鳥取県のM&A・事業承継事例|休廃業・倒産状況・後継者不在率まとめ
鳥取県は全国で最も人口が少ない県であり、地域の中小企業では後継者不在や業界再編の影響が強く表れています。そのため、事業承継型M&Aや企業買収による地域経済の再編が活発化しており、買手・売手双方にとって大きな経営課題となっています。
本記事では、鳥取県の経済概況・産業構造・休廃業・倒産件数の動向をデータで整理しつつ、全国との比較で見た後継者不在率の現状をわかりやすく解説します。
また、実際に鳥取県で行われたM&A事例(事業譲渡・事業売却・会社譲渡)も紹介し、鳥取におけるM&A動向を総合的にまとめています。
目次
鳥取県の経済概況|産業構造と成長分野
鳥取県は、2022年度(令和4年度)の名目県内総生産が1兆9,122億円となっており、前年度比では緩やかなマイナスで推移しています。県内総生産規模は全国で最も小さい水準にあるものの、景気変動の影響を受けにくい産業構造が特徴です。
産業別に見ると、卸売・小売業やサービス業を中心とする第三次産業が県内経済の中心を占める一方で、製造業や建設業を含む第二次産業も安定的に推移しています。鳥取県経済は、製造業・建設業を中心とした生産活動が下支えしている点が特徴です。
鳥取県の人口は約52万人(2025年9月1日時点)で、全国で最も人口が少ない県です。県内は大きく東部・中部・西部の3地域に分かれ、それぞれ異なる産業構造と地域特性を有しています。鳥取市を中心とする東部地域では、行政・商業機能に加え、鳥取砂丘を核とした観光業が発展しています。
倉吉市を擁する中部地域は、農業や地場産業を基盤とした地域経済が形成されており、地域密着型の中小企業が多い点が特徴です。米子市・境港市を中心とする西部地域では、商業集積地としての機能に加え、境港を拠点とした水産業が盛んであり、ロシア・韓国との航路を活かした物流・交流の拠点としての役割も担っています。
鳥取県は日本海に面しており、境港を中心とした水産業が全国的にも知られています。加えて「ゲゲゲの鬼太郎」の作者・水木しげる氏の故郷である境港市の水木しげるロード、鳥取砂丘、大山といった観光資源を有し、観光業と地場産業が地域経済を支える構造となっています。
鳥取県の倒産件数・休廃業件数の推移
| 年度 | 倒産件数(法的整理) | 休廃業・解散件数 |
|---|---|---|
| 2018年 | 22件 | 270件 |
| 2019年 | 19件 | 252件 |
| 2020年 | 19件 | 224件 |
| 2021年 | 15件 | 213件 |
| 2022年 | 23件 | 210件 |
| 2023年 | 19件 | 232件 |
| 2024年 | 38件 | 329件 |
参照:帝国データバンク-鳥取県「企業の休廃業・解散動向調査(2024年)」
鳥取県では、倒産件数よりも休廃業・解散件数(個人事業主を含む)が圧倒的に多い構造が、2018年以降一貫して続いています。
特に2020年は、コロナ禍をきっかけに「法的整理による倒産」ではなく、自主的な事業終了を選択する企業が急増した年であったことが分かります。
2021年は各種支援策の影響で倒産件数が一時的に減少しましたが、休廃業は高止まりしており、実態としては事業継続を断念する企業が多い状況が続きました。
その後、2023年・2024年は倒産件数、休廃業件数ともに増加しており、物価高、人手不足、後継者不在といった構造的課題が、県内中小企業に重くのしかかっていることがうかがえます。
鳥取県は企業規模が小さい事業者の比率が高く、「倒産として表面化する前に、廃業・解散という形で市場から退出する」傾向が強い地域である点が、この数字からも読み取れます。
鳥取県の後継者不在率は全国5位
| 調査年 | 後継者不在率 | 全国順位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018年 | 72.3% | 6位 | 高水準で全国上位 |
| 2019年 | 76.0% | 2位 | 高水準で全国上位 |
| 2020年 | 77.9% | 2位 | 高水準維持 |
| 2021年 | 74.9% | 1位 | やや改善も高止まり |
| 2022年 | 71.5% | 2位 | 低下傾向へ転換 |
| 2023年 | 71.5% | 1位 | 前年と横ばい |
| 2024年 | 70.6% | 2位 | 調査開始以降で最低 |
| 2025年 | 62.7% | 5位 | 7割を下回り改善傾向 |
参照:帝国データバンク-鳥取県「後継者不在率」動向調査(2025年)
2025年の鳥取県の後継者不在率は62.7%であり、全国5位の高さです。
鳥取県の後継者不在率は2018〜2020年にかけて7割を超える高水準が続き、2019年には全国でも非常に高い76.0%に達しました。
その後2021〜2022年頃から徐々に低下傾向が見られ、2024年には70%台ながら調査開始以降の最低水準(70.6%)となっています。
そして2025年では62.7%と大きく改善し、調査開始以来初めて7割を大きく下回りました。都道府県別では全国5位と依然高い水準ではあるものの、改善傾向が明確に見える結果となっています。
この改善は、地域の事業承継支援センターやM&A支援制度、若手後継者の意識変化など、後継者対策の効果が地域にも浸透してきた可能性を示唆しています。
鳥取県のM&A・事業承継の事例一覧
鳥取県の地域経済において、事業承継や成長戦略の観点から注目されるM&A事例をまとめました。
事例①高島屋が米子高島屋をジョイアーバンに譲渡
(2019.10発表)高島屋が100%出資子会社の米子高島屋(鳥取県米子市)の全株式を、鳥取県米子市内を中心に中心市街地活性化事業やTSUTAYA事業に取り組むジョイアーバン(鳥取県米子市)に譲渡しました。米子地域では大きな百貨店だっただけに、地元企業への事業譲渡は地域のインパクトとしても大きい事例でした。
事例②マーケットエンタープライズが旺方トレーディングから中古農機具の買取・輸出事業を取得
(2020.4発表)ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を営むマーケットエンタープライズ(東京都)が、農業機械の買取・海外輸出・国内小売卸売・農機具レンタル・加盟店事業を営んでいた旺方トレーディング(鳥取県鳥取市)より、中古農機具の買取・輸出事業を取得しました。
旺方トレーディングは、「農機具買取.com」「中古農機具MARKET」「農機具レンタル.com」等のWebプラットフォームと国外への輸出事業を展開していました。地域でWebを活用し、グローバルに展開する企業を首都圏の大手企業が事業取得するという、地域においては少し珍しい、可能性を感じる事例でした。
事例③プローバホールディングスがGROW UPを子会社化
(2018.9発表)パチンコホール運営等の事業を展開するプローバホールディングス(広島県広島市)が、鳥取県・岡山県に7店舗のベーカリー事業を展開するGROW UP(鳥取県鳥取市)を買収しました。
プローバグループとしてはこれまでのノウハウを活かし、ベーカリー事業に参入し早速広島で新店をオープンするなど、新事業展開においてM&Aを活用した事例となります。
事例④富士薬品があみはま薬局を子会社化
(2019.3発表)全国的に調剤薬局・ドラッグストアや医薬品等の製造を展開する富士薬品(埼玉県さいたま市)が、同じく調剤薬局・ドラッグストアを鳥取で展開するあみはま薬局(鳥取県鳥取)を子会社化しました。
薬局業界では業界再編が進んでおりますが、鳥取等の地域においても同様であり、富士薬品にとって、未出店地域の事業強化を一歩進める形になりました。
事例⑤メインマークがクリエイティブサポートの工事部門を譲受
(2019.5発表)沈下修正、空洞充填、地盤強化、建物の傾き対策を行うメインマーク株式会社(東京都)が、ボクシングジム・学習塾「明光義塾」の運営等を展開しているクリエイティブサポート(鳥取県米子市)より、工事部門の事業を譲受しました。多角経営を行う地域の事業者が、首都圏の専門的に事業を展開する会社と連携する事例となりました。
鳥取県のM&A・事業承継動向の展望
鳥取県のM&A・事業承継は、人口減少と経営者の高齢化を背景に、今後も「事業承継型M&A」を中心に需要が底堅く拡大していくと見込まれます。
2024年は倒産件数が増加し、休廃業・解散件数も大きく増えており、資金繰りや人手不足、物価高といった経営環境の変化が、中小企業の継続判断を早めている状況がうかがえます。鳥取県のように小規模事業者の比率が高い地域では、倒産として表面化する前に「廃業(閉店)」が選択されやすく、結果として地域の雇用や過疎化が課題になりやすい点が特徴です。
後継者不在率は、2025年に62.7%まで低下しましたが、依然として全国トップクラスの高水準であることに変わりはなく、親族内承継だけでは解決しきれない企業が多いことが示唆されます。今後は事業の成長や人材確保、販路拡大を目的に、第三者承継を前向きに活用する動きがより増えていくでしょう。
鳥取県のM&Aは、地域経済を支えるサービス業・小売・建設・製造などの裾野が広い業種で検討が進みやすく、県内から生まれた成長事業を県外企業が取得するケースなど、多様なパターンが見られます。こうした流れは、地域内承継と地域外承継が並走しながら、企業の存続と再成長を支える構図が強まっていることを意味します。
一方で、人口規模が小さい県ほど、買手探索や後継者候補の確保が難航しやすく、条件交渉や引継ぎ計画まで含めた準備の質が成否を分けやすい傾向があります。業績が安定している段階から企業価値や承継方法を整理し、株式譲渡・事業譲渡・資本提携など複数の選択肢で検討を進めることが、鳥取県での事業承継を成功させる現実的な戦略になります。
鳥取県でM&Aの成功には早期相談が鍵
鳥取県では、後継者不在や人手不足、経営者の高齢化を背景に、倒産に至る前に廃業・解散を選ぶ企業が増えています。後継者不在率は2025年に62.7%まで改善したものの、全国5位と依然として高水準であり、「まだ大丈夫」と考えている間に選択肢が狭まってしまうケースも少なくありません。
M&Aや事業承継は、実際に引継ぎを行う直前になってから検討を始めると、買手候補が限られたり、条件交渉が不利になったりするリスクがあります。一方で、業績が安定している段階から専門家に相談し、自社の価値や承継方法を整理しておくことで、第三者承継や資本提携など、より良い選択肢を確保しやすくなります。
鳥取県で「後継者がいない」「将来どうなるか不安」「M&Aも選択肢に入るのか知りたい」と感じている経営者こそ、できるだけ早い段階での相談が重要です。現時点で売却を決めていなくても、相談することで現実的な選択肢と準備の方向性が明確になります。まずは情報収集の一環として、専門家への相談から始めてみることをおすすめします。
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クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
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