験を求められています。当社でも転職してからも色々と学ぶ機会を自らつくるように伝えているのですが、その辺りはどう感じますか?
(眞﨑):M&Aの仕事を続けようと思うと、広く深い視点が必要になります。市場全体を俯瞰した視点と、その事業に特化した視点を持つことが求められます。そのためには、しっかりと勉強して、常にキャッチアップしていかないといけないというのは、転職してすぐに感じました。当社でも図書購入の補助もあるので、自ら学んでいける環境はありますが、そういった学びや勉強が嫌いな方は合わないかもしれないですね。
(土井):知見は、一朝一夕では習得できないですが、経営者の皆さまのお役に立つためには必要なので、日々の勉強の積み重ねから逃げてはいけないと思います。
- 入社して最初の1年をどのように過ごしていたか教えてください。
(眞﨑):最初の3か月は、正直何をしているか分かりませんでした(笑)。転職したギャップもあり、主体的に動くことが難しかったんだと思います。あるM&A案件について、入社直後から関わり、主にマッチング後のエグゼキューションを担当していた案件が入社後9ヶ月目にクロージングすることができました。そこから自分の意識や行動が変わったと感じています。M&Aの全体感を把握できるようになったことで、自分で何をすべきかを考えられるようになったんだと思います。
(土井):クロージングに入社後早いタイミングで関わることが重要ですね。当社は、M&Aニーズの情報を集めるソーシングから、マッチング、エグゼキューションといった一連の流れを一人が担当する仕組みにしているので、一つの案件を(できれば最初から)最後まで見届けることがスタートラインと考えています。可能であれば、入社1年以内に1件のクロージングを支援するようにお願いしていますし、社内でもうまく案件にアサインしたいと考えています。
(眞﨑):クロージングを経験してから、圧倒的に仕事が楽しくなりましたね。
(土井):確かに最初の方は大丈夫かなーと思っていましたが、クロージングをしてから見違えるように別人になりましたね(笑)
山陰地域を繋ぐM&Aコンサルタントを目指して
- 眞﨑さんの今後のキャリアプランについて教えて頂けますか。
(眞﨑):入社する前は、「山陰(鳥取・島根)で独立したい」と考えており、入社前にクレジオにも伝えていました。地域の役に立ちたいという想いは全く変わっていないので、山陰で仕事がしたいとは思っているので、その部分は変わりません。ただ、地域の中だけで活動することは、地域にとっても自分にとってもリスクになるのでは、と考えるようになりました。M&Aの仕事では全国のネットワークも重要になります。山陰だけでなく、広島を拠点にしつつ、中国地域といった活動範囲を広域にすることで、地域に貢献できる部分も広がるのではと考えるようになりました。
(土井):私から伝えたのは、何かを繋ぐM&Aコンサルタントになって欲しいと伝えました。眞﨑さんには、山陰と広島や首都圏、地域を超えて繋げる存在になって欲しいと思います。眞﨑さんだけでなく、当社としては、今後一緒に働く方も含めて、なるべく長くコンサルタントが働ける会社を目指したいと思っています。様々な職務を経験された方が集い、それぞれのやりたいことを実現できるような組織を目指していきたいです。
CROSS TALKを終えて(編集後記)
(土井):今回は当社でも応募が多い、金融機関出身の若手が何を考え、どういった想いで転職を考え、当社と出会い、入社後どんな感じで過ごしているか、ざっくばらんに語ってもらいました。M&Aコンサルタントの仕事はそんなに簡単なものではないと思いますが、強く優しい心とその素敵な能力を活かせる場所が当社であれば、嬉しいです。皆さまのご応募ご声援に感謝しています(なお、私のネクタイが曲がっていますが、何卒ご容赦いただければ幸いです。)。
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