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愛媛県のM&A・事業承継事例|休廃業・倒産状況・後継者不在率まとめ

愛媛県のM&A事例と後継者不在率

中国・四国地域には様々な産業があり、M&Aを検討する上でも、それぞれの産業特性を考えた上で、売手・買手、双方の状況やニーズ・課題を把握することが必要です。

本記事では、愛媛県の経済概況・産業構造・休廃業・倒産件数の動向をデータで整理しつつ、全国との比較で見た後継者不在率の現状をわかりやすく解説します。

また、実際に愛媛県で行われたM&A事例(事業譲渡・事業売却・会社譲渡)も紹介し、愛媛におけるM&A動向を総合的にまとめています。

愛媛県の経済概況|産業構造と成長分野

愛媛県の最新の県内総生産(名目GDP)は、令和4年度(2022年度)に約5兆1,381億円となっており、前年度比で+0.9%の増加となっています。これは、県内の経済活動が緩やかな回復基調を維持していることを示しています。

また、実質経済成長率も+4.1%とプラス成長を記録しており、物価変動を調整した経済活動の底堅さがうかがえます。第1次産業・第2次産業・第3次産業のバランスを取りながら全体として安定した経済規模を維持しています。

愛媛県の人口は約125.6万人(2025年12月1日時点)で、県内は東予・中予・南予の3地域に区分され、それぞれ異なる産業構造を形成している点が特徴です。

今治市や新居浜市、西条市を擁する東予地域では「今治タオル」に代表される繊維産業をはじめ、製紙業・鉄鋼業・造船業などの重厚長大型産業が集積し、愛媛県の製造業の中核を担っています。

松山市を中心とする中予地域は、行政・商業機能が集積する県都エリアであり、「道後温泉」「松山城」といった全国的に知名度の高い観光資源を背景に、観光業・サービス業が発展しています。観光関連産業は雇用吸収力が高く、地域経済を支える重要な役割を果たしています。

一方、宇和島市を中心とする南予地域では、海面養殖業をはじめとした水産業が盛んであり、真鯛やブリなどの養殖は全国有数の生産規模を誇ります。農林水産業と加工・流通を組み合わせた地域密着型産業が形成されている点も南予地域の特徴です。

このように愛媛県では、地域ごとに異なる強みを持つ産業が分散・共存しており、製造業・観光業・一次産業がバランスよく県内経済を支えています。

愛媛県の倒産件数・休廃業件数の推移

愛媛県の倒産件数の推移

調査年 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
2020年 50件 37件 40件 31件
2021年 27件 39件 46件 17件
2022年 32件 27件 37件 13件
2023年 40件 60件 60件 21件
2024年 46件 54件 67件 46件
2025年 68件 65件 58件 28件

参照:日本経済新聞-四国4県の25年倒産219件、過去10年で最多 物価高・人件費増響く

2025年の四国4県の倒産件数(負債1000万円以上)は、前年比7%増の219件です。

債総額は3.6倍の852億2900万円。件数、負債総額ともに過去10年で最多。物価高や人件費の上昇がつづき、価格転嫁できない企業の経営状況が厳しくなっている実態が浮き彫りになりました。

愛媛県の休廃業件数の推移

調査年 徳島県 香川県 愛媛県 高知県
2020年 258件 447件 651件 293件
2021年 232件 467件 600件 276件
2022年 226件 454件 551件 279件
2023年 297件 507件 662件 303件
2024年 409件 630件 736件 358件

参照:帝国データバンク-四国地区「休廃業・解散動向調査(2024年)

2024年に四国で休業や廃業、解散した企業(個人事業主を含む)は2,133件(前年比20.6%増)、2016年以降で初めて2,000件を上回っています。

2024年の休廃業・解散は全国で約6.9万件と過去最多を記録し、前年比約1.7万件(約16.8%)増加しました。コロナ禍の支援縮小、コスト高騰、経営者の高齢化などが複合的に影響し「資産超過型」や「黒字型」の休廃業が目立ったのが特徴です。

愛媛県の後継者不在率は全国8位

調査年 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 全国平均
2018年 46.3% 43.5% 61.3% 58.1% 66.4%
2019年 49.0% 46.1% 62.0% 58.5% 65.2%
2020年 50.2% 47.7% 62.8% 59.1% 65.1%
2021年 56.7% 47.9% 62.4% 57.9% 61.5%
2022年 61.6% 49.0% 62.1% 57.5% 57.2%
2023年 61.8% 49.3% 62.5% 57.3% 53.9%
2024年 60.2% 48.7% 61.4% 60.0% 52.1%
2025年 53.0% 47.5% 59.2% 63.2% 50.1%

参照:帝国データバンク-四国地区「後継者不在率」動向調査(2025年)

2025年の愛媛県の後継者不在率は59.2%、全国8位の高さです。

愛媛県は、長年にわたり後継者不在率が6割前後で推移しており、四国の中でも最も高水準が続いています。地場産業や地域密着型企業が多く、親族承継に依存した経営構造が色濃く残っています。

四国4県を比較すると、後継者不在の状況は県ごとに異なるものの、共通して言えるのは親族内承継だけでは限界が見え始めているという点です。特に後継者不在率が高止まりしている県では「事業は黒字でも、承継できずに廃業する」リスクが現実味を帯びています。

こうした中、M&Aや第三者承継は、事業を次世代につなぐ現実的な選択肢として存在感を増しています。後継者がいないからこそ、早い段階で選択肢を整理し、地域内外の承継ニーズと結びつけていくことが、企業の価値を守るうえで重要になってきています。

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愛媛県のM&A・事業承継の事例一覧

愛媛県の地域経済において、事業承継や成長戦略の観点から注目されるM&A事例をまとめました。

事例①ウェルシアホールディングスがネオファルマー・サミットを子会社化(2020.5発表)

ドラッグストアチェーンを展開するウェルシアホールディングスが、愛媛県を中心に調剤専門薬局を展開するネオファルマー(10店舗)及びサミット(3店舗)を完全子会社化しました。

同社を子会社することにより、ウェルシアホールディングスは愛媛県の調剤事業の推進及び四国地域の店舗網拡大するとしており、愛媛県においても調剤薬局業界における業界再編の動きが進んだ形となった事例です。

事例②今治造船がジャパンマリンユナイテッドと資本業務提携(2019.11発表)

国内造船トップ企業である今治造船と、同2位のジャパンマリンユナイテッドとの資本提携が2019年11月に発表され、2020年3月に正式発表されました。造船会社の統合再編が進む中、両社の商船事業の国際競争力の強化が目的であり、資本業務提携により両社の強みを生かすことを公表しています。

また、同時にマーケティング・企画開発・共同研究・受注営業・契約・基本設計/承認図書作成を業務範囲とする「日本シップヤード株式会社」を合弁会社として設立することも公表しています。地域有数のものづくり産業においても業界再編の波を感じる一方、同産業における今後の展開に可能性を見る事例でした。

事例③ありがとうサービスがエージーワイを子会社化(2020.4発表)

リユース店や飲食店の経営を展開するありがとうサービス(愛媛県今治市)が、フードサービス事業として香川県・福岡県・大分県に飲食店を展開するエージーワイ(愛媛県今治市)を今治デパート(愛媛県今治市)から取得し、完全子会社化しました。

ありがとうサービス社は、福岡県・大分県は未出店エリアだったこともあり、同社の事業拡大を加速する事例となりました。

事例④ダイキアクシスが冨士原冷機、日本エアーソリューションズを子会社化(2019.9発表)

排水事業・住宅機器事業・環境事業等を展開するダイキアクシス(愛媛県松山市)が、空調換気・給排水設備・電機設備の総合設備事業および冷凍・冷蔵設備の販売を主要事業とする冨士原冷機(愛媛県松山市)と、空調換気設備工事を主要事業とする日本エアーソリューションズ(愛媛県松山市)を子会社化しました。

これによりダイキアクシスは顧客に対して設備に関する総合的なソリューションを提供することが可能となり、同社の事業拡大が加速する事例となりました。

事例⑤しこく創生ファンドによる装栄の株式取得(2019.2発表)

四国アライアンスキャピタル(愛媛県松山市)が運営するしこく創生投資事業有限責任組合(しこく創生ファンド)は、事業承継に関する課題解決と持続的な成長の支援を目的に、装栄(大阪府大阪市)の株式を創業オーナーから取得した旨を発表しました。

装栄は、大阪・京都・九州・四国に拠点を構え、各地域のビルメンテナンス業者をはじめ官公庁、病院、ホテルなど3,000先を超えるお客さま向けに、清掃用品、清掃機器などを販売しており、今回の株式取得に併せ、四国アライアンスキャピタルから複数の役員が派遣され、創業オーナーによる同族経営から組織的経営への移行をサポートすると発表されています。

四国アライアンスキャピタルは、四国の4行(阿波銀行、百十四銀行、伊予銀行、四国銀行)が結ぶ包括的な提携から、「地域の産業や事業を元気にしたい」という強い思いがひとつになって生まれたファンド運営会社です。地域金融機関が積極的に事業承継を支援した事例です。

愛媛県M&Aの傾向と今後の注目ポイント

愛媛県は、東予・中予・南予の3地域に分かれ、それぞれ異なる産業特性を持つ地域構造が特徴です。

東予地域では、造船業・繊維業・製紙業・鉄鋼業などの製造業が集積し、県内製造業の中核を担っています。中予地域では松山市を中心に観光業・サービス業が発展しています。南予地域では、海面養殖業をはじめとする水産業や、みかん農家に代表される農業など一次産業が地域経済を支えています。このように愛媛県は、地域密着型の地場産業が県内全域に広がる産業構造を有しています。

こうした産業構造のもと、愛媛県では近年、倒産件数や休廃業・解散件数が増加傾向にある一方で、後継者不在率は2025年時点で59.2%と全国でも上位に位置しています。事業そのものは黒字であっても、後継者が見つからないことを理由に廃業を選択せざるを得ない企業が増えている点は、愛媛県における大きな課題といえます。

特に近年は、資産超過や黒字状態のまま休廃業に至る「黒字型廃業」が目立っており、経営者の高齢化や人材不足、物価・人件費の上昇といった複合的な要因が、事業継続の判断に影響を与えています。こうした背景から、第三者承継(M&A)を活用することで、事業や雇用を次世代へ引き継ぐ動きが徐々に広がっています。

愛媛県におけるM&Aの特徴としては、調剤薬局、造船業、設備工事業、食品・水産加工業など、許認可や専門人材、地域ネットワークが事業価値の源泉となる業種での案件が多い点が挙げられます。これらの業種では、同業他社や近接業種によるM&Aが成立しやすく、県内だけでなく県外企業からの引き合いも見られます。

また、近年では地域金融機関や投資ファンドが連携し、愛媛県内企業の事業承継(後継者募集)を支援する動きも活発化しています。単なる廃業回避にとどまらず、経営体制の強化や成長戦略の一環としてM&Aを活用するケースも増えており、今後は事業承継型M&Aと成長志向型M&Aの両面での動きが進んでいくことが予想されます。

愛媛県でM&Aを成功させるためには、後継者問題が顕在化してから検討するのではなく、業績や財務状況に余力がある段階で早めに選択肢を整理することが、企業価値を守るうえで重要なポイントとなります。

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愛媛県でM&Aの成功には早期相談が鍵

愛媛県では、後継者不在率の高止まりに加え、倒産件数や休廃業・解散件数の増加を背景に、M&Aや第三者承継の重要性が年々高まっています。「まだ黒字だから」「今すぐではないから」と検討を先送りした結果、いざ承継を考えた時には選択肢が限られてしまうケースも少なくありません。

M&Aは、単なる会社売却ではなく、従業員の雇用や取引先との関係、地域に根ざした事業を将来につなぐための経営判断です。そのためには、事業内容や財務状況だけでなく、経営者の想いや将来像を踏まえたうえで、最適な承継・成長の形を検討していく必要があります。

クレジオ・パートナーズは、広島を拠点に中国・四国エリアで多くの中小企業のM&A・事業承継を支援してきた、地域密着型の専門コンサルティング会社です。愛媛県においても、地域産業や金融機関とのネットワークを活かし、経営者一人ひとりの状況に寄り添った支援を行っています。

「まずは話を聞いてみたい」「会社の価値を知りたい」「親族内承継とM&Aのどちらがよいか悩んでいる」など、どの段階でも構いません。将来の選択肢を広げるためにも、早い段階で専門家に相談することが、事業と企業価値を守る第一歩となります。

クレジオ・パートナーズ株式会社広島を拠点に、中国・四国地方を中心とした地域企業のM&A・事業承継を、仲介およびアドバイザリーの両面から支援しています。資本政策や企業再編のアドバイザリーにも強みを持ち、地域金融機関や専門家と連携しながら、中小企業の持続的な成長と後継者募集をサポート。補助金や制度活用の知見も活かし、経営者に寄り添った伴走型の支援を提供しています。
URL:https://cregio.jp/

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