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コラム COLUMN

M&A地域

鳥取県M&A事例と経済概況

鳥取県の概況とM&A事例

はじめに

地域には様々な産業があり、M&Aを検討する上でも、それぞれの産業特性を考えた上で、売手・買手、双方の状況やニーズ・課題を把握することが必要です。鳥取県の経済・産業の概況や、休廃業・解散、倒産件数に加え、後継者不在率を全国と比較し、鳥取経済を俯瞰しつつ、鳥取地域で実施されたM&A案件をピックアップしました。

鳥取県経済の概況

鳥取県は、平成29年度名目県内総生産 1兆8,967億円であり、その成長率は +3.0%となっており、生産面では卸売・小売業などが減少する一方、製造業が+10.9%、建設業が+9.5%と成長しており、二次産業が三年連続の前年度比プラスとなりました。

人口は、約55万人(令和2年6月1日時点)であり、全国で一番人口が少ない県です。鳥取県は、県庁所在地である鳥取市を有し、鳥取砂丘等がある東部、倉吉市が所在する中部、ロシア・韓国とも航路がある境港や、商業集積地である米子市、国立公園・大山を有する西部と、大きく3つの地域に分かれています。日本海に面しており、境港を中心に水産業が有名です。鳥取は観光資源も豊富であり、「ゲゲゲの鬼太郎」の著者・水木しげる氏の故郷である境港市の「水木しげるロード」、鳥取砂丘、国立公園・大山等の観光資源を有しています。

鳥取県の休廃業・解散、倒産の状況

2019年の鳥取県の休廃業・解散件数は137件であり、前年比-10.5%と2年ぶりに減少しました。また倒産件数は、19件であり、前年度より減少しています。業種別では、「運輸・通信業」「小売業」「建設業」「不動産業」は減少傾向ですが、「製造業」が最も増加率が高くなりました。件数では「サービス業」が最も多く、次いで「建設業」「小売業」と続きました。

全国における2019年度の休廃業・解散件数は 23,634件であり、鳥取県が占める割合は、0.6%となっています。倒産件数については、全国では 8,354件であり、鳥取県が占める割合は、0.2%となっています。(出典:帝国データバンク調査より)

(出典:帝国デーバンクより当社加工)

鳥取県の後継者不在率

2019年の鳥取県の後継者不在率は76.0%であり、全国の中で2番目に位置しています。2016年の73.2%から+2.8%増加しています。国を挙げての「事業承継」に関する啓蒙・支援もあり、直近3年間は全国平均も、広島県・山口県・島根県などの中国地方でも後継者不在率は減少(改善)してきましたが、鳥取県だけは後継者不在率が増加(悪化)していることも特徴です。業種別では、「サービス業」がトップで79.4%となっており、継いで「建設業」が76.6%となりました。全国における後継者不在率は、65.2%であり、「建設業」がトップで70.6%となっています。

(出典:帝国デーバンクより当社加工)

鳥取地域で起こったM&A事例

直近で鳥取県の地域経済においてインパクトが大きいM&A案件をピックアップしました。

事例① 高島屋が米子高島屋をジョイアーバンに譲渡(2019.10発表)

高島屋が100%出資子会社の米子高島屋(鳥取県米子市)の全株式を、鳥取県米子市内を中心に中心市街地活性化事業やTSUTAYA事業に取り組むジョイアーバン(鳥取県米子市)に譲渡しました。米子地域では大きな百貨店だっただけに、地元企業への事業譲渡は地域のインパクトとしても大きい事例でした。

事例② マーケットエンタープライズが旺方トレーディングから中古農機具の買取・輸出事業を取得(2020.4発表)

ネット型リユース事業、メディア事業、モバイル通信事業を営むマーケットエンタープライズ(東京都)が、農業機械の買取・海外輸出・国内小売卸売・農機具レンタル・加盟店事業を営んでいた旺方トレーディング(鳥取県鳥取市)より、中古農機具の買取・輸出事業を取得しました。旺方トレーディングは、「農機具買取.com」「中古農機具MARKET」「農機具レンタル.com」等のWebプラットフォームと国外への輸出事業を展開していました。地域でWebを活用し、グローバルに展開する企業を首都圏の大手企業が事業取得するという、地域においては少し珍しい、可能性を感じる事例でした。

事例③ プローバホールディングスがGROW UPを子会社化(2018.9発表)

パチンコホール運営等の事業を展開するプローバホールディングス(広島県広島市)が、鳥取県・岡山県に7店舗のベーカリー事業を展開するGROW UP(鳥取県鳥取市)を買収しました。プローバグループとしてはこれまでのノウハウを活かし、ベーカリー事業に参入し早速広島で新店をオープンするなど、新事業展開においてM&Aを活用した事例となります。

事例④ 富士薬品があみはま薬局を子会社化(2019.3発表)

全国的に調剤薬局・ドラッグストアや医薬品等の製造を展開する富士薬品(埼玉県さいたま市)が、同じく調剤薬局・ドラッグストアを鳥取で展開するあみはま薬局(鳥取県鳥取)を子会社化しました。薬局業界では業界再編が進んでおりますが、鳥取等の地域においても同様であり、富士薬品にとって、未出店地域の事業強化を一歩進める形になりました。

事例⑤ メインマークがクリエイティブサポートの工事部門を譲受(2019.5発表)

沈下修正、空洞充填、地盤強化、建物の傾き対策を行うメインマーク株式会社(東京都)が、ボクシングジム・学習塾「明光義塾」の運営等を展開しているクリエイティブサポート(鳥取県米子市)より、工事部門の事業を譲受しました。多角経営を行う地域の事業者が、首都圏の専門的に事業を展開する会社と連携する事例となりました。

おわりに

鳥取県は、日本で人口が一番少ない県であり、日本海に面した環境を活かした水産業や、山陰ならではの景観と観光資源を有する地域です。横に長く、東部・西部・中部に経済圏が分かれており、休廃業・解散、倒産件数は、全国の1%未満となっており、後継者不在率については、全国において2番目と非常に高く、特にサービス業では約8割の企業で後継者がいない状況です。

M&A案件では、地域のシンボル的な百貨店が地元企業に譲渡される事例、Webプラットフォームを活かした成長事業を地域で創出し、首都圏大手企業が取得する事例等がありました。人口の少なさと、後継者不在率が全国2番目という地域であり、日本の中でも地方創生の課題を大きく抱える地域となっており、業界再編の流れ等も見ると、今後、事業承継型・業界再編型のM&Aの加速が見込まれます。一方、多角化経営の一部事業を譲渡する等の事例もあり、地域からの新たな産業創出において、地域を超えてM&Aを通じた事業提携によるビジネスの活性化も期待されます。



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クレジオ・パートナーズ株式会社のご紹介代表者 :代表取締役 李 志翔
所在地 :広島市中区紙屋町1丁目1番17号 広島ミッドタウンビル3階
設立  :2018年4月
事業内容:
 ・M&Aに関するアドバイザリーサービス
 ・事業承継に関するアドバイザリーサービス
 ・資本政策、企業再編に関するアドバイザリーサービス 等
URL  :https://cregio.jp/

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