補助金活用における「見えないコスト」
補助金活用における「見えないコスト」
新型コロナウィルスによる経済的な打撃により、行政機関から様々な支援制度が発表されています。支援制度を活用するにあたり、特に補助金を利用する際は、補助金を受けるメリットとコストを比較する必要があります。補助金を受ける大きなメリットは、「現金が入ること」であり、事業コストを軽減することができますが、補助金を利用する際は事業コスト以外の「目に見えないコスト」も存在します。
記事のポイント
- 補助事業の「目に見えないコスト」は資料整備等の事務コスト
- 補助金活用の際は、メリット・デメリット、コスト・リターンを把握しておく
補助金活用の「目に見えないコスト」=資料整備する人件費
補助事業を活用する際は、申請書を初めとした資料作成が必要となります。申請~採択まで、申請書作成が主な事務作業となりますが、採択されてからもこういった事務コストは継続します。一般的な補助金の流れは、事業が採択された後に交付申請を行います。交付決定の後、事業が開始され、事業終了後、報告書や請求書を提出する流れになります。請求書を提出する前に、人件費や旅費、謝金、会議費、外注費といった各費目の契約ごとに、「エビデンスとなる書類が揃っているか」「補助事業以外に経費が使われていないか」を確認する「確定検査」が所管官庁により行われた後に、額が確定し、請求書提出の流れになります。
例えば、販路開拓事業の一部としてHP制作を外注した場合を想定してみます。この場合、必要な資料は「仕様書」「見積書」「発注書」「納品書(納品物が発注内容と間違いがないか確認した検収印が必要)」「請求書」「支払いが確認できる書類(銀行振込受領書等)」が必要となります。補助事業において、HP制作以外にも別の費用が発生する場合、その契約ごとに同様の書類を用意する必要があります。上記は外注費の例ですが、補助対象費目により用意すべき書類の種類・量は異なります。
このように事業にかかった経費が補助事業のために使われているということを書類をもって証明する必要があるため、補助金を利用する際には、こういった事務にかかるコストも含めて考えておく必要があります。
補助金を活用する際はコストとリターンを比較
補助金を活用する場合のメリットとデメリットは以下のとおりです。
補助金を活用するメリット
- 事業コストが軽減される(補助金額が大きければ大きい程効果は高い)
- 行政からの「御墨付」というイメージが獲得できる
補助金を活用するデメリット
- 補助事業は自由度が低い
- 事業後にキャッシュが入るため当面のキャッシュフロー対策とならない
- 事務コストがかかる
上記のようなメリット・デメリットを比較しつつ、自社の事業におけるコストとリターンを把握することで、「補助事業に採択されること」を目的にするのではなく、自社事業を成長するための「てこ」として補助事業を活用する必要があります。
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