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【2025年版】中国・四国地方のすごいベンチャー100選

【2025年版】中国・四国地方のすごいベンチャー100選

 

毎年恒例、週刊東洋経済新報の「すごいベンチャー100」最新版が今年も発表されました。華々しい最先端分野に注目が集まりますが、地方にも着実に歩みをすすめ、未来を切り拓くベンチャーが息づいています。

そこで本記事では、【2025年版】中国・四国地方のすごいベンチャー100社を、クレジオ・パートナーズが独自の視点でセレクト。大都市圏では見落とされがちな「地域の潜在力」と「革新性」に着目し、注目すべき新興企業・スタートアップを都道府県別に整理しました。

ビジネスパートナー探しに。投資先の発掘に。地域経済の”いま”を知る羅針盤として。
ぜひ、あなたの次の一手を見つけるヒントにご活用ください。

目次

中国・四国地方におけるスタートアップエコシステムの概況

中国・四国地方は、急速な人口減少と高齢化という構造的課題に直面しています。地域経済の持続可能性を確保するため、スタートアップの創出と育成が戦略的に重要となっています。

この課題への対応として、「瀬戸内」というブランドが新たな統合力として機能し始めています。従来は観光分野で国際的な認知度を誇ってきたこのブランドは、今やイノベーションと投資を呼び込むための地域アイデンティティへと進化しています。その象徴が、瀬戸内のスタートアップ・エコシステムプレーヤーが集結する「ブラスト瀬戸内」です。今年も盛況裏に開催され、地域の一体感を醸成しています。

支援体制も着実に整備されています。J-Startup WESTをはじめとする公的セクターによる支援に加え、各県ではアクセラレーターやオープンイノベーションプログラムが活発に展開されています。特筆すべきは、広域連携を促進する仕組みの登場です。

先述の「ブラスト瀬戸内」もその一環ですが、大規模ビジネスマッチングイベント「TSUNAGU 広島」や、複数の金融機関に対して一度に資金調達や事業相談ができる統一窓口「中四国STARTUP RUNWAY」などが、エコシステムの結節点として機能しはじめています。

大学は地域での起業家育成、創出の中心的プレーヤーとなっていますが、最も注目すべき進化は資金供給領域への参入です。徳島大学は阿波銀行と連携して「産学連携キャピタル」を設立し、高知大学も高知銀行と共に「高知産学連携キャピタル」を立ち上げました。大学が単なる教育機関を超え、投資主体としても機能し始めている点は画期的です。

中四国地域における資金供給は各県の主要銀行を母体とするVCが以前中心として機能しています。特に山陰合同銀行は、従来の融資業務の枠を超え、スタートアップ支援を地域経済成長戦略の中核に位置付けています。さらに近年では、Setouchi Startupsのような独立系VCも登場し、資金供給の多様化が進んでいます。

こうした環境整備が進む一方で、スタートアップにとって新たな課題も浮上しています。東証の時価総額維持基準(100億円)問題を背景に、出口戦略としてのM&A、さらには企業価値向上手段としてのM&Aが、地域を問わずすべてのスタートアップにとって最重要アジェンダの一角となっています。

中四国に根差すM&A・資本政策支援会社として、クレジオ・パートナーズはスタートアップ支援により一層注力していくことを概況の締めとしてここに宣言します。

スタートアップ一覧

鳥取県
1. ONESTRUCTION株式会社
2. 株式会社GACCI
3. 株式会社SHPREE
4. 株式会社OMOI
島根県
5. 株式会社ERISA
6. 株式会社たなべたたらの里
7. PuREC株式会社
8. 株式会社mAbProtein
9. 株式会社ONE TERASU
10. 株式会社ミライエ
11. 株式会社S-Nanotech Co-Creation
12. 株式会社ジブンノオト
岡山県
13. 株式会社ABABA
14. いえいろは株式会社
15. 株式会社マクライフ
16. 株式会社Cone・Xi
17. 株式会社リアクセルテクノロジーズ
18. 株式会社Aqzoo
19. 株式会社ウィズレイ
20. 株式会社オーディオストック
21. 株式会社クロバーナ
22. SMZ株式会社
23. patternstorage
24. 株式会社ハイドロヴィーナス
25. 株式会社ビズ・クリエイション
26. 株式会社SIRC
27. 株式会社SPLYZA
28. 株式会社TOLLER
29. 株式会社ぺこり
山口県
30. 株式会社ツバメ・イータイムズ
31. 株式会社Baby Jam
32. 株式会社モクジツ
33. 株式会社ACTA PLUS
34. 株式会社New Space Intelligence
35. セディカル株式会社
36. 株式会社メディモニー
37. 株式会社中特ホールディングス
38. 株式会社I.D.Works
39. ポーザー株式会社
40. 株式会社アンドピリオド
41. 株式会社アオン
42. ヘリックスエクステンション株式会社
広島県
43. 合同会社Clark’n
44. 株式会社Medlarks
45. KGモーターズ株式会社
46. 株式会社ウーオ
47. 株式会社エイトノット
48. 株式会社ベクトロジー
49. CIA株式会社
50. 株式会社抗体医学研究所
51. ナオライ株式会社
52. プラチナバイオ株式会社
53. 株式会社マテリアルゲート
54. ENTECH株式会社
55. 株式会社ミルテル
56. 株式会社QDPower
57. 株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズ
58. 株式会社ツーセル
59. とらでぃっしゅ株式会社
60. 株式会社ハコジム
徳島県(15社)
61. モルミル株式会社
62. 株式会社電脳交通
63. 株式会社セツロテック
64. 株式会社amidex
65. エイドコード株式会社
66. 株式会社リブル
67. 株式会社Egret・Lab
68. イツモスマイル株式会社
69. 株式会社クロスメディスン
70. 株式会社サウスウッド
71. 小胞体ストレス研究所株式会社
72. 株式会社Ponte
73. アンドブルー株式会社
74. HeartReach株式会社
75. 株式会社シトリアン
香川県
76. 建ロボテック株式会社
77. 株式会社未来機械
78. 株式会社XEN GROUP
79. 株式会社SmartLaser & Plasma Systems
80. 瀬戸内サニー株式会社
81. 株式会社Raise the Flag.
82. 株式会社Japan Fruits
83. 合同会社Setolabo
84. 株式会社Soilook
85. DO・CHANGE株式会社
86. 日本ルースト株式会社
87. 株式会社ミトラ
88. 株式会社スペースボア
愛媛県
89. 株式会社空庵
90. 株式会社わっか(WAKKA)
91. 株式会社KIRI
92. ユナイテッドシルク株式会社
93. オプティアム・バイオテクノロジーズ株式会社
94. 株式会社WiseVine
95. 株式会社JABURO
96. 株式会社wead
高知県
97. 株式会社allbeans
98. 合同会社シーベジタブル
99. 株式会社サンシキ
100. 株式会社PlastiFarm

鳥取県

ONESTRUCTION株式会社

「openBIMで建設データの“共通語”をつくる」
設立 2020年
代表者名 西岡大穂
HP https://onestruction.com/

(コメント)
国土交通省はBIM/CIMの基準整備を直近でも更新し、IFC(建設データの国際標準)活用が国内外で進む潮流です。こうした中、同社はopenBIM準拠の「OpenAEC」を展開し、buildingSMART Japanにも参画する立ち位置が強み。Autodesk連携やIFC前提の運用支援で、導入障壁の高さや相互運用の課題を具体的に解消している点が差別化。設計〜施工のデータ連携が制度面でも広がる中、国内外での標準対応ソフトの需要取り込みが期待されます。

株式会社GACCI

「建設見積の“集約ハブ”で現場を軽くする」
設立 2021年
代表者名 若本憲治
HP  https://gacci.co.jp/

(コメント)
人手不足と2024年以降の働き方制約が重なる建設業では、見積・積算など“プレコンストラクション”の効率化が喫緊の課題。建設DX市場も拡大見通しです。GACCIはメールやFAXで散在する見積をクラウドに集約し、実行予算まで一気通貫で支援。HELlOSやKYOEIなど外部積算ツールとの連携、入札情報サービスとの併走が具体的な差別化要素。データ蓄積を軸に標準化が進めば、業務最適化の中心プラットフォームとなる可能性があります。

株式会社SHPREE

「“スマホに靴箱”——預けて、直して、長く履く」
設立 2015年
代表者名 岸田将志
HP https://shpree.jp/

(コメント)
国内の靴・履物小売市場は2024年度1.2兆円規模、スニーカー単体でも数千億円規模と拡大基調。加えて、循環経済の政策文脈ではリユース・リペアの拡大が掲げられています。SHPREEは職人による修理・クリーニングと月額保管を統合し、LINE等で職人と直接やり取りできる体験が特色。東京・九州・鳥取の拠点と明確な価格設計が差別化要因。サステナ志向とスニーカー需要の継続を追い風に、全国型の“保管×修理”インフラとしての伸長が見込めます。

株式会社OMOI

「地方の“名物体験”を一つずつ生むローカルプロデュース」
設立 2020年
代表者名 川村諒志
HP https://www.omoi-local.com/

(コメント)
訪日回復で体験消費は再拡大し、2024年のインバウンド消費額や来訪者数はコロナ前を超える勢い。OMOIは鳥取を拠点に、プリン・かき氷・チョコなど地域素材を生かしたD2Cコンテンツを連続創出する独自ポジション。年1事業の新規立ち上げや“食×観光”の面での横展開が差別化。地方ブランドを持続的に積み上げるモデルは、広域連携やインバウンド需要の取り込みによるスケールに期待です。

島根県

株式会社ERISA

「 脳画像を“未来の健康予測”に変えるAI診断テクノロジー 」
設立 2017年
代表者名 河原八郎
HP  https://www.erisa.co.jp/

(コメント)
認知症患者は日本で約600万人を超え、今後も高齢化を背景に増加傾向が顕著です。また医療DXや予防医療の投資も拡大中です。そのような環境下、ERISAは脳MRIから脳萎縮や異常を定量化するAI解析ソフト「BAAD」を中心に、認知症リスク検査や精神疾患領域への展開を図っています。

大学との共同研究や医療機器認証取得など、学術・規制対応を伴う事業基盤構築が強みです。他社には難しい脳画像+統計解析領域の専門性をベースに、早期診断・予防フェーズでのポジション構築が見込まれます。

株式会社たなべたたらの里

「里山の資源で地域と未来を紡ぐ」
設立 2021年
代表者名 田部 長右衛門
HP  https://tanabetataranosato.com/

(コメント)
森林・里山資源の活用に関心が高まり、森林クレジット制度やバイオマス活用、地方創生事業など環境分野の政策支援も進んでいます。たなべたたらの里は、たたら製鉄の伝統と森林保全、特産品開発、地域交流の融合モデルを展開。約4,000haを超える山林管理を行いながら、たたら吹き体験・特産品開発・森の整備を手がける多角展開が特色です。

地域資源と文化を価値化する点で他の林業会社と差別化でき、観光需要・ESG投資・地方創生の交差点で高い成長余地があります。中長期では森林資産の炭素取引への展開も視野となり得ます。

PuREC株式会社

「幹細胞で、難病に光を」
設立 2016年
代表者名 髙橋 英之
HP https://www.purec.jp/

(コメント)
再生医療分野では、世界の市場規模が2030年には5,000億ドル級との予測もあり、希少疾患や組織再生用途が注目を集めています。その中でPuRECは、極めて純度の高い間葉系幹細胞「REC(Rapidly Expanding Cell)」を技術核とし、低ホスファターゼ症などの希少骨疾患や脊椎関連疾患への適用を目指しています。島根大学発で、持田製薬らとの連携や国内外の支援制度活用も進め、2024年には「日本スタートアップ大賞」で審査委員会特別賞を受賞した実績もあります。

競合には他の幹細胞ベンチャーや細胞製造プラットフォーマーがありますが、夾雑細胞を徹底排除した技術基盤や、長期培養・凍結耐性を備える点が差別化要因です。将来的には国内だけでなく海外での臨床展開や規制対応を含んだライセンス展開が期待され、希少疾患治療の先駆けとなる可能性があります。

株式会社mAbProtein

「抗体の可能性を自在に操る」
設立 2018年
代表者名 本間 良夫、浦野 健
HP https://mabprotein.co.jp/

(コメント)
バイオ医薬品市場では抗体医薬が成長の中心領域で、世界の売上高ランキングでも上位を占めています。mAbProteinは、島根大学発のシーズを活かし、炎症性サイトカインを標的とする抗体創製を軸に、研究用試薬・診断薬・医薬品用途への展開を図っています。特に、受託抗体作製サービスで「他社では断られるような抗原」を対応する実績も打ち出し、ニッチ領域対応能力をアピールしています。

競合には大手抗体ベンチャーやCRO企業がありますが、小規模でも高難度抗原対応力や、大学発の研究支援との結びつきが強みです。将来的には治療用抗体領域での拡張や診断連携、海外マーケット進出も視野に入れうるでしょう。

株式会社ONE TERASU

「離島から地方を照らす人材ブランド」
設立 2018年
代表者名 小笠原怜士(ほか複数)
HP https://www.oneterasu.co.jp

(コメント)
地方における人材採用や情報発信強化のニーズは、全国的に高まっています。人口減少・地方企業の採用課題を背景に、地方企業のブランディング支援や移住促進・定住支援を推進するビジネスモデルは注目度が上昇しています。ONE TERASUは、企業文化や物語を掘り下げて発信する「採用ブランディング」支援事業、Webメディア「MACHI TERASU」運営、冊子配布、移住支援などを柱に、島根県隠岐島を拠点に展開しています。
地方密着型である点は、都市型ブランディング支援会社と異なる強みで、離島活性化というテーマ性も差別化要素。 ONE TERASUの動向から目が離せません。

株式会社ミライエ

「堆肥化・臭気を解決する環境ソリューション」
設立 1972年
代表者名 島田義久
HP https://miraie-corp.com

(コメント)
2025年以降、食品リサイクル法制や企業のScope3対応、廃棄物処理コストの上昇を背景に、有機廃棄物の現地資源化(オンサイト堆肥化)と臭気対策の需要は一段と高まっています。ミライエは、装置開発から施設設計、運用支援、そしてサブスク型提供までをカバーする点が強み。消耗品ゼロ設計の脱臭装置や、微生物を活用した堆肥化技術により、廃棄コスト削減・温室効果ガス削減・土壌改良を同時に実現する提案が可能です。

株式会社S-Nanotech Co-Creation

「ナノ技術で素材を再設計する未来デザイン」
設立 2018年
代表者名 藤田恭久、北原邦紀
HP https://sncc.co.jp/

(コメント)
素材の微細構造制御を専門とするS-Nanotech Co-Creationです。表面改質、触媒設計、高機能フィルムなどの開発を通じて、ナノレベルでの「素材の微細構造制御」を実現しています。大学発の研究者起業的発想を活かし、他社が扱いづらい微細構造の知見や共同研究力を武器にしています。従来の大手化学・素材メーカーでは対応困難な微細な構造制御を得意とし、顧客ニーズを丁寧に捉えるアプローチや共同開発対応力を強みにしています。これにより、従来の「大量生産型素材開発」から「精密制御型素材開発」へと業界のパラダイムを変える可能性があります。

岡山県

株式会社ABABA

「就活のプロセスを武器に変える」
設立 2020年10月(社会法人登記)
代表者名 久保駿貴(CEO)、中井達也(共同代表)
HP  https://hr.ababa.co.jp/ababa

(コメント)
日本では、最終面接まで進んだにもかかわらず採用に至らなかった就活生の“努力の断片”が無価値化されやすいという課題があります。そんな背景で、ABABAは「最終面接進出実績」という評価軸を可視化し、企業からのスカウト機会を提供するダイレクトリクルーティングサービスを展開。2024年・2025年には代表者が Forbes 30 Under 30 に選出されるなど注目を集めています。既存のHRtechとは異なり、選考プロセスを「再利用可能な資産」に換える仕組みによって、学生・企業双方の効率向上を狙っています。

いえいろは株式会社

「屋根・壁工事の未来を、職人とつくる」
設立 2021年
代表者名 白神康一郎
HP  https://corp.ieiroha.net/

(コメント)
住宅リフォーム市場や修繕市場は高齢化・ストック化の進展とともに拡大傾向にあり、特に屋根・外壁工事の見積・施工依頼ニーズが増加しています。いえいろはは、屋根工事専門ポータル「やねいろは」、外壁リフォーム専門ポータル「かべいろは」を運営し、職人・工事店とエンドユーザーを直結させるマッチング基盤を構築。母体である建材卸業との強固なネットワークを背景に、施工店情報の信頼性担保や取材記事による訴求力向上を差別化要素としています。登録工事店は全国で累計数百件規模まで拡大済との報告も。将来的には、工事品質保証や施工後フォロー、保守サブスクリプションモデルなどへの拡張で、単なるマッチングから屋根・外壁分野の包括プラットフォーム化が見込まれます。

株式会社マクライフ

「膜材で、空間の“天井”を再定義する」
設立 2017年
代表者名 牛垣和弘
HP  https://maklife.jp/

(コメント)
建築基準法の強化による天井脱落対策義務化(国土交通省告示第771号など)を背景に、天井耐震化・安全性強化への需要が急速に高まっています。マクライフは、膜天井(膜素材を張る天井構造)を中核商品とし、軽量で吊り金具を不要とするシステム「MAKTEN(マクテン)」を提供。従来比で重量を40分の1に抑える構造で、足場を小規模にできるなど施工性にも優れています。特許技術や意匠登録にも成功しており、性能と安全性を両立できる技術基盤が差別化要因です。今後、工場・倉庫・改修建築への普及、さらには空調効率化・断熱性・デザイン性を組み込んだ複合天井構造など、高付加価値展開が見込まれます。

株式会社Cone・Xi

「医療ケアと人材を“つなぐ”地域ソリューション」
設立 2017年
代表者名 高木大地
HP https://conexi.co.jp/

(コメント)
2025年には65歳以上の高齢者が約3,600万人に達し、医療・福祉人材不足は深刻化しています。特に訪問看護の需要は今後さらに高まる見込みで、医療従事者の確保が急務となっています。この巨大市場にチャレンジしているのが、Cone・Xiです。訪問看護を支援するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を基軸とし、医療従事者の採用支援プラットフォーム「chokowa」を提供しています。医療・福祉分野のBPO機能を持ちながら、プラットフォームを手掛けるプレイヤーが少ないので、よいポジションを築けるのではないかと期待しています。

株式会社リアクセルテクノロジーズ

「クルマ資源を循環させ、サステナを加速する」
設立 2025年
代表者名 鳥越 誠也
HP https://reaxel.jp/

(コメント)
近年、自動車業界を取り巻く環境変化は、単なる技術革新だけでは解決できない構造的な課題を孕んでいます。リサイクル性、資源の最適活用、環境負荷低減など、モビリティを取り巻く「サステナビリティ」の実現は、産業全体の競争力をも左右するテーマです。 そうした中で、株式会社リアクセルテクノロジーズが掲げるビジョン「クルマ資源を循環させ、サステナを加速する」は、まさに社会の要請と未来志向が重なった理念であり、大きな可能性を秘めていると感じます。また、岡山を拠点に自動車資源循環に挑むスタートアップとして、地域の産業構造や地場資源を活かす事業展開も期待できるでしょう。

株式会社Aqzoo

「いつでも水族館を、みんなのそばに」
設立 2025年
代表者名 堀内涼太郎

(コメント)
コロナ禍以降、テーマパーク・動物園・水族館への来場者減少や施設収益の不安定化が問題視されています。その中で、Aqzooはオンライン水族館・動物園体験プラットフォームを志向。ライブ映像配信や解説付き映像、遠隔“推し動物支援”機能などを提供し、高齢者施設・病院や遠隔地在住者にも届けようという試みです。

施設側には来館以外の収益源を提供でき、ユーザーには気軽な“水族館体験”の場を創出。差別化要因は、単なる映像配信ではなく「双方向性・体験性の強化」であり、動物とのリアルタイムつながりや飼育員交流を加える点です。将来は、国内施設との提携拡大や海外展開、動物園拡張に期待が持てます。

株式会社ウィズレイ

「薬を“光”で見分ける安心を、現場に」
設立 2019年
代表者名 森山圭
HP https://wizray.jp/

(コメント)
医薬品業界では偽造薬・調剤ミス対策の重要性が高まっており、薬局・病院での安全性強化や業務効率化が喫緊の課題です。ウィズレイは、分光分析を用いた薬剤識別装置「コナミル」を開発。薬袋を開けずに数秒で薬を識別できる技術によって、調剤現場のヒューマンエラーリスクを低減し、薬剤師が患者対応に集中できる体制を支援しています。

2025年には株式投資型クラウドファンディングによる資金調達を実施し、募集成立が公表されています。差別化ポイントは、「非破壊かつ高速な薬剤判別技術」と「医療現場への適用志向性」の両立。業法改革を追い風に今後さらなる導入施設拡大、システム連携(薬歴システム等)を視野に入れたいフェーズと言えます。

株式会社オーディオストック

「音で、クリエイターに報酬を」
設立 2007年
代表者名 西尾周一郎
HP https://audiostock.co.jp/

(コメント)
BGMや効果音などの「音源ストック市場」も急速に拡大していますが、従来の音楽制作では時間とコストがかかりすぎる現実があります。そんな中、今ホットな分野として注目を浴びているのが「音源ストックプラットフォーム」。クリエイターが高品質な音源を手軽に利用できることで、創作活動の効率化と収益化の両立が期待されます。

株式会社オーディオストックは、国内外の映像クリエイター向けに音源ライセンスを提供。登録クリエイターへの収益分配を通じて創作活動を支援し、現在音源数は100万点を超え、YouTubeでの動画利用数も3,000万件以上に達しています。

株式会社クロバーナ

「見えないRNAを標的に、新薬の地図を描く」
設立 2020年
代表者名 伊藤達男
HP https://cloverna.com/

(コメント)
創薬分野では、従来のタンパク質を標的とする治療法の限界が指摘され、新たな創薬ターゲットの探索が急務となっています。特に注目されているのが、タンパク質をコードしない「ノンコーディングRNA(ncRNA)」の創薬標的化です。従来のタンパク質標的薬では治療困難な疾患への新たなアプローチとして期待が高まっています。

そんな中、川崎医科大学発のスタートアップ企業であるクロバーナは、独自の「RNA創薬標的認識システム」を開発。ncRNAから創薬ターゲットを高速かつ高精度に探索する技術を確立しました。

SMZ株式会社

「モビリティを、A4サイズで持ち運ぶ」
設立 2021年
代表者名 清水正輝
HP https://smz-ev.jp/

(コメント)
都市部における移動手段の「コンパクト化」や「利便性強化」が求められる中、マイクロモビリティの需要が世界的に高まっています。しかし、従来の電動スクーターは折りたたみ機能があっても持ち運びに不便で、都市部での日常的な移動手段として実用性に欠けるものがほとんどでした。

岡山県に本社を構えるSMZ株式会社は、折りたたみ可能な電動スクーター「Arma」を開発し、A4サイズ相当まで折りたたむことが可能で、重量約4.5kgという軽量設計を実現しました。最高速度24km/h、1回の充電で約11kmの走行が可能であり、都市部での移動手段としての利便性を追求しています。

patternstorage

「ファッション産業の裏側を、見える化するクラウド」
設立 2020年
代表者名 今井恵子
HP https://corp.patternstorage.com/

(コメント)
岡山県発の注目のスタートアップ、アパレル業界DXを牽引するpatternstorageです。アパレル製造業に特化したクラウド生産管理サービスを提供し、縫製仕様書のOCR読み取りから受発注、資材管理までを一元的に効率化することで、業務プロセスの属人性排除とデータ化を支援します。アパレル業界では、消費者の嗜好が多様化し、トレンドの移り変わりが激しくなっています。

これにより、多品種小ロット生産への対応が急務となっていますが、この生産方式は生産効率の低下やコスト増加といった課題を伴います。そんな中、patternstorageは縫製仕様書のOCR読み取りから受発注、資材管理までを一気通貫で効率化し、アパレル業界特有の課題に対応したソリューションを提供しています。アパレル業界のデジタル変革を牽引する存在として注目されています。

株式会社ハイドロヴィーナス

「小水力×センサーで治水DXに挑む」
設立:2015年
代表者名:上田剛慈
HP:https://hydrovenus.co.jp/

(コメント)
渦エネルギーを活用した独自の水流発電技術と通信・AI解析を組み合わせ、河川の無電源区間で連続的なセンシングを実現する革新的なソリューションを提供しています。日本政府は、流域治水のデジタルトランスフォーメーション(DX)を国策として推進し、浸水センサーなどの低コスト化を急いでいます。小水力発電は、固定価格買取制度(FIT)やフィードインプレミアム(FIP)の枠組みが整備され、導入量も拡大しています。

従来の河川監視システムでは、電源確保が困難な無電源区間での連続的なセンシングが技術的な課題となっていました。同社は渦エネルギーを活用した独自の水流発電技術と通信・AI解析を組み合わせることで、河川の無電源区間でも連続的なセンシングを実現。競合他社にはない「発電とセンシングの一体化」が強みとなっています。

株式会社ビズ・クリエイション

「住宅見学会の集客・予約を一気通貫で」
設立:2008年
代表者名:初谷昌彦
HP:https://biz-creation.co.jp/

(コメント)
新設住宅着工は足元で増減が交錯する中、実店舗・イベント回帰が進行。住宅会社は見学会運営と来場予約の効率化が急務です。同社は住宅業界専用の来場集客SaaS「KengakuCloud」を展開し、イベント作成〜予約〜告知〜顧客管理を一本化。月間集客媒体連携や無人見学、OB邸見学などが差別化ポイントです。導入実績の広がりと地域工務店のDX需要を背景に、周辺機能(API/CRM連携)でのARPU向上が期待されます。

株式会社SIRC

「工事不要で“見える化”を始めるIoTデバイス」
設立:2015年
代表者名:髙橋 真理子
HP:https://sirc.co.jp/

(コメント)
産業IoT市場は、2025年には世界で1,500億ドルを超える成長が見込まれており、国内でも中小製造業のDX導入支援が政策的に後押しされています。こうした追い風の中、SIRCは5mm角という極小サイズの多機能センサー「SIRCデバイス」を軸に、既存設備に工事不要で取り付け、電力・電流・角度などを測定可能にするソリューションを提供しています。

競合製品とは異なり“既設設備に後付けて即稼働”という手軽さと、電池駆動で長期間動作する点が差別化要素。さらに脱炭素化や設備モニタリングソリューションを統合する展開も見込まれ、将来的にはインフラ系やグローバル展開にも橋渡しし得る技術系スタートアップとして注目です。

株式会社SPLYZA

「スポーツの“見える化”で狙いを変える」
設立:2011年
代表者名:土井 寛之
HP:https://www.splyza.com/

(コメント)
部活動指導を一変させるスタートアップが登場しました。映像分析でスポーツ指導を革新するSPLYZA(スプライザ)です。映像の撮影・編集・分析・共有が可能な「SPLYZA Teams」や、動作解析アプリ「SPLYZA Motion」を提供し、アマチュア競技者から学校、スポーツ教室まで幅広いユーザー層に対応しています。

そして、日常の練習で使いやすいユーザーインターフェース設計と、学校導入を見据えた運用支援モデルにより、従来のような「感覚的な指導」から解放され、「データに基づく指導」で成果を出せるようになります。

株式会社TOLLER

「学生クリエイターの拠点をデザインでつなぐ」
設立:2024年
代表者名:木津 虎
HP:https://toller.jp/

(コメント)
学生クリエイターを支援するTOLLER(トラー)です。デザイン事業と並行して「学生起業家・クリエイター向けコミュニティ CELL」を運営し、機材の貸出や創作活動の場の提供を行っています。そして、学生目線での自由な参加しやすさと、機材や知見をコミュニティ内で共有する仕組みにより、従来のような「経験重視の業界」から解放され、「若い才能を活かす業界」で成果を出せるようになります。代表の木津氏自身が、セルフブランディング力を活かした起業家として注目されており、同世代の学生クリエイターにとって身近なロールモデルとなっています。

株式会社ぺこり

「多彩な持ち味に、多様な機会を」
設立:2023年
代表者名:三宅伸之
HP:https://info.peccori.com/

(コメント)
株式会社ぺこりは、「多彩な持ち味に、多様な機会を」というミッションを掲げ、人と人との感謝や好意のやり取りをよりカジュアルに、より楽しくするサービスを展開しています。主力プロダクトであるカード型リアル投げ銭サービス「Kimochiru(キモチる)」は、店舗利用者がお店やスタッフへ“ありがとう”の気持ちを手軽に伝えられる新しい仕組み。QRコードを通じてスタンプやクーポン、ポイントを受け取れる点もユニークで、デジタルチップの新しい形として注目を集めています。

また、訪日外国人向け「Kimochiru for inbound」では日本文化体験をより深く楽しむ仕掛けを提供し、インフルエンサー向けファンサービス「Link 1-1(リンクイチノイチ)」など、気持ちやつながりを媒介とする多様なプロダクトを展開中です。代表の三宅伸之氏は、AI献立自動作成サービス「ミーニュー」の創業者としても知られ、アプリ総合ランキング1位・200万ダウンロード超の実績を持つ起業家。前職での成功・M&A経験を経て、ぺこりでは「感謝を通じて社会をあたたかくする」挑戦を新たにスタートしています。

山口県

株式会社ツバメ・イータイムズ

「EVで街を変える移動と未来をつなぐ」
設立:2014年
代表者名:山本 朋宏
HP:https://e-time.tsubame-group.co.jp/

(コメント)
脱炭素やモビリティシフトが世界的潮流となる中、国内外で電動バイク・電動自転車の市場が拡大しており、2028年にはEV二輪車市場が年率10 %超で成長すると見られています。ツバメ・イータイムズは、「M-CREW」をはじめとする業務用EVバイクや電動アシスト自転車を設計・販売するほか、バッテリー交換インフラや都市交通モデルとも連携するEVインテグレーターとして位置付けられています。

後付け技術ではなく、車体設計からインフラ構築、サブスク運用までを含むエコシステム構築力が強み。競合が車体製造や充電設備に分断されがちな中、一気通貫でモビリティ×エネルギーを束ねる戦略は差別化要因です。国内都市や海外での拠点展開と自治体連携を進められれば、スマートシティの主軸プレーヤーとしての未来を描けます。

株式会社Baby Jam

「アーティストの分身となるAIマネージャー」
設立:2020年
代表者名:田村 亮二
HP:https://www.babyjam.jp

(コメント)
音楽産業はサブスク化・グローバル化が進みつつあり、特にインディーズ・アーティスト領域ではマーケティングや運営コストが成長のボトルネックとなっています。Baby Jamは、AIマネージャーアプリ「NORDER」を通じて、アーティストのプロモーション、運営、分析を統合支援するプラットフォームを提供しています。

24時間対応のサポート、自動化・データドリブン設計が強み。競合とは異なり、アーティスト自身が操作できるUI設計とプロモーション自動化に注力。IVSや国際音楽イベントでのピッチ登壇実績もあり、注目のスタートアップです。

株式会社モクジツ

「バックオフィスを“Slackで操る”自由型基盤」
設立:2023年
代表者名:加藤 潤一
HP:https://mokujitsu.com/

(コメント)
バックオフィス業務の効率化に特化したクラウド基盤を展開するモクジツに注目です。スタートアップや中小企業において、経理・契約・支払・請求などバックオフィス業務の効率化は慢性的課題となっています。そのスピードが速すぎるがゆえに、リソースのある企業と、そうでない企業とでは、業務効率に大きな差が開いています。

そこでモクジツは、クラウド業務基盤「BackSimp」を提供し、Slack連携で請求・支払・契約等を一元管理できる利便性を打ち出しています。中小企業でも、大企業と同等のバックオフィス業務効率を実現できる体制を目指します。モクジツのようなスタートアップが新たな業務効率化モデルをつくることは、企業経営全体に大きな影響を与えるだろうと期待を寄せています。

株式会社ACTA PLUS

「廃棄をアートに昇華するサステナブル表現」
設立:2024年
代表者名:橋本 季和子
HP:https://acta-plus.com/

(コメント)
サーキュラーエコノミーや脱プラスチック、SDGs推進により、廃棄物の利活用・リサイクル表現領域は注目が集まっています。ACTA+は、捨てられる素材=“芥(ACTA)”を素材にアート作品や企画展を制作・流通し、企業やイベントへのアート空間提供も行う事業構成。500名超のアーティストネットワークを活用し、企業とのコラボ展示(例:MAZDAとの展示など)を実績としています。

差別化は“廃材起点の表現力+アーティストネットワーク”と“企業向け企画提供力”。まだ設立間もないものの、サステナブルブランドや空間デザイン領域は無限のポテンシャルを秘めています。

株式会社New Space Intelligence

「衛星データの“仲買人”で宇宙情報を民主化する」
設立:2021年
代表者名:長井 裕美子
HP:https://www.newspaceint.com/ja

(コメント)
地球観測衛星の打上げ数が急増し、衛星データを活用したインテリジェンス需要が拡大しています。2025年時点で、衛星データ・空間情報市場は数兆円規模とも言われ、インフラ監視、防災、環境モニタリング、農業など幅広い応用領域が注目されています。New Space Intelligence(NSI)は、複数種類の衛星データを「選定・統合・解析・提供」する一連のプロセスを自動化する独自の“衛星データパイプライン™”を中核技術に据え、データ利用者のニーズに応じて最適なデータを提供できる“仲卸型”事業モデルを志向しています。

三菱総合研究所とPoC連携を行うなど、技術実証と制度・産業アライアンスの組成も進めています。データ量・解像度の多様性を制御し、異種データを統一フォーマットで提供できる差別化技術が強みです。

セディカル株式会社

「“おいしく健康に”までを叶える機能性スイーツ創造」
設立:2021年
代表者名:宮田 和季
HP:https://www.sedical.co.jp/

(コメント)
健康志向・機能性食品市場は高齢化・生活習慣病対策のニーズを背景に拡大中で、国内だけでも数千億円規模と見られます。セディカルは、糖質制限、グルテンフリー、無添加・自然派素材などを志向した“フリーフロムスイーツ”や医師監修チョコレート「Medicalate®」の展開を通じ、味と健康の両立を図る戦略を持ちます。

代表製品Medicalateは、糖質を抑えながらも甘味・香りにこだわる点が差別化で、OEM/PB事業で他食品企業との協業も可能性。健康訴求×嗜好品分野でのクロスオーバー領域が成長舞台になり得ます。今後、海外糖尿病対策市場やパーソナル栄養領域との連動に道を開ける存在です。

株式会社メディモニー

「医療の“間”をDXでつなぐヘルスケア支援基盤」
設立:2024年
代表者名:𠮷田 透
HP:https://www.medimony.co.jp/

(コメント)
デジタルトランスフォーメーション(DX)は医療分野でも重要課題であり、特に地方・過疎地における医療アクセス改善、医療機関の効率化・運営コスト抑制のニーズが高まっています。メディモニーは、医療機器向け支援サービスと医療機関向けDX支援を組み合わせ、アクセシブルで先端的な医療環境の構築を目指しています。遠隔診療・リモートモニタリング技術との連携、運用支援を含めた総合ソリューション性が強み。

競合と比して、医療機器との親和性と運営サポートまで含めた包括性に差別化点を持ち得ます。初期段階ではあるものの、地域病院ネットワーク・自治体包括ケアへの展開余地が大きく、継続導入が期待されます。

株式会社中特ホールディングス

「廃棄物から資源へ、地域を美しくつなぐ循環企業グループ」
設立:2012年
代表者名:橋本 福美
HP:https://www.chutoku-g.co.jp/

(コメント)
廃棄物処理・リサイクル、公共インフラメンテナンス、スクール運営、不用品片付け事業など多角的に展開し、環境ビジネスと地域支援を両立する総合的なソリューションを提供します。循環型社会構築の動きが強まり、自治体・企業は廃棄物処理、再資源化、環境インフラの効率運営を強く意識しています。

一方で、コロナ禍以降、環境意識の高まりや持続可能性への関心の急増で、環境インフラの供給不足や地域格差の課題が大きくなっています。中特ホールディングスは中特グループを傘下に持ち、グループ横断で安定収益源を確保しながら、日本の法規制や地域のニーズに合った環境サービスを提供しています。創業後数年間でグループ横断の安定収益基盤を構築するなど、その着実な経営に大いに期待しています。

株式会社I.D.Works

「空間に物語を描く注文住宅&商環境設計のコンパス」
設立:2014年
代表者名:田丸 亮
HP:https://idworks.co.jp

(コメント)
日本の住宅・不動産市場は人口減少や空き家問題を背景に、住まいや店舗空間への“付加価値”要求が強まっています。特に地方圏では、単なる建築ではなく暮らし・地域との調和を重視する設計が競争力の鍵となります。I.D.Worksは、山口県を拠点に注文住宅、店舗設計・施工、リノベーション、オリジナル家具制作までワンストップで手がけ、デザインと性能両面を重視した空間創りを掲げています。

建築許可・設計施工事業者としての強みと、地域密着によるフィードバックループが差別化ポイント。将来的には、設計モデルの標準化や木材・素材の地域産業連携を通じた展開も期待される地域設計ブランドです。

ポーザー株式会社

「自然と身体をつなぐ“アウトドア体験再発明”」
設立:2019年
代表者名:三由 野
HP:https://www.poserjpn.com/

(コメント)
アクティビティ体験市場では、単なるレジャーではなく“非日常 × 健康・学び”への拡張が進展しており、体験消費の年率成長が見込まれています。ポーザーは、スラックライン・ハイライン・ボルダリング等のエクストリームスポーツ体験と、脳科学的な知見を融合したメソッド「ポーザーフィット」を活用し、地方の観光資源・公園施設・教育機関との連携プロジェクトを多数展開しています。施設設計、施工、体験運営、ライブ配信まで手がける統合型アプローチが差別化要因。アウトドア × 健康観光のプラットフォーム化も視野に入ります。

株式会社アンドピリオド

“映像で出会うふるさとマルシェ”――生産者の想いをそのまま届ける
設立:2022年
代表者名:藤中 拓弥
HP:https://www.and-period.co.jp/

(コメント)
食・農業分野では、2025年には世界の食料EC市場が数兆円規模に達する見込みであり、地方農家の販路拡大・効率化が重要テーマです。アンドピリオドは、ライブ映像配信を軸としたオンライン産直マルシェ「ふるマル」、食のアップサイクルブランド「LOSSNAX」などを展開し、生産者・消費者双方に寄り添うモデルを構築しています。

差別化要因は、“農家と同時進行で現場を運営”する実践型スタンスと、販売/物流/メディアを統合するプラットフォーム設計力。2025年には株式投資型クラウドファンディングで調達も実現しており、地域基盤の強化と全国拡張の両軸で成長が期待されます。

株式会社アオン

「山口から世界へ。人生はゲームだ、世界一楽しもう」
設立:2017年
代表者名:高森 直也
HP:https://aon-solution.co.jp/

(コメント)
山口市を拠点とするアオンは、Web/LP制作、アプリ・システム開発、SEOまでワンストップで支援。iOS/Android/Windows/Macなどマルチプラットフォーム対応やAI・IoT活用による業務効率化にも取り組み、制作後の集客・プロモーションまで視野に入れた体制が特徴です。地域企業のDXと販促を同時に進めたいニーズにフィットするサービス設計と言えます。

同社は自社プロダクトとしてカジュアルeスポーツ事業も展開。「ポイ活×スマホゲーム」を掲げ、『どうぶつキングバトル』『どうぶつインベーダー』『どうぶつクライシス』などをラインナップし、遊びながらリワードを得る新体験を打ち出しています。ゲームクリエイター採用も強化しており、“楽しみながら働く”というカルチャーを前面に、事業と組織を拡大中です。

ヘリックスエクステンション株式会社

「革新的なDNA製造で、核酸医薬の未来を変える」
設立:2023年
代表者名:富田 悟志
HP:https://www.helixextension.co.jp/

(コメント)
ヘリックスエクステンション株式会社は、山口大学の研究シーズを活用したバイオベンチャーで、特に従来のプラスミドDNA製造法に代わる「大容量PCR法」を開発・事業化している点に大きな注目が集まっています。この技術では、従来数ヶ月・大規模設備を要した大腸菌発酵方式のDNA製造に対し、「数時間」「卓上・省スペース」「低コスト」という大きな改善を実現。反応液200 mLで100 mg以上のDNA生産という実績も報告されています。

加えて、カルタヘナ法に関連する規制や、大腸菌を使った製造に伴う設備・運用負荷などの課題を回避できる点も、核酸医薬品や遺伝子治療分野における製造インフラの変革につながる可能性があります。地域発のスタートアップとして、山口県宇部市を拠点に、学・産・公の連携体制での支援を受けながら成長を志す点も特徴です。 今後、mRNAワクチン/遺伝子治療用のDNA・RNA基盤材料の需要が高まる中で、技術・製造力の差別化をいかに実ビジネスに落とし込むかが鍵となるでしょう。ヘリックスエクステンションの動向には、医薬品製造基盤の変化という意味でも目が離せません。

株式会社ジブンノオト

「100年続くふるさとをつくる」
設立;2013年
代表者名:大野 圭司
HP: https://jibunnote.co.jp/

(コメント)
株式会社ジブンノオトは、「起業×教育×地域」をキーワードに、若者の起業家精神を育むキャリア教育・学校向けプログラム・地域振興型研修などを展開している教育コンサルティング企業です。 設立当初から、島(周防大島)での地域教育実践を軸に、地域と子どもたちの未来を見据えて「自分の技を育てる(起業育®)」という独自の教育メソッドを打ち出しています。

全国の小中高校や自治体との協働、探究学習プログラムの設計・実施、さらには「学びのリゾート構想」なども視野に、地域・教育・起業という多軸で挑む活動が特徴です。 「地域に戻ってきたくなる若者を育てる」という観点から、教育を通じた地域活性化モデルとしても今後の展開が期待される企業です。

広島県

合同会社Clark’n

「世界発信を担うタレント×映像プロデュース拠点」
設立:2022年
代表者名:千田 太志
HP:https://clarkn.co.jp/

(コメント)
エンタメ・クリエイター市場の国際化は長年の課題です。その解決に向けて、近年はSNS・動画コンテンツの多様化やグローバル展開のニーズが非常に高まっていますが、クオリティ面でも価格面でも実用に値するプロモーション・インフルエンサー育成サービスはこれまで存在しませんでした。

Clark’nは、タレント育成、映像制作、クリエイター支援を一体展開できるサービスを、国内外のクリエイターでも導入しやすい手の届く価格帯で実現しました。さらに海外言語対応やローカライズ力による国際展開支援を組み合わせ、クリエイターのグローバル展開を幅広くサポートできることが強みです。

株式会社Medlarks

「カテーテル感染を防ぐ“カプセル装置”で医療現場を守る」
設立:2022年
代表者名:松浦 康之
HP:https://www.medlarks.com/ja_jp

(コメント)
医療関連感染症の領域では、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)が世界で毎年1,000万人以上が罹患し、死亡例も報告されており深刻な課題です。Medlarksは、既存の尿道カテーテルに接続して菌の侵入を防ぐデバイスを開発し、抗生物質を使わずに感染予防を狙う点が特徴です。

抗菌薬耐性リスクを軽減しつつ、既存インフラ(カテーテル類)に追加可能な設計とする点が差別化要因。広島県のユニコーン10プログラムにも採択されており、国内外展開や医療機関導入が成長ドライバーとなり得ます。将来的には他の医療機器やモニタリング系との統合展開も指向されるでしょう。

KGモーターズ株式会社

「シェアモビリティ時代を支える“モビリティ運用インフラ”構築」
設立:2022年
代表取締役CEO:楠 一成
HP:https://kg-m.jp/

(コメント)
モビリティのシェアリング化・EV化の潮流を背景に、車両運用・管理プラットフォームや MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)統合ソリューションの需要が国内でも高まっています。KGモーターズは、EV・シェア車両のレンタル・運用を支えるプラットフォームと、車両管理・保守や利用データ分析を包括する“運用インフラ事業者”を目指す可能性があります。

競合が車体提供と運営分野で分散しがちな中、運用統合ノウハウとシェア利用設計強化が差別化の切り札。自治体や地域交通事業者との連携や、車両データを活用した付加サービス展開が視野に入ります。

株式会社ウーオ

「魚の流通を“クリックひとつ”で全国に届ける卸プラットフォーム」
設立:2016年
代表取締役:板倉 一智
HP:https://uuuo.co.jp

(コメント)
水産流通のデジタル化を急速に進めているスタートアップ。それがウーオです。業務用鮮魚発注プラットフォーム「UUUO」を通じ、水産流通のデジタル化に特化した日本最大のプラットフォーム事業を手掛けています。地方漁業者が消費地に届きにくいという課題が昔ながらに残っている日本で、ウーオはその流通のデジタル化に貢献しています。

オンラインで鮮魚を発注できるほか、100以上の漁港・市場と連携して水揚げ即時出品・全国卸配送を実現し、漁港⇄消費地ネットワークの最適化力が差別化要因となっています。

株式会社エイトノット(Eight Knot Inc.)

「海を自由に使う、自律航海ロボットの時代をつくる」
設立:2021年
代表取締役CEO:木村 裕人
HP:https://8kt.jp/

(コメント)

日本は海洋国でありながら、島嶼部・内海部の交通インフラ維持はコスト高で維持が難しい地域もあります。こうした背景では、水上モビリティの自律化や小型無人船の導入が注目されつつあります。エイトノットはAIとロボティクス技術を活用し、水上・川域を航行する既存小型船舶に「AI CAPTAIN」という自律航行プラットフォームを後付け可能にするソリューションを提供。2025年1月には広島県・大崎上島町~竹原市間で、19トンクラスの小型船舶に自律航行システムを搭載した定期航路の試験運航を開始しています。

競合との差別化点は、既存船舶への後付け方式で導入障壁を低く抑える点、およびクラウド化した航行データのネットワーク化で航行管理を可視化・最適化できる技術基盤を持つ点。 水域交通・物流インフラのDX化が今後ますます求められる中、将来的成長可能性が高いベンチャーと言えます。

株式会社ベクトロジー

「FPGAで“処理の重さ”をハードで解く、リアルタイム演算の架け橋」
設立:2016年
代表取締役社長:篠田 義一
HP:https://vectology.jp/

(コメント)
映像・通信・センサー処理が高度化する今日、画像処理・AI推論・通信制御などのリアルタイム演算が性能上のボトルネックとなります。FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)は、ソフトウェア処理では追随できない速度を出せるため、新世代インフラにおいて注目技術です。ベクトロジーは受託FPGA設計開発・量産対応を提供し、モジュール化・IP化技術を持つ点が特長。

特に、8Kリアルタイム映像処理、低遅延通信、車載用途などの用途で成長余地があります。競合との差別化は、設計→試作→量産までをワンストップで対応できる工程統合力と、モジュール化設計手法による再利用性確保。特定用途向け演算アクセラレーション設計能力も強みです。5G/6G通信、AR/VR、高精度センシング用途などが市場拡大領域であり、成長可能性があります。

CIA株式会社

「産業現場の“見える化”を顕微鏡レベルから支える計測支援」
設立:2015年
代表:長岡 秀樹
HP:https://www.cia-j.co.jp/

(コメント)
ものづくり/工場現場では、工程・品質・設備劣化の兆候を早期に把握する“見える化”がDX導入の鍵となっています。CIAは、顕微鏡・精密光学機器を用いた計測支援、検査装置・光学設計、画像処理ソリューションを提供。特に材料欠陥や細微構造解析分野での技術強みが見られます。

公式情報は限られていますが、産業検査領域での高付加価値ニッチを狙う企業と考えられます。 競合との差別化ポイントとしては、光学設計ノウハウと検査機器連動ソフトウェア統合力、顕微解析に強い技術者陣の存在が挙げられます。ものづくりDXの波は今後も続くため、高精度検査への需要拡大が後押し要因となるでしょう。

株式会社抗体医学研究所

「線維化を狙撃する“レーダー抑制”型抗体で未病・治療に挑む」
設立:2022年
代表取締役:横崎 恭之
HP:https://www.integrin.jp

(コメント)
難治性線維症治療を革新する抗体医学研究所です。細胞接着分子・インテグリンを標的とする中和抗体を独自開発し、肺線維症、肝硬変など難治性線維症の根本治療を目指す革新的なソリューションを提供します。難治性線維症(肺線維症、肝硬変など)市場は未だ根本治療が確立しておらず、アンメットニーズが非常に高い領域となっています。

一方で、コロナ禍以降、呼吸器疾患への関心の高まりや高齢化の進展で、線維症治療の需要不足や治療法の限界という課題が大きくなっています。そんな中、抗体医学研究所は、特にインテグリンα8β1を阻害するアプローチで、複数マウスモデルで線維化改善を確認し、世界初の候補化合物も作製済みです。日本の法規制や患者の安全・安心へのニーズに合った治療法を提供しています。

ナオライ株式会社

「お酒で地域を醸す、新たな日本酒文化を紡ぐ」
設立:2015年
代表者名:三宅 紘一郎
HP:https://naorai.co/

(コメント)
日本酒業界に風穴をあけるスタートアップが登場しました。地域再生型酒造ビジネスを展開するナオライです。瀬戸内・三角島を拠点とし、無農薬レモンを掛け合わせたスパークリングレモン酒「MIKADO LEMON」や、日本酒を独自の低温浄溜技術で熟成・蒸留した”浄酎(じょうちゅう)”という新ジャンル酒を展開しています。そして、各地酒蔵と連携し、酒蔵再生・地域活性化を目指す「NOTO Naorai」拠点を立ち上げることで、従来のような「単独経営」から解放され、「連携による地域再生」で成果を出せるようになります。

例えば、日本酒蔵数の減少や後継者不足が懸念される中で、伝統産業×地域再生型ビジネスモデルとして注目されています。地域性・ストーリー性を重視した酒造流通と、酒蔵ネットワーク構築により、効率よく地域活性化ができるわけです。日本で唯一の地域再生型酒造プラットフォームなので、今後一気に事業を拡大できるのではと期待しています。

プラチナバイオ株式会社

「ゲノム編集とDXで生物機能を設計するプラットフォーマー」
設立:2019年
代表者名:奥原 啓輔
HP:https://www.pt-bio.com/

(コメント)
バイオテクノロジー市場では、創薬・農業・環境技術への応用ニーズが拡大しており、ゲノム編集やデータ駆動型バイオ実験基盤(バイオDX)の領域が特に注目されています。プラチナバイオは、“ゲノム編集技術”と“実験データ基盤(DX基盤)”を一気通貫で提供するプラットフォーム型企業として位置づけられており、J-Startupにも登録されています。

競合との差別化は、設計・試作・データ解析の統合力と、ユーザーニーズに即応できる柔軟性。医薬、農業、環境技術領域に跨る応用拡張性があり、将来的にはライフサイエンス産業全体の中核技術インフラの一角を担う可能性があります。

株式会社マテリアルゲート

「1分子で記憶を構築する、未来の素材革命」
設立:2023年
代表者名:中野 佑紀
HP:https://www.materialgate.com/

(コメント)
現代のAI・ビッグデータ時代において、情報処理能力の拡大とともに消費電力の高騰が深刻な社会課題です。データセンターやクラウド基盤の電力コストは年々膨らんでおり、エネルギー効率を根本から変える素材技術が求められています。その潮流の中、マテリアルゲートは、広島大学発の研究成果である「単分子誘電体(single-molecule electret)」をコア技術とし、室温で分子1つに情報を記録できる素材の開発と量産化を目指しています。

将来性に関しては、まずはディスクリートコンデンサ用途など比較的導入障壁が低い領域への参入を図り、並行して特定顧客向けプロトタイプメモリへ適用展開を目指すロードマップが描かれています。2030年ごろまでには商用化可能性を見据えており、その後は用途横展開、産業用途導入、グローバル提携を通じて、素材産業の新たな柱となることを狙っています。

ENTECH株式会社

「距離も時間も超える、デジタル歯科技工プラットフォーム」
設立:2024年
代表者名:吉井 誠
HP:https://dental-revolution.tech/

(コメント)
日本の歯科技工業界は、技工士人口減少・地域間の技術格差・低生産性といった構造的課題を抱えています。同時に、口腔内スキャナーや3Dプリンティングなどのデジタル技術が普及期に差し掛かっており、業界のDX化は待ったなしの潮流です。そこでENTECHは、義歯や補綴物の設計・製造を請け負うのではなく、歯科医院・技工士・デジタル技工所を情報でつなぐ「DENTAL REVOLUTION」プラットフォームを核に据えています。

株式会社ミルテル

「未病を“見える化”する検査サービスで健康を支える」
設立:2012年
代表者名:加藤 俊也
HP:https://www.mirtel.co.jp/

(コメント)
ヘルスケア・予防医療市場では、未病診断や個別化医療、予測医療の需要が高まりつつあります。そして現在、がんリスク検査や腸内フローラ解析、テロメア長測定など、多様な検査サービスの需要が急速に拡大しており、簡便で総合的な検査プラットフォームの必要性が高まっています。この巨大市場でビジネス拡大を狙っているのが、ミルテルです。

予防医療による健康リスクの早期発見を防ぐため、唾液を用いたがんリスク検査(スキャンテスト)、腸内フローラ解析、テロメア長測定/遺伝子年齢解析など、検査サービスを提供しています。アプリを通じて個人が自分の健康状態を把握できるため、安心して予防医療に取り組めるようになっています。市場も大きく、社会的ニーズの高い事業のため、これからさらなる成長が見込めます。

株式会社QDPower

「固体電池で電力の未来をはめ込む」
設立:2024年
代表者名:寺田 典広
HP:https://qd-power.jp

(コメント)
再生可能エネルギー拡大に伴い、出力変動の緩和や系統安定化のための蓄電技術の重要性が増しています。日本政府も2030年までに温室効果ガスを46 %削減する目標を掲げ、蓄電インフラ整備を強く後押ししています。QDPowerは、全固体リチウム蓄電池を中心に、太陽光発電との統合型システムを含む蓄電・発電ソリューションを開発・販売する事業を掲げています。2024年7月には広島県に大容量系統用全固体電池システムの製造工場を操業開始し、8月から販売を始めたという発表がなされています。

競合との差別化要因としては、液体電解質を使わず安全性・耐熱性に優れる全固体設計と、低内部抵抗による効率改善という技術アピールポイントが挙げられます。加えて、地域拠点構築と地元投資も見据えている点が強みです。将来的には、国内需給網や海外再エネ市場を取り込むスケール拡大が期待されるプレイヤーでしょう。

株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズ

「重力で“培養環境”を自在に操り、未来医療に挑む」
設立:2011年
代表者名:河原 裕美
HP:https://spacebio-lab.com

(コメント)
再生医療や細胞工学、宇宙生物学研究の進展に伴い、細胞培養環境を制御できる技術は研究基盤の鍵となっています。スペース・バイオ・ラボラトリーズは、地上で微小重力(1/1000 G)から過重力(2–3G)まで制御できる重力制御装置「Gravite®」を開発・販売しており、世界でも希少な技術力を持ちます。

また、歩行補助ロボット「RE-Gait®」などリハビリ機器も手掛け、再生医療と運動支援を組み合わせたビジョンも掲げられています。差別化ポイントは、大学発技術の知見蓄積と、自社装置+応用機器のシリーズ化ができる技術横展開力。研究室レベルの機器導入から臨床応用フェーズまで接続可能なソリューション提供が強みです。

株式会社ツーセル

「幹細胞培養を革新し、軟骨再生で歩みを取り戻す」
設立:2003年
代表者名:松本 昌也
HP:https://www.twocells.com

(コメント)
高齢化・運動器疾患の増加により、再生医療・幹細胞治療への期待が年々高まっています。そこで新たに生まれるビジネスが「軟骨再生治療」。この流れを受けて成長が期待されるのが、ツーセルです。複数のスタートアップが参入している再生医療分野ですが、ツーセルはとにかく関節・軟骨領域に注力して事業拡大しています。

ツーセルのサービスは滑膜由来間葉系幹細胞(MSC)の無血清大量培養技術を開発し、軟骨再生用細胞治療製品「gMSC®1」を開発中です。また「Gravite®」装置を手掛けるスペース・バイオ・ラボラトリーズと連携して、重力制御培養手法を利用した高密度培養技術も研究推進しているので、技術の販売事業もしています。再生医療の実用化が求められるなか、軟骨再生のERP(基幹システム)になりえる有力候補がツーセルです。

とらでぃっしゅ株式会社

「 民俗芸能を、地域と人をつなぐ“響き”に変える」
設立:2023年
代表者名:片桐 萌絵
HP:https://www.tradish.info

(コメント)
地域のお祭り・民俗芸能は、日本各地で過疎化・後継者不在・認知度低下という課題に直面しています。こうした文脈で、とらでぃっしゅは「民俗芸能専門コンサルティング会社」として、保存団体や自治体を対象に、運営支援、知名度向上、観光資源化、さらには女性の担い手参入支援を行っています。

サービス内容としては、祭りの告知・SNS運用代行、インバウンド対応、地域交流・体験ツアーの企画実行、担い手公募プログラム、そして地域住民との懇親会などを通じた現場伴走支援が挙げられます。宣伝例としては、中国地方・北広島での「乙九日炎の祭典」や「三津祇園祭 大名行列」に対する参加者公募プログラムが実施され、地域の伝統行事を“誰でも体験できる機会”へと昇華させる試みが進められています。

株式会社ハコジム

「フィットネスをもっと身近に。もっと気軽に。」
設立;2017年
代表者名:永田 秀晶
HP: https://hacogym.jp/

(コメント)
株式会社ハコジムは、完全個室・24時間年中無休のフィットネスジム「ハコジム」を運営し、ジムに行きづらかった人や「人目を気にせず運動したい」ニーズに応えるサービス設計が特徴です。月会費3,800円(税別)というリーズナブルな料金で、会員がどの店舗でも利用できるモデルを展開し、スマートロックや無人運営などテクノロジーを用いた効率的運営も取り入れています。

さらには、自社開発のスマートミラーを活用したトレーニングメニュー提供、フランチャイズ展開、AIトレーニング導入など、新しい「ジム」の形を提示しており、フィットネス市場における差別化モデルとして注目されます。地方発・店舗多数展開というフェーズに入っており、今後全国・さらには海外展開を視野に、健康・運動インフラを革新するプレイヤーとして動向が楽しみです。

徳島県

モルミル株式会社

「分子を“ミル”創薬の地平を切り拓く」
設立:2022年6月
代表者名:森 英一朗
HP:https://www.molmir.co.jp/

(コメント)
創薬・バイオ市場では、疾患の早期発見・未病対応、希少疾患向け治療開発など、革新的基盤技術の重要性が増しています。モルミルは、原子・分子レベルでの動的挙動を捉える基盤技術を開発し、それを創薬シーズ創出につなげることをミッションとしています。2024年5月にはリアルテック、三菱UFJキャピタルらを引受先とするシードラウンド資金調達を実施し、研究強化・体制構築を加速中です。

事業環境では、創薬R&Dコスト高騰・失敗リスクへの耐性が求められており、モルミルのような“標的発見支援”や“未標的分子可視化”といった技術が注目されつつあります。差別化点は、NMR(核磁気共鳴法)などの分析手法と情報解析の融合、創薬難易度の高いターゲットへのアプローチ可能性、そしてアカデミア発シーズを集約するネットワークを持つ点。今後、共同研究契約拡大・製薬会社とのライセンシングやスピンアウト開発モデル構築によって、基盤技術プラットフォーマーとしての立ち位置確立が期待されます。

株式会社電脳交通

「タクシー現場をクラウドで紡ぐ配車DXプラットフォーム」
設立:2015年
代表者名:近藤 洋祐
HP:https://dennokotsu.jp/

(コメント)
地域交通インフラの老朽化・ドライバー不足・過疎地運行維持の課題を背景に、タクシー・公共交通のDX化需要は都市部・地方問わず拡大しています。電脳交通は、タクシー配車業務をクラウド化するシステムを提供し、全国47都道府県で約600社・2万1000台の導入実績を持ちます。加えて、配車代行業務(BPO型)も手がけ、事業者の経営課題を包括支援しています。

業界競合と比較して、電脳交通の強みは「タクシー事業者発」の現場視点と、継続的なシステム改善・現場フィードバックループの構築、そしてB2Bモデルへの徹底した注力という点です。導入社数の拡大によるスケールメリットも働く構造。将来的には、自動運転・MaaS連携・EV・地域公共交通との統合プラットフォーム化という進化も見据えられ、交通DX領域での中核プレーヤー候補といえます。

株式会社セツロテック

「ゲノム編集で“家畜/農業/資源変革”を駆動する」
設立:2017年
代表者名:竹澤 慎一郎(社長)/竹本 龍也(会長)
HP:https://www.setsurotech.com/

(コメント)
ゲノム編集技術で農業・畜産を革新するセツロテック。独自のゲノム編集因子「ST8」や編集手法を用いた動物・植物育種応用、受託研究、遺伝子編集ツール提供など、農業・畜産分野の生産性向上を目指す革新的なソリューションを提供します。コロナ禍以降、食料安全保障への関心の高まりや気候変動の影響で、品種改良の需要不足や技術的限界という課題が大きくなっています。

セツロテックは、徳島大学発のベンチャーとして、生殖工学、ゲノム編集技術、編集ツール群という3本柱のコア技術により、日本の法規制や農業・畜産のニーズに合った品種改良サービスを提供しています。近年、住友商事との資本業務提携実績を有し、J-Startup WESTへの選定も受けるなど、その着実な研究開発に大いに期待しています。

株式会社amidex

「歯を削らず残す、デジタルで進化する修復歯科」
設立:2023年
代表者名:伊原 晃
HP:https://amidex.co.jp/

(コメント)
歯科医療の領域では、むし歯や劣化によって歯質を削ることが長年の常識でした。しかし、歯を削ることで歯自体が弱くなり、再治療が連鎖するという問題も指摘されています。amidex は「歯を削らない治療」を掲げ、コンポジットレジンやデジタル補綴技術を組み合わせ、修復部の形を最小限に抑えながら高度な接着性を確保する技法を標準化・普及させようとしています。彼らは、修復技術の高度化が普及の壁となっていた点を、デジタル化と標準オペレーションで乗り越えようと挑戦しています。

株式会社リブル

「牡蠣から海を“スマート”に育て直す水産DX」
設立:2018年
代表者名:早川 尚吾・岩本 健輔
HP:https://reblue-k.com/

(コメント)
水産業界では、気候変動・漁業資源減少・後継者不足といった構造課題が深刻化しており、スマート養殖や種苗改良など技術革新による生産性向上が急務となっています。リブルは、三倍体種苗の生産と養殖技術の見える化ソリューションを一貫して提供し、「だれでも・いつからでも失敗しにくい」水産を実現することを目指しています。

J-Startup WESTにも選定されており、地域との連携型モデルが強み。差別化要因は、種苗開発から実養殖・データ活用までを自社で手がけるバリューチェーンの広さと、地域漁業者との伴走型体制。将来的には、プラットフォーム化して国内外の海域へスケールする可能性が高いでしょう。

株式会社Egret・Lab

「エクソソーム精製で次世代再生医療の鍵を握る」
設立:2023年
代表者名:矢野 慎一
HP:https://egret-lab.com/

(コメント)
エクソソーム(細胞外小胞)は、細胞間情報伝達に関わる物質を内包し、診断・治療用途で注目を浴びている技術分野です。Egret・Labは、特殊ハイドロゲルを用いた高回収率・高純度の精製技術「HAS法」を開発・受託提供し、研究機関・企業向けの品質評価や受託精製を手掛けています。

NEP(NEDOの起業支援プログラム)躍進コースへの採択実績もあり、将来的にはエクソソームを用いた創薬支援やCDMO領域への展開を視野にしています。差別化ポイントは、精製プロセスの収率・純度・スケール性能にこだわる技術力と、製薬企業に寄り添える受託体制の設計力。今後、創薬連携やグローバル拡張が期待できるバイオ・中核技術ベンチャーです。

イツモスマイル株式会社

「福祉と暮らしをつなぐ地域密着のケア基盤」
設立:2003年
代表者名:小泉 卓也
HP:https://itsumosmile.jp/

(コメント)
高齢化社会進行下で介護・福祉サービスの需要は長年の課題です。その解決に向けて、近年は在宅介護・福祉用具貸与・予防ケアといった広範囲なサービス提供体制のニーズが非常に高まっていますが、クオリティ面でも価格面でも実用に値する総合的な介護・福祉サービスはこれまで存在しませんでした。

イツモスマイルは、在宅介護や福祉用具貸与、地域ケアサービスを、どの地域でも導入しやすい地域密着型の運営と手の届く価格帯で実現しました。創業メンバーは、ユーザーとなる利用者や家族の意見を取り入れながら地道にサービスを改良してきた、柔軟性の高い経営者。優秀なチームと共に、DX導入・予防ケア強化に取り組んでいます。

株式会社クロスメディスン

「赤ちゃんの“泣き声”を感情に変える育児AI」
設立:2022年
代表者名:中井 洸我・福本 和生
HP:https://awababy.tech/

(コメント)
育児支援・ヘルスケア市場では、子育て支援・産後ケア・感情認識技術へのニーズ拡大が見られます。クロスメディスンは、AIを活用した泣き声解析アプリ「あわベビ」を開発し、赤ちゃんの泣き声から感情(空腹・眠い・痛い・寒暖・不快など)を推定し、育児者に対処アドバイスを提示するサービスを提供しています。

J-Startup WEST 選定、導入実績(福利厚生提供、企業提携)も進行中。競合との差別化は、「医学発の技術背景」と「泣き声解析精度(5~12種類分類)」への先行投資姿勢。将来的には、子育てログや発達診断との連携、法人向けサービス拡張や国際展開が見込まれます。

株式会社サウスウッド

「超音波“目利きAI”で、在宅・地域医療の診断力を底上げ」
設立:2023年
代表者名:楠瀬 賢也、竹谷 昌敏
HP:https://www.southwood.co.jp/

(コメント)
2024年4月から医師の時間外労働に年間960時間の上限が適用され、現場の効率化が急務となっています。そこで新たに生まれるビジネスが同社の「超音波診断のAI支援」。ポイントオブケアの普及が追い風になるのも超音波診断なので、有利なポジションにいます。サービス面でも、特徴があります。他社のサービスは、主に大病院での高度な画像診断支援を提供するという仕組みです。

一方で、同社のサービスは一次診療でも扱いやすい補助ツールを志向する仕組みになっています。つまり一次診療が主体となって活用するので、診断の効率化や情報の一元管理がしやすくなっています。また超音波診断装置の国内市場は2033年に約9億ドルへ拡大見込みなので、AI支援技術の販売事業もしています。医療DXの実用化が求められるなか、超音波診断のERP(基幹システム)になりえる有力候補が同社です。

小胞体ストレス研究所株式会社

「“細胞の声”を聞くセンサーで、創薬スクリーニングを高速化」
設立:2017年
代表者名:親泊 政一
HP:https://www.erstress.co.jp/

(コメント)
創薬コスト高騰と開発期間の長期化が続く中、スクリーニング工程の効率化は各社の最優先課題です。同社は徳島大学発ベンチャーとして、細胞のストレス応答を時系列で読む独自プラットフォーム「MTHICS」を開発し、候補化合物の見極めを高速・標準化。

J-Startup WEST選定の実績もあり、アカデミア連携と実験データ起点の“データ駆動型”創薬で存在感を高めています。競合がAI創薬に集中する中、細胞応答センシングという切り口がユニーク。製薬との共同検証が進めば、適応拡大と収益化が視野に入ります。

株式会社Ponte

「働きたいと人手不足をつなぐ、障がい者就労の“かけ橋”」
設立:2022年
代表者名:藤村 泰之
HP:https://ponte-act.jp/

(コメント)
民間企業の障害者法定雇用率は2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%へ段階的に引き上げ。企業の実務対応需要が高まる中、同社は就労継続支援A型に加え、グループホーム事業も同一法人で展開し、就労と生活を一体で支援する体制が強みです。

自動車関連や美装など“現場で技能が身につく”就労機会を設計し、一般就労への橋渡し実績も蓄積。地域企業の人手不足解消とインクルーシブ雇用を両立させるモデルとして拡張性があり、制度改正の追い風を受けた成長が期待されます。

アンドブルー株式会社

「 四国×製造業に特化、地場の“ものづくり転職”を滑らかに」
設立:2024年
代表者名:新居 和
HP:https://andblue-career.studio.site/

(コメント)
全国の有効求人倍率は直近年次で1.28倍(2023年11月)と人材獲得競争は継続。四国でも製造業は地域の柱で、事業所・付加価値の構造変化が進む中、現場即戦力の採用が課題です。同社は“四国密着×製造業特化”の人材紹介に絞り、ミスマッチ回避の伴走を打ち出す点が特徴。

大手全国型エージェントと異なり、地域・職種に絞った深い案件理解が差別化要因です。地元優良企業との関係構築が進めば、指名案件の比率増と収益性の改善が見込めます。

HeartReach株式会社

「“あなたの社長室”で、中小企業の人と組織課題をまるごと伴走」
設立:2025年
代表者名:坂東 賢吾
HP:https://heart-reach.co.jp/

(コメント)
中小企業の採用難・定着難は構造課題で、採用から育成、エンゲージメントまで一気通貫の支援ニーズが拡大。同社は“最新HRテック×伴走型コンサル”を掲げ、「あなたの社長室」ブランドで実務まで踏み込むのが強みです。社名変更を契機に、アウトソーシングとコンサルのハイブリッド提供を明確化。大手コンサルとの差別化は、経営者の“納得解”に寄り添う現場密着。地域密着で事例が積み上がれば、サブスクリプション型の安定収益化も期待できます。

株式会社シトリアン

「資源を蘇らせ、健康素材で地域と生物をつなぐ “地産×健やかリサイクル”」
設立:2020年
代表者名:堤 理恵
HP:http://citlian.jp/

(コメント)
日本では食品ロスや農産物の副産物利用が社会課題となっており、2024年時点で食品ロス量は年間約500万トンにのぼるとの推計もあります。この背景で、地域農産物の残渣を機能性素材として再加工する企業は注目領域です。同社は徳島県・上勝町の柑橘「ゆこう」果皮残渣を乾燥粉末化し、健康素材化(フラボノイド含有)とクラウドファンディングでの販路化を模索。

特許出願や機能性評価も進めており、素材・健康分野の試験実績を伸ばす点が強みです。競合が大手素材・バイオ企業である中、地域原料を用いた“地産ローカル素材”として差別化。将来的には原料供給ネットワークの構築、B2B展開(化粧品、サプリ、食品成分)によるスケールアップが見込めます。

エイドコード株式会社

“心をかたちにする”AI × 光 × 対話によるウェルビーイング創造
設立:2025年
代表者名:山本 哲也
HP:https://www.aidchord.com/

(コメント)
近年、メンタルヘルス・ウェルビーイング領域は世界的に拡大しており、グローバル市場規模は2027年には数十〜百億ドル規模に達すると予測されます。その中で、日本国内でも企業のストレス対策や心の健康支援に対する予算拡充が進んでいます。同社は徳島大学発で、AI・光技術・心理学を融合し、対話型立体投影AIデバイスなどを通じて“心に寄り添うテクノロジー”を具現化。

対話/投影技術はまだ実用化初期フェーズですが、将来的には介護・福祉・教育現場への導入も想定。競合としては感情AI、チャットボット開発企業が存在しますが、立体空間投影と物理界(光空間)技術を融合する点が差別化要因。まずは実証実験・PoC取得が鍵で、普及すればハード+サービス複合ビジネスとしての展開が期待できるでしょう。

香川県

建ロボテック株式会社

「建設現場の“単純作業代行ロボット”で、職人を解放する」
設立:2013年
代表者名:眞部 達也
HP:https://kenrobo-tech.com/

(コメント)
日本の建設業界では、約20万人を超える人手不足が指摘されており、さらに2024年から施工現場で週休2日制導入を迫られるなど生産性改革が急務になっています。このような環境下で、建ロボテックは「トモロボシリーズ」を主軸に、鉄筋結束、自動搬送といった反復作業を代替する協働型ロボットを現場導入支援付きで提供。2025年2月にはあわぎん未来創造投資、JR東日本スタートアップ、日本精工などから1.8億円の追加出資を含む資金調達(シリーズB拡張)が公表され、累計調達額は約7.8億円となりました。

競合には建設ロボットや自動化技術を手がける企業も存在しますが、同社は「現場出身者による現場適応設計」「導入〜運用支援込みの提供体制」が差別化要素。NHKの時論公論で「鉄筋結束トモロボ」が紹介された実績もあり、社会認知の拡大も追い風です。将来的には建設以外(鉄道、土木など)への横展開と、多種作業対応ロボット群による現場統合ソリューション展開が期待されます。

株式会社未来機械

「環境・建設現場をロボットで清らかに」
設立:2004年3月
代表者名:三宅 徹
HP:https://miraikikai.jp/

(コメント)
世界的に太陽光発電導入が加速する中、ソーラーパネルの定期メンテナンス需要は増加傾向にあります。たとえば、米国・欧州では太陽光発電設備の清掃・保守市場が年率5〜8%で拡大する見通しもあります。この環境で、未来機械は屋根設置型や地上型のソーラーパネル清掃ロボット(Type1/Type2/Type2W/Type4)を展開しており、さらに建設現場用墨出しロボット、豚体重自動測定カメラロボット、レーザー三次元センサーなどを複数プロダクトラインで保有。国内外の納入実績を持ち、J-Startup WEST の選定企業でもあるという実績もあります。

競合には太陽光清掃ロボットメーカー、建設ロボット企業、センサー技術ベンチャーなどが考えられますが、未来機械の強みは「清掃/測定/建設現場支援を横断する製品ラインナップ」「過酷環境対応設計(RO­BUST)」「自律運転・高可動性(AGILITY)」といったコア技術群の統合提供です。
将来的にはスマートソーラー発電所向け運用保守サービス(清掃+監視解析の一体化)や、各施設の予知保守のためのセンサーとAI連携型モニタリング事業拡張が期待されます。)

株式会社XEN GROUP

「食品 × 省エネ × 再資源化で、MOTTAINAIを具現化するものづくり集団」
設立:2022年
代表者名:高畑 洋輔
HP:https://xen-group.com/

(コメント)
世界全体で食品ロスは年間約13億トンとも言われ、環境負荷・資源浪費の側面からSDGs対応が企業に強く求められています。この潮流を背景に、XEN GROUPは「MOTTAINAI エンジニアリング」を旗印に掲げ、フードロス削減、リサイクル技術、持続可能なものづくりを融合した事業を展開しています。具体的には、X-Charge unit(食品温度均一化装置)、X-Dry unit(乾燥・フードアップサイクル装置)といった自社ブランド装置を核に、機械設計・製造(設計 → 加工 → 組立一貫体制)、食品加工モデル工場、農業技術(AGRI)領域にも参入。

競合には食品機器メーカーや乾燥技術ベンチャー、アップサイクル企業が想定されますが、XENの差別化要素は「装置開発と実証モデル工場を自社で統合化」「食品・農業・機械という複数領域をまたぐ垂直統合型モデル」「地域拠点との連携とスタートアップ支援(J-Startup WEST選定)」であります。将来的には、装置販売から保守・データサービス提供、全国・海外の食品・農業事業者との共同導入、リサイクル素材のバリューチェーン参画など複数収益チャネル展開が期待されます。

株式会社 SmartLaser & Plasma Systems

「レーザー×プラズマ×DXで、産業プロセスを“見える化”し制御する」
設立:2018年
代表者名:出口 祥啓
HP:https://www.slps.jp/

(コメント)
産業用分析・制御装置市場では、リアルタイムで温度・濃度・元素組成を計測できる技術への需要が高まっており、プロセス最適化、品質保証、環境監視といった用途が拡大しています。SmartLaser & Plasma Systems(SL&PS)は、JAEA(日本原子力研究開発機構)発のスタートアップとして、CT-TDLAS(温度・濃度の2次元・3次元測定)、LIBS(レーザー・誘起分光法による元素分析)、さらにはこれら技術をDXプラットフォームと統合し、現場の産業プロセスを遠隔制御・自律運転化する体制を構築しています。

競合としては従来のガス分析器・分光装置ベンダーや、プロセス制御ソリューション企業がありますが、SL&PSの差別化要素は、「分光技術+レーザー/プラズマ技術を組み合わせた高空間分解能計測」「計測器とDX制御を一体で提供するソリューション型提供」「J-Startup WEST 選定企業としての公的評価・信頼性」です。さらに、CO₂濃度可視化、高精度物質選別、リサイクル処理支援など、社会課題対応への応用事例もサイトで紹介されています。将来的には、国内外の製造業・プラント・環境モニタリング領域への展開、計測データとAIを融合した予測制御サービス、サブスクリプション型運用サポートモデルの構築といった拡張可能性が期待されます。

瀬戸内サニー株式会社

「地域発インフルエンサー × デジタルで、“ローカル”を世界に伝える」
設立:2018年
代表者名:大崎 龍史
HP:https://setouchi-sunny.com/

(コメント)
デジタルマーケティング市場は2027年には世界で3,000〜4,000億ドル規模に達すると見込まれる中、地域中小企業・自治体向けの発信支援ニーズも増加しています。瀬戸内サニーは「瀬戸内・香川拠点」の強みを活かし、YouTubeチャンネル「瀬戸内サニー」を核としたSNS・動画制作・観光プロモーションを展開。

Googleが選ぶ“日本のYouTuber 100選”にも選出され、総SNSフォロワー10万人規模の発信力で地域ブランドの発信を支えています。また、教育事業「サニー留学」では、全国の高校生・大学生に対し「地方からでも世界に挑戦できる」をテーマに、メディア運営・映像制作・地域プロジェクト実践を組み合わせた体験型プログラムを提供。若者が地域の魅力を発見し、自らのスキルで発信する力を育む取り組みとして注目を集めています。デジタルと教育の両面から地方の未来を照らす存在として成長が期待されます。

株式会社Raise the Flag.

「視えないを感覚に変えるグラス”で、視覚障がい者の世界を広げる」
設立:2017年
代表者名:中村 猛
HP:https://rtf.co.jp/

(コメント)
世界保健機関(WHO)によると、約2.85億人が視覚障がいを抱えており、特に高齢化社会においてその需要は増加傾向にあります。また国内では障がい者の移動支援や自立支援の強化が制度的にも求められています。その中で、Raise the Flag.はウェアラブルデバイス「SYNCREO(シンクレオ)」を開発し、音と振動で周囲環境を把握できるグラスとして、視覚に頼らない空間認識を実現。さらに日常生活支援のための「みずいろクリップ(色・液体検知器)」も手掛けています。

多数の製品を一から社内開発できる製造力と、視覚障がい当事者の声を反映する試作–改善ループが差別化点。競合には視覚支援機器メーカーやAIセンサー技術企業が存在しますが、複数モーダル統合や日常利用を想定した軽量化と操作性を重視する姿勢が強み。将来的にはグローバル展開と福祉制度導入支援、B2B・公共導入を通じた事業拡大が期待されます。

株式会社Japan Fruits

「朝摘みフルーツをネット直送で、全国に“旬”をつなぐ」
設立:2021年
代表者名:高尾 明香里
HP:https://japanfruits.co.jp/

(コメント)
国内果物市場では品種多様化と産地直送モデルへの注目が高まっており、特に若年層・都市部で“鮮度”“ストーリー性”を重視する消費傾向があります。一方、生産者側は販路・価格決定力の弱さに悩むことが多く、農業×DXの融合が鍵です。Japan Fruitsは県内果樹園と連携し、すべての注文を自社システムで処理、産地直送によって収穫から配送タイムを最短化。

これにより、通常は白く硬い状態で流通するイチゴにも「朝採れ赤い」品質を提供。取引先は全国に600社、農園ネットワークは約300園に拡がっており、規模拡大スピードも速い。差別化要因として、現地訪問による品質・人柄のセレクトと、受注から出荷までのシステム統合化があります。将来的には、産地データプラットフォーム構築、ブランド化、海外展開(現地提携栽培)などの拡張道筋が見えます。

合同会社Setolabo

「医療×技術で健康ケアを可視化する対話型プラットフォーム」
設立:2019年
代表者名:岡田 悠輝
HP:https://setolabo.co.jp/

(コメント)
2024年からCOVID-19を契機に遠隔診療・デジタルヘルス機器・検査インフラの期待が加速しています。そこで新たに生まれるビジネスが「予防医療のAI支援」。この流れを受けて成長が期待されるのが、合同会社Setolaboです。複数のスタートアップが参入しているヘルスケア・予防医療分野ですが、Setolaboはがん検査に注力して事業拡大しています。

がん検査の効率化は技術的難易度の高い領域で取り組まなければ進みません。検査インフラの期待が加速しているのもがん検査なので、有利なポジションにいます。サービス面でも、特徴があります。他社のサービスは、主に単一のがん種を対象とした検査を提供するという仕組みです。一方で、Setolaboのサービスは「採血1回で16種類のがんを同時に超早期発見する」検査の社会実装を目指す仕組みになっています。医師が主体となって活用するので、診断の効率化や情報の一元管理がしやすくなっています。

株式会社Soilook

「赤外線で見えないガスを可視化し、検査の目を鋭くする」
設立:2020年
代表者名:西藤 翼
HP:https://soilook.com/

(コメント)
環境規制強化、設備安全性確保の観点から、ガス漏れ・環境モニタリング検査需要は国内外で拡大傾向にあります。Soilookは赤外分光技術を活用し、ガス漏えいや成分検査を可視化するソリューションを提供。橋梁やガス工場など、点検対象領域を複数業界に拡げつつあります。

競合には従来型ガス検知センサーを使う企業や、ドローン型ガス検査技術企業があり得ますが、Soilookの強みは「可視化技術+データ化・作業支援」統合提供と、大学発ベンチャーとしての研究基盤。将来的にはプラント、インフラ、化学工場等での定常監視サービス提供、国際展開、サブスクリプション型保守・解析付帯ビジネス展開の可能性があります。

DO・CHANGE株式会社

「廃被覆配線を汚染ゼロの資源に変える」
設立:2024年
代表者名:岸本 暉弘
HP:https://dochange.co.jp/

(コメント)
世界的に電線・ケーブル廃材のリサイクル強化が喫緊の課題で、特に発展途上国では被覆電線の野焼きによる大気汚染・健康被害が深刻です。DO・CHANGEは被覆配線処理に関する特許技術を軸に、廃素材を再資源化して化学品・金属素材に転換するシステムを国内外へ展開。事業内容には再資源化事業、システム企画開発・輸出入、関連コンサルティング事業も含めており、循環経済への寄与を志向。

競合には電子廃棄物リサイクル企業やマテリアルリユース技術企業がありますが、被覆材処理特化と“廃棄物 → 資源”システム統合提供が差別化要素。将来的には、発展途上国導入支援、モジュール導入普及、素材バリューチェーン参画による収益モード多様化が期待されます。

日本ルースト株式会社

「ヒヨコ性別を見抜き、養鶏を支えるAI眼」
設立:2024年
代表者名:中野 裕介

(コメント)
日本国内では養鶏業が人手不足、高齢化、輸入品との価格競争といった課題を抱えており、効率化と精度向上が不可欠です。さらに、ヒヨコの雌雄判別を手作業で行う産業は、熟練技術者の減少がボトルネックとされてきました。日本ルーストは、肛門鑑別法を応用したAI性判定技術を開発し、早期雌雄判別を自動化することで、作業コスト低減と判別精度向上を両立。

2024年にはJ-Startup WEST にも選定され、香川県発ベンチャーとして注目を集めています。差別化点として、地鶏や高級鶏種への適用、肛門鑑別に特化したAIアルゴリズム最適化、さらにインド・ネパール向け展開などグローバル視点を持つ点が挙げられます。将来的には、判別装置ハードウェア+AIサービスのセット提供、養鶏農家向けサブスク型導入モデル、東南アジア展開によるスケール拡大が見込まれます。

株式会社ミトラ

「医療現場を支える、診療と業務のIT基盤」
設立:2002年
代表者名:郭 晟宇
HP:https://www.mitla.co.jp/

(コメント)
日本では2018年の医療法改正等を契機に、医療機関のクラウド化・業務効率化ニーズが強まり、電子カルテやバックオフィスの統合化が進んでいます。ミトラは、病院・クリニック向けの電子カルテや医療支援システムを開発し、産婦人科を含む診療科横断型ソリューションを提供。最近では、海外向けクラウド電子カルテ「PRESIMIL」のリリースや、母子健康分野アプリとの連携実証を経済産業省の補助事業で手がけるなど、国内外展開も視野に入れています。

差別化要素は、地方拠点のきめ細かなサポート、診療科横断型機能拡張力、医療制度対応ノウハウを兼ね備えた設計力。競合には大手医療ITベンダーも存在しますが、小規模病院・クリニック向けに柔軟対応できる点が強みです。将来的には、医療DXパッケージ化、海外展開(特に東南アジア・新興国市場)、保守+分析サービス付きモデル拡充が期待されます。

株式会社スペースボア

「香川発、環境配慮型ロケットで宇宙へ飛び立つ」
設立:2024年
代表者名:岸川 俊大(CEO)
HP:https://space-boar.com/

(コメント)

再び宇宙産業が民間主導で盛り上がる中、日本国内でも小型ロケット需要、商業衛星打ち上げ、宇宙教育需要が拡大しています。スペースボアは香川県発ベンチャーとして、温室効果ガスを排出しないロケットエンジン技術(特願2023-146778)を掲げ、環境配慮型の宇宙インフラ構築を目指しています。

加えて、地域人材育成や科学教育との連携も重視。競合には国内外の宇宙ベンチャー企業が多数ありますが、差別化ポイントは「環境対応技術」「地方発拠点型運営」「STEAM教育との融合戦略」です。将来的には、低コスト衛星打ち上げサービス、ロケットエンジンサービス提供、宇宙観測プラットフォーム提供、教育インフラ事業などの多角展開が視野に入ります。

愛媛県

株式会社空庵

「地域資源とデジタルを融合し、未来を編む場をつくる」
設立:2024年
代表者名:濵村 誠
HP:https://ku-an.co.jp/

(コメント)
地方創生や地域再生の流れの中で、過疎地域や歴史資源の再活用を通じて、都市と地域をつなぐ拠点型企業への期待が高まっています。空庵は、老舗旅館「木屋旅館」(愛媛県宇和島市、指定文化財)を事業承継し運営しつつ、地域創生とDXを統合した事業を展開。リアル空間(宿泊、リノベーション、空き家再生)とデジタル支援(DXコンサル、地域企業のシステム導入支援)を“両利き”で扱う点が差別化。

さらに、地域の食・防災・フードロスを結び付けたフェーズフリー商品(平時は物販、非常時は備蓄用途)も試みており、社会課題への応答性も強み。競合には地域活性化支援企業、観光DXベンチャーなどがあるが、空庵の特徴は“自ら地域事業を運営しながらDXモデルを構築する実地実験力”。将来的には他地域へのモデル展開、DX支援のSaaS化、地域循環経済プラットフォーム化が見込まれる。

株式会社わっか(WAKKA)

「しまなみをサイクル拠点に、旅と体験をすべて提供する」
設立:2018年
代表者名:村上 あらし
HP:https://wakka.site/

(コメント)
サイクルツーリズムの隆盛と地方観光再興の流れを背景に、サイクリング拠点施設には交通・宿泊・体験統合型の提供が求められています。わっかはしまなみ海道の中央・大三島に位置し、「宿泊・カフェ・サイクリングサポート・体験ツアー」など多様なサービスをワンストップで提供するツーリズム総合施設として運営。自転車積載タクシー、手荷物配送、レンタサイクル乗捨て、出張修理、サイクル専用送迎など、サイクリストの「移動・荷物・ケア」ニーズをカバーする点が強みです。

宿泊はコテージ・ドームテント・ドミトリーの3形式を備え、オーシャンビュー環境と地元食材を使った飲食体験も提供。JIA四国建築賞の優秀賞受賞実績がある建築デザインも話題化要素です。競合には宿泊施設、観光施設、サイクルツーリズム支援企業がありますが、わっかの差別化は「サイクリスト特化の物流/サポート網」「体験を含む地域魅力統合」「施設と運営ノウハウの統合提供」。将来的には他ルートでの拠点展開、オンライン体験やサブスクリプション型サイクル旅支援モデル、地域連携型観光DX事業などが可能でしょう。

株式会社KIRI

「農業×地域×教育、地方を切り開く起点(キリ)となる事業群」
設立:2017年
代表者名:中野 泰誠、加藤 貴文
HP:https://kiri-ltd.com/

(コメント)
少子高齢化と農業人口減少が進む中、農業現場の人手不足解消と若手参入促進は国・自治体の課題でもあります。KIRIはこの課題に対し、農業特化アルバイトマッチングサービス「AIagri.(アイアグリ)」を提供し、LINE上だけで応募から参加まで完了可能にするよう業務を簡略化。さらに、NTTドコモ四国支社との業務提携によるドコモショップでの対面案内も実施。 また、地域ブランド商品開発、情報配信、文化・イベント企画、オンライン学習(えひめオンライン教室)など複数事業を展開し、地域活性化を目指しています。事業許可として、有料職業紹介や旅行業登録も保有。

KIRI という社名は、「錐(きり)」から派生し、小さな穴を大きく拡げるというコンセプトが示すように、地方を開く力になるという意志を込めています。競合には他農業マッチングサービス、地域活性化支援ベンチャー、EdTech系企業などが挙げられますが、KIRI の差別化点は「地域複合事業展開」「インフラとしてのマッチング + 教育 + ブランド開発融合」「地元銀行・通信事業者との提携ネットワーク」。将来的には、AIagri の全国展開、地域プラットフォーム提供(マッチング以外の地域サービス統合)、教育事業強化、自治体・地方銀行との共創プロジェクト展開が期待されます。

ユナイテッドシルク株式会社

「シルクを素材から社会変革へ導くテック素材企業」
設立:2016年
代表者名:河合 崇
HP:https://united-silk.co.jp/

(コメント)
世界的にはバイオマテリアルやサステナブル素材の需要拡大が進んでおり、石油由来プラスチック代替材、環境適応素材、食品包材などの領域で新素材ベンチャーの期待が高まっています。ユナイテッドシルクは、繊維用途にとどまらず、食・美容・医療などさまざまな分野へのシルク応用を目指す「素材横断型」企業。愛媛県内にスマート養蚕/原料抽出を一手に行う設備を整備し、2022年5月に一気通貫工場を稼働開始。

また、シルクを柑橘果実にコーティングしてフードロス抑制を試みる事例も実証中です。差別化要因は、素材技術+製造能力+用途開発を内製統合していること、国産シルクという希少性、そして地域農業との結びつき(養蚕農家との連携)です。競合としては他のバイオ素材ベンチャー、機能素材企業、プラスチック代替素材開発企業などがありますが、ユナイテッドシルクの強みは伝統素材を革新素材へ再定義する技術ポートフォリオ。将来的には、化粧品成分、食品包装材、医療用バイオ素材、さらにはシルク原料の輸出やグローバル展開、素材サービスプラットフォーム化が期待されます。

オプティアム・バイオテクノロジーズ株式会社

「CAR-T を最適化し、固形腫瘍への挑戦を加速する」
設立:2020年
代表者名:西岡 駿
HP:https://optieumbio.com/

(コメント)
がん免疫療法市場は、特にCAR-T療法が血液がん領域で成功例を示す一方、固形腫瘍への適用拡大が大きな課題となっています。オプティアム・バイオテクノロジーズは、愛媛大学発ベンチャーとして、独自の抗体最適化技術「Eumbody System™」を基盤に、CAR配列を改変・選別してT細胞機能を最大化するアプローチを取っています。2025年1月にはシリーズ A 調達で13.3億円を確保し、AMED よる創薬ベンチャー支援も採択され、リードプログラム「OPTF01(FAPα を標的)」の非臨床開発・米国治験準備を加速中です。

競合は他のCAR-T/NK療法ベンチャーや抗体最適化会社等ですが、Eumbody System による細胞外ドメイン(scFv)最適化と、T細胞活性・持続性を評価軸にしたスクリーニング方式が差別化要素。将来的には、OPTF01 の臨床成功 → 他標的への拡張 → 製造技術やAI最適化のプラットフォーム化 → 製剤提供・提携拡大という事業フェーズ移行が見込まれます。

株式会社WiseVine

「自治体の予算を見える化し、意思決定を変えるDXプラットフォーム」
設立:2018年
代表者名:吉本 翔生
HP:https://corp.wise-vine.com/

(コメント)
少子高齢化・人口減少の進行に伴い、多くの自治体は歳入減少・支出逼迫という構図に直面しています。2025年時点で、自治体運営の効率化・選択と集中は喫緊の課題です。WiseVine は自治体向け予算編成・経営管理 SaaS「Build & Scrap(BnS)」を提供し、政策立案 → 予算配分 → 実行 → 評価までの流れをシステム化して見える化を推進。さらに、地方自治体の予算要求・査定・分析・決算統計・執行データ管理・行政評価機能などを統合で提供しており、ISO27001認証取得実績もあります。

競合には他の官公庁向けシステムベンダーや行政DX支援企業がありますが、WiseVine の強みは「予算編成業務に特化した設計」「履歴制御・KPIツリー・事業IDによるデータ統合」「政策評価まで含む一気通貫支援」といった機能設計。 将来的には、全国自治体への導入拡大、地方銀行・公共団体との連携、経営管理領域の水平展開(自治体以外への展開)、DX支援コンサルとの統合提供などが成長ドライバーとなる可能性があります。

株式会社JABURO

「うなぎ×養殖×ブランド創造で海産価値を引き上げる」
設立:2022年
代表者名:赤坂 竜太郎
HP:https://akasakasuisan.co.jp/jaburo

(コメント)
日本の養殖業界では、需要構造変化・気候変動・飼料コスト高騰といった課題が顕在化しています。その中で、付加価値の高いブランド魚や差別化流通モデルは市場からの関心が高いです。JABURO は赤坂水産系列の事業ブランドとして、“うなぎ養殖・加工・販売”を統合し、養殖魚のブランド化・流通最適化を目指していると推察されます。

ただし、公開情報は限られており、具体的な流通チャネル、加工技術、ブランドポジショニング、収益構造などは確認が必要です。差別化ポイントとなり得るのは、「養殖環境制御技術」「品質安定化ノウハウ」「ブランドストーリー発信力」「直販チャネル構築力」などでしょう。将来的には、Eコマース展開、産地直送ブランド化、コラボ商品開発、地域プロモーションと連動した養殖体験型事業などが拡張パスとなり得ます。

株式会社wead

「捨てられたごみを、新たな資源と価値に変える」
設立:2023年
代表者名:井川 桃花
HP:https://www.wead-inc.com/

(コメント)
日本・世界的にも廃棄物削減・資源循環(サーキュラーエコノミー)への関心が高まっており、特にプラスチック汚染、生分解性素材、バイオマス利活用の市場は拡大傾向にあります。 s生分解性プラスチック市場は2028年までに年率6 ~ 8 %成長予測。 その中で、weadは「捨てる、を捨てる」をミッションに掲げ、廃棄物(紙、バイオプラスチック、食品残渣など)を起点とした研究開発、素材化、事業化支援を手がけています。公式サイトによれば、ハンズオン支援、研究開発、製造という3軸を提供。

代表的な製品としては、紙・生分解性プラスチックを容易に分解させるオリジナル資材「greevy」を開発・提供しており、自治体や企業、製紙事業者などとの協業実績を模索しています。 競合には、他のサステナブル素材ベンチャー、バイオマス技術開発企業、廃棄物リサイクル企業などが考えられますが、wead の強みは「ごみ → 研究 → 製品化・流通までを一手に支援できる体制」「地域・大学との連携実績」「製品の効果をエビデンスベースで示すアプローチ」。 将来的には、greevy を起点とした堆肥化・土壌改良材への展開、農業・畜産・食品分野での用途拡大、自治体ごみ処理のパートナー化、海外展開、素材プラットフォーム化など、多様な収益チャネル確立が期待されます。

高知県

株式会社allbeans

「インフラに頼らない“余白”が、地域を豊かにするキャビン空間」
設立:2023年
代表者名:近藤 拓茉
HP:https://allbeans.jp/

コメント:
日本国内では地域過疎化・インフラ維持コスト高騰・災害対策強化の流れのなか、公共インフラに依存しない拠点づくりや地域循環システムへの期待が高まっています。allbeans はキャビン型宿泊施設「allbeans Kochi」「allbeans Awaji」を中心に、電線・上下水道に接続せず、太陽光発電と雨水浄化システムで運営する「自然共生型」ホテル事業を手がけています。また2025年8月には淡路島にセミオフグリッド型施設を2棟オープンするプレスリリースも出ています。2025年5月、四国銀行グループのファンドが allbeans に第三者割当増資を行ったことも公表され、地方銀行との資本連携も進んでいます。

競合としてはローカル宿泊施設、グランピング運営事業者、宿泊DX系ベンチャーが考えられますが、allbeans の差別化は「オフグリッド運営(インフラ非依存)」「設置柔軟性(どこでも設置できるキャビン設計)」「災害時シェルター機能」「地域素材利用・地元職人連携による地域循環設計」です。 将来的には、このキャビンモデルのパートナー展開(他地域での導入)、キャビン販売+運営ノウハウ提供、観光DXパッケージ化、災害対応施設とのハイブリッド展開などにより多チャネル拡大が期待できます。

合同会社シーベジタブル

「海藻を蘇らせ、未利用資源で“海の野菜”文化をひらく」
設立:2016年
代表者名:蜂谷 潤、友廣 裕一(共同代表)
HP:https://seaveges.com/

(コメント)
世界的に海洋環境悪化(磯焼け、海藻減少)が重要課題化しており、海藻の再生・持続可能な利用は環境政策・食素材領域の交差点として注目されています。合同会社シーベジタブルは、減少傾向にある海藻を “食材” として再生するべく、陸上栽培および海面栽培の両手法を確立し、海藻食文化の拡張を目指しています。 同社はこれまで10種以上の海藻量産に成功し、未流通海藻(例:すじ青のり)を一年を通じて安定供給する技術化を進展。

さらに、百貨店(伊勢丹)、高級レストランとの提携や地方自治体・都市開発とのプロジェクト型コラボにも着手。競合としては他の海洋バイオベンチャー、食素材ベンチャー、藻類利用企業などが想定されますが、シーベジタブルの差別化ポイントは「陸上/海面両栽培技術」「未流通海藻のブランド化」「研究体制と特許取得済生産設備」「プロモーションと食文化接続力」です。将来的には、海藻由来機能性素材(栄養・ファインケミカル)、化粧品・健康食品用途、海藻バイオマス化、都市再開発との海辺緑化連携、さらには海外漁場・沿岸地域展開による規模拡大が期待されます。

株式会社サンシキ

「海藻で、牛のげっぷをクリーンに変える」
設立:2024年
代表者名:久保田 遼
HP:https://www.sunshiki.com/

コメント:
世界的には畜産由来の温室効果ガス(特に反芻動物からのメタン排出)が地球温暖化対策上の大きな課題とされており、IPCC も畜産業の排出削減策を強化するよう提言しています。そのような潮流を受け、日本では政府・自治体・畜産業界ともに環境対応型飼料への関心が高まっています。サンシキは、高知大学発の海藻スタートアップとして、紅藻の一種「カギケノリ」を飼料サプリメントとして配合することで、メタンガス排出を削減する技術開発を進めています。実験ベースでは、餌に0.2 %程度のカギケノリを添加するだけでメタン排出を最大 98 % 削減できるというデータも紹介されています。

また、理研食品、高知大学と連携して量産化技術開発を進め、早期の商品化を目指しているとの報道もあります。 国内メディアでは「牛のげっぷによるメタンガス削減」という切り口で注目を集めており、NHK番組で取り上げられた実績もあります。 競合には他のバイオ飼料・メタン削減サプリ開発企業が想定されますが、サンシキの強みは「赤潮・陸上養殖の知見を使った海藻培養技術」「カギケノリという未利用海藻を活用する素材差別化」「メタン削減効果の実証データ提示」の組み合わせです。 将来的には、家畜農家・酪農業者への導入、飼料サプライチェーンとの提携、国の認可取得(飼料添加物としての許可)による普及、さらには他海藻を使った複数対象動物対応、国際展開が見込まれます。

株式会社PlastiFarm

「 納豆菌のネバネバで機能する素材を創る」
設立:2023年
代表者名:芦内 誠
HP:https://www.plastifarm.co.jp/

(コメント)
気候変動・プラスチック汚染といった環境課題は世界的な関心テーマであり、バイオプラスチック・生分解素材市場への投資も近年拡大傾向にあります。2030年には生分解性プラスチック市場が年率7-10%で成長するとする予測もありますが、従来素材に比べて性能面(耐水性、耐熱性、機械強度)での制約が普及を抑える要因にもなっています。

そのような状況で、PlastiFarmは「ポリ-γ-グルタミン酸(PGA)」という微生物由来の高分子物質をベースとし、水溶性である性質を克服した独自材料「PGAIC(PGAイオンコンプレックス)」を開発。耐水性・熱可塑性・抗菌性・接着性などの付与を可能にしつつ、生分解性を維持するという性能バランスが鍵となる新素材を目指しています。

スタートアップの出口戦略は新時代へ

スタートアップの資本政策とイグジット戦略を取り巻く環境は、大きな変曲点を迎えています。IPO市場の停滞を背景に、近年ではIPOの数倍以上のExit件数を記録しており、もはやM&Aは「次善の策」ではなく、戦略的選択肢の中核となっています。加えて、従来のIPOルートが逆風に直面する中、M&Aの役割は単なる出口確保ではなく、企業価値向上と事業成長を両立させる手段へと進化しています。

買い手企業のニーズも多様化しています。大企業は新規事業開発やDX推進の手段としてスタートアップの技術や人材を求め、成長企業は事業ポートフォリオの拡充や市場シェア拡大を目指してM&Aを積極活用しています。地域においても、事業承継の文脈に加え、イノベーション獲得を目的とした戦略的M&Aが徐々に増加傾向にあります。

こうした環境下で、スタートアップ経営者が直面する課題は複雑化しています。資金調達と並行してM&Aの可能性を探るべきか、いつから準備を始めるべきか、既存投資家の権利との調整をどう進めるか――これらは一律の答えがない、個社ごとの戦略的判断を要する論点です。

M&Aを視野に入れた経営において重要なのは、早期からの体制整備です。財務・法務のクリーンアップ、事業計画の精緻化に加え、自社の強みを明確に言語化し、どのような買い手にとって価値があるかを理解しておくことが求められます。

また、既存投資家との関係も慎重に扱うべき要素です。優先株式の条件、残余財産分配の優先順位、drag-along条項など、資本政策上の権利関係は交渉の成否を左右します。これらを事前に整理し、ステークホルダー間の合意形成を図っておくことが、円滑なM&A実行の前提となります。

経営者の想いを実現するパートナーとして

クレジオ・パートナーズは、M&Aと資本政策の専門性を活かし、経営者の想いに沿った最適な道筋を示すことを使命としています。IPOかM&Aかという二項対立ではなく、事業の成長段階、市場環境、経営者のビジョンを総合的に勘案した上で、理念やビジョンの実現をサポートするパートナーでありたいと考えています。

中国・四国をはじめとする地域から挑戦するベンチャー企業にとって、資本政策やイグジット戦略の悩みは尽きません。調達環境、買い手動向、投資家との調整――どのような局面においても、クレジオ・パートナーズは共に未来を切り拓く伴走者として在り続けます。ぜひお気軽にご相談ください。

コラム執筆者

佐藤大嗣

佐藤 大嗣  Sato Daiji


クレジオ・パートナーズ株式会社
M&A事業部 マネージャー グロースパートナー



東京理科大学経営学部卒業。大学在学中からベンチャー企業に参画し、セールスプロモーション領域で携帯代理店、マッチングアプリ、通信向け教育事業など、複数の新規事業開発に携わる。その後、株式会社リクルートキャリアにて、法人営業および副業メディアの新規事業開発、株式会社アルファドライブにて、地域の中核企業に対してボトムアップ型の新規事業創出や業務提携、資本提携などを通じたオープンイノベーション型の新規事業創出支援に従事。2025年、地域で新たな価値を創出するには資本の活用が不可欠であるという想いから、クレジオ・パートナーズに参画。

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