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コラム COLUMN

広島の「金融」を陰で支える財務・会計のスペシャリスト集団、ビズリンク・アドバイザリー


広島県広島市・福山市に事務所を置き、会計税務の専門家集団として地域経済の黒子役を担うビズリンク・アドバイザリー株式会社の代表パートナー 藤井 義則氏。同氏は、クレジオ・パートナーズも参画するビズリンク・グループの代表も務めています。地域における事業再生支援の役割を担う同社の取組について、コロナ禍における地域の事業再生の現状や、地域の会計専門家集団としてビズリンク・グループを形成した想いをインタビューしました。


地域企業は地域の専門家が支える、事業再生の専門家集団

“臆病もの”だった、業務の幅を広げた監査法人時代

私は監査法人を経て、ビズリンク・アドバイザリーを立ち上げました。私の好きな言葉で、アメリカの実業家 ジャック・ウェルチの「”Control your own destiny or someone else will.”(自分の運命をコントロールしなさい。さもないと、他の誰かがあなたの運命をコントロールすることになる)」という言葉があります。例えば、会社法で義務づけられている法定監査は、資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社が対象であると定められています。根っからの臆病ものだった私はこのように自分以外の法律という存在にコントロールされることに監査法人時代から危機感を覚えていました。「どんな状況でも飯を食えなければならない」と考え、監査法人時代は会計監査業務だけでなく、財務デューデリジェンス、株式価値算定、事業再生等のいわゆるトランザクション業務に励み、自分ができる業務の幅を広げていきました。

広島企業を支える“専門家”がいないと感じたことが独立のきっかけ

前職の監査法人時代、会計の前線で汗をかく中で、「広島には素晴らしい技術を持った製造業や名だたる企業はあるものの、それらを支える専門家が不足している」と強く感じるようになりました。事業再生・M&A等の高度な知識と経験を有する現場では、東京の専門家に頼ることが一般的でした。もちろん彼らの専門性は高く、連携すること自体は悪いと思っていません。ただ、唯一違和感を感じたのは「情熱」です。地域に対する「熱意」の部分です。確かに東京の専門家の専門性は高いですが、その案件が終了すると帰っていってしまう。我々の場合は、地域に居続けなければいけないので、関わった会社がその後どうなったかの顛末まで見届けます。M&Aの案件だと、看板がそのまま残るケースも多いので、街並みを歩く中で、関わった会社がどんな状況か見続けることになります。その分、責任の重さやコミットメントに違いが出ると感じています。地域において長期的な目線で、企業の課題を解決していく人間がこの地域に求められていると感じ、我々財務の専門家も粉骨砕身努力し、地域の企業をサポートできるようにならなくてはいけないと決意を固め、監査法人を退職し、独立することを決意しました。



事業再生における様々な“物語”が業務の魅力

現在のビズリンク・アドバイザリー株式会社の主要な業務は、①事業再生(実態把握・経営改善計画・計画モニタリング)、②M&Aサポート(財務デューデリジェンス・株式価値算定・財務会計PMI)、③企業再編(合併・会社分割・事業譲渡)等のスポット業務が中心です。会社を立ち上げた際、大きな方向性として「資格で稼ぐ部分を5%以内にしよう」と決めました。先ほどお話したとおり、法律にコントロールされている会計士の資格に基づく業務ではなく、会計士の制度がなくなっても食べていけるような仕事を95%以上にしたいと思いました。「資格を有すること」ではなく「誰でも真似できるけど、いざやってみるとなかなかできない」そういう部分をつくることが本当の参入障壁だと考えています。事業再生は、書籍もたくさん出ていますし、大学卒業程度の教養を身に着けている方であれば、専門書を2~3冊読むとほぼ分かると思います。ただ、実際やろうとするとなかなかうまくいきません。

私が事業再生に取り組むきっかけは、祖父が保証人となった親戚の会社が倒産し、債務を返済する手伝いをした経験でした。19歳から働きづめで、大学の授業料も払わないといけない状況で、自ら借金を背負い、保証債務を返済しました。実体験としての金融機関との交渉は、一般的な教科書にのっていないことまで学ぶことができました。34歳で完済し、36歳でビズリンク・アドバイザリーを立ち上げました。監査法人を辞める時、実は「事業再生だけはやりたくない」と言って辞めました。事業再生は私にとってとても辛い経験だったからです。にも関わらず、今は事業再生が業務の中心です。これも何かの運命ですかね。「何事も経験」と言いますが、その通りだと思います。事業再生には、たくさんの様々な物語があり、そこに惹かれています。これが事業再生に関わる最大の魅力だと思っています。

事業再生には3つのフェーズがあります。ひとつ目は過去から現在の状況を分析する「実態分析」です。債務超過の範囲等、どの程度の状況なのか現状分析することから始まります。その次に「再生計画」を立てます。多くの場合、将来3年間の計画を立て、利益を創出し、借入金を返済していく道を示します。その後、債権者会議で金融機関等の債権者へ計画を示し同意を頂きます。最後は「モニタリング」です。計画の実行状況をモニタリングしていきます。事業再生の手法は企業ごとに異なります。オーソドックスな方法は、不採算事業の廃止です。ただ、中小企業の場合、単一の事業しか展開していないケースが多い(そもそも本業が悪化している状況)ため、この方法を採ることはできません。理想的な再生計画は、トップライン(売上)を上げることですが、売上を上げるには、相手(市場・顧客・競合先)が存在するため、努力しても必ず実る訳ではありません。また、人件費・経費等のコストカットを行う場合、爪に火をともす計画にしかならないケースもあります。中小企業経営者は既に節制している方も多く、そうなるとカットできる余地がありません。どのような方法でいかに計画を実現するかが事業再生の難しい点です。


コロナ禍における地域の事業再生、求められる企業の将来のあるべき姿

広島地域の事業再生、コロナの影響は?

コロナ禍1年目(2020年)は目先の資金繰り手当が最も重要でした。つまり、キャッシュ・フローの処置です。人体に例えるならば、まず第一に止血し、次に輸血をするようなイメージですね。これに対しコロナ禍2年目(2021年以降)は毀損した純資産をいかに充足していくかという貸借対照表の純資産に的が当たってきます。同じように人体に例えると、病に伏した患者が病床から立ちあがり通常の生活に戻るために栄養を付け、体力を補うようなイメージです。まだまだ目先のキャッシュ・フローに課題がある事業者も多いですが、今後は弱った財務を強靭なものとするような取り組みに移っていくと思われます。

ただ、間違ってはいけないのが、これはあくまでもコロナで影響を受けた企業の話であるということです。コロナ前からそもそも業界の勢いがなかった企業も、コロナの影響に紛れてしまっています。2008年のリーマンショックの際も、多くの経営者が「リーマンでうちもやられました。」と口を揃えました。今回のコロナ禍はリーマンショックより影響の範囲が広いことは事実ですが、「業績は順調だったものの、コロナ禍で大きな打撃を受けた事業」と「そもそも市場が縮小していたところ、コロナ禍がきっかけとなって課題が明らかになった事業」とでは取るべき対応が異なります。本質的な原因を間違わないよう多角的な視点で判断するのが事業再生において最も重要であると考えます。

事業再生の意味、市場に合わせ事業を多様に変化

人間の身体も同じですが、どんなに留意していたとしても常に健康を維持できるとは限りません。会社も長い道のりのなかにおいては、事業の継続が困難な場面に遭遇することがあります。事業再生は、窮境に陥った要因を正確につかみ、全体最適になるような処方箋を書くことが最も重要です。

私が結婚する際に、地元福山市内の「結納屋」に行きました。どのくらい事業を続けているかを店主に質問したところ、400年近く前から事業を続けており、福山城主水野勝成公といっしょに福山に入り、最初は「福山城の瓦を葺いていた」と言われて驚きました。永く続く企業は、職種を変えることで存続しています。第4次産業革命と呼ばれる激動の時代の中、場合によっては同じように環境に適応していくことが地域の企業にも求められているのではないでしょうか。

ただ、思い切って事業の再構築ができない要因は、我々のような専門家や金融機関にもあります。我々が仕事を受ける際は、「業務委託契約」という形であるため、助言はするが、最終的に実行するのはお客様となります。計画を立てても、実際には十分な実行まで至らないケースもありますが、だからといって強制的にやってもらうことはできません。この点は、今後はエクイティの活用に期待しています。再生ファンド等を通じて、株式から入ることで、会社のガバナンスにおいても影響力を発揮し、経営に関するコントロールを最適化するような手法で、一歩先にいくような展開を期待しています。

アフターコロナの地域経済に求められる取組み

地域の中小企業の弱みに「労働生産性(一人当たり付加価値)の低さ」があります。事業の安定的な継続を考えたときには、この労働生産性の向上は欠かせません。進化するテクノロジーを活用した改善も大事ですが、もう少しマクロ的に考える必要があります。現在は、「安定的なモノの供給が市場を牽引する」時代から、「体験や共感を求める顧客の多様な価値観が市場をつくる」時代に変化しています。つまり、「作れば売れる時代は終わった」ということであり、顧客の多様な価値観に遡及するための価値創造のメカニズムを再考し、企業として将来のあるべき姿を描く必要があります。

ビズリンク・アドバイザリーでは、昨年より「経営デザインシート」を活用したコンサルティング業務を開始しました。事業再生に取り組む経営者の中には、成長性の低い産業の中で努力している方も多く、まるで下りのエスカレーターを一生懸命登ろうとしているようなケースも存在します。その場合、一生懸命登ったとしても同じ位置か、少しでも気を抜くと後退してしまいます。他方、横に目をやると、隣には上りのエスカレーターが存在します。上りのエスカレーターであれば、同じ努力でもどんどん前に進みます。自分が身を置く市場を見極め、新しい事業をデザインすることをやらないといけない。事業再生においてもそういった取組が必要だと感じています。




地域金融の“架け橋”となる役割を目指す

テクノロジーが発達する今、過去の財務データやリアルタイムの入出金データの把握はテクノロジーが最も得意とする分野です。高度なテクノロジーは、専門家といえども我々人間がかなう相手ではありません。ビズリンク・アドバイザリーを通じて、私は血の通った人間しかできない「将来へのコミット」において、地域経済と関わっていきたいと考えます。具体的には、我々がクライアントとする企業(企業経営者)と地域金融機関が将来目標について、お互いにコミットする関係構築のサポートです。わかりやすく言えば、経営者が「将来のビジョン」を熱く語り、方向性を示す。そして、そのビジョン・方針に賛同する地域金融機関が長期的な視点で融資などを行っていく。こういった双方のコミットに対し、我々が“架け橋”となっていくことが理想です。株式市場から資金調達することができない大多数の地域企業は、資金調達において間接金融に頼らざるを得ないことは言うまでもありませんが、その地域金融機関との円滑な関係構築に一役買いたいとうのが私の強い思いです。

また、「ビジネスにおける絆(リンク)を大切に」という商号が示すとおり、事業のなかで築かれた絆に感謝するとともに、受けた恩をさらに多くの人に送っていきたいと思います。


企業文化の違いが生む「化学反応」を楽しむ、ビズリンク・グループ

我々は、「活力のある地域経済の創生」を目指し、事業再生に強いビズリンク・アドバイザリー、税務業務の専門家である税理士法人いぶき、事業承継・M&Aに強いクレジオ・パートナーズ、監査業務を中心とするビズリンク公認会計士共同事務所の4社で資本関係のないグループを形成しています。

きっかけは、当社パートナーの中井と、クレジオ・パートナーズ代表の李さんが友人で、李さんが独立する時期に「一緒にやろうか」ということで、グループとなりました。世の中の変化のスピードは増し、求められる専門性も高くなっています。そのため、異なる経験や得意分野を持った専門家が多角的な視点からアドバイスを行うことの必要性を強く感じていました。地域にとって必要とされる専門家であり続けるためには、その持続性も求められます。私の代で終わらせることなく、同じ理念を持った専門家が集まり、地域に求められるサービスを継続したいと考えました。


グループとなり、よかったことは、企業文化の異なる組織が集うことで良い「化学反応」が起きるということです。資本提携(M&A)ではありませんが、いわゆるシナジー効果と同じ効果がありました。シナジー効果は売上等の指標で数値として捉えられがちですが、それだけではないと考えています。数値で表すことができるシナジー効果より、更に大きい効果はこの化学反応効果=“組織内の意識の変化”だと、私は実感しています。単純な取引関係による連携(業務提携)ではなく、理念を共有しているのがグループです。化学反応による刺激を受け、有り体に言えば“切磋琢磨”する環境ができたことを感じています。
グループ化によって代表である私自身が大きな影響を受けています。グループトップが集まるパートナー会議では、一人が平等に一票の権利を持っているので、私の意見が通らない時もあります。経営のガバナンスという意味では、厳しい意見も含めて、何ものにも代えられない経験を得ています。



ビズリンク・グループでは、3つのミッションを定めています。一つ目は「地域企業」に対するもので、「財務的観点から企業を支援することにより地域経済の発展に貢献する」。私たちの使命は、財務の経験・知識を有する専門家が集まり、企業を支援することを通じて地域経済の発展に貢献することです。
二つ目は「地域人財」に対するもので、「地域における財務専門家の新しい活動形態と活動拠点を提供する」としています。私たちが財務専門家の新しい活動形態と活動拠点を提供することにより地域における財務インフラの強化を図ります。
三つめは「地域社会」に対するもので、「企業財務の知識及び経験を啓蒙する」としています。私たちはこれまでの事業活動の中から多くの企業財務の知識を得て、経験を重ねてきました。これらの知識や経験を、広く社会に啓蒙することにより地域の財務スキルの向上を図ってまいります。


地域経営者の皆さまと共にレジリエントな経営を

当社は今年で設立15年を迎えます。次の15年に向けて再出発するターニングポイントであると認識しています。地域の成長・発展を旗印とし、今後もブレることなく企業の成長と地域の発展を願い、地域経営者の皆様を引き続き精一杯サポートいたします。

地域の経営者の皆さまへは、外部環境が大きく変化している中なので、固定概念にとらわれず、柔軟な発想で経営に取り組んでいただきたいと願っています。
当社の今年の経営方針には「レジリエント(しなやかで強靭)な組織への変革」という言葉を入れました。「美しい地域社会」の創造に向けて、経営者の皆さまといっしょに前に進んでいきたいと思います。






企業情報

会社名ビズリンク・アドバイザリー株式会社
代表者名代表パートナー/執行役員 藤井 義則
本社所在地広島市中区紙屋町一丁目 1 番17号 広島ミッドタウンビル3階
支店福山市霞町一丁目1番1号 福山信愛ビル6階
HPhttps://www.biz-link.co.jp/



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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