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実績 PERFORMANCE

CASE 07

卸売業×製造業!それぞれの「強み」を活かし、
食品業界における新たなチャレンジへ

「包装資材の総合商社」として、食品包装業界の市場の変化に対応しながら常に新しい提案を行うKPネッツホールディングス。真空包装機メーカーとして、確かな技術力を持ち、自社製品を全世界で販売する西原製作所。両社が提携し、顧客に対して、一歩踏み込んだ提案の実現を可能とした。事業承継をきっかけとした、同業界における異例のM&Aを通じ、新しい業界の未来について伺った。

  • 譲渡企業

    株式会社西原製作所・株式会社シーエンス

    広島県広島市 / 代表取締役 西原 英治

    業種 包装機械製造業
    譲渡理由 事業承継
  • 譲受企業

    株式会社KPネッツホールディングス

    広島県福山市 / 代表取締役 小林 俊康

    業種 包装資材販売業
    譲受理由 事業領域拡大

はじめに、譲受側である小林様にお伺いします。
現在取り組まれている事業について教えていただけますか。

小林

 当社は「包装資材の総合商社」として、「情報と愛情で包装文化を創る」を理念に、食品関連のお客様を中心として、パッケージに関するものを軸に、それに関連するものも含めトータルコーディネートで提案しています。包装資材を軸に、パッケージの企画・デザイン・製作、障がい者雇用事業として包装資材の加工や、リサイクルセンターの運営・管理、食品に関わる機械の販売・メンテナンス、物流等、包装資材を軸に、お客様のご要望に柔軟に応えるべく、事業領域を拡大しています。「ワンストップでトータルソリューションが提案できる」ことが強みで、「コパックスに言えば、パッケージも、機械の相談も、加工も、何でもしてくれる」とお客様に思っていただける存在を目指しています。お客様に恵まれたこともあり、現在はグループの売上高115億円に成長しました。

M&Aの活用を考えたきっかけや経緯について教えてください。

小林

 今回のM&Aより前に、当社は2社M&Aでグループに迎えていました。以前は、経営状況が厳しくなる中でご縁をいただくケースが多く、事業戦略的な効果を狙ってのM&Aは今回が初めてです。
 私は、包装資材業界において「パッケージと機械は融合する」という考えがありました。お客様は常に進化しています。食に関する業界は、元々、屋号で商売を行う個人事業主単位のビジネスでしたが、設備投資をして食品メーカーに発展されたり、それぞれが一緒になり形態をスーパーマーケットとして発展されたり、更に総合的に発展されたコンビニという業態など大きく進化されております。最近では、コロナ禍で、ITの活用が進み、デリバリーやテイクアウトが活性化する等、新たな食文化が形成されています。このように時代に合わせ、お客様は進化しています。お客様の進化に我々もついていき、ご要望に応える仕組みをつくらないといけません。
 もう一歩踏み込んだ提案をするためには、「パッケージと機械の融合」を実現する必要があります。当社は「SHIMANAMI PACK(しまなみぱっく)」という展示会を企画・主催しています。この展示会は、お客様や食品関連の企業だけでなく、同業者も招き、パッケージや機械も含めて、地域の業界の皆様が欲しいと思っている情報を詰め込み、「パッケージと機械の融合」を表現しました。東京での展示会はコストが高く、必要な情報が取れないという状況だったので、お客様にも高く評価されました。このように、以前から経営戦略の中で、メーカーをグループに加えたいという考えがありました。
 西原製作所が持つ真空包装機の製作技術や実績を聞いた時に、我々の業界でテーマとなっている食品ロス等の環境問題の解決に向けて、現在と将来のニーズに合致していると感じました。はじめからM&Aの戦略に基づいて進めた訳ではなく、目指している経営戦略を進める中で、きっかけをいただいた形になりました。

M&Aを進める上で、特に注意した点はありますか。

小林

 経営者の考えや生き方は、そのまま会社に反映されます。なので、M&Aを進める上でも、西原社長の人柄や、信頼できるか、フィーリングが合うかを判断基準にしました。最終的な条件の話は、お互いが合意できるかという問題なので、西原さん自身の考え方を理解しようと努めました。

続いて、譲渡側の西原様にお伺いします。
M&Aによる事業承継を考えたきっかけを教えて頂けますか?

西原

 当社は、1953年の設立以来、食品分野の「包装」という業界において、真空包装機械の製造を行っています。事業承継は、実際にはクレジオ・パートナーズとやり取りを始める5年前頃から悩んでいた問題でした。社内で後継者に託すことが難しいと考える一方、当社の技術力・ブランド力をきちんと評価し発展させてくれる会社と組みたいと考えていました。当社は独立したメーカーであり、創業からの実績に基づく技術と顧客を有しています。当社の強みを理解し、提携することで相乗効果が出る先が理想的でした。

相手先の決め手は何でしたか。

西原

 当社は技術力には絶対の自信がありますが、一方で販売力が弱いという課題がありました。初めて小林社長とお会いし、構想を聞いた時に、KPネッツホールディングスが有している販売網や顧客とのネットワークと、当社の技術力という強みを掛け合わせることで、新しい事業展開を目指せると感じました。上場企業のような大手企業ではありませんが、過去にM&Aの実績もあり、地域で信頼を築いてきた企業ならではの提案だと思いました。

M&A後の感想はいかがですか?

西原

 資本提携で株主構成は変わりましたが、西原製作所という会社は変わらず継続しており、私も社長を継続しています。資本提携を行ったことで、仕入先や取引先からの反応が気になっていましたが、意外なくらい何も言われません。 同じグループになったからには、一緒に商売チャンスを広げようということで、KPネッツグループとは人員の交流、共同の開発会議がさっそく始まりました。これからの新しい展開が楽しみです。私自身にとっても、西原製作所の社員にとっても、単純に事業承継=事業の引継ぎだけでなく、KPネッツグループというパートナーを得て、西原製作所を発展させる、新しいチャレンジの機会になっています。

改めて、小林様にお伺いします。クレジオ・パートナーズを利用してみた感想を
教えてください。

小林

 当社も様々な仲介会社と付き合いがあります。クレジオ・パートナーズを選んだ理由は単純で、「会ってみて、いい人だと思ったから」です。クレジオ・パートナーズは、きちんと顔を合わせてお話をしてくれるし、HPやメルマガを通じた情報提供を見て、自分達に「親身になってくれる」と感じています。
 広島という地域に根差しているので、地元の空気が分かっているという点もよかったです。我々の「食」という業界はどうしても地域性が関係します。地域の土地勘や癖を理解する必要があり、その点を理解して交渉してくれるのはありがたかったです。西原さんも、話しやすかったんじゃないかと思いますね。M&Aの場合、仲介会社が間に入るので、売手買手は直接やり取りができません。言葉がいかに曲がらずに伝わるかが大事だと思います。曲がって伝わってしまうと、オーナー企業同士のM&Aの場合、交渉を上手く進めることが難しいように感じます。クレジオさんは、こちらの意思を汲み取り、相手にどう伝えるかを事前に説明してくれたので安心して進められました。正に「コミュニケーションの地産地消」ですね。

クレジオ・パートナーズへメッセージを頂けますでしょうか。

小林

 経営者にサービスを提供するためにはワンストップで対応する必要があります。クレジオさんは、M&A以外にも、ファイナンス・マーケティングに関する情報提供やビジネスマッチング等、一見手間はかかりますが、経営者のニーズに応じて細かく対応いただけます。その点は、当社の経営の考え方に近いと思います。我々の業界では最近はお客様側が、ワンストップだけではなく、サービスの標準化を求めるようになりました。標準化できるところは、積極的に進める一方、変えてはいけない「核」の部分は標準化してはいけません。クレジオが成長する中でも同じだと思います。今の素直で面白いクレジオの味をこのまま活かして欲しいです。もし、違う方向に行きそうだったら、私からクレジオに言ってやろうと思ってますが(笑)。

最後に、西原様のクレジオ・パートナーズを利用してみた感想を教えてください。

西原

 M&Aを進める中で、デューデリジェンス、契約関係、資産の整理など、様々な対応があり、正直負担は大きかったです。クレジオの担当の桑本さんから電話がかかってくるたびにビクビクしました(笑)。でも、専門的な論点もたくさんある中で、桑本さんにしっかりと寄り添って対応してもらえたので、スムーズに無事に乗り超えることができました。税金面も、専門性を活かして、顧問税理士と連携して、一歩踏み込んだ対応をしていただきました。また、進行中に「M&Aで利用できる補助金がありますよ」と提案してもらい、利用したい旨を伝えたら、追加費用なしで申請書類をあっという間に準備してくれました。こちらの意図を理解し、より良い提案をして、汗をかいてくれたことが信頼に繋がりました。

改めて、小林様にお伺いします。今後の目標や方向性を教えて頂けますか。

小林

 グループとしては、お客様のニーズにワンストップで応えることを極めていきます。西原製作所をグループに迎え、これまでは西原製作所は製造、当社は販売と別れて進めていましたが、これからはお互いの強みを活かしながら、「こういう真空包装機をつくればいいんじゃないか」と、グループとしてより一歩深い市場開発、商品開発のお手伝いや提案ができるようになります。市場の変化が激しくなる中で、これから先もお客様に選んでいただける存在を目指します。

最後に、今後M&Aを考えている方へメッセージをいただけますか。

小林

 「悩まないこと」が重要だと思います。経営者だからこそ分かる「旬」というものがあります。いわゆる経験による勘というか、経営者だからこそ、見えているものがあると思います。株価の高い低いだけの話ではありません。会社は継続することに意味があります。私も、西原製作所をなくしてはいけないと強く思います。そのためには、誰に、いつ事業を渡すのかという、旬のタイミングを逃さないことが大事だと思います。
 「旬」は一人では分かりづらいということも事実です。誰かと会話している中で、自然とその話になれば、自分が今何に悩んでいるのかが分かります。自分の旬を把握するためにも、親身になってくれる信頼できる人に相談してみるのがよいと思います。