「コロナで困っている食品関連事業者を助けたい」から生まれたサービス、社会貢献型通販モールWakeAi(ワケアイ)
新型コロナウイルス感染症の影響により、商品が売れなくなったり、在庫を大量に抱えてしまった事業者・生産者・飲食店舗等が商品を出品・販売し、消費者もコロナ禍で苦しむ事業者を応援しながら、普段出会えない商品に巡り合えるマーケットプレイスである「WakeAi(ワケアイ)」を運営する株式会社WakeAi 代表取締役 慎 祥允氏に、事業が生まれた経緯と今後の事業展開についてインタビューしました。
21歳で起業、Webマーケティングを活用して「0→1」に挑戦
何も分からない21歳から起業し、英会話の家庭教師の紹介事業からビジネスを始めました。当時はまだ「Webを活用したマーケティング」という考え方が広がる前の時代でしたが、その時から「チラシを撒く労力やコストをかけるのであれば、インターネットで集客してみよう」と思い、試行錯誤を重ねながら実際にインターネットを活用してみたところ、一見何の魅力もないシンプルなホームページでしたが、お客様からの問い合わせがありました。これをきっかけに、インターネットの凄さに魅力を感じ、自分のビジネスの販路開拓も、初期からインターネットを全面的に活用する施策を展開してきました。
その後、英会話家庭教師紹介ビジネスも様々な事業者が参入し、飽和状態になったので、新しい可能性を模索して海外のサービスを見ていた時に、海外のウェブサービスが、アニメーション動画で自社サービスを紹介しているのを見ました。「この流れは日本でも今後のメインストリームになっていく」と感じ、これを日本でも普及させたいと思い、アニメーション動画制作サービス「FILMBANK」の提供を開始し、2015年3月16日にInSync株式会社を設立しました。今でこそ動画の時代で、YouTubeが大きなプラットフォームとして成長していますが、当時はまだ動画配信サービスの先駆けの時代だったと思います。ただ、残念なことにFILMBANKは動画配信サービスではなく、動画制作サービスという受託制作のサービスなので、フローを追うビジネスモデルです。フローではなく、ストックできるビジネスを創りたいという思いが強くなり、FILMBANKを展開しつつ、新しいビジネスの柱を模索しました。
色々なサービスを検討するうちに、ネットにある通販商品の最安値をシンプルに探せるサービスが欲しいと思いました。「価格.com」等、レビューや口コミで情報が満載のサービスはありますが、単純に、「いま、どこが最安値なのか」を知りたいと思うようになり、「Shoply(ショップリー)」という大手通販サイトのあらゆる商品の価格を比較し、最安値を探せる検索サービスをつくりました。この「Shoply(ショップリー)」のいいところは、本当にシンプルに検索したい商品の最安値を知ることができるところです。Googleの検索サービスのように、シンプルに欲しい情報を提供してくれるユーザビリティを目指しました。自分でも大好きなサービスで、今でも私自身がこのサイトのヘビーユーザーです。
上記以外にも様々な「0→1」を立ち上げましたが、「FILMBANK」というアニメーション制作のフローのビジネスと、「Shoply(ショップリー)」というストック型のビジネスと、2つの収益のポイントを生み出せたことで、「また新しい何かにチャレンジしよう」と考えていました。
「困っている人を助けたい」から生まれた「WakeAi(ワケアイ)」
コロナ禍の深刻な課題「商品が売れない」
新しいビジネスを模索するうちに、2020年になり新型コロナウイルスにより社会が変わりました。当社もインターネットのサービスが中心だったこともあり、フルリモートのワーク体制へと移りました。家にいる時間が多くなることで、TVやニュースに触れる時間も増えました。
当時、価格比較サービス「Shoply(ショップリー)」を運営していたこともあり、「コロナで困っている方に対して、Shoply(ショップリー)で何か役に立てないか」と思いました。特に新型コロナウイルス感染の不安が広がり始めた時期だったため、マスクや消毒液については、需給のバランスが崩れ、コロナ前だと信じられない高い価格で取引されていました。そこで、Shoply(ショップリー)で得たノウハウを活かし、「少しでもマスクや消毒液などの防疫関連グッズが安く買えるように」と、「新型コロナウイルス (COVID-19)・感染症対策特集ページ」を制作しました。
マスクや消毒用アルコールなどの防疫グッズの最安値だけではなく、新型コロナウイルスの感染者数の推移が分かるグラフを埋め込んだり、消毒や感染予防対策について、アニメーションで説明する動画を埋め込む等、これまで培ったウェブ制作やアニメーション動画制作のノウハウを活かし、新型コロナウイルスに関連して役立てる情報提供に努めました。
更に、もっとユーザーに役立てることはないかと考え、マスクを1枚単位で価格表示できる「マスク通販最安値.com」というサービスをリリースしたところ、反響は大きく、多数のメディアにも取り上げて頂きました。自分としては、コロナ禍という非常事態で、「自分も何か役に立ちたい」という想いでいっぱいでした。
そんな中、ニュースなどで、飲食店や事業者の方が「商品が売れなくて困っている」という報道がされているのをしばしば見かけました。新型コロナウイルスの感染を避け、世の中で自粛制限が進むと、ホテルや飲食店へ卸していた事業者の方々が、これまで当たり前のように売れていた商品が「全く売れない」という状況になりました。こういった報道を見かける度に、自分も経営者ですので、「もし、自分が同じビジネスをしていたら…」と思うとゾっとしました。「売上の9割が下がる」という現状は、到底耐えられないと思います。そこで、販路をなくしてしまった商品が売れる場所はないかと考え、新型コロナウイルスの影響で販売が制限され在庫になっている商品をちょっとした「ワケアリ価格」として提供できるマーケットプレイス「Wakeari(ワケアリ)」を2020年5月14日にリリースしました。農業、漁業の方や畜産業の方、他にも、元々ホテルや飲食店、イベントに出す予定だった商品が全く売れなくなった事業者の皆さまが商品を売れる場所をインターネットの中につくりました。サービスをリリース後、反響も大きく、「コロナで打撃を受けた方を支援したい」という方々がたくさんいることも分かりました。コンセプトとして、「買って応援、食べて応援」を打ち出していたため、消費者の皆さまも自粛制限が続く中、安く、おいしいものが食べられ、さらに事業者を応援できるというニーズにマッチしたんだと思います。
最初「Wakeari(ワケアリ)」は、「支援」という目的が強かったので、利用料は無料で開始しました。当初は、当事者同士で受発注のやり取りをしていくことを想定してつくり込んでいたのですが、いざサービスを開始して、ユーザーの皆さんの様子を見ると、金銭のやり取りのフローが非常に手間が掛かる印象を受けました。そこでシステムを改修し、クレジット決済システムを導入する等、より使い勝手のよいサービスにすることを目指しました。ただ、決済の手数料が発生することもあり、サービスが発展し、大きくなるにつれ、今後どのように成長させ、持続可能なプラットフォームを目指すかが大きな課題となっていきました。それでも6月までは完全無償でサービスを展開していました。
「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」との出会い、統合へ
新型コロナウイルスが社会に広がる中、同じタイミングで、「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」という、2020年4月に立ち上がり、数ヶ月で36万人まで成長し、Facebook内でコロナにより被害を受けた事業者の方々とそれをご支援したいユーザーの皆さまがやり取りをしているグループがありました。
こちらの管理人をされていたグループ代表 小坂達也氏と意見交換する機会があり、そこで改めて「我々が目指している志は同じであること」を確認できました。当時「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」はあくまでFacebook内でのグループだったため、コメント欄で受発注を行っているような状況で、一貫して商品をやり取りできるようなシステムがないということが課題でした。小坂氏にも「Wakeari(ワケアリ)」のコンセプトや機能を説明し、議論を重ねたところ、「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」と「Wakeari(ワケアリ)」が一緒になれば、双方の足りない部分を補い、それぞれが持つ現在の課題を解決できるのではないかという結論に至り、「一緒にやろう」という流れになりました。これが現在の「WakeAi(ワケアイ)」が誕生したきっかけです。
困っている人を助けたいという想いから生まれたサービス「WakeAi(ワケアイ)」
改めて「WakeAi(ワケアイ)」のサービスを説明すると、新型コロナウイルス感染症の影響により、商品が売れなくなったり、在庫を大量に抱えてしまった事業者・生産者・飲食店舗等は、自社の商品を出品・販売することができるマーケットプレイスです。事業者を応援したい消費者の皆さまも、マーケットプレイス上で商品を購入することで事業者を応援することができます。また、単に応援するだけではなく、普段では出会えない素晴らしい商品に巡り合うことができるため、「こんなおいしいものに初めて出会った」というお声を頂いたり、リピーター購入をしていただいている方も多数いらっしゃいます。「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」との統合を機会に、「お互い助け合う気持ち」がコンセプトであることをしっかりとお伝えするため、「WakeAi(ワケアイ)」に名称を変更しました。また、「Wakeari(ワケアリ)」のビジネスベースでのシステムを利用することで、運営に必要な最低限の費用を出店者の皆さまにもご負担いただき、持続可能な仕組みへと発展することを目指しています。
「WakeAi(ワケアイ)」は2020年10月に正式リリースしたばかりの、新しいサービスです。
「WakeAi(ワケアイ)」にご登録頂いている事業者の皆さまも、コロナという状況になり、やむにやまれず、販路を開拓するために、初めてECにチャレンジした方も多く、そういった方は、まだITを使った販路開拓や、お客様とのコミュニケーションに課題を感じている方も多いという状況です。幸いにも農林水産省の「元気いただきますプロジェクト」に参加し、今は送料無料でご利用頂いています。成長させるための様々な課題を解決しながら、更なる成長を目指したいと思います。
(参考)フードロス、食品ロス削減、SDGsに取り組む「WakeAi(ワケアイ)」、2021年から株式会社WakeAiとしてスタート
クレジオ・パートナーズとの出会い
クレジオ・パートナーズ代表の李氏とは、元々、彼が前職で東京にいた時代から知人であり、ファイナンスに詳しいことは知っていました。先ほどお伝えした「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」と当社のサービス「Wakeari(ワケアリ)」を統合するにあたって、単純に事業統合するだけでなく、今後も成長し、社会に価値を提供していくにはどうするのがよいかと考えた時、M&Aや資本政策の専門家からのアドバイスが欲しいと思うようになりました。具体的には、「WakeAi(ワケアイ)」はInSync株式会社の事業でしたが、今後の成長を見据え、株式会社WakeAiへ会社分割し、「WakeAi(ワケアイ)」をサービスの中心とした会社として事業を実施することを目指すようになりました。クレジオ・パートナーズには、この事業統合・資本提携・会社分割に関して、具体的なスキームの構築や、先方と協議を進める上でのアドバイスを頂きました。
李氏は友人として、志のある人間であることは知っていましたが、初めて仕事で関わる中で、そのソリューション提供能力の高さに驚きました。単純に事業を統合すればよいというだけではなく、税法も絡み、今後の成長も見据えた上で、中長期的な視点の中で、どういう形が望ましいのかを考える中で、さらっと答えをタイムリーに出してくれるのは非常にありがたかったです。自分でも調べた上で質問をするのですが、一歩先の展望を見据えたアドバイスをもらうことができました。また、クレジオ・パートナーズがM&Aを取り扱うプロフェッショナルだったこともよかったと思います。今回のように双方が一緒に事業を進めていく場合、どうしても相手がある話になります。どちらかが一方的にイニシアティブを取るのではなく、相手の立場も考えた上で、将来的なトラブルを避けるために必要な視点から助言をもらえたのは、自分が正に求めていたソリューションでした。
「社会貢献型通販モール」を目指して
改めて「WakeAi(ワケアイ)」が何故生まれたかを考えると、新型コロナウイルスというこれまで誰も経験したことのない危機的な状況に陥る中で、「困っている人を助けたい」という想いから始まったサービスでした。その想いは、私だけでなく「Facebookコロナ支援・訳あり商品情報グループ」を立ち上げた小坂さんをはじめ、グループに所属している皆さんがそういった想いを持った方々だったと感じます。根本のところで共通しているのは「社会への奉仕」の精神であり、単にモノを売るプラットフォームではなく、そういった想いが形になったマーケットプレイスだと理解しています。「困った時はお互い様」「苦労も喜びも分け合う」、マーケットプレイスで出会った商品が新しい感動を生む等、コロナという苦境の中でも皆さんの善意から生まれた輪が繋がっていくのを見ると、私としても非常に嬉しいです。
今後の目標としては、その輪をもっと広げたいと思っています。例えば、災害等、新型コロナウイルスと同じように、再び日本が何か危機的な状況に陥った場合に、「WakeAi(ワケアイ)」なら何かできるんじゃないかと期待しています。単純に物を売買するプラットフォームではなく、「コロナ支援」を背景に持つ我々だからこそできることがあると感じています。支援の方法は、物品の売買だけでなく、何かを分け合ったり、物資を送ったり、寄付したり等、色んな形があっていいと思います。また、そこに企業等、その他のプレーヤーが関わることで、その輪をもっと広げていきます。
「WakeAi(ワケアイ)」は、新型コロナウイルスという今まで現代人が経験したこともないような未曾有の脅威にさらされている状況だからこそ生まれたビジネスモデルです。どんなに成長しても、「困っている人を助けたい」という気持ちから生まれた背景は大事にしたいと思います。現在注目されているSDGsやフードロス等の社会的な課題も捉えた上で、ビジネスとして成長する一方、人々の善意から広がった輪やネットワークも維持し、単なる社会貢献だけではなく、ダイレクトに社会課題に向き合いつつ、ビジネスだからできることを実現することで、これまでにない新しいロールモデルを目指し、関わる人々が皆で幸せになれる世界観を目指します。。
企業情報
会社名 | 株式会社WakeAi |
代表者名 | 代表取締役 慎 祥允 |
設立年度 | 2021年1月 |
本社所在地 | 東京都港区 |
事業内容 | 社会貢献型通販モール「WakeAi(ワケアイ)」の企画・開発・運営 |
HP | https://wakeai.net/ |
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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立 :2018年4月
事業内容:
・M&Aに関するアドバイザリーサービス
・事業承継に関するアドバイザリーサービス
・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL :https://cregio.jp/
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