事業承継・引継ぎ支援センターの実績からわかる事業承継の動向(2020年度)
2021年11月、経済産業省は「事業承継・引継ぎ支援センター」に関する2020年度(令和2年度)の実績をまとめた「事業評価報告書」を公表しました。
同報告書によると、2020年度の事業引継ぎ成約件数は1,379件(対前年度比117.3%)と過去最多を更新し、累計成約件数も4,956件に達しています。コロナ禍という厳しい経営環境下においても、第三者承継を中心とした事業承継が着実に進んでいることが読み取れます。
本記事では、事業承継・引継ぎ支援センターの2020年度実績データをもとに、全国的な動向を整理するとともに、中国・四国地域、とりわけ広島県の特徴的な実績に焦点を当て、地域における事業承継の現状と今後の示唆を解説します。
目次
記事のポイント
- 事業承継・引継ぎ支援センターの2020年度の成約実績は1,379件であり、過去最多。
- 中国・四国地域では、広島県が相談件数全国5位、成約件数全国2位と突出。
- 地域差はあるものの、第三者承継を含む事業承継が全国的に選択肢として定着しつつある。
2020年度データで読み解く支援センター実績
事業承継・引継ぎ支援センターは公的な事業承継の相談機関で全国48か所に設置されています。事業承継・引継ぎ支援センターの実績をまとめた資料が「事業評価報告書」となります。2020年度の同報告書のポイントは以下のとおりです。
全国の成約件数は過去最高|コロナ禍でも進んだ第三者承継
2020年度(令和2年度)の成約件数は1,379件であり、コロナ禍にも関わらず、過去最高を記録し、累計4,956件となりました。
相談社数は11,686社(対前年度比101.5%)、相談回数は41,750回(対前年度比123.8%)であり、1社あたりの平均相談回数は3.57回となっており、いずれの数値も前年度と比較して増加しています。
譲渡側企業を売上高別で見ると、売上高30百万円以下が27%、30百万円超~1億円以下が35%、1億円超~5億円以下が32%となっており、5億円以下の企業が全体の9割超を占めています。
譲受側企業を売上高別で見ると、売上高30百万円以下が13%、30百万円超~1億円以下が22%、1億円超~5億円以下が30%、5億円超~10億円以下が11%となっています。


出典:中小企業庁「令和2年度に認定支援機関等が実施した事業引継ぎ支援事業に関する事業評価報告書」
地域別で明暗|東京都は相談減少、広島県は成約件数全国2位
各都道府県の実績は以下のとおりです。
譲渡相談件数が一番多いのは大阪府、次いで東京都となっていますが、昨年度と比較すると大阪府は327件から434件に増加したのに対し、東京都は316件から210件と減少しています。
ただし、成約件数ベースでは、東京都が90件(昨年度74.5件)と最多であり、続いて広島県が71.5件(昨年度56件)となっています。

中国・四国地域では、広島県事業引継ぎ支援センターが相談件数は全国5位の175件、成約件数が全国2位の71.5件となっており、昨年度に引き続き突出して高い実績となっています。
中国地方|県別の相談件数・成約件数
| 都道府県 | 相談件数 | 譲渡相談件数 | 成約件数 |
|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 117 | 52 | 22 |
| 島根県 | 163 | 97 | 20 |
| 岡山県 | 225 | 82 | 38.5 |
| 広島県 | 525 | 175 | 71.5 |
| 山口県 | 184 | 66 | 20 |
四国地方|県別の相談件数・成約件数
| 都道府県 | 相談件数 | 譲渡相談件数 | 成約件数 |
|---|---|---|---|
| 徳島県 | 153 | 42 | 22 |
| 香川県 | 328 | 116 | 35 |
| 愛媛県 | 111 | 23 | 12 |
| 高知県 | 307 | 193 | 27 |
出典:中小企業庁「令和2年度に認定支援機関等が実施した事業引継ぎ支援事業に関する事業評価報告書」より当社加工
まとめ|早期相談と地域支援の重要性
2020年度の事業評価報告書からは、事業承継・引継ぎ支援センターが、公的支援機関として着実に役割を果たしていることが読み取れます。
コロナ禍においても、相談件数・相談社数・成約件数はいずれも増加しており、第三者承継を含む事業承継が「特別な選択肢」から「現実的な経営判断」へと変化しつつある状況が浮き彫りになりました。
一方で、都道府県別に見ると相談件数や成約件数には大きな差があり、地域ごとの支援体制や企業側の意識の違いが結果に影響していることも明らかです。特に中国・四国地域では、広島県が全国トップクラスの成約実績を維持しており、地域に根差した支援と早期相談の重要性が示唆されます。
後継者不在や将来不安を抱えながらも、「まだ先の話」と考えている経営者は少なくありません。しかし、事業承継は準備の早さが選択肢の広さを左右します。公的支援制度の活用に加え、民間専門家と連携しながら、自社にとって最適な承継の形を検討することが、企業の存続と成長につながります。
クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を専門に支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見を活かし、経営者に寄り添った実務的な支援を提供しています。 URL:https://cregio.jp/
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