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実績 PERFORMANCE

CASE 24

地域発!ビリヤード・タップでグローバルトップシェアを
実現、未来の可能性を引き出す資本提携

広島県広島市に本社を置き、ビリヤード用品の企画・製造・販売を中心に事業を展開し、グローバルでトップシェアを誇るエンヴィジョン。
「人・テクノロジー・資本をつなげ、社会の心を躍らせる」というPurposeを掲げ、投資とDXのプロフェッショナル集団であるD Capital。 エンヴィジョンの更なる飛躍を実現させるため、人材・能力を結集させた新しい時代の資本提携について、 提携に至る経緯や想いについて伺った。

  • 企業概要

    株式会社エンヴィジョン

    広島県 / 代表取締役 平岡 正人

    業種 ビリヤード用品の製造販売・輸入販売
    提携理由 事業成長
  • 企業概要

    D Capital株式会社

    東京都 / 代表パートナー 梅津 直人 等

    業種 投資業務等
    提携理由 成長支援

資本提携を行ったエンヴィジョン 代表取締役 平岡様にお伺いします。
エンヴィジョンの創業経緯について教えて下さい。

平岡

 私は元々高等専門学校に通っていましたが、在学中にバブルが弾け、超就職氷河期に突入し、「学歴ではなく、能力が必要な社会になる」と危機感を感じ、生き抜くために必要な力を身に着けるため、大学に編入しました。ただ、そこでも大学というシステムに絡めとられていると感じ、中退して早々に就職し、テレビ局の技術支援をする会社に入社しました。日々「能力、能力」と自分に言い聞かせる中、税理士や宅建士等、いわゆる士業にも注目しましたが、法律という仕組みに翻弄される職業だと感じ、一番潰しがきく必要な能力は「英語」と「笑顔」という結論に至りました。

 英語力を強化したかったので、結婚した妻と一緒に、ニュージーランドへ1年間ワーキングホリデーに行きました。日本に戻り、英語のスキルを活かせるベンチャーへ入社しました。資金繰りが大変で、給与未払いの月もあり、朝6時~夜中2時まで仕事という環境でした。「これ以上頑張るのは無理」というところまで頑張ると、むしろ気持ちいいんですよね。能力の蓄積という意味で、一秒も無駄にしない濃密な時間を過ごせました。最終的に、退職せざるを得ない経営状況になり、辞めた後に会社を立ち上げ、新規事業コンサルや、通訳・翻訳等の仕事を請け負っていました。

平岡

 私にとって「仕事」は、ものすごく大切です。自分が好きなこと・夢中になれることと、仕事との接点を見出すことができれば、それは宝物を見つけたように、すごく幸せなことです。仕事とプライベートを切り離す生き方は、情熱的に突き進むタイプの私にとって、自分がバラバラになる感覚でした。「自分が好きなことってなんだろう」と考え、当時、自分がハマっていたビリヤードに注目し、タップのビジネスに可能性を見出しました。

 創業当初目指したのは「田舎でハイテクをやる」でした。空気がおいしく、水がきれいな山奥で、鳥の鳴き声を聞きながら、世界中の様々な技術に関わり、自分の能力が活かせる尖った高度なことをやりたい。本来、空気や水は無料であるはずが、街中に住むと息をするだけでもお金がかかる気持ちになります。社会で生活すると、資本主義にがっちり組み込まれている感覚がありました。
 ワーキングホリデー時代は、物々交換をベースに貨幣を使わず過ごしていました。物々交換であれば、利益が出ないので、税金も発生しません。お金が介在すると税金が発生し、様々なステークホルダーが利益を搾取する構造が生まれます。日本に帰国して、そういった資本主義の構造が透けて見える中、情報のやり取りのみで経済が回り、物・価値を製造・生産していない状況に対し、率直に違和感を覚えました。
 ただ、結局は資本主義に組み込まれることになるんですけどね(笑)。「資本主義に絡め取られたくない」という想いで創業しましたが、子どもが成長し、学校に行き始め、日本の社会で生きる以上、避けることはできませんでした。ただ、そうであれば、誰かの仕組みに乗っかり、システムの中で生かされるのではなく、システムを自らが作り、胴元になろうと決意しました。ブランドを構築し、世界で唯一の取組を実行することで、流通価格を主体的に定義し、誰にもコントロールされない仕組みを構 築しようと考えました。

エンヴィジョンの事業拡大の経緯について教えて下さい。

平岡

 ビリヤードとの出会いは19歳の時です。オーストラリアで過ごしていた時、世界中から旅行者が集まり、お互い英語ができない中、「ビリヤードやろうぜ」となりました。私にとってビリヤードは、言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にし、誰とでも友達になれる共通言語です。

 最初はビリヤード・タップの海外向けの拡販を手伝って欲しいという依頼から始まりました。お安い御用で「世界中にばら撒きます」と言い、実際に販売すると「品質が悪い」とクレームが来ました。工場に掛け合い、改善点を伝え、PDCAを回す中で、このビジネスの伸び代に気づき、自社で製造工場を立ち上げました。
 ものづくり事業にチャレンジするにあたり、当時は液晶テレビの値下げ競争が加速し、大手メーカーが巨額の設備投資を行っても、1%でも価格が低い企業が総取りするという状況でした。メーカーは徐々に利益が減少し、土地・設備を投資し、雇用も生み出し、どんなに規模を拡大しても、価格競争で潰れてしまう、そういうゲームになっていました。私なりに考えたのは「会社を潰す場合、戦略として小さいうちがいい。付加価値の高い尖った商品を素早く展開し、ダメだったら小さく畳む。それを繰り返す中で、ヒットが生まれるかもしれない」ということでした。「大きいから負ける」というシナリオの逆張りで「小さいから勝てる」という戦略を考え、ブランド力を有し、粗利が確保できる商品を展開する現在のビジネスの構想に辿り着きました。

平岡

 改めて、エンヴィジョンはビリヤード・タップを中心としたビリヤード関連製品の製造・販事業に取り組んでおり、「KAMUI BRAND」を展開しています。加えて「プレデター」というアメリカのビリヤード・キューメーカーの日本総代理店を行っています。
 最初にブランド力を確立し、粗利率が高い事業構造にすることに取り組みました。KAMUI BRANDのタップは、常に安定したクオリティで製造を可能としており、競技性能を高めることができる優位性の高い商品です。近代哲学の祖であるカントは「認識が対象に従うのではなく、対象が認識に従う」という考え方を提唱しており、我々もビリヤード・タップという商品を再定義しました。ビジネスでは、自らが世界観を定義する主体性が強い武器になります。
 タップ製造だけでなく、キューの販売代理事業に取り組む目的は、キューとタップは強い関連性があり、お互いの商品を取り扱うことで、他の用品メーカーとの運命共同性を高めて共創関係を築くためです。他社との共創関係を築くことで、業界全体を把握できるポジショニングを確立させました。

平岡

 仕組みとなるプラットフォームを構築する側には、いわゆるノブレスオブリージュのような、高度な動機と責任が求められます。「ビリヤード業界をよくしていきたい」という前提がなければ、単なる利益を作り出すマシンが支配する関係になってしまいます。
 プラットフォームが拡大するにつれて、我々のビジョンも変化していきました。最初は「ビリヤードが好き」という想いから始まり、徐々に稼げるようになり、やがて自分達以外のたくさんのビリヤードが好きな人たちと出会います。プロプレイヤー達は我々よりもビリヤードを愛しているのですが、それをキャリアとする為の十分な収入が得られないアンフェアな状況に置かれています。どんなに過酷な状況でも、好きなことの為に一生懸命頑張る姿に共感し、何とかしたいと思うようになり、世界中のビリヤード大会にスポンサードをするようになりました。
 そういった想いの言語化を通じて、周囲の共感・協力が広がり、たくさんのお客様に支持して頂けるようになりました。自分達の動機を言語化するだけでなく、相手の価値を言語化することも重要です。当社のブランドミッションは「Quest for Excellence=“卓越の追求”」と定義しました。これはきっと世界中のビリヤードが好きな人たちが持っている共通の価値観です。このようにお互いの想いを、我々から言語化して提案する、そうすることで、共通の理解が広がり、関係性が強化されます。その結果、グローバルでトップシェアを築くまで成長することができました。

エンヴィジョンで経験した成長への課題について教えてください。

平岡

 2013年頃、採用しても、退職が止まらない状況に陥りました。事業の立ち上げ当初は、誰かを雇うと、その人が辞めるなんてことは考えません。雇用した人とずっと一緒にいる、そんな幻想を抱いてしまいます。まさか辞表を出される日が来るなんて想像もしていません。
 組織が拡大し、人が増えると「辞めたいです」という、経営者にとっての衝撃が訪れ、連続します。退職を防ぐため、理念経営や給与体系の改善等、様々な施策を講じますが、止められません。そんなことを繰り返すうちに、「これは止められない自然の摂理である」と受け止められるようになりました。「諦める」とは違う、人が年齢を重ねるのと同じように、自然に受け止められるという感覚です。
 その時、改めて経営者として会社の活動を見始めました。自分の方向性を問われた時、現状維持の選択肢もありましたが、「立派な会社を作る」という方向を目指しました。どうせやるなら影響力を持ち、表現力をもって自分の想いを社会に問いかけ、提案できるようなりたい。
 この意思決定の原体験を振り返ると、幼少期、私が育った田舎では夢を持つことさえ難しく、周囲に「しょうがないじゃん」という雰囲気が蔓延していました。努力しない理由を、周囲の環境のせいにするのは簡単です。ただ、社会には、より厳しい環境・運命の中で、それでも必死に前に進もうとする方々もいらっしゃいます。全生命をかけて、自分の人生に取り組まないことは、アンフェアな状況で頑張る人たちへの冒涜ではないかと思います。これが、私が成長を渇望する根源です。

 「立派な会社」を作るためには、複雑性をマネジメントする必要があります。在籍するメンバーが「いくら頑張っても前に進まない」、この感覚を持つことに対処しなければなりません。この感覚は、例え会社が成長していても、その成長速度が変わらない限り生まれてしまいます。等速度の成長は、会社の中身は変化していないことを意味し、加速度的な成長を実現しないと、仕事の有意義性の意味が根本的に変化していません。各メンバーが、自分にとっての仕事の意味付けを変化させることが必要です。働いているメンバーが仕事の意味を実感し、仕事に対して「ドキドキする」「ワクワクする」「面白いんだ」と感じ、その感情を、自分の家族や子供に説明できる状況にならないと、仕事はその本人の人生にとって有意義にはなりません。
 そこまで至ると、会社が重力場となり、その重力に引かれて人が集まってくるようになります。社長がずっと重力の中心になってしまうと、全てのプレッシャーを受け止めきれなくなるため、会社が重力を生み出すことが重要です。よく理念経営と言いますが、社長→理念→会社という構造では、そのまま社長経営ですよね。理念を定めた以上、社長も理念の僕(しもべ)にならないといけない。そうすることで、会社そのものに重力が生まれ、立派な会社となります。

平岡社長が考える「事業承継」について教えてください。

平岡

 私は、最初から資本提携を目指したわけではありません。最初は、事業承継について考えました。クレジオ・パートナーズには、資本政策顧問として、事業承継の方向性を考えるカベ打ちに付き合って頂きました。事業承継では、「財産(株式等の資産)」「経営」、この2つの承継を考える必要があります。

 従業員承継を考えたとき、財産の承継という点では、従業員が銀行から借金をして、株式を買うことになります。株式オーナーは、会社を支えてきてくれた社員への情から「従業員だから株価は安価に設定する」という意思決定をするかもしれませんが、私はその判断は、自社のステークホルダーに対してフェアな判断ではないと感じました。逆に、フェアバリューで株価を計算し、評価したとしても、そもそも人生経験や視座も異なるため、従業員にとってはその価値が高いと感じることが多いでしょう。従業員承継を進めた場合、会社の価値についてフェアな評価が難しい状況に陥る可能性を懸念しました。

 親族内承継については、世の中にはごまんと会社がある中、なぜ自分の子供が、自分の会社を継ぐという選択をするのかを考えました。人間は本能的に美しいものに惹かれます。汗をかいて必死に頑張る親の姿を見て、尊敬しない子はいないでしょう。良い会社を経営していればそれを継ぎたい。会社の状況が悪ければ親を助けてあげたい。会社の状況如何ではなく、「継ぎたい」と考えるようになる。そう考えると、継ぎたいのは「会社」ではなく、「人間の姿そのもの」なのです。そうやって継承されていく事業は、複数の世代に渡って磨き上げられ、一世代では到達出来ない高みに到達することがあります。しかし、その美しい姿に、自分の子供以外も惹かれていることを忘れてはいけません。必死に頑張る社長の姿を見て、社員さんだって惹かれているはずです。一方で、経営者の私も年を重ねてくると、継ぐことを本格的に検討しなければいけない転換期がどこかで来ます。この時に、誰も継ぎたいという人がいなかったらどんなことが起こりうるか。可能性として、私自身が親として、子どもに対し、会社の情報を非常に限定的にして、親族に事業承継を促す方向に力が働くことが強くなるのではと考えました。
 親族内承継は、一般的には美談として語られがちです。ただ、子どもにとっては、本当に自由な環境で選択するのではなく、選択肢を限定された上で選択する自由を与えられている環境に置かれてしまうのではないかと思います。社員やステークホルダーにとっても、親族という理由だけで会社を譲ると不公平に映るのではないかと懸念しました。また、会社という不確実なものを、安易に親族に継ぐことを選択してしまうことは、私自身の逃げになるかもしれない、楽になりたいだけかもしれないとも考え、悩みました。
 このように考えるようになり、極端な言い方にはなってしまいますが、親族に継ぐという選択肢が極めて不自然且つアンフェアに見えて、会社の生存競争からはかけ離れた世界観に映りました。能力のある人が社長をやればいい。それは私自身も例外ではありません。そう考えると親族でも、従業員でもなく、もっと大きくものごとを見て、社会の中から後継者を探すべきだと考え、よりフェアな承継方法を選択する方がよいと私は考えるようになりました。会社は社会の公器であり、そうである以上、後継者の選択もフェアであるべきと思うからです。

平岡

 エンヴィジョンという会社をいかに早く未来へ連れていくことができるかを重要視して考えました。そのためには、第三者と資本でパートナーシップを組むことも選択肢の一つだと思うようになりました。
 そもそも株式を「所有する」という考え方自体がおこがましいのでは、と私は感じています。私も株式オーナーとして、会社に責任を持っていますが、それは「自分のものだ」と主張する感覚ではなく、その会社の株式を「社会から預かっている」という感覚に近いです。会社そのものが、社会構造があるから成り立つわけで、お客様から「No」と言われると終わってしまいます。「所有」という形にこだわるより、会社を前に進めることの方が重要であり、一歩でも多く前に進めるには、ずっと1人がオーナーでいるより、他のパートナーと組む方が、前進するパワーは間違いなく強くなります。

 他のパートナーと組むことを考え、企業価値を高めるためにも改めて「立派な会社」にすることを目指しました。その取組の例として、社内業務のDXの推進や、ITを活用した製造マネジメントの取組を行いました。様々なITツールを導入し、それぞれのツールを連携させることで、情報共有・プロセスの効率化を仕組み化しています。製造工程にもITを導入し、各製造工程における属人性の排除と分業化を推進しました。
 「立派な会社」としてのゴールは、お客様や周囲のステークホルダーから好かれる会社になることです。お客様から好かれることで、口コミが発生し、噂が生まれ、ブランドになります。熱狂を生み出し、目の前にいる人の心に火をつける。テクニックではなく相手の心を動かせるような会社を目指しました。

資本提携の交渉の様子や、提携先を選ばれた理由を教えてください。

平岡

 D Capitalとの最初の面談は、私が休暇でオーストラリアにいる時に、オンラインでお会いしました。オンラインではありましたが、画面越しに参加者の反応や表情の変化を観察していました。少し変な言い方ですが、私も含めて、まるで興味があることに根掘り葉掘り質問する子供のようでした。体裁を整えるのではなく、本当に訊きたいことがたくさんあるのがよく分かり、時間内で収まり切れず、あっという間に終わりました。D Capitalとの交渉はこの感覚が最後まで続きましたね。

 デューデリジェンス対応等、形式的・技術的なやり取りもありましたが、そこはクレジオ・パートナーズが上手く整理してくれたと認識しています。
 一番気にしていたことは、半年以上ものディスカッションの最後までD Capital側の熱意が変わらないかどうかでした。どこまで本当に当社に興味を持って頂けているか。結果として、どうやって事業を発展させていくか、という提携後の議論が最後の最後まで更に深まっていきました。そのスピード感と熱量を感じ、私の方も最終契約の前から様々な手を打ち始めていました。「早く契約の日が来て、一緒に仕事が出来ないものだろうか」と考える時間を勿体なく感じました。
 提携後にD Capitalを訪問した時、重光代表パートナーから、「基本的に平岡さんはForward Lookingの人間ですよね。私もそうなんですよ。」という言葉を頂き、一緒に仕事するにはすごくいいなと思いました。これまでに何をしたかではなく、今から何をするかが大切なのです。その連続で未来がやって来ます。
 仕事の最高の報酬は「誰と一緒に働くか」ですよ。能力と熱意があるD Capitalと働くことができれば、私の潜在能力も、もっと開花するのではないかと感じました。当社と私を高く評価していただき、Will(希望)だけでなく、Hunger(飢餓感)まで共有できる程、運命共同性が高いパートナーになってくれると考え、同社との資本提携を決意しました。

クレジオ・パートナーズを利用した感想を教えてください。

平岡

 クレジオ・パートナーズの良かった点は、何でも相談できるし、お話するときは、まるで塾に入っているような感覚でした。緩く関係性を維持し、知りたいことがある時は、何でも親切に、相手の立場になってアドバイスを頂ける。この点は、ずっと素晴らしいと思っています。
 今後、期待する点としては、困っているが勉強する時間がない経営者はたくさんいます。日本の社会をよくするため、資本を回転させるという意味で、M&Aの重要性はより高まるように感じます。会社の承継は、一般的にはタブーとして、触れられることが少ない感覚なので、もっとフェアに議論できる環境や場をクレジオに創っていただけることを期待します。
 また、クレジオに成長してもらい、クレジオのキャッチフレーズである「地域を紡ぎ、未来を織り成す」を実現して欲しいです。私も困っている人がいたらクレジオをご紹介します。承継に悩む方は、密室で考えるから偏ってしまうのであって、気軽に話をするだけで、前に進む感覚が得られると思います。これまでもクレジオに紹介した経営者からは、「気持ちが楽になった」「今後の方向性が見えてきました」と必ずお礼の言葉を頂きました。

資本提携後の具体的な取組、感想や今後の方向性について教えてください。

平岡

 願望もありますが、ビリヤード・タップのシェアを更に広げていきます。単なる販売としてのシェアではなく、豚皮の仕入等、タップ製造に関わる川上・川下も含めて、影響力を更に拡大することを目指します。高品質のビリヤード・タップが市場に流通し、ユーザーにビリヤードを上手になって欲しいです。ビリヤードがオリンピック競技になれば最高ですね。様々な課題はありますが、少しずつその雰囲気は盛り上がっていると感じます。
 D Capitalに対しては、エンヴィジョンと組んでよかった、成功事例だったと言ってもらえるようにしたいですね。共同株主として、一緒にエンヴィジョンを成長させたいです。

最後に、事業承継・成長に悩む経営者に向けてメッセージをお願いします。

平岡

 経営者として「こうあらねばならない」という理想像をつくり、自分自身が自分を閉じ込めているかもしれない、と考えることが大切です。経営では、理念やビジネスモデル等、戦う為に、生き残るために強固なものを作り上げていきますが、そういった自分をサポート・支援してくれるはずのものが、かえって自分の檻になっている可能性があることも意識した方がよいと思います。
 「こうあらねばならない」を外さないと、自分自身の能力の花を更に開花させることは難しいこともあると思うので、「、、、ねばならない」と日頃言いつつも、本当にそれに染まらないようにすることが、自分を大切にすることにつながると思います。
 私は「能力」をいわゆる「スキル」とは少し違うものと捉えており、多くの要素にリーダーシップが占めていると考えています。リーダーシップはそれだけが固有の能力になりえる程、価値を持つ時代になりました。誰もが「何をすべきか」という課題を頭では認識していますが、その課題に取り組まない。リーダーシップを発揮して、自分事として取り組む人材が求められています。困っている人がそういった能力にアクセスできる環境さえあれば、みじめな思いをする人がいない社会が作れます。皆さんにも、ご自身が持つ能力を開花させ、積極的に社会でシェアして欲しいと思っています。