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コラム COLUMN

メンバー

広島への情熱から始まる、不動産鑑定と経営の融合|クレジオ総合鑑定株式会社


広島県広島市・呉市に事務所を置き、不動産鑑定・補助金サポートの業務を展開するクレジオ総合鑑定株式会社が2023年5月に新たに発足。不動産鑑定士としての高い専門性と、中小企業診断士としての経営の視点を組み合わせ、M&A・事業承継を中心とするクレジオ・パートナーズや、同社が所属するビズリンク・グループと連携することで新しい付加価値の提供に挑戦する同社について、発足の経緯や、地域に懸ける想いを、同社代表取締役 金河 哲成氏、専務取締役 仲野 亮太氏の2名にインタビューしました。


共通する広島への想い、大手で鑑定業務を極め、それぞれ独立の道へ


証券会社から不動産鑑定士へ、広島への想いで独立を決意

(金河)私は広島県尾道市の因島で生まれました。3歳の時に、広島市に移り、そこから高校卒業まで広島で過ごし、東京の大学に通った後、証券会社に営業として就職しました。不動産と株式に関心があり、株式と営業を学ぶために証券会社に就職しました。最初は広島支店勤務だったのですが、神戸支店に転勤を命じられたタイミングで「不動産鑑定士」になる道を選びました。

「不動産鑑定士」という職業に関心をもったのは大学時代です。単純に将来大きなことをするには何を学ぶべきかを考えた時に、「不動産」と「株式」じゃないかと思ったことがきっかけでした。証券会社で株式と営業については学ぶことができたので、会社を辞めて、資格取得の勉強に専念しました。無事資格を取得した後に、国内では最大手の(一財)日本不動産研究所に勤務することができました。広島で半年の研修を経て、東京で不動産鑑定士としての実務経験を積みました。

(一財)日本不動産研究所に勤務しましたが、「広島が好き」という気持ちが抑えきれず、独立することを決めました。元々独立志向はありましたので、検討はしていましたが、最終的には広島で仕事をしたいという気持ちで独立を決意しました。

公共部門の鑑定を極め、広島に戻るため独立

(仲野)私も広島県生まれで、高校まで広島市で過ごしました。高校の時にアメリカに1年留学しましたが、卒業後は、両親の「何とか国立大学へ進学して欲しい」という想いを受け、静岡県立大学へ行きました。そこで、大学3年生の時期から不動産鑑定士の資格を勉強し始めました。当時は、不動産バブルの時期ということもあり、不動産に大きな可能性を感じ、鑑定士に興味を持ちました。

2009年に私も金河さんと同じ(一財)日本不動産研究所に就職し、そこで同期生として金河さんと出会いました。実は、初めてではなく、私は静岡県立大学を卒業して、地元の広島の専門学校に通っていたのですが、そこに金河さんも通っていました。「見たことある顔だな」とは思っていましたが、まさかこんな形で一緒になるとは思っていませんでした。

(一財)日本不動産研究所では、主に公共部門の仕事に従事していました。一般的な不動産の鑑定評価ではなく、固定資産税・相続税等の資産税に関する評価を行う部門であり、国税庁・総務省・市区町村がクライアントとなります。この公共部門の仕事は非常に特殊で、やりがいもあったので、徹底的にノウハウを極めるつもりで仕事に励んでいました。ただ、私も金河さんと同じく「広島が好き」という想いがあったので、最終的には広島で独立することを選びました。広島への想いが金河さんと私の共通の想いですね。

繋がるご縁、不動産鑑定×M&A・事業承継の組織が発足

ビジネスのご縁を繋げる、不動産鑑定士の新しい付加価値を追求

(金河)クレジオ・パートナーズの代表の李さんとは、以前からM&Aや事業承継に関連して、不動産の鑑定を何度か依頼されるような間柄でした。当時は、私自身がM&Aについてあまりよく分かっておらず、李さんが税理士資格を持っていたので、一般的な税理士の仕事をしているんだと思っていました。仕事を依頼される立場として、状況を伺っていましたが、クレジオ・パートナーズは、あれよあれよという間に成長しているよう見ていました。そんな中で、クレジオ・パートナーズが展開している「M&A・事業承継」という領域に関心を持つようになりました。

私は、経営者のお役に立つような、経営の視点と不動産鑑定を掛け合わせたコンサルティングにも興味があったので、中小企業診断士の資格も取得しました。診断士の業務をもっと深めるため、M&Aにおけるデューデリジェンスに関心があり、何かできないかと相談していました。その時、「話は変わるんだけど…」という形で、代表である李さんから、不動産鑑定の専門子会社として、クレジオ・パートナーズと一緒に事業を展開することを切り出されました。

M&A・事業承継について、関心は持ちつつも、どういう業務かは分からなかったので、もっと知りたいと思う気持ちはありました。ただ、元々、独立志向だったので、今までのやり方を尊重すると言われていても、どうなるか分からなかったので、非常に悩みましたが、広島という地域で、このような形でご縁を繋げていただけることに感謝し、何か自分ができることがあれば、助けになりたい、その上で、自分自身も飛躍したいと思い、提案を前向きに検討しました。不動産鑑定士という仕事は、市場として安定しているところもあり、もし上手くいかなければ、また一人でやればいいやという気持ちもありました。一方で、安定した市場の中でも、何か付加価値を向上する取組をしないといけないのではという課題感も持っていたので、よい機会だと感じました。


規模の課題を解決、電車に乗り込む気持ちで参画

(仲野)私が独立したのは、2022年4月です。勤務していた(一財)日本不動産研究所を退職し、念願の広島で独立しました。金河さんとも引き続きコミュニケーションを続けており、一緒の職場を経験し、同じく広島で独立した者として、一緒に飲みにいったり、時にはお仕事で協力したりという関係でした。金河さんと会話する中で、クレジオ・パートナーズの名前は聞いていました。

ちょうど独立して半年程が経ち、自分の中でも課題を感じることがありました。一人だけの組織だと、お客様からみた時に、規模が大きな組織と比較して、信用の面で劣ってしまいます。その結果、ご依頼いただけるお仕事の内容や幅にどうしても限界が出てしまいます。一人の不動産鑑定士として生きていくには十分ですが、もう少しインパクトがある仕事で社会に関わりたいと感じており、雇用して組織を大きくすることを考えていました。

そんな時、金河さんから「クレジオ・パートナーズと一緒に会社を立ち上げようと思う。一緒に行かん?」と誘われました。私もM&Aについて知識があった訳ではなく、李さんもお名前しか知らないという状況で、内容自体はかなり抽象的でした。ただ、「今乗り込まないと、この電車は発車してしまう」「このチャンスを逃すと次はない」と直感で感じていました。私が感じていた課題を解決する糸口になると思い、参画を決意しました。


経営の視点を持つ不動産鑑定コンサルティング会社「クレジオ総合鑑定」

経営の視点×不動産鑑定で新しい付加価値を提供

「クレジオ総合鑑定」は、不動産鑑定を中心としたサービスを展開しています。アパートやマンションといった一般的な不動産だけでなく、経営の視点を活かし、工場・ホテルといった事業用不動産についても適切な評価を行うことができるのが強みです。また、鑑定業務だけではなく、不動産活用に関するコンサルティングも行っています。加えて、中小企業診断士という資格を活かし、補助金サポートも提供しています。経営×不動産鑑定という、それぞれの専門性を活かして、行政や中小企業の皆さまをサポートしています。

M&A・事業承継を担うクレジオ・パートナーズと連携することでお互いのシナジーを強化しています。特に地域企業のM&A・事業承継では、自社で所有している土地や工場、株式オーナーの資産管理会社が保有する不動産、ホテル・旅館等、不動産に纏わる論点が多く存在しています。クレジオ・パートナーズのメンバーがコンサルティングを行う際に、専門家である我々に気軽に相談できる体制を用意することで、お互いの専門的な知見をシェアし、それぞれの強みを活かし、お客様に提供する付加価値を高めています。

また、我々はビズリンク・グループにも所属しています。ビズリング・アドバイザリーが提供する再生支援の領域でも同様の論点はあるので、グループとしてのシナジーも今後追求していきたいと思っています。


依頼の目的に応じ、適切な鑑定が求められる

不動産鑑定業務の流れは、行政機関・弁護士・事業会社等から依頼を受けることからスタートします。行政機関の場合は用地買収や差し押さえ、弁護士の場合は係争案件における賃料の増減額交渉、事業会社の場合は監査法人からのアドバイス等、それぞれ不動産評価を求める目的やケースが異なります。

次に、依頼内容に応じ、不動産の調査を行います。対象となる土地・建物に対し、用途や道路の種類等、どのような規制があるかを確認し、過去の所有者の記録である地歴を調べたり、現地調査を行います。調査を終えたあと、書類にまとめて報告書を作成した上で、不動産の評価を行います。不動産の評価方法は、基本的には「不動産の鑑定評価に関する法律」という法律にのっとって評価することとなりますが、依頼者の目的に応じて、単純に不動産の売買価格だけではなく、将来的な利益などの経済的価値も含めて、適正な不動産評価が実施できるかが、専門家として問われるところです。評価書においても、単純に金額を記載するのではなく、なぜそのような評価となるのか、考え方のプロセスをきちんと説明できるようにすることが求められます。

グループ連携で不動産鑑定業界に新しい風を

「不動産鑑定」という市場は、ある意味安定しています。受注の多くは行政機関なので、行政のニーズに応えることで、独立開業した鑑定士でも、一定程度の事業規模を継続することはできるように思います。一方で、このままでいいのかという漠然とした危機感はあります。高齢化・人口減少が進むと、行政から求められるニーズの総量が減少することは容易に想像できます。一人で気ままに鑑定士をすることもできますが、将来を見据えた時に、どのような付加価値を提供すべきか、と考えた結果が「経営×不動産鑑定」であり、クレジオ・パートナーズとの連携でした。

クレジオ・パートナーズと一緒になることでよかったと感じる点は、一つはグループとしての総合力から生まれる信用です。一人事務所が多い不動産鑑定業界において、二名以上の鑑定士が在籍し、グループとしては公認会計士・税理士といった専門家、金融機関や行政機関の出身者等、多様な専門家が集まるチームだからこそ、解決できる課題があります。M&Aで企業の価値算定をする際に、経営における人・物・情報、すべてを濾しとった後でも残っているのが不動産であり、業種によって不動産の寄与度の違いはありますが、不動産を適切に評価することが、企業価値の評価に繋がるという、改めての気づきもありました。

もう一つは、「クレジオの皆はこんなに働くんだ、すごいな」と純粋に感じることかもしれません。クライアントのために全力を尽くし、日進月歩で専門性を磨くクレジオのメンバーを横で見ると、自分達も負けていられないと思うようになります。私も、グループでの連携を活かし、急成長するM&A市場と、安定した不動産鑑定市場を掛け合わせることで、不動産鑑定の業界の中で、新しい風を巻き起こすきっかけを作りたいなと思っています。

事前に鑑定士に相談することで選択肢を広げて欲しい

不動産を保有する経営者の方には、不動産に関して問題が発生する前に事前に不動産鑑定士に相談するメリットをお伝えしたいです。例えば、相続が発生することが想定された場合、不動産鑑定士に相談しておけば、どのように不動産を分けるかについて、収益性を加味した上で、様々な選択肢を考えるお手伝いをすることが可能です。私たちの新しいチャレンジとして、こういった不動産に関するお悩みを解決できるようなコンサルティングも開始しています。対処療法的に鑑定評価を利用するのではなく、予防医療的に、専門性・公平性を持った不動産鑑定士に相談しておくことで対策を講じておくことをおススメします。

今後もクレジオ総合鑑定は、クレジオ・パートナーズやビズリンク・グループと連携を強化し、従来の行政機関からご依頼いただく不動産鑑定だけでなく、地域企業や経営者の不動産に関連する皆さまへの価値提供を増やしていきたいと思っています。不動産に関することであれば、どなたでもぜひお気軽に相談して欲しいと思います。


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