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実績 PERFORMANCE

代表を務めた小松英介氏と、譲受け企業である株式会社ティーエス・ハマモトの代表取締役である濱本利寿氏に、M&Aを決意するに至ったこれまでの経緯と今後の展望について伺った。
CASE 04

介護・福祉施設の事業譲渡
タイミングとスピード感が決め手

広島地域の医療・福祉を支える社会福祉法人古家真会。地域における福祉事業の安定経営を目指し、サービス付き高齢者向け住宅とデイサービスなどを複合的に運営していた「たかやの郷」の事業譲渡を検討。当時、未経験だったM&Aによる事業譲渡をどのように進めていったのか。社会福祉法人古家真会の理事長 岩崎賢太郎氏、常務理事 岩崎悠治氏のお二人に、その経緯と当時の想い、M&Aが実現できた理由や今後の方向性について伺った。

  • 譲渡企業

    社会福祉法人 古家真会

    広島県広島市 / 理事長 岩崎賢太郎、常務理事 岩崎悠治

    業種 サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス等
    M&Aの目的 経営基盤の安定
  • 譲受企業

    譲受企業 A社

    山陽地方

    業種 医療
    M&Aの目的 病院近隣での住宅型介護施設の取得

経営基盤を安定化させるために

まずはM&Aを考えたきっかけ、経緯を教えていただけますか。

常務理事

 当方は広島市に拠点をおく社会福祉法人なのですが、唯一、東広島市内に「たかやの郷」という施設を運営していました。創業者一族であった二代目の前経営者が強力に推し進めた事業で、当時若輩者だった現理事長(当時は統括部長)も前経営者の進むままに経営にあたっていました。ただ、事業計画や予算についても十分に精査されないまま、スタートしたのを覚えています。
 それでも地域福祉の向上を目指し、理事会でも経営改善に議論を重ね、第二種社会福祉事業・公益事業・収益事業の経営を経営陣の努力により継続していました。現理事長の考えとしては、「収益事業ではなく、福祉事業の強化を目指す」ことが目的であり、事業基盤の安定を図ることが必要でした。管轄の広島県・広島市とも協議を重ね、事業を安定的に継続させるためには、 “事業売却”も選択肢の一つであり、当法人の強みである福祉事業を伸ばし、「たかやの郷」については、M&Aにより事業を売却して、より強力に事業を推進できる方に経営していただくことも一つの案、として浮かび、理事会・評議員会でも議論を尽くし、総意を得ました。

M&A仲介会社の中からなぜ当社を選んだのでしょうか。

理事長

 当時、M&Aは言葉としては知っていても、具体的な内容は分かっていなかったのでインターネットで調べる程度で不安なことばかりでした。その時、顧問弁護士の先生に相談すると、地域に特化しているクレジオ・パートナーズの名前があがりました。
 信頼する弁護士先生に紹介されたものの、初めてのことなのでクレジオ・パートナーズの方に実際にお会いするときはさすがに緊張していましたね。

クレジオ・パートナーズを利用して、いかがでしたでしょうか。

常務理事

 M&Aを検討するにあたり、クレジオ・パートナーズの方から様々な質問を投げかけられたのですが、私共が包み隠さず回答していくとさらに必要な情報をどんどんと聞き出してくれて、ややこしい話を整理してくれました。
 印象に残っているのが、事務所に伺った打合せ時に、今後のスケジュールについて、明確に方向性を指し示してくれた場面ですね。明確に示していただいたことで、これまで抱えていた不安も払拭され、道が示されたような晴れやかな気持ちになりました。その時、改めてこちらにお任せしようとはっきりと決断しました。
 さらに、検討を進める中で、これまでのM&A事例等もお聞きしたのですが、「M&Aを進める時は、いたずらに長々と伸ばすのではなく、決断することが重要です」と力強く言われたことです。我々も「一緒にこの特急列車に乗ろう」という気持ちになりました。目標や方向性をはっきりさせたことで、必要な情報を出すとすぐに対応いただき、とにかく“レスポンス”が大事なのだと自覚しました。
 対人間なので、最初は不安だらけでしたが、何度もやりとりを重ねるうちに確固たる信頼関係を築けたのではないでしょうか。もちろん税理士・公認会計士という有資格者として「頼りになる専門家」だったことや、広島に会社があり、身近に感じたことも信頼に足る一因ではありました。
 M&Aを進める中で、「ここは難しい」といったアドバイスが具体的かつ的確でした。法人内で孤立しがちな私共の細かな相談にものってもらい、叱咤激励もいただき、これまで未経験だったM&Aを進める私共をしっかりと支えていただいたと思っています。

事業者としての決断の大切さ

理事長

 話しは戻りますが、“レスポンス”のことを言うとクレジオ・パートナーズは地元に根差しているだけあって、丁寧で迅速な対応をしていただけました。また、売却先の情報もたくさん持っており、地域金融機関とのネットワークもあります。東京や大手のM&A会社だと、こうはいかなかったのではないかと思います。

今回の件で大変だったこと、困ったことはありますか。

理事長

 それまで順調に進んでいましたが、今回は事業譲渡というスキームだったので、許認可を含めて行政との手続きが必要でした。譲渡先に事業主体を切り替えるタイミングになって書類の提出関係で手間取りました。当初の予想以上に手続きに手間取ってしまい、途中で譲渡先から「もう止めようか」というような話があがり、かなり焦りました。
 このまま頓挫してしまうかもしれない…と不安がよぎりましたが、クレジオ・パートナーズの土井さんが「私が何とかしますから!」と力強くリードしていただき、譲渡先のご協力も得つつ、買手・売手と双方と一緒になって動いてもらい、無事にM&Aを進めることができました。

譲渡先の決め手は何だったのでしょうか。

理事長

やはり一番は「たかやの郷」をしっかりと評価してくれるかを一番重要視しました。たくさんの譲渡先候補をご提案いただいたのですが、その中でも、地元の大手法人で、安心と信頼感があった事業者さまを第一候補にさせていただきました。

M&Aを完了しての感想や新たな今後の目標を教えていただけますか。

理事長

 M&A終了後、金融機関と交渉して、残った借入を借り換えし、返済期間を短くしました。クレジオ・パートナーズのご紹介により新しい金融機関とも取引が始まり、ご提案の中で金利を下げていただくことができました。このように事業が切り分けられることで、福祉事業に集中することができるようになりました。今後はより一層、地域の医療・福祉の改善に取り組み、社会福祉法人として本部の安定経営を目指したいと思います。すっきりとした気持ちで前を向くことができたのは、顧客に寄り添ってくれるクレジオ・パートナーズのおかげです。M&Aという案件自体は当法人ではそうそう機会はありませんが、また何かあれば、迷わず一番に相談したいと思っています。
 M&Aのタイミングとしても、当法人の事業は、新型コロナウイルスやインフルエンザ等、時々の事情により左右されることも多く、今思うにこのタイミングしかなかったと思っています。
 平成29年3月に理事長に就任しましたが、M&Aをこういったタイミングで決断できたことや、クレジオ・パートナーズの後押しもあり、紆余曲折はあったにせよ、スピード感をもって取り組めたことは、経営者としても勉強にもなり非常によい経験でした。通常は経営者というよりは現場に寄り添っているので、今回は大変な中でも楽しめたという感覚です。
そして譲渡先の条件にも上手く合致し、マッチングすることができました。現在の「たかやの郷」は、新しい施設長とデイサービスに関わる新規責任者を譲受企業から派遣してもらい、継続運営をしていただいています。

クレジオ

 初回面談から最終契約までM&Aをスムーズに進めることができたのは、しっかりと決断して迅速に応答をしていただいたからだと思います。

最後に、会社の譲渡や事業の売却を考えている方へメッセージをいただけますか。

理事長

 シンプルに、「決断することが大事」ということ。今回の私共の件はまさにそう。タイミングを逃さなかったのもレスポンスと決断力が大きかったと思います。