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M&A事業承継

日本でも解禁!?特別買収目的会社(SPAC)とは?


特別買収目的会社(SPAC)とは、それ自体は特定の事業を持たず、主に未公開会社・事業を買収することのみを目的に設立された会社のことを指します。現在、米国におけるIPOに関する議論の中で注目を集めていますが、最近では日本でも解禁を検討する動きがあります。改めて、SPACに関する論点をまとめました。

記事のポイント

  • SPAC(Special Purpose Acquisition Company)とは「特別買収目的会社」であり、未公開会社・事業の買収のみが目的となる。
  • 未公開会社にとっては、通常のIPO審査を経ずに上場企業となることで、手続きの簡素化・迅速化が可能。
  • アメリカではSPACによるIPOが活況。日本でも制度導入の議論が進められている。

特別買収目的会社(SPAC)とは

SPAC(スパック)とは「Special Purpose Acquisition Company」の略称で、日本語では特別買収目的会社と呼びます。SPACは、それ自体が特定の事業を持たず、主に未公開会社・事業を買収することのみを目的とした会社です。先にSPACがIPOし、その後、未公開会社・事業を買収する流れになりますが、IPO時点では、どの会社を買収するか定まっていないことから「ブランク・チェック・カンパニー」とも呼ばれています。

SPACそのものは、1980年代から存在したものの、詐欺的行為等が問題となり、一時期規制が強化され、ITバブルを背景としてIPO市場が好況だったこともあり、数年前にはほとんど利用されていなかったのですが、以下のとおり、アメリカでのSPACの上場件数・調達額は、近年急増しています。最近のSPACを活用したIPO事例として、東南アジア配車大手のグラブ(シンガポール)がアメリカの投資会社アルティメーター・キャピタルのSPACと合併することで、米ナスダック市場に上場すると発表したことで、世界で注目を集めるようになりました。

(出典)内閣官房「成長戦略会議(第11回)配布資料



SPACによる上場(IPO)から買収の流れ

SPACそのものは、事業を持っている訳ではありません。SPACは設立後、自らがIPOすることで資金調達を行います。その後、買収先の候補を選定し、デューデリジェンスを経て、買収が決定すると、買収された会社は、通常の上場の手続きを経ず、上場会社になることが可能となります。

なお、上場基準は各国市場で異なるため、上記の流れはあくまで海外における流れとなります。日本ではSPAC制度はまだ認められていないことに注意が必要です。



SPACを活用した上場のメリット

未上場会社がSPACを活用して上場するメリットの大きなポイントは、IPO手続きの簡素化・迅速化です。未上場企業が独自でIPOを目指す際は、厳しい審査を通過するための時間・労力・金銭コストが必要となります。SPACを活用すれば、M&Aの手続きとなるため、これらを大幅に節約することができます。

日本でも解禁される?SPACを活用したIPO

前述のとおり、日本ではSPACによるIPOは認められていません。海外の主要取引所におけるSPAC上場の可否の状況は以下のとおりです。現在、SPAC上場については、内閣官房が行う「成長戦略会議」において検討が進んでいます。主にスタートアップが上場を目指す際の議論において、公開価格が低すぎることで資金調達額が少なくなる現在の上場の問題を解決する上でも意味があると指摘されており、今後はSPACを導入した場合に必要な制度整備について、海外の動向等を踏まえつつ、検討が進められることとなっています。

(出典)内閣官房「成長戦略会議(第11回)配布資料




おわりに

特別買収目的会社(SPAC)は、それ自体は特定の事業を持たず、主に未公開会社・事業を買収することのみを目的に設立された会社であり、未上場企業はSPACへの買収手続きを経ることで、上場会社となることができ、現在のIPOより簡素化・迅速化することができます。日本では、現在SPAC制度について検討段階であり、まだ運用するに至ってはいません。

今後、SPACによるIPOが制度整備された場合、SPACはM&Aを活用した制度となっており、必ずしもスタートアップに閉じた議論ではありません。IPOにおいて論点となりやすいテーマは、「IPOするためのイニシャルコスト」・「IPOを維持するためのコストやガバナンス体制の構築」ですが、SPACを活用することで、少なくともイニシャルコストについては抑えることが期待できます。TOKYO PRO MarketのようなIPO市場の多様性だけではなく、IPOに至るまでの方法が多様化することが、今後、スタートアップも含めた地域の中小企業にとってどのようなチャンスとなるかを今後も注視する必要があります。



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
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設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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