令和6年度補正予算案が2024年11月29日に閣議決定され、その詳細資料が各省庁で公表されています。補正予算のうち、経済産業省関連予算について、全体の傾向を解説しながら、地域や中小企業の経営者の皆さまにとって関連がある施策をピックアップし、ポイントをお伝えします。
令和6年度補正予算の傾向と地域・中小企業向け他の特徴的な予算をピックアップ
「令和6年度補正予算案(経済産業省関連)」のうち、全体の傾向について触れ、地域や中小企業に関連する施策やその他の特徴的な施策をピックアップしました。予算の全体を確認したい場合は、「令和6年度補正予算案の事業概要(PR資料)」をご覧ください。なお、各施策に付したコメントは、あくまで筆者の感想となりますのでご留意ください。制度の詳細情報を希望される方は、施策を担当する部署へ直接ご確認お願いします。
令和6年度補正予算(経済産業省関連)の傾向
令和6年度補正予算(経済産業省関連)は、昨年度に引き続き半導体・蓄電池・宇宙のような戦略的に成長を目指す個別産業において大規模な予算が計上されると共に、中小企業向けは「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・M&A補助金」といったこれまでの支援メニューに加えて、「売上高100億円」といった成長を目指す企業の後押しを目的に、生産性向上・事業拡大・省エネをテーマとした設備投資の施策が用意されている印象を受けました。こういった補助金を活用し、成長企業創出に寄与できるかが今年度の補正予算のテーマになりそうです。
特徴的な予算をピックアップ
地域中小企業向け
地域中小企業の方も利用しやすいと思われる支援施策をピックアップしました。従来の「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・M&A補助金」といった施策に加えて、生産性向上・事業拡大・省エネ等の文脈で設備投資のメニューが多く、成長企業創出に向けた施策が増えた印象を受けました。
「中小企業生産性革命推進事業」には、毎年度補正予算で計上されている「ものづくり補助金」「持続化補助金」「IT導入補助金」「事業承継・M&A補助金」が盛り込まれています。販路開拓・設備購入・IT導入・M&Aを検討している方は注目したい施策です。通常のメニュー以外に、売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業向けの大胆な設備投資を支援する補助金も盛り込まれることとなりました。
加えて、「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」では再生支援・事業承継の相談体制を構築する予算が引き続き計上されています。
「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」においても、省力化等による労働生産性向上・事業拡大に向けた設備投資を支援するメニューが盛り込まれています。加えて、経営体制整備のため、大企業がから経営人材を転籍・兼業・副業・出向等で受け入れる企業への給付金制度も設けられており、大手企業が保有する人材の流動化促進の意図がうかがえます。
設備投資関連では、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」においても省エネ性能の高い設備・機器への更新を促進する支援制度が設けられており、省エネ・生産性向上・事業拡大といった文脈で、設備投資を行う計画がある企業にとっては、今回の補正予算の制度は注目です。
また、2024年6月に改めて公表された「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 第2次中間報告書」にも明記されている売上高100億を超える企業の創出に向けて、中小企業基盤整備を通じてファンドへ投資する施策げ掲載されています。
地域における課題解決向け
「地域の移動課題解決に向けた自動運転サービス開発・実証支援事業」「持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」等、移動・物流といった地域経済における課題について実証を行う予算が計上されています。下記で掲載した以外にも「地域の社会課題解決に向けたデジタルライフライン整備加速事業」「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」「予防・健康づくり分野における先端技術を活用した社会課題解決サービス開発促進事業」等も計上されており、デジタルインフラ・介護・健康等、様々な分野で先進的な取組にチャレンジしたい企業は注目したい施策です。
産業分野向け
昨年度の補正予算では、半導体産業に大きく予算が割かれましたが、今年度の補正予算でも半導体産業向けに大きな予算が計上されています。半導体だけでなく、以下で「宇宙」「量子コンピューティング」「再生・細胞医療・遺伝子治療」「蓄電池」等は、戦略的な成長分野として予算計上されていますので、各分野に関わりが深い企業は注目してもよいかもしれません。
スタートアップ向け
スタートアップ向けには、ディープテック向けやグローバル展開支援、大企業連携・産学官連携支援等の施策が計上されていますが、いずれも直接スタートアップが利用できる施策としては少ない印象です。
おわりに
令和6年度補正予算案では、産業分野別の予算だけでなく、「売上高100億円企業」等、成長する企業創出に向けた施策が多い印象を受けました。こういった施策のトレンドを捉えながら、自社に有効な施策を選択し、事業投資を行うことも一つの経営戦略ではないかと思います。
地域経済では、ポストコロナ時代においてインバウンドを中心とした観光産業の更なる成長も見込まれており、観光庁においても補正予算を計上しています。観光庁では、宿泊施設の改善等のハードだけではなく、プレミアムツアー造成等のソフトコンテンツを磨く施策が計上されており、地域で観光事業に取り組もうとされる企業は、こういった予算の活用も注目するのもよいかもしれません(観光庁「令和6年度観光庁関係補正予算」)。
地域・中小企業がこういった行政のトレンドを読み解きながら、それぞれの地域における成長投資が更に加速することを願います。
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