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実績 PERFORMANCE

CASE 10

地域で専門家が活躍する場を広げる!
事業承継を通じた税理士同士の協業の未来

ガイア・グループの一つとして福島県を中心に多様な専門家と連携しながら事業を拡大する税理士法人テルスとグループ代表の磯海氏。福島県郡山市において地域密着で税理士業務を展開してきた小林由拓税理士事務所。両社の提携を通じて、地域の経営者に安定的に税務業務の提供が可能となった。税理士業における事業承継の課題や、専門家同士が提携を進めることで見えてくる未来について伺った。

  • 譲渡企業

    小林由拓税理士事務所

    福島県郡山市 / 税理士 小林 由拓

    業種 専門サービス業(税理士事務所)
    M&Aの目的 安定的な事業継続
  • 譲受企業

    税理士法人テルス

    福島県須賀川市 / 代表社員 磯海 雄介

    業種 専門サービス業(税理士事務所)
    M&Aの目的 事業拡大

はじめに、譲受側である磯海様にお伺いします。
現在取り組まれている事業について教えてください。

磯海

 我々は、ガイア・グループとして、福島県須賀川市に本社を置き、総合的なコンサルティングサービスを提供しています。ガイア・プロジェクトが中核の経営コンサルティング業務を担い、会計事務所として税理士法人テルス、司法書士事務所としてガイアリーガルオフィスがあり、経営コンサル、財務・税務、法務の三位一体で地域のコンサルティングを提供しています。出身が会計系なので、財務・税務が中心と捉えられがちですが、財務・税務はあくまで手段であり、目的はお客様である経営者のために必要なサービスを提供することです。

磯海

 我々は「ガイアシップ構想」を掲げており、地域で活躍する専門家を同じ仲間として募り、地域でのコンサルタントと一緒に地域経済を盛り上げたいと考えています。地域への想いとしては、元々東京で仕事をしていたのですが、東日本大震災を契機に、地元である地域の役に立ちたいと思うようになり、何かできることはないかと、福島に戻りました。その時、専門家の少なさに驚き、地域にも専門家の需要があることに気づきました。福島県と同じ状況は、他の地域でも同じだろうと考え、地元に戻って活躍したい専門家に参画してもらい、当社がノウハウを提供することで活動を支援する構想を掲げ、将来的にはこの取組を全国に広げていきたいと考えています。既に、茨城県水戸市・栃木県宇都宮市ではパートナーが存在しています。

磯海

 地域の経営者は、孤独の中で、経営に立ち向かい、全般的な対応を求められます。そのため、経営全般の在り方を相談できるパートナーを求めており、専門性の高いコンサルタントを望んでいます。財務・税務的なアドバイスだけではなく、経営面・法務面でもアドバイスできることで高い付加価値を提供することができます。

事業展開におけるM&Aの捉え方について教えてください。

磯海

 我々はM&Aはあくまでビジョンを実現するための手段の一つと考えています。そのため事業を拡大するために無理にM&Aで事業を広げるという方向性ではなく、ガイアシップ構想に基づき、パートナーを組める専門家や、成長できる相手があれば手段の一つとして検討するという位置づけで考えています。

続いて、譲渡側である小林様にお伺います。
これまでの創業の経緯と事業譲渡を考えたきっかけを教えてください。

小林

 1969年に父が福島県郡山市で開業し、私が30歳の時に地元へ戻り、事業を継ぎました。それまでは埼玉県の会計事務所に勤めていたのですが、父から疲れたので戻ってきて欲しいと言われたことがきっかけでした。地域密着で税理士業を行い、東日本大震災の時は、税務業務だけでなく、地域の経営者の補助金・助成金関係の事務をお手伝いしたりしていました。
 事業譲渡を考えたきっかけは、元々病気があったこともあり、安定的に事業を継続することに不安があったからです。若いうちは勢いで何とかできましたが、年を経るごとに、将来的なことも考え、事業譲渡を検討するようになりました。

お二人にお伺いします。
今回のM&Aについて、きっかけやM&Aを決めた理由を教えてください。

小林

 いくつかM&A仲介会社に事業承継の相談にのって頂きました。いずれもコロナ禍もあり、Zoomや電話での対応でしたが、唯一すぐに来て相談にのってくれたのが、クレジオ・パートナーズでした。

磯海

 今回のM&Aの話を伺った際に、地域的なシナジーを感じました。須賀川市と郡山市は地域的に近いので、必要ないのではという意見もあると思いますが、当社の課題として「採用」の問題があり、須賀川市は遠いという理由で採用に至らなかったこともありました。より事業を拡大していくためには、郡山市にも拠点を構えたいと考えていたこともあり、今回のM&Aを決定しました。

仲介会社としてクレジオ・パートナーズを利用してみた感想を教えてください。

小林

 クレジオ・パートナーズは最初からフットワークが軽かったという印象です。私の体調が思わしくなかったこともあり、事業の継続やM&Aの交渉において諦めかけた時、M&Aの交渉だけでなく、事業の中身に入り込んで、具体的に提案して頂き、粘り強く相手側へ相談し、働きかけてくれたことが印象的でした。よく投げ出さずにやってくれたなと思います。そういうスタンスは、これからも続けることで、喜んで頂ける方はたくさんいると思います。
 特に、私が体調不良になった際に、妻が代わりになることがあったのですが、妻とも根気強くコミュニケーションしてくれる姿勢に「よくやってくれるな」と思いました。事業承継が終わってみて、改めてクレジオ・パートナーズだけではなく、譲受側のテルスの皆さん、妻や従業員の皆にお世話になったと感じます。

磯海

 M&A仲介会社を利用するのは初めての経験でしたが、クレジオ・パートナーズには税理士の資格を持った専門家がいらっしゃることもあり、専門性の領域が同じだったので、やりやすかったですね。そのため、同じ言語で、スピード感を持って取り組めました。特に今回は、小林先生の体調不良や様々な事情もあり、M&Aの前から一部業務をお手伝いする等、通常ではない部分もありました。そのような中でも、クレジオ・パートナーズは、小林先生の置かれている立場を理解して、小林先生に親身にフォローする一方で、単純にM&A仲介をまとめることを目的とするのではなく、事業の中身を見た上で私達にもアドバイスを頂くことで、M&A後の統合作業をスムーズにスタートさせることが出来ました。経営者にとってM&Aは大きい決断で、後戻りはできません。事業者の将来像に関与しながらM&Aを進めていくスタンスは今後も継続して欲しいと思います。M&Aは担当者がリソースを割けば割く程、成果が出せると考えています。関東地域で何か案件があれば、我々ではマンパワー不足な部分もあるため、ぜひクレジオ・パートナーズと連携できればと思います。

税理士業界や福島の地域における事業承継の課題について教えてください。

磯海

 税理士業界も狭い業界です。先生がお亡くなりになってから、顧問先をどうするかという課題が出てくるという話もよく聞きます。早いタイミングから専門家同士の協業も含めて連携していくことが大事ではないかと思います。地域の事業承継については、我々のお客さまでも後継ぎがいる会社もあれば、いない会社もあります。中には廃業を考えられている先もあり、M&Aを検討できる事業価値を創ることが重要だと感じます。

小林様から、同じように事業承継に悩む方へメッセージを頂けますか?

小林

 M&Aについては、まだ敷居が高い・料金が高いというイメージを持たれている方がたくさんいるのではと思っています。そういう方は、1社ではなく、2~3社相談してみることおススメします。相談してみることで、敷居の高さや、料金に関する不安はある程度払しょくできるのではないかと思います。一人で身動き取れない状況であれば、まずは相談した方がいいですよとお伝えしたいです。少しおこがましい感じもしますが、自分の経験も踏まえて、アドバイスするとすれば、「まずは相談すること」とお伝えしたいと思います。

磯海様から、地域で活躍したいと思う専門家の方へメッセージを頂けますか?

磯海

 地域で困っている経営者の方は多くいらっしゃいます。そういった方を助ける活動を一緒にできれば嬉しいと思っています。地域は、人口減少により、これまで当たり前だったサービスがなくなるかもしれないという状況に追い込まれています。各地域を元気にするために、地元に戻って活躍されたい方、地域でやりがいを持って働きたい方は、一緒に手を携えていきましょう。
 地域では、顔が見える関係で仕事ができ、顧客同士を繋げてビジネスマッチングの機会を創出したり、新しい事業を創造したりするご支援が可能です。その中で、地域経済に貢献しているという実感を持ち、仕事のやりがいを感じることができます。そういった都会にはないやりがいを持って、一緒に楽しく仕事ができれば嬉しいです。