fbpx

実績 PERFORMANCE

CASE 05

事業承継は経営課題を補完し、
新しいステージに向かうきっかけ

事業承継は経営課題を補完して、企業のステージを進めるきっかけとなる。山口県下関市から全国・世界へ食品の輸出入、PB商品の製造等を展開するオンガネジャパンは、経営課題だった組織体制を強化するため、M&Aを通じて、アライグループに加わることを決断。創業から100年を迎え、中古車オークション・食品流通事業等、様々な事業を手掛け、新しい投資にチャレンジする荒井商事。両社のM&Aを通じて見える、事業承継の可能性について伺った。

  • 譲渡企業

    オンガネジャパン株式会社

    山口県下関市 / 代表取締役 岡本 昭宏

    業種 全国・世界へ食品の輸出入、PB商品の製造 等
    M&Aの目的 後継者不在、事業成長
  • 譲受企業

    荒井商事株式会社

    神奈川県平塚市 / 代表取締役社長 荒井 亮三

    業種 中古車オークション・食品流通事業 等
    M&Aの目的 事業領域拡大

人材育成と事業成長に課題

まずはM&Aを考えたきっかけ、経緯を教えていただけますか。

岡本

 オンガネジャパンは山口県下関市に本社を置き、食材の輸出入を取り扱う会社です。アジア圏の商材に強みを持ち、韓国海苔を全国に普及させる等、地域に本社を置きながら、全国・世界へ商品を流通させています。
 私は31歳で創業し、2021年で創業20年を迎えます。株式譲渡を考えたきっかけは、事業承継を考えた時、自分の中で世襲という選択肢は考えていなかったので、社内で経営者を育成するつもりでしたが、地域という環境で自社内だけでの育成が難しかったというのが実情です。私としては、スタッフ全員が安心して働ける環境をつくることを第一に考えました。
 加えて、事業として拡大を続けたいという想いがありました。事業承継をポジティブに捉え、今後を考えた時に、我々のようにローカルで仕事をする会社にとって、地方だけではチャンスが広がりにくいというのも現実です。中国・ASEAN・インドといった世界の様子を見て、これからの食品市場の成長を考えると、海外に打って出た方がよいという想いが強くありました。海外で積極的に展開するためには、中間流通事業者ではなく、より生産者に近いポジションに移行すべきだと考えていました。
 当社は20年間一度も赤字にならず、地域の金融機関からも評価していただきました。代表者保証も早いタイミングで外していただき、低い金利で、大きな融資をいただけるというありがたい環境ではありましたが、その分、クリアな経営を意識していたこともあり、大胆に投資を行うことができないということも感じていました。
 属人的な会社経営から、組織的な会社経営へと変革し、後継者となる経営人材や今後の成長を見据えた優秀な人材を確保しつつ、世界市場を見据えて、会社の成長を目指すためには、オンガネジャパンの自力だけではなく、大きな資本と合流することが大事だと考えるようになりました。

M&A仲介会社として、クレジオ・パートナーズを利用してみた感想を教えてくだ さい。

岡本

 クレジオ・パートナーズの印象は「最高」です。M&Aを進める中で、様々な論点について、喧々諤々と議論しましたが、メンバーが熱いし、「血が通った対応をしていただける」ということが一番ありがたかったです。我々に寄り添って頂けるという安心感がありました。他のM&A仲介会社ともやり取りしましたが、金額の話が先行してしまうため、少し感覚が違うという印象があります。
 また、私自身が会社の代表なので、デイタイムは業務や日々の問題解決で手一杯なんですね。M&Aに関する交渉事は、頭がフラットになる朝・夜中・週末に思い返し、その瞬間に焦りや不安が出てくることが多く、その瞬間に連絡したら、すぐにステータスの確認ができるというバックアップ体制を整えてくれたのはありがたかったです。
 クレジオ・パートナーズには、自分達が迷った時に支えていただき、不安な部分を分かりやすく紐解いていただきました。M&Aの交渉では、売手・買手で信頼関係を持って話し合いをしつつも、どうしても利害が反するところはありますし、M&A後のスムーズな運営のためにきちんと主張をしておいた方が良いこともあります。当事者であるため、相手に対して非常に話しづらいこともありますが、そこを客観的な立場から相手に伝えていただくのも役割として大きかったですね。

事業承継は経営課題を解決するポジティブな選択肢

M&Aを進める中で不安に思われたこと、大変だったことはありますか。

岡本

 自分自身が創業者として20年間やってきたことに対して、株式を手放すことにすごくライトな感覚だったこともあれば、急に寂しくなったりもしました。20年間を振り返りつつ、今後の20年を考えた時、自分がやっていることに対して客観的に考えることが難しかったと思います。その時に、横で支えてくれたのがクレジオ・パートナーズだったと思います。

荒井商事を選ばれた理由を教えてください。

岡本

 荒井商事を選んだ理由は、まさに出会った瞬間ですね。これは恋愛と同じ感覚だと思います。荒井商事のスピリットは、「挑戦し続ける」というものでした。M&Aでは100%要望に合う会社と巡り合うのは難しいと思いますが、創業から100年を迎える荒井商事から、「新たな100年を一緒に作っていきたい」と言われました。
オンガネジャパンの生産者に近いところにポジションチェンジし、世界を目指すという目標にも共感していただき、アライグループへの参加を決断しました。

今回のM&Aを終えての感想と、今後の目標や取り組みたいことがあれば教えていただけますか。

岡本

 自分の会社オーナーとしての経験を踏まえると、会社オーナーと経営幹部・従業員の意向は結構ずれがあります。そのずれが生じないようにしていくのが自分の仕事だと思います。ずれが生じてしまうと会社自体の成長スピードが遅くなります。社員のつらい部分を汲み取る経営幹部を育て、組織を若返らせていく。
 オンガネジャパンも同様の課題を抱えていますが、今回、私の決断を機に、経営幹部には積極的に若手に権限移譲することを勧めました。「私も決断したのだから、せめて権限を次世代に渡し、10年後尊敬される行動を取ろう」と働きかけることで、若い人財をサポートし、組織の若返りを図っています。
 会社全体としては、世界に出ていくことが目標です。アライグループに参画することで、今までオンガネジャパンでは取り組めなかった動きを加速させていきます。

最後に、事業承継に悩まれている経営者へメッセージをいただけますか。

岡本

 自分にとって、事業承継はポジティブな動きだと思っています。決して、自分の企業にマイナスではない。そもそもマイナスになることをクレジオ・パートナーズは提案しないじゃないですか(笑)。
 各企業が抱えている課題を抽出して、それを補完できる会社へ事業を引き継ぐ作業だと思います。事業承継に悩んでいるオーナー側の課題が解消に向かうので、結果的には事業承継してよかったなと思う事例が増えると思います。
 地域には、人と設備が老朽化してしまっている会社も多くありますが、その中でもいい経営資源を持っている企業も存在します。アライグループとしても、世界を目指すために九州のメーカー連合をつくっていきたいと話しています。世界を目指すためには九州はすごくいい地域です。いい経営資源を持ちつつ、若返りが図れない企業や、そもそも事業承継という選択肢を知らない企業に声をかけ、地域市場の減少が見込まれる中、成長する海外市場にチャレンジしてみたいと思います。